ヒルシュスプルング病は手術が必要?治療法や症状、原因を理解しよう!

ヒルシュスプルング病と言う名前の、病気を聞いたことありますか?私は初めてききました。別名先天性巨大結腸症と呼ばれます。

ヒルシュスプルング病は私達が生きて行く上で、大切な排便が出来ない病気です。私達は毎日排尿、排便を繰り返しています。それは私達が生きて行く上で、食べ物を食べその食べ物が、身体の中に栄養として細胞に取り込まれ、その時に細胞に取り込まれなかった、いわゆる食べ物のカスや、腸内の不要物を便として体外に出さなければなりません。

ですから排便が出来ない事は人間が生きるうえで、とても大変なリスクに成るのです。老廃物が身体の中に、溜まっていったらどうなるでしょう?考えただけでも恐ろしく思います。

男女比では3:1で男性の方が多いそうです。ヒルシュスプルング病について、詳しく見てみましたので、ご一緒に見てみたいと思います。

ヒルシュスプルング病とは

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出生5,000人に1人の頻度でみられます。死亡率は3.0%で全部の結腸の神経節細胞がない場合は、脂肪率は15.8%、小腸型では死亡率は35.5%、日本には年間で約200人の人が発症していて、全体で1万人ほどいるそうです。

難病とされる全結腸型や小腸型は1,000人程います。

私達の排泄の重要性

私達の身体は食べ物を食べてそれを栄養に変え、栄養にできなかったものは排泄物に変えて、便として排泄して生きています。

食べたら必ず排泄します。私達の身体は食べ物を食べると、食べ物の栄養は腸で吸収され、細胞として身体の中に取り入れられます。細胞として取り入れられなかった老廃物、いわゆる古くなった腸の細胞の死骸や、腸内の細菌の死骸、消化液の一部などが、老廃物(便)として外に排泄されます。

この時必要なのが腸の神経節細胞です。腸で細胞として取り入れられなかった老廃物は、腸の神経節細胞で、ぜん動運動を起こさせて、肛門まで老廃物(便)を運びます。ところがヒルシュスプルング病の人は神経節細胞がない為に、老廃物(便)を肛門まで運ぶことができない為、色々な症状が出て重傷に成ると、生死にかかわる事もあるのです。

神経節細胞

ヒルシュスプルング病とは、生まれつき腸に神経節細胞がないので、重い便秘症になったり腸閉塞等を起こしたりします。酷くなると死につながる事もあります。神経節細胞とは、消化管の働きの調整をする細胞です。いわゆる腸のぜん動運動です。ヒルシュスプルング病には神経節細胞が、腸の中で連続してみる事ができません。

胎児5週から12週にかけて、消化管の神経節細胞は何らかの異常により、食道の口側の端に発生します。神経節細胞が肛門に向かって徐々に分かれて繋がり、それが途中で切れているためぜん動運動が起こせないで、老廃物を肛門まで運ぶことができないのです。

無神経節腸管

ヒルシュスプルング病は80%が無神経節腸管といって神経節細胞のない腸です。ヒルシュスプルング病の症状は、新生児や乳幼児に多く現れています。生まれつき重い便秘気味で、その為にお腹の張りが強くて、ポンポンになって嘔吐もともない、重い腸炎を引き起こしたり、腸に壊死や腸に穴が開いた状態になり、危険を伴う事もあります。

ヒルシュスプルング病には神経線維が増えていますが、神経節細胞の散らばって繋がっている、神経系の小集団の神経叢(しんけいそう)は見られません。

まれに症状が軽くて便秘を繰り返しながら、成人してから見つかる事もあるそうです。見つかってもこれは自然に治りませんので、早めに手術をされる方が良いと思います。腸炎や穿孔(せんこう)等が併発し死に至る事もあります。

ヒルシュスプルングの原因

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ヒルシュスプルング病の原因について紹介します。

遺伝子による原因

私達人間は食べ物を食べると、食道を通り胃で食べ物を消化し、小腸で栄養と不要物に分けられ、不要物は大腸に送られます。大腸はぜん動運動をしながら、肛門に老廃物の便を送っていきますが、この時に神経節細胞が、腸のぜん動運動の働きを調節します。この神経節細胞が生まれつきなくて、思う様に排泄できないのがヒルシュスプルング病なのです。

ヒルシュスプルング病の原因は不明ですが、現在解っているのは10種類の遺伝子によるものが確認されています。神経節細胞が生まれつきない為、腸のぜん動運動が起こらなくて、重度な便秘になり、ひどい時には腸炎や、腸に穴が開いたりする、穿孔(せんこう)になって死に至る事もあります。

ヒルシュスプルング病の疾病の種類

短域無神経節症

短域無神経節症はヒルシュスプルング病の、約80%の子供がなっています。これは直腸とS状結腸に神経節細胞が存在してなくて、ぜん動運動が出来ない為肛門まで、老廃物を運ぶことができなくて、便を体外に出す事が容易ではありません。

長域無神経節症

長域無神経節症はヒルシュスプルング病の、約12%の子供がなっています。これはS状結腸を超えて、短域無神経節症より長い、神経節細胞がありません。短域無神経節症より長い距離神経節細胞がないので、老廃物を肛門まで運ぶことは殆ど不可能に近くなり、便を自力で体外に出す事は無理な状態です。

全結腸無神経節症

全結腸無神経節症はヒルシュスプルング病の、約5%の子供がなっています。これは全結腸と小腸の一部の非常に長い距離の、神経節細胞がなく難病に指定されています。死亡率は15.8と多くの子供が亡くなっています。全結腸無神経節症になると、老廃物は体の中で溜まったままになるので、一刻も早い手術が必要となってきます。

広範囲無神経節症

広範囲無神経節症はヒルシュスプルング病の、約3.5%の子供がなっています。これは小腸の口側まで、神経節細胞がない為死亡率も35.5と、非常に沢山の子供が亡くなっています。これも難病に指定されています。生まれてすぐに的確な判断が求められます。

ヒルシュスプルングの症状

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ヒルシュスプルング病の症状は生まれてすぐに、赤ちゃんの胎便の排泄が遅れるのが、人間として生まれての最初の症状です。

排便や排ガスができなくてお腹の中に溜まる為、風船の様にポンポンに膨らんで、お乳を飲む力が低下して、濃緑色の胆汁に染まった物を嘔吐します。だんだんと症状が進んでくると体重不良や、栄養不良が現れる様になります。

ヒルシュスプルング病の無神経節腸管は、神経細胞がない為に、腸が正常にぜん動運動できなくて、腸が細くなる為便を肛門の方に送る事がでず、自力で排便する事ができません。

そのため慢性的な便秘や、お腹がポンポンに膨れたり、嘔吐などの腸閉塞症状等が、症状として出てきます。胎児排泄が遅くなったり、排便排ガスが困難になる為に、腹痛、お乳を飲む力が低下したり、体重増加が起こらなかったりして、栄養不良等の症状を起こしてしまいます。

ヒルシュスプルング病の検査

直腸がん 症状

ヒルシュスプルング病の検査はまず問診で、乳幼児の状態例えば、普通におならが出ているのかいないのか、食べ物は何をどれくらい食べているのか、胎便の排泄はいつ行われたか、また乳児ならお乳の飲む力は、衰えていないか等を聞き取ります。

そして便の性状排便の頻度を確認して、お腹かが大きく膨れていないかの有無、ガスが出ているのか、便は出ているのか肛門から指を入れて直腸指診で確認します。

また広がった腸管内のガス像を、腹部のX腺レントゲン検査で調べて、全体に認められる場合や、小骨盤内の腸管ガス像が欠如している場合は、ヒルシュスプルング病の疑いを濃くして、次なる検査を行います。

注腸造影検査

注腸造影検査は直腸から結腸の太さの変化を視るために、肛門から造影剤を腸に注入して検査を行います。注腸造影検査は腸の形をみる検査です。大腸の肛門側の腸の太さがどれくらい狭くなっているのか、造影剤を入れて口側の拡張及び口径差が、どれぐらいなのかを確認します。

直腸肛門内圧検査

肛門内圧検査

その次に行われるのが直腸肛門内圧検査です。これは入院して全身麻酔で行われます。肛門の圧力が下がる反射(直腸肛門反射)の有無を調べるために、5㎜程度のセンサー付きチューブを肛門から入れて、力を入れた時の圧力と、力を入れない時の圧力を調べます。

正常参考値(70歳未満)

最大静止圧 男性:87.0-138.2cmH20/女性:68.5-125.5cmH20

最大随意圧 男性:234.6-528.4chm20/女性:136.5-327.5cmH20

直腸感覚検査

直腸感覚検査は便意の感じ方を検査するものです。最初に便意を感じた時と、便意が我慢できなく成った時を、直腸からバルーン(風船)を入れて少しずつふくらまし、バルーンの大きさで便意の感じ方を測ります。

(正常参考地)

最小感覚閾値(しきいち):30-60ml

最大耐用量       :140-210ml

直腸肛門反射検査

直腸肛門反射検査は腸内でバルーンが膨らんだときに、肛門は反射的に緩むので、直腸内にバルーンを入れて膨らませて、肛門の反応を検査していきます。

排出能力量検査

排出能力量検査は、どのくらいの量力んだら、ガスや便が出せる事ができるのか、肛門内にバルーンをいれ膨らませて検査していきます。

直腸粘膜生検

直腸粘膜生検とは直腸の粘膜を2㎜取り出して、アセチルコリンエスレターゼと言う神経系の酵素の量をはかり、30分程度かけて顕微鏡で詳細に検査します。これは直腸肛門内圧検査と並行して、1泊入院して行います。検査の前には直腸の洗浄も行われます。

これらの検査は寝ている時の、全ての動きによる誤診をふせぐために、1泊かけて全身麻酔で行います。直腸粘膜生検で調べた2~3㎜大の組織は、研究室で特殊な染色を使って調べます。

ヒルシュスプルングの治療

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ヒルシュスプルングの治療は手術しかありません。この病気を完全に治すには色々な方法がありますが、基本的には正常な腸管を肛門部まで作り、肛門から排便できるようにするのが、根治手術です。

短域無神経節症の手術

短域無神経節症の手術は手術生後3ヶ月以降で、体重が5~6kg以上で行われていましたが、現在では1~2ヶ月で人工肛門を作らずに、小さな傷で根治手術が行われています。

ブジーと言うお尻の穴から管を入れて腸を洗ったり、ガスを抜いたりする事で、一時的には良くなる事がありますが、神経節細胞がない場合は、直ちに手術を行う事が必要となります。

また浣腸や肛門ブジー洗腸等で排便がうまく、上手にできない場合や腸炎が改善しない場合は、一時的に人口肛門をつける必要が出てきます。

お腹を切らずに肛門からの手術

ヒルシュスプルングの手術は、完全に治す事を目的に手術が行われます。お腹を切らずに肛門から腹腔鏡補助手術で、生まれて1~2か月で出来るだけ小さな傷で、人工肛門を作らないで、非常に安全な方法で手術を行っています。

ヒルシュスプルング病類縁疾患

ヒルシュスプルング病類縁疾患は、ヒルシュスプルング病と少し違って、腸管の神経節細胞が存在するのですが、ぜん動運動ができなくて、ぜん動不全をきたしている難病です。

ヒルシュスプルング病は治療方法も確立していますが、このヒルシュスプルング病類縁疾患は稀な病気なので、まだ治療方針が固まっていません。原因は全く不明で腸管の神経節細胞が、通常の正常な人よりも少ない事が分かっています。

ヒルシュスプルング病を併発する病気

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ヒルシュスプルング病は単独の孤立が70%で、染色体異常が12%です。そのうちの90%がダウン症で18%に多の奇形の合併が出ています。

ダウン症

ダウン症は精神発達の遅れがあり、日本では1,000人に1人に発症し、高齢出産の子供に多く症状が現れています。蒙古症とも言われ、遺伝子疾患が原因です。染色体異常がある為、発達障害がおこります。

ダウン症の症状は落ち着かない状態や、一つの事に固執してコミュニケーションが上手く摂れなかったり、動作が非常に遅くて筋力が健常者よりも弱い様です。

また年齢相応にあった学習能力が身につかず、知的障害、言語障害等があり、病弱で別の疾患を抱えています。ヒルシュスプルング病はダウン症の子供に多く見られます。その為平均寿命は短くなります。

モワットウィルソン症候群

モワットウィルソン症候群とは重度から中程度の知的障害者です。モワットウィルソン症候群の特徴は、特徴的な顔と、小頭症などで全国で1,000~1,5000人の患者がいます。

原因は遺伝子の変異からなるものです。特徴的な顔は眼と眼の間が広く、眉毛の内側が濃くなっています。また下あごが突出していて、前向きの分厚い耳朶等の風貌が特徴として挙げられます。なんだか大黒天や恵比寿天の顔を想像しますね。

精神的な遅れはあるものの、人とのコミュニケーションを取る意欲は高く、明るい子が多いそうです。ヒルシュスプルング病を発症している子が多いです。

ヒルシュスプルングの日常の注意点

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ヒルシュスプルング病の手術をして、日常生活で気を付けないといけない事は、重度のヒルシュスプルング病の場合は排便機能が完全でないので、下着を汚すこともありますので、注意が必要となります。

手術を行った後排便やおならが正常に出ているのか?便も悪臭のない便なのか?をチェックする事が大切です。排便できても悪臭のある、下痢便や水様便であれば、腸炎の可能性もあるので注意が必要です。

ヒルシュスプルング病の場合根治手術をしても、重傷な場合は通常の食事のみでは、栄養が行き渡らないことがあり、経管栄養や静脈栄養の併用が必要な場合も出てきます。定期的に栄養評価を行う事が大切で、特に微量元素の欠乏には注意を要します。

術後の合併症として手術後30%の確率で、腸炎、縫合不全、排便障害(便失禁・便秘)等の症状がみられます。神経節細胞が長いほど欠如している場合に、これらの症状は多く成っています。症状がひどい場合は現在では、外科的医療と栄養管理面だけでは、救済できないのが現実の姿です。

まとめ

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如何でしたでしょうか?ヒルシュスプルング病について、少しはお解り頂けましたでしょうか?私達の身体にとって一番必要な排便が出来ない事は、想像しただけでも大変な事だとお解り頂けると思います。

何故この様な染色体の異常が、起こるのか原因は解りませんので、予防のしようができません。しかし今現在この様な病気が、増えてきている事は確かです。自分には関係ないと思っていても、自分の家族に、知り合いにこの様な病気の子供が生まれた場合に、兎に角早く専門医のアドバイスを受けながら、手術をすることが大切な様です。

食べたものを排泄できない事は、生きて居られない状態と同じだと思います。本人は何もわからないので苦しみもがきますが、周りが如何に早くその状態から解放して上げれるかが鍵となります。ヒルシュスプルング病の子供たちが、一日も早く全員根治手術で健康を取り戻す日が、来ることを願わずにはおられません。

  
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