肝硬変と腹水の関係について!注意すべき症状を知っておこう!

肝硬変による腹水で妊婦さんのようになってしまったお腹を見ると、本人も周囲も内心辛いものです。腹水が発症すると、末期症状なのか・・・余命はどのくらいなのか・・・様々な情報を目にして、不安が押し寄せてくるのは当然のことです。

腹水が出てもコントロールしながら、生命力を信じて生活している方は多くいます。肝硬変と腹水症状について、少しでも役立つような情報をお伝えしていきます。

肝臓の機能と特徴を知る

体

肝硬変という病気を理解するための基礎知識となる、肝臓の役割を知っていますか?肝臓が私たちの体にどのような作用をしてくれているかを知ることで、肝臓を悪くする原因となる生活習慣も見えてきます。

肝臓の働き

肝臓は腹部の右上部分の、肋骨に守られるような位置にあります。人間の体の中で最大の臓器が肝臓です。肝臓が大きいのは、さまざまな役割を担っているからです。肝臓は、主に次のようなはたらきをしています。

  • 体に必要なタンパクをつくる
  • 栄養、血液の貯蔵
  • 有害物質の解毒
  • 糖・たんぱく質・脂質・ホルモンの代謝
  • 胆汁を生成して、脂肪酸の消化吸収を容易にする

私たちが口から摂取した食べ物は、胃や腸で吸収されやすい形にされて、肝臓へ送られます。肝臓で成分加工されてから動脈を通って、体内の必要な場所に栄養を届けます。不要になった老廃物は再び肝臓に戻り、胆汁へ排泄されます。

このように、肝臓の働きは幅広く、私たちが生きる上で欠かせない臓器なのです。

肝臓は沈黙の臓器

肝臓は1キロ以上ある大きさゆえに、不具合があっても重症化するまでは自覚症状がなく気付かないことが多いのです。

肝臓は、私たちが口から摂取した有害な物質も分解して害がないように変えてくれます。肝臓で分解できないものは腎臓に送られて、なるべく再利用されます。最終的な不要物は体外に排出されますが、そこに行きつくまでには沢山のプロセスを踏んでいるのです。添加物や有害物質を体内に多く取り入れてしまうと、肝臓や腎臓の負担が大きくなることが容易にわかります。

私たちの健康に害を及ぼさないように、有害物質を相手に黙々と働いてくれている肝臓にも限界があります。ある日突然不調を感じたときには、肝臓の異変は進行していることがほとんどです。毎年会社の健康診断を受けていても、肝臓の初期異常はデータ上からの発見が難しいのです。

肝臓に起こりやすい病気と肝硬変

カロリー

肝臓は私たちが摂取する飲食物の影響を受けやすい臓器です。かたよった食事や過度のアルコールによって、それを処理しなければいけない肝臓の負担は大きくなります。しかし、肝臓病につながる原因はそれだけではありません。

お肌の調子が悪いのは肝臓のSOSであることも

肝臓の不調は初期段階では健康診断でも見落としてしまうほど、分かりにくいといわれています。それでも、病気となる前段階のサインを知っていれば、日常生活において気付くことも可能なのです。体に取り入れた食べ物のタンパク質や脂質を代謝するのが肝臓の役目ですが、肝臓が弱るとこの働きも停滞します。すると、血流に有害物質が流れるため肌荒れの原因となるのです。

顔の血色が悪い、なんとなく黄色っぽいと感じたり、特に生活習慣を変えていないのに吹き出物が増えたというときは、肝臓の不調のサインかもしれません。直近の健康診断の結果が手元にあれば、次の数値をチェックしてみてください。

表示の数値は、肝硬変にかかってる人の代表的な数値です。ここまで数値が顕著であれば病院から指摘がありますが、過去の自分の健康診断結果と比べて数値が変動している場合にも注意が必要です。

  • 血清アルプミン値が3.5g/dl以下
  • Yグロブリンが2.5g/dl以上
  • 血小板数が10万個以下

ウィルス性肝炎

よく肝臓病とひとくくりにされがちですが、肝臓の病気はいろいろあります。ウィルスによって起こるウィルス性肝炎には、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎があります。

A型肝炎は口から入ったウィルスで感染し、発熱・倦怠感・吐き気・下痢などの症状が起こり、やがて皮膚や粘膜が黄色くなる黄疸が現れます。B型肝炎は、輸血や母子感染、性行為などで感染します。症状はA型肝炎と同様ですが、進行が緩やかです。

以前は汚染された血液の輸血や血液製剤などを介して感染があったC型肝炎は、身体がだるい、食欲不振、嘔吐などの症状がありますが、自覚症状のないまま進行する場合もあります。C型肝炎は、慢性肝炎や肝硬変・肝がんの原因となる場合が多い病気です。現在ではワクチンなどで感染が防げ、輸血血液のチェックもされているため感染の心配はほとんどありません。

アルコール性肝障害

お酒の飲み過ぎが原因で起こるのが、アルコール性肝障害です。未成年者がアルコールを禁止されているのは、それだけ害があるということです。アルコールは水に溶け、脂肪を溶かしてタンパクを変性させます。

人間の細胞を直接害する上に、肝臓はアルコールを分解するときに毒性の高いアセトアルデビドを生成します。これは刺激臭があり、プラスチックの原料となるような液体で、人間の体に悪影響を及ぼします。アルコールを飲み過ぎると吐き気がしたり、頭痛を生じるのはこのアセトアルデビドが多量に発生して、排出が追い付いていない状態だからなのです。

このアセトアルデビドによる肝臓への負担が繰り返されると、やがて肝臓が炎症を起こします。

脂肪肝

肝臓に大量の脂肪が沈着した状態を、脂肪肝(しぼうかん)といいます。カロリー過多や脂肪のとりすぎの状態が続くと、脂肪肝が起こりやすくなります。

肥満者の8割に起きているとされる脂肪肝は、肝臓の炎症や線維化をともなって、肝硬変へ移行することも多いことがわかっています。

肝炎と肝硬変、肝がんは切り離せない関係

ウィルス性肝炎になると、肝臓の持続的炎症である肝炎が引き起こされます。特にC型肝炎の多くは脂肪肝をともなって、数十年後に肝硬変に進行します。

アルコール性肝障害と脂肪肝もまた、炎症の持続により肝硬変へつながります。

そして肝硬変を放置しておくと、肝硬変の原因にかかわらず、平均7~8年で肝がんへ進行するといわれています。さまざまな肝炎、肝硬変、肝がんの関係は切り離せない関係にあるといえます。

腹水をともなう肝硬変とは

妊婦

以前は、肝硬変と診断されることは10年の余命宣告と同様だといわれていました。

しかし、最近では正しい治療と栄養療法を続けることで、なるべく通常通りの生活を送りながら延命も可能であることがわかってきました。

肝硬変とはどんな病気なのか

肝硬変とは、肝臓の組織が固くなって本来の肝臓の役割を果たせなくなってしまう病気です。

肝細胞の障害と線維成分の著しい増加によって、肝臓が固く小さくなってしまうのです。線維がなぜできるかというと、ウィルスやアルコール、脂肪肝のために生じた肝臓の傷を修復するためです。この線維が増加して肝臓全体に拡がると、顕微鏡でも肝臓の細胞が線維で取り囲まれて岩のようにごつごつしている状態がわかります。

肝硬変は、肝臓病の終着駅ともいわれることがあります。かつて肝硬変は、お酒の飲み過ぎから起きると考えられていましたが、原因はアルコールだけでなく、70%はウィルス性の慢性火炎から進んだものであることが判明しています。

そのほか、寄生虫、慢性胆汁うっ滞、ウィルソン病なども原因となります。肝硬変になると、肝組織の変化は治療を加えても元に戻ることはありません。また、肝硬変が長引くと肝がんの発生率が高くなります。

肝硬変の症状と腹水

肝硬変の症状には、以下のようなものがあります。

  • 首や胸、顔に赤い斑点ができる、くも状血管拡張が起こる。
  • 手のひらの両側が赤くなる。手が震える。
  • 白目が黄色くなる。黄疸。
  • 肝臓の機能が弱まり女性ホルモンが分解しずらくなり男性でも乳房が膨らむ。
  • おへそ周りの静脈が太くなる。
  • 腹水がたまって下腹部がふくらむ。さらに増えると腹部全体が膨満する。

腹水は、肝硬変が重症化しているときに生じる症状です。

肝硬変の治療方法

肝硬変そのものを治す薬は現時点ではありません。肝硬変によって低下する成分を薬として補充することで、肝臓でつくられるアルブミンなどのタンパク質の量が改善します。

また、アルコール性肝障害を原因とする肝硬変では、アルコールを絶つことが一番の治療法です。B型肝炎が原因の場合は、抗ウィルス剤を内服することで肝機能の改善が促されます。C型肝炎が原因の場合は、抗ウィルス作用や細胞増殖の抑制作用があるインターフェロンなどの投与で治療が行われます。

また、肝硬変は適切な栄養療法を続けることで延命でき、生活の質も改善できることがわかっています。禁酒、栄養バランスの取れた食事、規則正しい生活をするよう指導がされます。肝硬変でも、アルブミン値が高ければ長生きすることは可能です。栄養療法によって、このアルブミン値を上げることは可能です。

肝硬変による腹水の治療方法

肝硬変になると、血液中のアルブミンの量が低下します。アルブミンは体内の老廃物や不要な水分を運搬して、体液の状態を調節する機能があるため、アルブミンが低下することで腹水の症状が出るのです。

腹水の治療方法は、減塩食と利尿薬の内服、そしてアルブミンの点滴による投与です。腹水症状がある場合には、尿は放っておくと腎臓にたまって出て行きません。

腹水が改善しない場合には、基準を満たせば肝移植も行えるようになりました。手術自体のリスクもありますが、年齢的な基準などを満たしている場合には最も有効的な治療法として推奨されます。

腹水は抜いた方が楽になる?

呼吸困難や腹部のふくらみが非常に苦しくつらいといった場合を除いて、お腹を針で刺して腹水を抜くということはおすすめできません。なぜなら、一度腹水を抜いても腹水の原因となるものが治療されなければ、またすぐに腹水を繰り返してしまうからです。

腹水には色がついていないだけで、血液と同様に体に必要な栄養分が多く含まれています。人工的に腹水を抜いて、またたまったものを抜いて、ということを繰り返していくと体はどんどん衰弱してしまうのです。

腹水がたまって辛いときは、上半身が上に傾くように電動ベッドの場合は調整し、若しくはバスタオルを背中部分に敷いて高さを調整します。足も少し曲げると、腹部の緊張が緩和されて楽になります。ずっと膝をまげていると辛いので、タオルなどを活用して足が曲がる状態を保てるようにするとリラックスできます。

まとめ

あらゆる肝臓疾患が進行した結果、引き起こされるのが肝硬変です。その肝硬変がさらに進行すると、腹水症状が現れます。肝臓病は自覚しにくい症状が多いため、腹水でようやく肝硬変まで進行していることを知る人もいます。かつては死に直結したような病も、現在は医学が日々進展しているため、長生きすることが可能となっています。若くして肝硬変を患い、腹水症状をともなっても、肝移植手術によってその後は健康に長生きしている人もいます。病院での治療と低たんぱく食を組み合わせることで、肝硬変による症状を緩和することができます。

気持ちが沈んでしまうと、病気にも影響を及ぼします。好きな映画を観たり、大切な家族と一緒に過ごすなど、少しでも気持ちを前向きにしてリラックスした時間を過ごしましょう。症状の改善を心から願っています。

  
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