電磁波過敏症とは?対策方法や症状、緩和方法を紹介!

パソコンやスマートフォン、Wi-Fiに無線LANなど、私たちの生活は、文明の発達とともに大変便利になってきました。わからないことや調べたいものがあるとき、人に聴いたり本で調べるよりも、まずはインターネットで検索する時代です。

これら以外にも、電子レンジやテレビ、電子調理器など、生活をより安全・便利にと開発されてきたものは多々あります。

ところが、それらの出現とともに「電磁波過敏症」という言葉も出てくるようになりました。これは、電磁波を発するものに囲まれた環境に身を置くことで、体調に異変が現れるというものです。

しかし、私たちが現在暮らしている環境では、数え切れないほどの電磁波が存在することや、何をもって電磁波との因果関係が明確になるのかといった基準の不明確さから、電磁波過敏症という病気に対して、信憑性を疑う声も多くあるのが現状です。

そこで、ここでは、電磁波過敏症の症状や、電磁波と症状の因果関係を、可能な限り中立的な視点でご紹介いたします。

電磁波過敏症について

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電磁波過敏症が初めて報告されたのは、1980年代で、ビデオディスプレイの電磁波に反応して、皮膚が赤くなるといったものでした。

アメリカの医学者であるウイリアム・レイ博士によって「電磁波過敏症(Electrical Hypersensitivity)」と命名され、その後、2005年には日本の北里研究所でも電磁波過敏症の研究がなされ、報告書も提出されています。

どのような症状が現れるのか?

電磁波過敏症を訴える人は、パソコンや携帯電話・スマートフォン、基地局塔、送電線、電子レンジなどが発する、ある程度の電磁波にさらされることで、体調を崩してしまいます。

多くの場合、まず、目に症状が現れるようで、眼痛や目が見えにくい、眼球が動かしにくくなるといった症状が出てきます。それらの症状が見られた後、皮膚のヒリつきや発赤、湿疹や、頭痛といった症状が出てくるようです。

現在報告されている、電磁波過敏症の症状には以下のような症状があります。

  • 目の症状:眼痛、目が見えにくくなる、目が疼く、眼球が動かしにくい
  • 皮膚の症状:乾燥する、発赤、湿疹やできものができる
  • 鼻の症状:鼻水、鼻づまり
  • 顔の症状:顔の痛み、ほてり、浮腫み、水泡
  • 口の症状:口内炎、味覚がおかしくなる、歯や顎が痛む
  • 粘膜の症状:乾燥、異常に喉が渇く
  • 頭の症状:頭痛、記憶喪失、うつ病
  • 関節の症状:関節痛、肩こり
  • 全身の症状:疲労感や倦怠感、集中力の欠如、めまい、吐き気、呼吸困難、動悸、手足のしびれや麻痺

これらの症状が見られますが、人によってどこに症状が出てくるのかも異なり、電磁波を浴びてすぐに症状が出てくる「即発型」と、時間が経過してから症状が出る「遅発型」、あるいは、電磁波の出す周波数によって症状が出たり出なかったりするケースもあるようです。

また、電磁波過敏症の研究を行っている北里研究所の報告によると、自覚症状のある人は、電磁波にさらされることで、中枢神経や自律神経に障害が起きている割合が高いという報告もあります。

そのほかにも、脳機能が一部機能しなくなり、脳の血液量が大きく減少するといった症状が見られることもあるようです。

電磁波による健康障害の報告例

電磁波過敏症とともに、化学物質過敏症の研究をしている北里大学名誉教授の宮田幹夫氏は2013年に開催した講演で、以下のような健康障害があるという報告例を発表しています。

<50Hz前後の電磁波>

小児白血病、かたつむりの早死、脳腫瘍、先天奇形、不整脈、心拍数増加、細胞からのカルシウム流出、認知症、心筋梗塞、ベンゼンの毒性増強 など

<IH調理器などの長周波の電磁波>

明確な報告例なし

<パソコンの電磁波>

神経伝達物質の変調、調節障害、白内障、アレルギーの増悪、角膜びらん、肥満細胞からのヒスタミン流出、血糖値の上昇

<電子レンジと同様の携帯マイクロ波>

脳腫瘍、脳血液関門の拡大、神経細胞の減少、脳神経伝達物質の異常、頭痛、脳血流の変動、不定愁訴、精子数の減少、母親の携帯電話使用による子供の発達障害 など

細かくあげればキリがないほど、様々な症状が出てくるようです。これらに加え、宮田氏は、紫外線による日焼けを「身体に電磁波が影響した痕跡である」と例え、赤外線でも白内障が起きることなどを事例に出しながら、身体が吸収したエネルギーは、何かしらを起こすとして、身体に影響のない電磁波は存在しないとも提唱しています。

電磁波過敏症と化学物質過敏症の関係性

電磁波過敏症の人は、化学物質過敏症も併発しているケースが多いと言われています。正確には、化学物質過敏症の人が、電磁波過敏症を後に引き起こすといったケースが多く見られているようです。逆のケースは比較的少数ですが、これについての明確な原因はわかっていません。

では、なぜ化学物質過敏症の人が、後に電磁波過敏症を併発するのかという理由としては、活性酸素がカギになると考えられています。体内に侵入した化学物質は、通常、解毒されて体外へ排出されますが、解毒機能には個人差があります。

化学物質過敏症の人は、この解毒機能が上手く機能しないため、身体の中に酸化窒素が発生します。酸化窒素が化学物質に反応すると、過酸化亜硝酸ができ、これが活性酸素を発生させ、神経の過敏反応が起きていると考えられています。

電磁波の場合も同様に、活性酸素を増やすため、神経の過敏反応が出るのではないかという見解が、現段階では可能性として報告されています。

症状と電磁波の因果関係について

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このように、電磁波によって様々な症状を訴えてくる人が増加する一方で、本当に電磁波が症状に直接的に関係しているのかという疑問を投げかける声が上がっているのも現状です。

例えば、携帯電話を使用して話すと症状が出てくるケースでは、理論上矛盾が生じるという意見です。

携帯電話は、使用しているときに関わらず、電波を受信するために、私たちの生活環境内で張り巡らされている数多くの電波をキャッチしています。本来ならば、これらの電波ですら、身体に影響するはずなのに、使用するときにだけ症状が出るのはおかしいのではないかというものです。

症状が出ている人からしたら、なんて冷たい意見なのだと感じるかもしれませんが、まだ明確な因果関係がはっきりと発表されていないため、様々なケースを中立的に見ていく必要があると言えます。

WHO(世界保健機構)による研究報告

WHOは、電磁波過敏症についてのファクトシートと呼ばれる研究報告を発表しています。これらの報告では、薬の性質や治療法などについてを、医師・患者双方に対して不明にした状態で試し、プラセボ効果などを防ぐ「二重盲検法」と呼ばれる実験を行い、その結果、これらの症状が電磁波曝露とは関係しないことが明らかになったと記されています。

よって、実際にこのような症状があることを認めたうえで、医学的な診断基準がなく、科学的根拠もないとして、精神医学的な症状あるいは、必要以上に電磁波の悪影響を恐れるストレス反応による可能性を示唆するデータも発表しています。

実例として、2015年には、電車内で人が使用したスマートフォンの電磁波で、激痛を訴えた男が、スマートフォンを持っていた人を暴行したことで逮捕されましたが、精神鑑定の結果、統合失調症であることが判明したため、無罪判決となった例もあるようです。

電磁波恐怖症との関係性

先にあげた電磁波過敏症研究の第一人者である宮田氏も、電磁波が身体に何らかの影響があることを証明しつつも、一方では、電磁波に対する過度な警戒心や恐怖心によって、体調を崩す「電磁波恐怖症」が存在することもまた、明らかにしています。

一度過敏症状を起こした人は、再び電磁波による症状が出ることを恐れ、本来ならば影響を受けるはずのない環境でも、反応が出ることもあるようです。

また、本来ならば過敏反応が見られるはずのない人でも、様々な情報を耳にすることで、「電磁波が身体に悪い」という思い込みが強くなり、自分が他人に電磁波を浴びせられているという妄想にまで発展するケースも見られると言います。

さらには、過敏症患者と健常者で、携帯電話と同じような周波数の電磁波がある環境下で、作業効率を比較する実験を行ったところ、健常者の方が作業効率が落ち、過敏症患者の方が自覚症状を多く訴えたという結果を受け、これらを実験によって区別するのは困難であると述べています。

電磁波対策や過敏症状の緩和について

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このように、現在私たちが把握できる情報を見ると、電磁波と症状の明確な因果関係があるとも、全く関係していないとも、断言し難いものがあります。しかし、症状を訴える人が辛い思いをしているのであれば、その声に耳を傾け、何らかの改善方法を探すべきだと言えるのではないでしょうか。

ここでは、電磁波の対策や、現在、電磁波によって不調を訴えてくる人たちに改善が見られた治療法をいくつかご紹介いたします。

電磁波の防御

スウェーデンやデンマークでは、電磁波過敏症が医学的な診断ではないとしながらも、害であることが認定されています。なかでも、スウェーデンでは国策として、コンピュータ画面からの電磁波放射に規制を設け、それらの基準を通過した商品でなければ販売できないことになりました。

日本では、まだこのような国策は制定されていないため、できるだけ電磁波を避けるという方法しか、過敏症の人たちの症状を和らげるための、明確な方法はないと言えるでしょう。

壁や窓などに、電磁波を遮断する専用のクロスをかけたり、就寝時にはブレーカーを落とすのも方法の一つです。

また、電磁波防止グッズなども数多く販売されているようですが、100%遮断することは困難であると言えるでしょう。

抗酸化作用のある食べ物を摂取する

先にも述べたように、電磁波過敏症は化学物質過敏症同様に、活性酸素が大きく影響していると考えられています。以上のことから、食事療法で、抗酸化作用のある食べ物や、神経過敏症を抑制するカルシウムやマグネシウムを積極的に摂取することで、症状が改善したという報告もあります。

フィンランドからの治療報告では、過敏症患者のうちの69.4%が食事療法での改善が見られたという報告もあるようです。

また、精神的な疾患ではないことを仮定して考えた場合においても、ストレスは活性酸素のもとになる酸化窒素を増加させるので、ストレスを軽減させることも、食事療法と同じように改善ポイントの一つであると言えるかもしれません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。電磁波過敏症についての情報はいろいろなものが溢れており、少なくとも現在の日本国内では、過敏症を認知するか否かといった面でも意見が分かれている段階です。

しかし、電磁波過敏症が存在するかという問題は別にしても、症状を訴えてくる人が苦しんでいるというのは事実です。

理論上のみで肯定したり否定するのではなく、まずはどのような状況で症状が出るのか、どうすれば症状が和らぐのかといった「声」に耳を傾けることが、「病気を知る」ことにつながります。

そして、数ある情報一つ一つに振り回されるのではなく、過敏反応のある人と、そうでない人が共存するための方法を、丁寧に見出していく必要があるのではないでしょうか。

  
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