ピルを飲み忘れてしまった!いくら気をつけていても、つい忘れてしまうことはあるものです。そうすると心配になるのが、避妊の効果があるのか、いつ飲めばいいのか、まとめて飲んでいいのか、などです。ピルの飲み方や効果をよく知って、正しく飲みましょう。
この記事の目次
ピルについて
ピルとは経口避妊薬のことで、きちんと服用することでほぼ確実に避妊をすることができます。月経の周期が安定する、生理痛を緩和できる、飲むのをやめれば妊娠が可能になる、などのメリットがあり、日本でも低用量ピルが認可されて以来、服用する女性が増えています。
ピルが効く仕組み
ピルには女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が含まれています。この二つのホルモンを補うことで、妊娠しているようにように装います。
そうすると、卵胞を成熟させるホルモンの分泌が抑えられ、排卵をしないので、妊娠もしません。卵巣を休めることができるだけでなく、子宮内膜が厚くならず、受精卵が着床しにくい、精子が子宮に侵入しにくいといった避妊効果を高める働きも期待されます。
ピルの目的
ピルを服用する目的は、避妊だけでなく次のようなことも期待されます。また、薬である以上デメリットや副作用もあることを知っておきましょう。
ピルのメリット
- 避妊効果が期待できる
- 月経周期が安定する
- 月経や生理痛、PMSの症状が軽くなる
- 女性特有の病気(子宮体がん、卵巣がん、子宮内膜症など)の発症リスクが下がる
ピルが保険適用される場合とされない場合
ピルが保険の適用になるのは服用する目的によります。
・保険適用のケース
婦人科系の疾患の治療のために服用する場合。子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮体がん、子宮頸がんやそれに伴う月経困難症の治療などです。
・保険適用外のケース
服用の目的が、避妊や普通の生理痛の緩和、ニキビや肌トラブル、健康・体調管理の場合。
ピルのデメリットと副作用
一般的にいわれているピルのデメリットや副作用には、次のようなものがあります。
- 不正出血
- 気持ちが悪い、吐き気
- 胸の張り、乳房痛
- 血栓症
- 循環器系の疾患、心筋梗塞
もともと心臓や血管になんらかの疾患がある人や喫煙者は、循環器系の病気を発症するリスクが上がるといわれています。
エストロゲン(卵胞ホルモン)の副作用
- 血栓症
- 乳がん、子宮頸がん
- 肝機能障害など
ピルを服用し始めた頃に現れる症状(気持ちが悪い、吐き気、頭痛、むくみ、おりものが増える、経血量の増加など)も、エストロゲンが原因です。
プロゲステロン(黄体ホルモン)の副作用
- 倦怠感、だるい
- やる気が出ない
- 胸の張りや痛み
- PMS、月経困難症
- 性欲低下
- 経血量減少
などが挙げられます。
アンドロゲン(男性ホルモン)の副作用
プロゲステロン(黄体ホルモン剤)に含まれれるアンドロゲン(男性ホルモン)によって、体毛が濃くなったり、ニキビが増える、体重が増える、食欲や性欲が増えるなど、男性化するような症状がみられることがあります。
男性ホルモンの作用が一番少ないのがマーベロンとファボワールです。
これらの作用や副作用をふまえて、バランスのいい薬になるように研究や開発が進められています。
ピルの種類
ピルは卵胞ホルモンが配合されている量によって分類されています。
卵胞ホルモンの量の違い
・高用量ピル 50μg以上
・中用量ピル 50μg
・低用量ピル 50μg未満
日本で主に利用されている経口避妊薬というと30~40μgのものが増えています。
・超低用量ピル 30μg未満
・モーニングアフターピル
緊急避妊アフターピルともいわれ、コンドームを付け忘れた場合や、コンドームが破れてしまった場合など、望まない妊娠を回避するためのピルです。婦人科で処方してもらう必要があります。保険は適用外です。
1相性ピルと3相性ピル
・1相性ピル
服用する21錠全て同じ量の成分が含まれているタイプ。飲む順番を間違えても効果は変わりません。不正出血が現れやすいといわれています。
・3相性ピル
周期に合わせてホルモンの配合が3段階になっているものです。副作用(不正出血など)が比較的抑えやすくなっています。飲む順番を間違えないように注意が必要です。それぞれ少しづつホルモンの量が違うので、自分の体調に合ったものを選ぶことができます。
21錠タイプと28錠タイプ
どちらも卵胞ホルモンの成分が入っているのは21錠、3週間分です。
21錠のタイプは3週間服用して、1週間は薬を全く飲まない休薬期間となります。
28錠のタイプは1週間分がプラゼボ錠(偽薬)となっていて、毎日1錠づつ飲みます。飲み忘れがないように服用を習慣づけるためです。
いろいろな低用量ピル
副作用や体への影響が軽い低用量ピルが普及するようになってきました。どのピルが体質に合うか合わないかは個人差が大きく、実際に飲んでみなければわからないので、医師と相談しながら体調に合わせて処方してもらうといいでしょう。
1相性
オーソM
マーベロン(ジェネリック・ファボワール)
ルナベルLD(ジェネリック・フリウェルLD)保険適用です。
3相性
・周期の後半に向けて成分が増えるタイプ
アンジュ
トリキュラー(ジェネリック・ラベルフィーユ)
オーソ777
・3周目のホルモン量が少ないタイプ
シンフェーズ
超低用量ピル
ヤーズ
ルナベルULD
どちらも保険適用です。
低用量ピルの飲み方
低用量ピルの飲み方について説明します。
基本:生理開始日を1日目とし、1日1回、1錠づつなるべく同じ時間帯に服用してください。時間は朝でも夜でもいいので、自分が必ず薬が飲めるという時間帯を選びましょう。
28錠の場合
生理が始まった1日目として、1錠づつ順番に服用していきます。28錠、1シートで1サイクルです。全て飲んだら次の日から新しいシートを飲み始めます。
21錠の場合
生理が始まった1日目として、1錠づつ21日間服用します。その次の7日間は休薬期間で、薬は飲みません。この間に生理のような出血が見られます。
3週間の服用+1週間の休薬で28日を1サイクルとし、次の1日目から新しいシートを飲み始めます。
低用量ピルを飲み忘れたら
基本的には、飲み忘れに気づいたときに、すぐに1錠服用します。その日に飲む分は、いつも通りの決まった時間に服用してください。
12時間以内の場合
いつも寝る前に飲んでいるとします。
夜飲み忘れて寝てしまい、朝起きて飲み忘れに気づいたら、その場で忘れた分を飲みます。夜になったらその日の分を通常通りに飲んでください。
※その日は、朝と夜の2回(2錠)飲むことになります。
24時間以内の場合
いつも寝る前に飲んでいて、いつも通り飲もうと思ったら、前の日の分を飲み忘れていたことに気づいた。その場合は、前日の分とその日の分を2錠まとめて飲みます。
24時間以上過ぎてしまった場合
その日に飲む分の1錠以外に、2錠飲み忘れている状態です。
朝起きたら、寝る前に飲むはずだった分と、その前の日の分を飲んでいないことに気づいた場合です。この場合は、ピルの服用を中断して生理が来るのを待ちます。生理開始の1日目から新しいシートを飲み始めてください。
この場合、避妊効果は確実といえなくなります。コンドームを併用しましょう。
偽薬を飲み忘れた場合
薬の成分は入っていないので、問題はありません。ただし、28日でシートを終わらせ、正しく次の周期を始める必要があります。飲み忘れた分は捨てて、日にちを間違えないようにしましょう。
もしも、飲み方がわからなくなってしまった場合は、医師に相談をして正しく服用しましょう。
ピルを服用するための注意事項
・ピルを服用するためには、きちんと病院を受診し、医師に処方してもらいましょう。
・ピルを同じ時間に服用できなかったり、飲み忘れてしまうと、避妊効果が低くなります。
・飲み始めて最初の1ヶ月は確実な避妊効果が得られないことがあります。
・エイズや性感染症を防ぐことはできないので、コンドームを併用してください。
・体調が悪くなったり、副作用を強く感じたら、必ず医師と相談をしてください。
・喫煙者がピルを飲むと、循環器系(心臓や血管や血液)の病気を発病するリスクが高まるといわれています。特に35歳以上の人は禁煙しなければならないことがあります。
ピルを服用できない人
- 高血圧、糖尿病、肝臓病、妊娠・授乳中の人
- 乳がん、子宮体がん・子宮頸がん、子宮筋腫またはその疑いがある人
- 脳や心臓、血管系に異常がある人
- 35才以上で1日15本以上喫煙する人
まとめ
ピルの種類や、成分、副作用、飲み方などについて、最後にまとめておきます。
ピルは毎日規則正しく飲むことで、効果を発揮します。
1日1錠、決まった時間に飲みましょう。
ピルを飲み忘れたら、気づいたときにすぐに飲みましょう。
副作用がひどい場合は、医師と相談して他の薬を試してみましょう。
ピルでは性感染症を防げないので、コンドームを併用しましょう。
ピルを飲み忘れてしまうと、せっかくお金をかけて、副作用もガマンして飲んだものが無駄になってしまいます。正しく服用できれば、メリットも大きいです。ライフスタイルや生活に合わせて、なるべく負担にならないように服用していきましょう。
関連記事として、
これらの記事も合わせてお読みください!