トルソー症候群ってどんな病気?治療法や診断基準とは?症状や原因も紹介!

この病名はまず聞いたことがないでしょう。ですが、日常的に体内に潜む癌と密接な関係を持っているこの病気は知ってと言えます。

女性に多いとされている「トルソー症候群」について今回はご説明します。

トルソー症候群とは?

Encephalopathy

ではまずトルソー症候群の詳細について触れていこうと思います。

癌との関係が深い血栓

トルソー症候群とは19世紀、トルーソーという神経内科医によって発見された病気です。

静脈血栓、下肢血栓、静脈血栓塞栓症による脳卒中のことを指します。癌が発病した際、2割の確率で起こるとされている、癌の合併症とも言われています。

主に女性がその割を占めており、婦人癌に伴う併発の病でもあります。子宮頸がんや卵巣癌などの癌による併発が最も多いとされている病気です。

トルソー症候群の主な原因とは?

血液の凝固が原因とされています。詳しく説明しますと、癌細胞が出すムチンやサイトカインなどの組織因子が血管を傷つけ血栓ができるというのが全ての始まりと言えるでしょう。血栓はほとんどが下肢にある静脈からできることが多いです。

このように組織因子が血栓を作ることを血液凝固能の上昇と言います。下肢でできた血栓は血流に乗り脳へと移動し、脳内の血管で詰まり、そして引き起こされる脳卒中のことをトルソー症候群と言いいます。このタイプの脳卒中のほとんどは癌細胞が出すムチンやサイトカインが原因となっていて、通常の脳卒中とはまた別になります。

こうした癌が原因で引き起こされる脳卒中のことをトルソー症候群と言われているのです。

悪性腫瘍も原因の一つ?

乳がんや子宮癌、腎臓癌や消化器の癌、そして前立腺癌の悪性腫瘍も原因の一つとされています。癌はじわじわと進行しますが、それよりも先に脳卒中で倒れることの方が多いと言われています。悪性腫瘍により血栓ができ、そして血流に乗って脳へと到達するスピードと癌の進行スピードでは違いがあります。

なので癌が発病していることに気づく前にトルソー症候群で倒れてしまうことの方が割合としては多いそうです。

なので、悪性腫瘍もトルソー症候群発症の大きな要因の一つと言えるでしょう。

割合は女性の方が圧倒的

トルソー症候群の発病の割合は女性の方が圧倒的に多いというデータが出ています。その要因は女性特有の癌である乳がんや子宮頸がん、子宮癌といったものが挙げられます。別名では婦人科癌とも言われているくらい女性の発病が多いとされています。

凝固癌の多くは婦人科腫瘍が主な割合を占めているとも考えられています。

血栓が脳の血管で詰まるとどうなるの?

言わずもがな、かもしれませんが、それが有名な脳卒中です。血栓により脳の血管が詰まり、最終的には破裂してしまします。破裂する前に発見するか破裂してから気づくかでは全く生存率が変わってきます。

破裂してしまった場合の生存率は極めて低く、ほとんどの場合が命を落としてしまいます。もし助かったとしても重度の後遺症を背負うことになります。なのでこれは早期発見が何よりも大事であると言えるでしょう。

下肢血栓の原因を突き止めるには

そうなる前に食い止める手段がちゃんとあります。このトルソー症候群の場合、ほとんどが下肢血栓が原因ですので、足にその予兆がみられます。何の病気もしていない、怪我も外傷もないのに足が腫れ出した場合が一番のサインと言えるでしょう。これは血栓が出来てる可能性が極めて高いと言えます。

目で見て明らかなに違いがわかるほどのものですので、もしそれを発見した場合はすぐに病院へ行きましょう。

足のサインを見逃しても、まだ危険サインはある

足の不具合に気付けなかった場合でも、その後別の場所に危険サインが現れます。血栓が脳に到達した際にそれは如実に出てきます。

血栓が脳に到達したからと行ってすぐに詰まり破裂するわけではありません。血管はいわば伸縮するので、徐々に症状が現れくると言えます。

しかし、危険なのは、次に挙げる症状は脳卒中の一歩手前であるということを念頭に置いてみてください。

脳の血管が詰まりだすと運動障害や感覚障害、失語症、失行障害、言語障害、半側空間無視、視野障害、意識障害など、様々な症状が出てきます。

・運動障害

何もないところで転ぶ、体が重い、動きにくい、握力の低下、ものをよく落とすようになる、などが挙げあられます。

・感覚障害

体のしびれ、手足のしびれ、全身の蕊れ、また感覚が鈍くなる、重度の場合は麻痺などです。

・失語症や言語障害

呂律が回らなくなる、喋りたいことが頭から消える、発音が出来なくなる、など。

・失行障害、半側空間無視

通常生活に支障が出てくることを言います。今までできていたことが出来なくなることを言い、料理などのやり方そのものを忘れる、掃除機のかけ方がわからなくなる、など、普段できていたことができなくなることを言います。

・意識障害

虚ろになる、意識がふわふわとして会話などがままならなくなるなど、他人との意思疎通が出来なくなること言います。

上記のような症状が現れた場合は、脳卒中の一歩手前であるということを憶えておいてください。このような症状が現れた場合はすぐに救急車を呼ぶようにしましょう。ためらっては絶対にいけません。もし対応や処置が遅れて破裂してしまった場合はほぼ助からないと言えます。

脳卒中の処置は頭蓋骨に穴を開けて血栓そのものをクリップで止める手術や、そけい部や手首の血管からカテーテルを入れて、チタンなどの金属で血栓を埋めてしまう手術があります。もし破裂する前に処置ができればほぼ100%助かる病気でもあります。なので上記の症状を感じた場合は迷わず救急車を呼ぶようにしましょう。

脳卒中は時間との勝負でもあります、すぐには破裂しませんが、上記の場合はいつ破裂してもおかしくない状態であると言えるでしょう。

なので早期に病院で処置をすることを念頭においていただければと思います。

トルソー症候群の治療と予防や対策について

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では、トルソー症候群の具体的な治療法や予防法、対策についてご説明したいと思います。

癌を治すことが優先的である

トルソー症候群の主な原因は癌です。癌による血栓の病気ですのでその元を治すことが何よりの予防、治療法であると言えます。日本で今最も死亡率の高い病気は悪性腫瘍であることがわかっています。なので癌を治療することによって、その元を断つことによってトルソー症候群を未然に防ぐことが可能であると言えるでしょう。

ヘパリン治療

二つ目はヘパリンを注射する治療法です。ヘパリンとは抗凝固薬と言って、血栓によって血が凝固するのを防ぐ薬です。すでに血栓ができてしまっている場合を除けば、トルソー症候群対策に一番有力な治療法でもあります。

即効性のある薬としても知られていて、凝固を抑える役割は十分果たしてくれる治療法として多く実用されている治療法です。自ら自分で注射する治療もあります。保険適用薬で約2から3万のお薬だそうです。

内服薬のワーファリン治療

ワルファリンカリウム(ワルファリン)、商品名はワーファリンです。

ワーファリンとは、抗凝固薬で、ヘパリンとは違い内服薬です。予防、治療に使われるお薬ですが、即効性がなく、効果も薄いという意見が多く出ています。ヘパリンと違い服用し続ける必要がありますが、効果があまり見られない上に、飲んでも血栓が見られる場合もあるそうです。

しかし、治療薬として今でも用いられているのは確かで、服用している患者さんもたくさんいます。

下肢の運動、締め付け

運動療法も効果的であることがわかっています。下肢を締め付ける動作やストッキングなどの使用、運動などがその例として挙げられます。

原理としては、足の運動や締め付けで血管などに圧力をかけ、血を押し流したり、促すことで足に溜まった血栓や凝固する血をできにくくすることです。

薬物療法とともに行うのが一般的です。一般の人でも適度な運動が血栓を出来にくくする療法の一つであることも言えるでしょう。

癌の発症に関わらず、適度な運動は様々な病気の予防にも繋がるので日頃あまり動いていない方は是非この機会に運動してみてはいかがでしょうか。

検査や診断基準などの詳細

予防

では、トルソー症候群を未然に防ぐために、検査や検診の詳細について触れたいと思います。

X線検査・CT検査

X線検査やCT検査を利用して癌を発見する検診は年に1度は受けた方がいいかもしれません。X線検査とはレントゲンのことです。体内にX線を通し、内部を撮影する検査方法です。CT検査とは、その断面を撮影する検査のことです。

より詳細に体内の断面図などを撮影することが可能となっています。細かく検査し、癌の有無を調べるのに効果的です。

内視鏡検査

胃腸や食道を調べる検査方法です。俗に胃カメラとも言います。口や肛門、今では鼻から通すカメラも導入されていて、通常の胃カメラよりも違和感が少ないのが特長です。

これにより胃がんや食道癌などの癌の発見に繋がります。人間ドッグなどではバリウム検査などもあります。

検体検査

血液検査や検便、検尿などが挙げられます。体内から排出されるもの、体液などのから癌の有無を調べることができます。大腸癌などもこれでわかります。血液検査は年に何度か受けてもいいかもしれません。癌だけでなく、他の病気の発見にも繋がります。

病気は早期発見と早期治療が一番重要なので定期的な検査を心がけましょう。

脳波検査・心電図検査

脳波検査とは、脳の波長を調べる検査です。脳に電極を貼り付けて調べる方法です。

心電図は心臓の鼓動を調べる方法です。これにより心臓が正常に機能しているか調べることができます。心音に雑音が入っていたり、不整に打っている場合もこれでわかります。

エコー検査

妊娠中など、胎児の様子を見るのによく使われるエコー検査ですが、これも癌の発見に役立ちます。前立腺や膵臓、子宮や膀胱などに潤滑剤を塗って、音波を通し調べる方法です。リアルタイムで体内の様子がわかるので早期発見にも繋がります。

その他にも肺機能検査、血圧検査などがありますが上記が癌検査の代表的なものとなります。年に一度は健康診断を受けて癌の有無を調べることが、トルソー症候群の予防にも繋がります。

トルソー症候群を予防する

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検査もそうですが、やはり癌の早期発見、そもそも癌の発症を防ぐことが第一の予防でもあります。

定期検診や人間ドッグを利用する

普段風邪をひかない限り病院は行くことがないでしょうが、定期的に検診を受けることが癌だけでなくいろいろな病気の早期発見に繋がります。なるべく早く見つけて早めに治療をするのが一番ですが時間が取れないこともあるでしょう。

なので人間ドッグなどの大きな検診を受けることをお勧めします。多少お金がかかりますが、様々な検査で徹底的に身体を調べることができる人間ドッグを利用するのもトルソー症候群を予防することに繋がります。気づいてからでは遅かったということもありますので、そうならないためにも早めの診断が必要です。

特に女性は、乳がん検診や子宮癌、子宮頸がんの検診はなるべく受けるようにしましょう。子宮癌や子宮頸がん、乳がんなどは発症するとその部位を摘出することを余儀なくされてしまうことが多いので出来るだけ早めの発見と予防が必要です。

子宮頸がんのワクチンもありますが、このワクチン、HPVワクチンと言って、副作用や後遺症などがあるので使用はほとんどされていません。使用しているところもあるそうですが、ほとんど使用していないようです。他にもサーバリックスなどもありますが、劇薬です。

後々大きな後遺症に苦しめられるということで使用を中止しているところがほとんどです。もし病院で勧められた場合は断ることをお勧めします(ほとんどないと思いますが、一応知識として持っておいてください)。

女性が発症する特有の病気の予防について

主に子宮癌や子宮頸がんが挙げられます。過度なストレスや性行為などでウイルス感染することがほとんどでよく妊娠が発覚した際に検査することが多いです。

ですが、日頃性行為をされている場合は清潔な行為をするよう心がけましょう。不衛生な性行為はウイルス感染の元となり、癌の発症に繋がります。妊娠後に癌の発症が発覚した場合にはショックも大きいことでしょうし、お腹の赤ちゃんにも影響が及ぶ場合があります。もちろん母体にも大きなリスクが伴います。なので清潔な状態の性行為を心がけるようにしましょう。

これは女性だけでなく男性にも言えることで、男性は前立腺癌の発症にもつながりかねません。男女ともに危険な癌の発症に繋がると考え、出来るだけ日頃から気を配るようにしましょう。

生活改善をする

悪い生活習慣や不摂生な食生活、睡眠不足や栄養不足は免疫力の低下に繋がります。免疫力は身体を守るのに一番重要な役割を果たすものです。免疫力の低下は身体を守るバリアを無効化しているのと同じだと考えてください。

また、体内に悪いものが入った際にそれに打ち勝つことができなくなってしまいます。なので免疫力を下げる生活習慣などを見直すことが一番の予防法といえるでしょう。

癌細胞というのは全ての人間が体内に持っています。持っていない人はいません。ただ発症しない理由は免疫力があり、正常な細胞が癌細胞を抑制してくれているおかげです。免疫力を低下させるということは癌細胞を活性化させる一番の要因となるでしょう。

不摂生な食生活や睡眠不足などが免疫力の低下を招きます。特に、朝日を浴びて夜寝るという生活習慣を乱してしまうと、精神的な面でも重大な病気になってしまう可能性があります。

精神面で大きく作用するのがドーパミンやセロトニンといった分泌物です。それは朝日を浴びるということで正常な分泌を促しますが、夜型の生活などを行っているとこれを正常に保つことができなくなります。特にセロトニンは安定物質です。心の安定をもたらすのにとても重要な役割を果たします。これが出なくなるということは心の不安を招くということになります。

なので朝日を浴びる生活、つまり規則正しい生活を心がけることが身体だけでなく精神面にも大きな予防になるということです。

嗜好品の多量摂取を抑える

タバコやお酒はもちろん身体に悪いです。適度な摂取は良いでしょうが、多量の摂取はもちろん身体にとって悪影響と言わざるをえないでしょう。特にお酒の多量摂取はアルコール中毒、タバコの吸いすぎは肺がんの発症率を著しく上昇させます。もちろん大人なので自分でコントロールして適度に抑えることが大事です。

特にアルコール中毒は重症化すると幻覚など病院に入院しないと治らないケースがほとんどです。癌以前にそう言ったものの危惧もありますので適度な摂取を心がけましょう。

これは余談ですが遺伝子分野ではタバコを吸っている人が必ず肺がんの確率を上げるわけではないという意見もあります。元々肺がんになる原因を打ち消す遺伝子を持っている人はいくらタバコを吸っても肺がんにはならないという事例もあります。しかしこれはまだ研究段階のものなので確かとは言えません。そういう意見もあるということだけ憶えていただければと思います。

まとめ

では総括に入ります。

普段からある程度のまともな生活を送っていれば癌を未然に防ぐことができるでしょう。そして、危険を知らせるサインを見逃さないことと、なるべく定期的な検査を受けるということを心がけましょう。

早期発見と早期治療が、癌の、そして最終的にはトルソー症候群の予防に繋がります。

是非今までの生活習慣を見直して、正しい生活習慣を送ることを心がけるようにしましょう。

  
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