胆嚢摘出後症候群や後遺症について!予防方法を知っておこう!

胆嚢を摘出する手術をすると聞けば、それまであった臓器がなくなってしまうのですから、体にどんな負担がかかるのだろう、と不安になる人が多いのではないでしょうか?

確かに胆嚢の中にできた胆石によるつらい痛みがなくなるのでしょうが、手術は誰でもいやな気持ちになりますよね。

でも、安心してください!

手術自体も成功率が高いものですし、胆嚢摘出後、毎日の生活にそれほど大きな影響が現れることもありません。

どんなことでも知らないことは、不安になるもの。そこでここでは、胆嚢摘出の手術や、胆嚢摘出後の体への影響についてまとめました。

◆胆嚢とは?

洋なし

胆嚢は、肝臓の下にピッタリと張り付くようにある臓器です。肝臓と十二指腸は、胆管という管でつながっており、胆嚢はその途中にあります。

形は、なすびや洋なしのようなうらなり型をしていて、標準的な大きさは握りこぶしぐらいだと言われています。袋状になっており、肝臓で作られた胆汁をためて濃縮しています。

胆汁には、腸内で脂質の消化を促す働きがあり、食べ物が腸内に入ってくると、胆嚢は縮んで胆汁を分泌する仕組みになっています。

◆胆石とは?

中華料理

胆石とは、主に、胆嚢にできる結石のことです。胆石のできる原因として最も多いのは、コレステロール結石と呼ばれるものです。

肝臓には、コレステロールを排出する働きがあります。コレステロールは脂質のため、水には溶けません。そこで、脂質を分解する働きのある胆汁を肝臓で作る時に、一部、この胆汁に溶かして排出するのです。

この時、食生活の乱れなどによってコレステロールの量が多くなると、胆汁の中のコレステロールと胆汁酸の割合が崩れ、コレステロールが胆嚢の中で固まってしまうのです。これが胆石のもとで、この塊に、胆嚢の中でムチンというたんぱく質がくっついて結石が作られていきます。

この胆石ができると、右の肋骨の下あたりに差すような痛みが現れます。人によっては、背中やみぞおち、へその上、右の肩甲骨あたり、腰などに痛みが出る場合もあります。

また、胆石が詰まって胆嚢の中に胆汁が溜まってしまうと、そこで細菌感染が発生することが多く、痛みのほかにも、発熱を伴うことが多いようです。

悪化すると、黄疸や肝機能異常となって現れます。胆石については、胆石の原因とは?症状や治療方法も詳しく知っておこう!を参考にしてください。

◆なぜ胆嚢摘出が必要なの?

手術

胆石の治療法には、大きく分けると内科的治療と外科的治療の2種類があります。

内科的治療としては、まず、薬を服用して胆石を溶かす方法が挙げられます。

ただ、この方法は、効果の現れる人が限られているうえ、胆石が溶けるまでに1年ほどかかります。しかも、完全に溶けてしまうのは治療を受けた人のうち、18パーセントで、再発率も高いようです。

体外から衝撃波を加えて胆石を破壊する方法もありますが、完全に石がなくなる人は約半分で、また結石ができてしまう確率も低くはありません。そこで、根本治療のために、胆石のできる場所である、胆嚢を取り出す手術をするという、外科的治療が行われることが多いようです。

合併症の危険性3~5パーセントほどで、そのうち深刻なものは0.01パーセント以下という比較的安全な手術で、つらい胆石による痛みから解放されるので、その後も安心できます。

その他、胆嚢ポリープや胆嚢癌の疑いがある場合も、胆嚢の摘出を行うことがあります。

◆胆嚢摘出の手術とは?

女性

胆嚢摘出の手術には、大きく分けると、開腹による手術と、腹腔鏡を用いた手術の2種類があります。

○開腹による手術

120年ほどの歴史がある手術で、みぞおちから右のわき腹にかけて、15~20cmほどお腹を切り開き、手術を行います。炎症がひどかったり、癒着していたりして、直接目視をしたほうがよい場合は、開腹手術を行います。

○腹腔鏡を用いた手術

日本では、現在では、特に問題がなければ、腹腔鏡による手術が行われています。

この手術は、おなかに二酸化炭素のガスを注入して膨らませたあと、腹腔鏡と呼ばれる細長いカメラをおなかの中に入れて、テレビモニターに映します。さらに数ヶ所の小さな傷をつけ、モニターを見ながら手術器具を操作して手術を行います。

小さめの器具を差し入れるための穴ですので、傷は小さく、皮膚を縫わないで済むため、抜糸のために再度来院する必要もありません。傷は数ヵ月後にはほとんどわからなくなります。

また、手術後、回復するまでの時間もおなかを切り開く手術に比べて短くて済む、という長所があります。病院にもよるでしょうが、入院日数はおおよそ3日、体調が良ければ、退院後には、すぐに仕事に復帰することができます。

さらに、最近では、単孔式内視鏡手術といって、おへそを切開してから数本の筒をおなかの中に入れる方法もあります。これならば、傷は1か所ですし、おへその側なので、ほとんど傷跡が目立たなくなるようです。

ちなみに費用は3割負担の保険を適用した場合、だいだい15万円から18万円ほどかかるようですが、もちろん病院や手術の内容によって変わってきますので、あくまで目安として知っておくと良いでしょう。

◆胆嚢摘出後、後遺症は残らないの?

心配

「脂質の消化を促す胆汁を貯蔵している胆嚢を手術で取ってしまったら、何か、その後の生活に支障があるのでは?」と思われる方も多いのではないでしょうか。

確かに、胆嚢を摘出した後は、正常な人と比較すると、胆汁の働きがどうしても悪くなってしまうため、油っぽい食事を摂ると、下痢になってしまうことがあります。

しかし、日常生活に大きな支障が出るほどではなく、胆石を残し、突然刺すような痛みが走り、続くよりは、ずっと安心することができるでしょう。

胆嚢ごと取ってしまいますから、再度胆嚢結石ができることはなく、安心して毎日を送ることができます。そもそも、胆石ができてしまった胆嚢は、炎症を起こしていることが多く、すでに胆嚢が働いていないことが多いのです。

それでも、胆嚢摘出後の後遺症といえるものがいくつかありますので、以下に示します。

○胆嚢摘出後症候群

胆嚢を取り出したのにもかかわらず、胆石の発作のような痛みなどの症状が感じられるという状態で、胆嚢を摘出した人の約半分にある自覚症状とされています。

これは、胆道の運動が原因として考えられます。

症状としては、上腹部の痛みがあったり、熱が出たり、吐き気に見舞われたりして、場合によっては、それらの症状が続くこともあります。

○下痢

胆嚢を摘出すると、胆汁を貯めておくことができなくなくなってしまうので、胆汁の量を食べ物の量に応じてたくさん出すことが難しくなり、脂っこい食事で下痢気味になることがあります。

手術後は、食生活に気をつけたほうがよいでしょうが、時間が経てば体がだんだん適応してきて、3ヵ月もすればあまり気にならなくなるようです。

手術のすぐ後は、玉子の卵黄やバター、脂身の多い肉や揚げ物など、脂質の多い食事は食べないようにしておいたほうが無難でしょう。

○その他の後遺症

手術の傷口に細菌感染が発生したり、肩こりのような肩の痛みが出ることがあります。

また、手術中に胆嚢以外の付近の臓器である胆管などを傷つけてしまって出血したり、おなかの中に胆石を落としてしまったりするケースがありますが、基本的にはほとんど後遺症はないと言って良いでしょう。

◆胆石を予防するには?

ダイエット

このように、胆石はできてしまうと痛みを伴うことが多いため、できることならこのような事態にならないようにしたいものです。では、胆石を予防するには、何を心がけて生活すればよいのでしょうか。以下、まとめてみました。

○急なダイエット

痩せるための努力をすれば、あまりコレステロールを取らなくなるのだから、胆石ができなくなるのではないか、とおかしく思われるかもしれません。

ところが、ダイエットが行き過ぎると食事を控えたり、不規則な食生活になることが多いのです。

そのため、蓄えられた胆汁が胆嚢の中に長くとどまり、胆石ができやすくなってしまうようです。

実際、肥満の症状が出ている13人を、520キロカロリーの食事摂取群と900キロカロリーの食事摂取群に分けて、12週間実施した後、胆石への影響を調べたところ、520キロカロリーの食事摂取群の人たちは、なんと6人中4人に胆石ができていたというのです。

一方、900キロカロリーの食事摂取群の人たちは、7人中0人でした。

このことから、胆石を予防するには、急なダイエットは控えたほうがよいことが、『胆石症診療ガイドライン』に記されています。

○食生活

胆石を予防する食事に関しては、まだはっきりとしたことはわかっていないのですが、炭水化物や糖質が多すぎたり、動物性脂肪をたくさん摂り過ぎると、胆石を発生させる危険性が高まるようです。

一方、果物や野菜、ナッツ類、サバやサンマなどの青魚、
大豆などの植物性のタンパク質、食物繊維、カフェインなどは、胆石の危険性を下げる傾向にあると言われています。

◆まとめ

笑顔の女性

いかがでしたか?

ここまで見てきたように、痛みを伴う胆石の症状を根本的に治療することができる胆嚢摘出手術は、リスクも比較的少なく、メリットが大きい治療法だと言えるようです。

ただし、どんな治療にも油断は禁物ですから、何か体に異変を感じたら、早めに病院へ行くようにしましょう。

胆嚢摘出前にしろ、後にしろ、規則正しいリズムの生活習慣を身に付けることが、病を防ぐことになりますから、日頃から心がけていきたいものですね。

  
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