なんとなく喉がイガイガする、唾液を飲み込むと痛む、声がかすれる…。なにもなければ気にならないけど、異変があると急に気になりだすのが喉ですね。咳や痰切りばかりしていると見た目にも品がなく映ってしまいます。喉の不調の原因は風邪気味や乾燥、花粉、ほこりなど。
喉環境の改善やトラブルの予防に最適な食べ物を紹介します。日々の食事に取り入れて不快感を撃退しましょう。
喉について知ろう
喉と一概に言ってもどの部分の事を指すのでしょうか?喉とは、口腔奥にある舌の付け根と鼻腔の終わりで空間が一つに交わる部分から、食堂と気道に分かれる部分までの空間の事を指します。
喉には扁桃腺や声帯といった器官があり、全体は粘膜で覆われています。喉の痛みは、これらの器官や喉の粘膜が傷ついたり、炎症を起こしたりすることで発生します。
喉には、食べ物を飲み込み、声を出す、空気を通すという役割があります。この中で喉に直接作用するのは空気と食べ物です。きれいな空気を吸うと喉の調子は良くなり、たばこや排ガスなど、汚い空気を吸うことで調子は悪くなります。
しかし、綺麗な空気を吸って生きることは、都会に行くほど難しくなります。また、煙草を嗜んでいる方は、空気の良い環境でも喉を煙にさらすことになります。毎日山や森で森林浴を行える環境があれば良いのですが、そうでない場合は食べ物で改善するしかありません。
次の項から、喉のトラブルを改善したり、未然に予防する食べ物、そして喉を悪くする食べ物を紹介します。
喉にいい食べ物
喉に良いものの基準は以下のようなものです。
- 殺菌作用のあるもの
- 保湿作用のあるもの
- 保温効果があるもの
- 常温に近いか、少し温度の高いもの
この中で特に喉に良いと言われている食べ物を紹介します。
蜂蜜
蜂蜜は甘味料だけでなく、古来から万能薬として重宝されてきた天然の薬です。蜂蜜にはグルコン酸という殺菌成分が含まれています。また、水分を吸収してオキシドールという消毒成分を発生させます。これらが喉の痛みに効きます。また、粘度の高さと保湿効果により、傷ついた粘膜を保護する役割もあります。
注意点は、1歳未満のお子様には蜂蜜を与えてはいけないという事です。蜂蜜に微量に含まれるボツリヌス菌に感染する可能性があります。これは乳児ボツリヌス症と呼ばれ、神経麻痺を引き起こします。大人の場合は既に腸内環境が整ってるため体内で解毒が可能ですが、乳児の場合は腸内の抗菌環境が未熟なため、微量の菌でも感染する恐れがあります。
ショウガ
生姜は蜂蜜と同様古くから民間薬として重宝されてきた食べ物です。生姜には抗炎症作用があり、喉の腫れを抑えてくれます。また、鎮痛作用もあるため、喉の痛みがひどいときによく聞きます。
生姜には発汗作用があるため、体の熱を体外に逃がす効果があります。ですので、風邪の引き始めで体温が上がっているときには食べない方がよいでしょう。熱が上がっている場合、体は熱により体内の菌を殺そうとしているからです。生姜を飲むのは熱のピークが超えたころにしましょう。
大根
大根には抗炎症作用がありますので、喉の腫れによく効きます。大根は汁に有効成分を多く含んでいるため、大根おろしなどにして食べると効果的に喉の痛みを和らげてくれます。また、角切りにした大根を舐めても効果があります。
大根は根元が辛く、葉の部分に近づくにつれて比較的甘くなります。辛いのが苦手な方は葉の近くを食べるとよいでしょう。スーパーなどで半分に切られて売られている場合は、このみの部分を買って使い分けましょう。
レモン
レモンは果汁が強い酸性で、抗菌作用があります。
また、多量に含まれるビタミンCが傷ついた粘膜を補修してくれます。レモンは単品では酸味が強くて食べづらいので、果汁を絞ってほかの飲み物に入れたり、はちみつ漬けなどにすると食べやすいでしょう。ただし、大量に取ると一時的にほかの味を感じづらくなったり、胃に負担がかかったりします。
はちみつ漬けなどで皮を食べる場合は、輸入レモンは使わないようにしましょう。レモンは輸入される際に黴が生えないよう、防腐剤などが塗布されています。また、つやを出すためにワックスが塗られています。どれも発がん性分のある薬品ですので、皮まで食べる際は国産の、無農薬レモンがおすすめです。
かりん
かりんという果物はスーパーであまり売られていないため、なじみがないかもしれませんが、昔からのど飴の成分として使われる喉にとてもよい果物です。
かりんに含まれるアミグダバリンという成分が咳や痰に効果があります。その他にも風邪や病気、疲労など、体の様々な不調に対して効果があるので、健康維持のために取り入れたい食べ物です。
ネギ・玉ねぎ
昔は風邪を引くとネギを焼いて首に巻くという民間療法がありました。ネギの香りが喉の痛みや解熱に効果があるためです。この香りはアリシンや硫化アリルと呼ばれる成分で、ネギを焼くのはこの香りをより放出させるためです。アリシンには鎮静作用もあるため、枕元に刻んだネギや玉ねぎを置いておくとよく眠れます。
食べる場合は生が最も喉に効果があります。スライスした玉ねぎを舐めているうちに体温で温められたアリシンが染み出し、唾液と共に流れて喉に作用します。ただ、生の玉ねぎは辛みが強いので、気になる場合は酢漬けにしたり、スープにしたりするとよいでしょう。
梅干し
喉が炎症を起こしている場合、体内は酸性に傾いています。梅干しはアルカリ性の食品のため、炎症を中和し、痛みを抑制する効果があります。また、梅干しの酸味が唾液の分泌を促すため、喉が潤います。
塩分が多く冷たいままの梅干しは喉への刺激が強いため、軽くあぶって緑茶に入れると効果を最大限に引き出すことが出来ます。また、緑茶に含まれるカテキンにも喉の消毒作用があるためおすすめです。
オクラ・昆布・山芋(とろろ)
野菜や海藻の中でも特に粘り気の多いオクラや昆布、山芋は傷ついた喉の粘膜を保護してくれます。これらの粘りはムチンという物質で、高い保湿力があります。
すり下ろした山芋のことをとろろと言いますが、喉が痛くて食べ物を飲み込むのが辛い時にも食べやすいためおすすめです。スーパーで売られているとろろ昆布をお湯に溶かして飲むのもよいでしょう。
喉に悪い食べ物
喉に悪い食べ物は、喉が炎症を起こしたり、痰が絡んだりしているときに取るとそれらを悪化させる可能性があります。
喉に悪い食べ物の基準は以下のようなものです。
- 刺激が強い食べ物
- アルコール類を含むもの
- 糖分を多く含むもの
- 固いもの
喉の調子が悪い時にはとらない方がよい食べ物を紹介します。
トウガラシ
トウガラシにはカプサイシンと呼ばれる辛み成分が含まれています。トウガラシには殺菌作用がありますが、それをもって有り余るカプサイシンの刺激があるため、炎症を起こした喉には良くありません。
カプサイシンには興奮作用があるため、栄養ドリンクによく含まれています。体調が悪いから栄養ドリンクを飲むという方は多いかもしれませんが、成分表にトウガラシエキスやトウガラシ抽出物などと記載されている場合は注意が必要です。
ナッツ類
ナッツ類は植物由来のオイルなど体に良い成分が多く含まれていますが、喉の調子が悪い時には控えた方がよいでしょう。噛み砕くと鋭利な断面となり、弱った喉を喉を物理的に傷つけます。
チョコレート
チョコレートを代表する糖分の多いお菓子は喉の調子を悪くします。糖分が喉の粘膜に絡み、痰を悪化させるからです。チョコレートというよりは含まれる油分や糖分が粘膜に負担をかけるため、どうしてもチョコレートが食べたい場合はカカオ含有率が高く糖分の少ないものを選びましょう。
チョコレートボンボンや、プラリネチョコなどには、チョコレートのほかにアルコールも含まれています。アルコールはのどの粘膜を焼いてしまうため控えましょう。
メロン
お見舞いの定番の果物であるメロンは意外かもしれませんが喉にはあまりよくありません。喉の調子が悪い時に食べると喉がイガイガとします。メロンを食べる際は喉の調子を整えてからが良いでしょう。
パン
小麦粉を焼いて作ったパンは乾燥しており、水分を吸着する効果があります。喉の調子が悪いときに多くとると、喉の水分が奪われ、粘膜がより傷つきやすい状態になります。
また、のど越しも悪いため飲み込みづらく、喉に長くとどまることでより水分を奪うという悪循環に陥ります。焼いたパンは硬さが増し、喉の粘膜を傷つけやすい状態です。喉の調子が悪い際は控えた方が無難でしょう。
牛乳・乳製品
牛乳や乳製品には脂肪分や油分が多く含まれています。痰が喉に絡んでいる場合は脂肪分や油分が絡んでさらに痰を切りづらい状態にしてしまいます。爽やかな風味のヨーグルトは喉が痛い時などには食べやすそうに感じますが、喉には良くないので控え、果汁ゼリーなどを食べるようにしましょう。
アルコール
食べ物ではありませんが、酒類などのアルコール飲料は喉には良くありません。酒焼けという言葉があるように、過度なアルコールの摂取は喉の調子を悪くします。
アルコールは喉の水分を奪うため、粘膜を傷つけます。アルコールを飲むと喉が渇くのは、アルコールの分解に水分を使うほか、喉の粘膜が弱って水分を求めているからです。当然、度数が高いほど喉には負担を掛けます。飲酒の際は適度に水分を取るよう心がけましょう。
まとめ
喉は痛みを感じない限りあまり気にすることのない部分ですが、重要な器官です。健康的な喉を維持するためにも、必要以上に怒鳴ったり、たばこやアルコールなど、喉の負担になる行為は控えましょう。
また、喉の粘膜は保護力が強いため、普段から適度に水分補給を行い、常に喉を潤しておくことが、喉のトラブルを予防するための手軽で効果のある方法です。