人間アレルギーとは?5つの症状や3つの原因を紹介!克服する方法は?

あなたは「人間アレルギー」という言葉を知っていますか?なかなか衝撃的な言葉ですが、この言葉が出てきたのは最近のことですので、ご存じない方も多いでしょう。

「人間アレルギー」という言葉は、精神医学上の正式な病名ではありませんが、人が人を嫌いになる仕組みを、上手く説明してくれる言葉でもあります。これから、順序立てて説明していきますね。

人間アレルギーって、どういうこと?

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まずは、人間アレルギーの意味を知る必要がありますね。

アレルギーの意味

そもそもアレルギーとは、どういうことなのでしょう?

私たちの身体には、生きるために異物(抗原)が体内に侵入してくると、無意識下にその異物を排除して身体を防衛しようとする免疫反応が備わっています。

通常の免疫反応は、異物(抗原)が体内に侵入すると異物に対抗する物質(抗体)をつくり身体を守ります。しかし、たくさん異物(抗原)の侵入が繰り返されると体内に抗体が増えすぎ、抗体の量が一定量を超えると免疫反応が過剰に生じてしまいます。

このような、一定の抗原に対して免疫反応が過剰に生じることをアレルギーといいます。

すなわち、アレルギーとは身体の防衛反応が過剰になりすぎている状態ともいえます。

スギ花粉症でいうと、スギの花粉が異物(抗原)となり目や鼻などの粘膜に触れると、体内に抗体が作られます。たくさんのスギ花粉を浴びた結果、体内には多くの抗体ができ、その量が一定量を超えると免疫反応が過剰となり鼻づまりやくしゃみとなって表われます。

人間アレルギーの意味

このような身体の防衛反応と同じように、人の心を守るための防衛反応があるのではないかと主張する精神科医の方(岡田尊司さん)がいらっしゃいます。

では人間アレルギーとは、どういうことなのでしょうか?

人は相手のちょっとした言葉や行動に不信感や違和感を感じると、その不信感や違和感をもたらした人を異物として認識するとともに、心理的抗体を作り出すことで従来の人間関係や自分の心を維持しようと努めます。

しかし、自分の意に反するような相手の態度や行動や心無い言葉が積み重なり、一定量を超えると我慢の限界を超えるときがやってきます。この我慢の限界を超えたときに、強烈な怒りや相手への拒否反応として心を防衛する反応が過剰気味に生じるのです。

ですから、人間アレルギーとは、人間関係のストレスなどに起因して無意識的に人(他者)を異物として認識し、最終的に人(他者)に対しての心理的な拒絶反応が過剰に引き起こされることをいうのです。

つまり、人間アレルギーは無意識的に自分の心を守ろうとするあまり、その防衛反応が過剰になりすぎて逆に自分の心のバランスを崩してしまうといえるのではないでしょうか。

人間アレルギーの症状とは?

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人間アレルギーがどういうことかがわかりましたので、人間アレルギーが起きるとどのような症状が見られるのでしょうか?

スギ花粉症でいうところの鼻づまりやくしゃみのことですね。

異物の認識と心理的抗体

人は社会性の動物といわれるように、集団を作って生活しようとする基本的な傾向があります。会社組織、学校、家族関係、友人関係など、さまざまな集団関係を形成しています。

しかし、集団が形成されると、そこには人間同士の行き違い(同僚や上司との確執、ケンカ、イジメ、親子間・夫婦間・友人間の感情のもつれなど)も発生します。ゆえに、人はその人なりに心の折り合いをつけて、人間関係を維持しようとします。

例えば、会社で同僚が仕事のミスをして巻き添えになったり、学校でイジメにあったりと自分の身に不愉快なことがあっても、たいていの人は一度や二度なら大目に見ようとするでしょう。心の折り合いをつけて、人間関係を維持しようとしていますね。

ただ、この不愉快な相手の言葉や行動に対しては、無意識的に相手に不信感や違和感を感じて、相手のことを「異物・他者」として認識しているわけです。同時に、心理的抗体を作り出すことで、心の折り合いをつけて人間関係の維持に努めています。

ちなみに、無意識的とはいえ人を「異物・他者」として認識するのは、どのような基準でなされているのかといいいますと、

  • ①自分を害することがないか
  • ②常識や価値観や社会的ルールを共有できるか

の2つです。

もちろん、常識や価値観やルールは、人が育ってきた背景や所属する社会によって異なりますので、人によって認識基準の程度はさまざまになります。

人間アレルギーの症状

しかし、その後も同僚の仕事上のミスが頻発したり、学校でのイジメが長く繰り返されたりすると、イライラしたり、相手を避けて行動したりと心の折り合いがつかなくなってきます。

そして、心理的抗体が一定量を超えると、つまり我慢の限界を超えると、同僚に対する強烈な怒りやイジメをする者からの回避といった心理的な拒絶反応がアレルギー反応として引き起こされます。

自分の心を守ろうとするあまり、防衛行動が過剰になってしまうわけです。

アレルギー反応としての心理的拒絶の具体例を挙げます。

  • 他者の存在に嫌気がさす。他者の存在に嫌悪感が生じる。
  • 他人に対して極端に攻撃的な意識が高まる。他人の良い点より悪い点ばかりに目が行く。
  • 他人を極力避けるようになる。ひきこもりになる。
  • 被害妄想が激しくなる。
  • 他者との物理的距離が接近すると、恐怖心が生じて心拍数の上昇、身体の硬直、思考の混乱が生じる。

人間アレルギーの人の傾向

人間アレルギーの人は、普通の人にとっては些細なことや気にならない徴候をなぜか悪い方向に解釈してしまうという傾向があります。その結果として、事実とは大きくかけ離れ、飛躍した思い込みを自分勝手に構築してしまうのです。

また、いったん人間アレルギーを発症してしまうと、それまでの人間関係のバランスをくずしてしまうことがあります。すると、周囲との関係で無用の波風が発生し、ますます症状が悪化していくという負のスパイラルに巻き込まれる可能性もあります。

人間アレルギーの原因は?

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人間アレルギーの具体的な症状がわかると、その対処方法が知りたくなるところですが、効果的な対処をするためには、原因を把握することが必要です。

ですから、まずは人間アレルギーの原因を探っていきましょう。

潔癖な環境

人間アレルギーの原因の一つとして挙げられるのが潔癖な環境です。生体的意味でのアレルギーが近年の子供に増えているのは、日本の生活環境が清潔すぎることと無関係ではありません。

人間の成長においても、清潔すぎる環境、すなわちストレスのない過保護状態で育つとストレス耐性が発達しないものです。ストレス耐性が低いということは、自らの考えや意図するものと異なる他人の考えや行動に不寛容であるともいえます。その結果、アレルギー反応が起きる境界線が低くなりますし、防衛反応である心理的拒絶も過剰になりやすいのです。

物理的にも、精神的にも清潔すぎる環境というのは、問題がありそうですね。ほどよい雑菌の存在、ほどよいストレスの存在が人を健全に成長させるのです。

投影

心理学に投影(とうえい)という言葉があります。この投影も、人間アレルギーの原因になりえます。

投影とは、本来自分が持っている自分自身の否定的な側面を自分で認めたくないときに、無意識的に他人にその否定的な側面を押し付けたり、見出すことで、嫌な感情や不安から心を守る働きのことです。

たとえば、海外に遊びに行く同僚をみてイライラするなど不快に感じた場合、無意識的なので自分では不快な理由がよくわからないかもしれません。でも深層心理では、同僚と同じ仕事をしている自分が仕事で手一杯なのに、同僚には余裕があるという状況から、自分自身の手際の悪さに対するイライラを同僚にぶつけているのです。こうすることによって、自分に対する嫌な感情や不安から心を守っているのです。

この投影が、人間アレルギーにどうつながるのでしょうか?

上記の例ですと、イライラという違和感から、相手を異物として認識します。でも、深層心理では、自分の手際の悪さに対するイライラだったり、自分の能力の低さに対する不安なのです。

そして、これが積み重なると、相手は自分の手際の悪さを笑っているのではないか?相手は自分の能力の低さを馬鹿にしているのではないか?という被害妄想につながっていく可能性があるのです。被害妄想は、人間アレルギーの心理的拒絶の具体例にも挙がっていましたよね。

愛着障害・生育環境

愛着障害も人間アレルギーの原因の一つとして挙げられます。

愛着障害は、子供の頃に養育者(親など)から十分な愛情を受けずに育つことで起こる障害のことです。

愛着とは、自分の欲求・意思・感情などを理解してくれる特定の人(養育者など)に対して、この人といれば安心・安全だという認識をもつ特別な情愛をいいます。人は養育者という安全基地があるからこそ、健全に成長し社会性を獲得できます。人は社会性の動物で集団を作り人間関係を形成していきますが、この土台には愛着があるのです。ゆえに、愛着の形成ができないと、人間関係がスムーズにいきません。

そして、愛着障害を示す子供には、衝動的行動・反抗的行動・破壊的行動などみられ、情愛表現力・自尊心・他人に対する尊敬心・責任感などが欠如している場合が多いのです。

親からの虐待、親との死別、親の再婚によって愛情が他に奪われたなど、愛着障害の端緒となる関係は枚挙にいとまがありません。

仮に親が愛情を持っていたとしても、子供の人格肯定より人格否定が優位な厳しい環境で育てられると、子供はそこに適応しようとします。子供からすれば、親の愛情を感じられません。これも愛着障害の端緒の一形態です。

そのようなわけで、愛着障害があると他人との関係がうまく結べませんから、愛着障害は人間アレルギーの原因になりうるのです。

人間アレルギーの克服方法は?

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このように人間アレルギーの原因がわかりましたので、次は人間アレルギーの対処方法を探っていきましょう。

他人に対する寛容な心を持てるように努力する

清潔すぎる環境、すなわちストレスのない過保護状態で育つとストレス耐性が発達せず、自らの考えや意図するものと異なる他人の考えや行動に不寛容になることが、人間アレルギーの原因の一つでした。

とするならば、他人の異なる考えや行動に対して寛容な心を持てるように努力をすることが、人間アレルギーの対処方法の一つになるでしょう。

事実と推測を冷静に区分けする

投影という心を守る働きが、人間アレルギーの原因の一つでした。

また、人間アレルギーの人は、普通の人にとっては些細なことや気にならない徴候を悪い方向に解釈してしまい、事実とは大きくかけ離れた思い込みや推測をする傾向がありました。

ですから、心の仕組みを理解した上で、客観的な事実と自分の推測・思い込みを分けるように振り返ることが、人間アレルギーの対処方法になりえます。

いったん思い込んでしまうと、客観的事実と自分の推測・思い込みを分けて考えるのは難しいかもしれません。しかし、事実と推測を分けるという視点が頭の片隅に少しでもあれば、悪い方向に考えることは止めようと思い直すきっかけになるのではないでしょうか。

客観的事実を三つに切り分ける

客観的事実と自分の推測・思い込みを区分けできたら、次に客観的事実について三つに切り分けると人間アレルギーの対処方法はよりシンプルになります。

客観的事実を、①問題ないこと・自分に害がないこと、②なんとか許容できること、③絶対に許容できないこと・自分に害を及ぼすことの三つに切り分けるのです。

③の絶対に許容できないこと・自分に害を及ぼすことがはっきりとすれば、対処方法もおのずとはっきりしますよね。その事実を取り除くか、その事実から回避することで、環境を変えればよいのです。

愛着を取り戻す

愛着の形成ができない愛着障害が、人間アレルギーの原因の一つでした。とするならば、愛着の再形成ができれば、人間アレルギーの対処方法になりますね。

では、愛着を再形成して愛着を取り戻すには、どうすればよいのでしょうか?

それは、人間アレルギーの人にとっての安全基地を取り戻せばよいのです。すなわち、自分の欲求・意思・感情などを理解してくれて、この人といれば安心・安全だという信頼のできる存在を見つけることです。

専門医に助けを求める

もし、自分が人間アレルギーなのでは?と思ったら、すみやかに専門医に相談しカウンセリングを受けるほうが良いでしょう。

愛着を取り戻そうとしても、人間アレルギーになっていると、なかなか自分が信頼できる人を見つけられないかもしれません。そんな時に専門医は、仕事とはいえ親身に対応してくれて、自分の欲求・意思・感情を理解しようと努めてくれます。

また、人間アレルギーのきっかけとなってしまった親子関係を元に戻したいと思っても、当事者同士では余計に話がこじれて、より人間アレルギーに拍車がかかってしまいます。

そんな時に、専門医に相談すれば、案外はやく関係が修復して愛着の再形成ができるかもしれません。

当事者同士の争いの間に、中立的な第三者を挟んで調整すると、落としどころができて丸く収まるということは良くあります。ここでは、親子の間に第三者として専門医に入ってもらうことで、お互いの言い分をそれぞれに代弁してもらうのです。

人間アレルギーの症状の病名は?

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一番最初に「人間アレルギー」という言葉は、精神医学上の正式な病名ではないと述べました。では、人間アレルギーにまつわる症状は、現在の精神医学において、どういう病名で診断されているのでしょうか?

精神疾患には非常に多くの種類があります。ですから、同じ症状でも病名が変わることもよくあります。

たとえば、ひきこもりという症状でも、失敗や自分が傷つくことに恐怖や不安を感じている場合は、回避性人格障害と診断される可能性があります。一方、会社などの社会環境に適応できなくてひきこもりになってしまったのなら、適応障害と診断される可能性があるでしょう。

具体的病名をいくつか列記するだけでも、社会不安障害、適応障害、回避性人格障害、妄想性人格障害、境界性人格障害、自己愛性人格障害、気分変調症、強迫性障害、身体醜形障害など、たくさんあることが分かると思います。

ただ、各診断にいたる道筋を説明するに際して、「人間アレルギー」という言葉・概念は、とても便利でわかりやすいといえます。

精神疾患は非常にデリケートな病気ですので、安易に自己判断せず、専門医の判断を仰ぎましょう。

まとめ

人間アレルギーについて、人が人を嫌いになる仕組みについて、ご理解いただけましたか。

もし、ご自分に人間アレルギーのような症状が表われたら、精神疾患の可能性があるかもしれません。早めに専門医に相談しましょう。

また、人間アレルギーを自分の生き方が脅かされているという警告として捉えられれば、その環境で無理に頑張らず、環境や所属する社会・人間関係を変えることで、再び自分らしい生き方ができる契機になるかもしれません。

  
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