歯磨きをしている時にふと舌の状態が気になったりしませんか?
健康的なピンク色であれば問題ない証拠ですが、時には色が付いていることもあります。その多くは食べ物や飲み物の色素が付着したことによるものですが、場合によっては意外な原因が隠れていることも考えられます。
特に、舌が急に黒くなった、舌が黒くて口臭がするといった場合には要注意です。こちらの記事では舌が黒くてお悩みの方に役立つ情報をまとめてみました。
舌が黒くなる原因と対策方法
まずは、なぜ舌が黒くなるのか、その原因をご紹介します。
意外な原因!血行不良
冷えや生活習慣の乱れ、煙草の吸いすぎなどで血液の循環が阻害されると、舌が全体的に黒っぽく見えることがあります。これは、舌に集まっている毛細血管の血流にまで影響が出ているということですから、速やかに生活習慣を改善すべきです。
特に喫煙者の方は煙草を控え、医師に相談することをおすすめします。また、血行不良の影響で頭や肩が痛くなったり、肌が荒れることもあります。舌が黒いときは体の調子と血の巡りを繋げて考え、適切に対処しましょう。
このように、舌の色は血液の状態によって変化することがあります。皮膚に守られていない分、血液の色が見えやすいということですね。
血液は健康のバロメーターです。意識してこまめに舌の色をチェックしましょう。黒いようであれば、血液に変化が起こっているという証拠です。放置せずに、改善を試みましょう。
黒毛舌の可能性
舌の表面に黒い点が集まっている、黒い毛が生えるように見えるといった場合は、黒毛舌(こくもうぜつ)という症状が出ている可能性があります。
黒毛舌が発症する要因は様々ですが、根底にある原因は体力の低下です。体力が低下すると、細菌やウイルスから体を守るための免疫力も低下します。すると、口内の殺菌作用まで低下してしまうのです。その結果、「カンジダ菌」が増え、黒い舌になってしまいます。
カンジダ菌とはカビの一種で、口や消化器官、血管など体内のあらゆるに場所に存在します。カンジダ菌は硫黄化合物を出すため、それが血液中のヘモグロビンと結びついて、血液を黒っぽく見せると考えられています。黒っぽくなった血液が舌の表面に集まることで、黒い舌に見えるんですね。
体力が低下しやすいのは、ご高齢の方、重病を患っている方、食事制限を繰り返している方などです。風邪をひきやすい、全身の倦怠感が取れないといった場合の多くも、体力の低下が原因です。
思い当たる点があり、舌が黒いようであれば、カンジダ菌の検査を受けることをおすすめします。
舌が黒いのは薬が原因?
意外に思われるかもしれませんが、舌が黒くなる原因の一つに「薬を飲み続けている」というものがあります。ここでいう薬とは、抗生物質やステロイド剤のことです。
抗生物質は様々な菌を死滅させますが、カンジダ菌には効果がありません。抗生物質を飲み続けると、口内の多くの菌が死滅します。この時に、体に良い影響をもたらす菌まで死んでしまうので、口内の免疫力は下がる一方です。
しかし、薬を飲み続けることでカンジダ菌はどんどん増えてしまいます。その結果、カンジダ菌が出す硫黄化合物の影響で舌が黒く見えるのです。
ステロイド剤には膠原病の炎症を鎮めたり、免疫が過剰に反応するのを防いだりする役目があります。結果的に免疫の抑制をすることになるので、ウイルスや細菌に感染しやすくなったり、カンジダ菌が増えやすくなったりします。
薬を飲み続けていることで発症する黒毛舌は、改善が難しいと言われています。病気を治す必要があって抗生物質やステロイド剤を飲み続けているわけですから、急にこれらの服用を止めると、既に罹っている病気が悪化する恐れがあります。
かといって黒毛舌を放置していると、体内のカンジダ菌の増加が加速し、舌が黒くなる以外にも歯周病や慢性喉頭炎、または慢性扁桃腺炎様々な症状を引き起こす可能性があるのです。
抗生物質やステロイド剤を服用していて舌が黒いという方は、薬の服用を抑えることで黒毛舌を改善できます。自己判断で薬を止めるのは危険ですから、かかりつけ医に相談しながら対処を試みましょう。
舌が黒い時にチェックするべきこと
では、舌が黒い時には具体的にどうすればいいのか見ていきましょう。
口臭があるかどうかを確認
舌が黒く、口臭がある場合、細菌が発生させる揮発性硫黄化合物が増えている可能性があります。
この場合の口臭とは、揮発性硫黄化合物が原因の、かなり強く不快な匂いのことを言います。揮発性硫黄化合物は青酸ガスよりも毒性が高いとされており、歯周病を悪化させたり、口内のコラーゲンを壊したりと、様々な症状を引き起こすことがあります。
舌をブラッシングして口内を清潔に保つことで症状を軽くすることができますが、口臭の原因となる細菌は舌の奥の方に増える傾向があり、歯ブラシでは届かないことがあります。舌をブラッシングする際は、できるだけ専用のブラシ用品を使うようにしましょう。
他にも、唾液を多く分泌させて口内の免疫力を高めるという方法があります。よく噛む、口を開けっ放しにしない、湿度を上げるなどできることは様々ですが、一朝一夕に結果が出るものではなく、速やかな改善は難しいかもしれません。
自己流で中々改善しない場合には、医師に相談することも考えてみましょう。歯科の診察を受けるのが一般的ですが、口臭外来を受け付けている病院もあります。特に口臭が気になるという場合には、こういった専門の病院を受診するのがおすすめです。
倦怠感があり、気分が落ち込むかどうかを判断
全身の倦怠感や、原因の分からない気分の落ち込みを感じる時は口内にカンジダ菌が増加している可能性があります。
気分の落ち込み以外にも、イライラや頭が重い、よく眠れないといった症状がある場合は「不定愁訴」と診断されることが多いのですが、この不定愁訴の原因がカンジダ菌だったという場合があるのです。
気分が落ち込むからといって精神科や心療内科の診察を受けても、原因が分からず誤った処方を出される恐れがあります。カンジダ菌による症状は不定愁訴や抑うつと間違われやすいのです。もちろん、抗うつ剤をいくら飲んでも不定愁訴の症状は改善されません。却って悪化してしまう場合もあります。
カンジダ菌を抑えるには、フロリードゲルという薬を約14日間に渡って服用する必要があります。この薬は、一般には歯科で処方されます。
不定愁訴に加え舌が黒い場合は、カンジダ菌の増加の可能性を考え、歯科も受診してみましょう。
まとめ
このように、舌が黒い原因には様々なものがあります。軽いものであれば舌のブラッシングや体力の回復で改善しますが、気になる場合は医師に相談してみましょう。
また、併発している症状や体の調子、精神的な不安などによって対処法が変わってきます。舌の色以外にも体と心のあらゆる面から判断して適切な病院で受診しましょう。
特に、喫煙している方や長期間抗生物質などの薬を飲み続けているという方は、症状の改善に時間が掛かる場合があります。できるだけ早くかかりつけ医に相談することをおすすめします。
黒い舌は大きな病気に繋がるサインかもしれません。普段からこまめにチェックして、変化を見逃さないようにしたいですね。
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