骨折すると毎日の生活において、かなり不便を感じるものです。手の骨折ならいつものように物が持てない、足の骨折ならちょっとそこまで買い物にも億劫になる・・・こうなると日常生活もままならない日々が続いて、ストレスがたまります。
「骨折したら一日も早く治したい!」と思うのは当然のことです。骨折の1日も早い治癒のために、役立つ情報をお届けします。
骨折についての基礎知識
「骨折」と書くので「骨が折れる」と考えてしまうのですが、実際には、外力により骨が変形・破壊を起こす外傷のことで、構造の連続性が断たれた状態のことすべてを骨折といいます。
つまり、見た目では分からない、実際には折れていない状態でも骨折に該当します。
原因による分類
・外傷骨折
外力が加わったことによる骨折です。事故などの骨折はこれにあたります。
・疲労骨折
繰り返し外力が加わったことにより、疲労が発生して起こる骨折です。一度あたりにかかる外力は小さいのですが、疲労により徐々に起こるので亀裂骨折になりやすいという特徴があります。詳しくは、疲労骨折の症状とは?治療方法や予防方法も紹介!を読んでおきましょう。
・病的骨折
骨肉腫などの疾病により、骨の耐久度が低くもろくなることが起因して起こる骨折です。
骨折の種類
・ひび
軽く見られがちですが、ひびも骨の構造が断絶しているので、骨折の一種です。気づかない人も多く、そのまま放置した結果、骨が癒合しなくなってしまうということもあります。そうなると骨が元通りにならないため、ちょっとした外力で骨が折れたり、痛みを感じるようになります。
・複雑骨折
皮膚が損傷して、骨折部位が外に出てしまっている状態を指す、開放骨折のことをいいます。この場合、骨折部の細菌による感染の治療も行わなければならないので、複雑骨折と呼ばれています。決して「複雑に折れている」という意味ではありません。
・単純骨折
複雑骨折とは逆に、骨折部位が外に出ず、皮膚に損傷のない状態の骨折を指します。細菌の感染の危険性も低く、筋骨格系の治療のみとなります。
・複合骨折
1つの骨が複数個所で離断している状態の骨折です。骨が複数方向に折れてしまった状態ですので、完治するにはかなりの時間を要します。
骨折を早く治す食事療法
骨折を早く治すために必要なこと、それは第一に絶対安静です。骨折した部分を動かしては治癒が遅れます。もう1つは、食事です。ここでは、骨折を1日も早く治すために有効な食事方法についてご紹介します。
腹八分目まで
骨折した部分を早く治すためにも、しっかり栄養を摂らなければ!と思われがちです。しかし、骨折により通常より運動量も減り、精神的なショックも重なって食欲がない場合もあります。
傷ついた身体を元通りにするのに重要なのは、修復酵素の働きを最大限に活かすことです。ダイエットやアンチエイジングにも関連することですが、本来は食事を控え目に摂ることが一番なのです。
さすがに断食はダメですが、必要な栄養素をバランスよく取り入れた食事を、「お腹いっぱいになるまで食べないこと」を心掛けましょう。
骨折を治す栄養
1日3回の食事において、骨折を早く治すために必要な栄養素を取り入れることが大切です。
・カルシウム
骨を構成する代名詞、カルシウムを摂ることは骨の再生に不可欠です。ひじき・わかめ・魚などの魚介類・海藻類に多く含まれています。
・タンパク質
あまり知られていないかもしれませんが、骨にカルシウムを定着させるには、ある種のタンパク質が必要です。ある種のタンパク質とは、骨タンパク質と呼ばれる物質です。繊維状の特殊なタンパク質なので、「ファイバープロテイン」といわれています。
その中でも「Ⅰ型コラーゲン」というものは、骨重量の30%を占めています。これが不足することで骨折しやすくなったり、治りが遅くなったりします。さらに微量ではありますが、「コンドロイチン」も大切なタンパク質です。
・ビタミン
骨の健康にはカルシウムを摂れば大丈夫!、というわけではありません。カルシウムを単体で摂るだけだと、そのほとんどが体外に排出されてしまいます。カルシウムを体内に吸収するにはビタミンDが必要なのです。
他にも、骨基質の合成を助けるビタミンKやコラーゲンの合成を助けるビタミンCなども同時に摂るとよいでしょう。
必要な栄養を摂れる食品
では、上記に上げたような栄養を摂るには何を食べればいいでしょうか。
・カルシウム
豆乳や小魚は、骨折で料理ができなくても手軽に摂取できます。
・タンパク質
肉、魚、牛乳に多く含まれています。
・コラーゲン
豚骨スープ、魚の煮こごり、鶏肉の皮などで摂ることができます。
・コンドロイチン
ウナギ、フカヒレ、すっぽんなどに多く含まれています。手軽に食べられる食品はオクラ、山芋です。
・ビタミンD
乾燥きくらげ、干しシイタケに多く含まれています。
・ビタミンK
納豆が含有量も多く、ビタミンKを十分に摂ることができます。納豆が苦手な方は、乾燥わかめや干しひじきもおすすめです。
・ビタミンC
レモンやグレープフルーツ、イチゴなどのくだものに多く含まれています。デパートなどのしぼりたてフレッシュジュースを利用すると手軽にビタミンCを補給できます。じゃがいもや、さつまいものビタミンCは熱でも壊れにくいので、茹でてそのまま食べてもよいでしょう。
骨折にいいメニュー
含有量が多く、手軽に摂れる食品を紹介してきましたが、これらをできるだけ一度に摂れるメニューをご紹介します。
煮魚(煮汁つき)、山芋のとろろ、干しシイタケとひじきの煮物、わかめとオクラの味噌汁
これに、ごはんとデザートにイチゴをつければ、骨折にいい和定食の完成です!外食時でも、和定食を注文すると自然とバランスよく栄養を摂れているものです。
干ししいたけの代わりに、きくらげの酢の物にしたり、納豆をつけたり、ちょっと贅沢にうな丼にしてみたりとバリエーション豊かにアレンジできます。
他にも、骨折を早く治す方法は?食べ物や治療方法を紹介!の記事を参考にしてください!
骨折しないためにできること
骨折したら早く治したい、と思うのは当然ですが、一番良いのは骨折をしないことです。骨折予防が完璧にできるとは限りませんが、骨折の危険性が減る生活をすることは可能です。
骨を強くして骨折を予防
すでにご紹介した栄養や食事メニューは、骨折を治すだけでなく予防にもつながるのです。骨折を早く治すということは、「骨を作る」ということなので、そのまま骨への栄養供給にもなります。骨折してなくても、上記のようなメニューや食品を日常的に摂り、骨に栄養を与え続ければ、骨はいざというとき答えてくれるのです。同じ衝撃を受けても、骨折する人と外傷だけで済む人がいるのは、強い骨であるかどうかの違いなのです。
「リン」の摂取は控えましょう。リンはスナック菓子やレトルト食品、清涼飲料水などに多く含まれていて、現代人は気づかないうちに多量に摂取している可能性があります。リンを多量に摂取すると、カルシウムの吸収を阻害してしまいます。とはいえ、リンも骨を作る栄養の1つなので完全に排除する必要はなく、適度な摂取を心掛けましょう。
また、コラーゲンの生成量は年齢とともに減少します。コラーゲンが減少し、繊維状タンパク質に隙間ができてしまうのが「骨粗しょう症」です。手軽に取り入れられるゼリーなどで、コラーゲンを意識して摂取することも大切です。
日光浴をしましょう
ただの日光浴?と思われるかもしれませんが、これが馬鹿にできないのです。骨を作る栄養のうち、ビタミンDは食品からの摂取だけでなく体内でもつくることができます。私たちの皮下脂肪には「プロビタミンD」という物質があります。これは脂肪が代謝されてできる物質で、紫外線にあたるとビタミンD3に変化します。つまり、紫外線を浴びることで体内でビタミンDをつくることができるのです。
紫外線を浴びて自分でつくるビタミンDの量は食品から摂取する量よりも多く、日差しの弱い冬場であれば、30分~1時間程度の日光を浴びるだけで必要なビタミンDがつくられます。日差しの強い夏場であれば、日傘をさしたり木陰にいるだけでも十分ビタミンDはつくられます。夏場は暑いから家を出ない!ではなく、数分程度でもかまいませんから、暑さを避けて外出してみることをお勧めします。
適度な運動をしましょう
カルシウムを骨内に定着させるためには、体重などで圧力をかけることが大切です。とはいっても、過度な運動をする必要はなく、ウォーキングや散歩程度の運動でかまいません。運動の効果が骨に現れるのは、運動した時間の長さや骨にかかった圧力の大きさが関係しています。1回運動したからいい、というわけではありません。
継続的に運動を行い、骨に刺激を与え続けることが重要です。年齢や体力に合わない過度の運動は逆に骨を傷つけてしますので、あくまでも「適度」がポイントです。忙しい日常生活の中ではありますが、少し時間をとってノンビリ散歩することを日課にするのもいいかもしれませんね。
まとめ
骨折とは無縁であることが一番です。そうはいっても、車社会ではもらい事故など、本人が気を付けていても、いつ骨折するかわかりません。年齢を重ねると、ちょっとした衝撃で骨折をすることもあります。今まで骨折をしたことがない人でも、正しい知識を得ておくことでいざというときに役立ちます。そして、骨折を防ぐためにできることはたくさんあります。
まずは、日常生活の中で予防を心掛けてみてください。バランスの取れた食事をして、適度な運動をするということは、簡単なようで忙しい現代人には難しいことかもしれません。しかし、健康で楽しい人生を続けるには、日々の生活を支えてくれる体を労わってあげることが大切なのです。そのためにも、できることから少しずつ実行してみてください。また、不本意ながら骨折をしてしまったときは、しっかりと栄養を摂り、早く治るようにできることを心掛けてみてください。
何事も備えあれば憂いなしです。骨折を身近なことと意識して、知識だけは持っておくようにしましょう。