妊婦さんならだれでも1度は耳にしたことのある方も多い切迫早産。ですが実際のところ聞いたことはあってもいったいどういう症状なのか、早産と何が違うのかを知っている人は少ないと思います。
ここでは、切迫早産の原因や症状、もしなってしまって時にはどうしたらいいのかなど詳しく書いていきます。
切迫早産とは
切迫早産というのは、簡単に言うと早産しそうになっている状態のことをいいます。予定週数に達していないのに子宮収縮が起こったり子宮口が開いてしまったりすることで、破水して赤ちゃんが出てきてしまいそうになると切迫早産と呼ばれます。この場合、早産とは異なりますが赤ちゃんが危険な状態になるので、日常生活の配慮が重要になってきます。
似たような言葉に切迫流産を耳にしたことのある方もいると思いますが、こちらも切迫早産同様流産しかけた危険な状態になりますので、入院が必要になってきます。
ただし切迫状態であって早産してしまっているわけではないので、症状の程度・対処などによって早産にならずにすむことも多いです。
原因
原因として考えられるのは、
- 子宮や卵巣に関わる感染症(絨毛膜羊膜炎など)
- 子宮の異常(子宮筋腫、子宮頸管無力症など)
- 多胎妊娠(双子・三つ子など)
があるとされています。
日常生活から予防できるものもありますが、できないものも多いです。また、多胎妊娠の場合には切迫早産と診断されやすいこともあるので、検診時に子宮に異常があるなどと診断されたら日常生活から注意しておく必要があります。
また、お母さんの身体が常に冷えていたり、血液循環が悪かったりすると切迫早産につながることもあるようなので、冷えなどには十分注意しましょう。
症状
切迫早産の症状として見られるものはいくつかあります。その中には切迫の前兆だと気づきにくい症状もありますので、少しでもおかしい、いつもと違うと感じたらすぐにかかりつけの産婦人科に連絡しましょう。
・下腹部の痛み、背中の痛み
横になっていたり、楽な体制をとっていても痛みが引かず、逆に痛みが強くなったりする場合には要注意です。自分でもわからないうちに子宮の収縮が起こってしまっている可能性もあります。
・お腹が張る
お腹の張りは多くの妊婦さんが1度は経験する症状です。そのため切迫早産の症状だと気づくのがとても難しいです。張りを感じてからすぐにおさまるものならあまり心配はいりませんが、安静にしていても張りが続いたり規則的に起こる張りであれば注意が必要です。
また、その張りが10分間隔より短い間で起こるようであれば切迫早産の危険性が高いです。
・不正出血
妊娠中に起こると不安になってしまうのが不正出血です。これも切迫早産の兆候と言われています。妊娠初期の時期であれば膣内や子宮内にかすかに残っていた経血が出てしまうなど切迫とは関係ないものもあります。
ですが、妊娠が分かってから不正出血がみられた場合には医師に相談するのが1番です。
出産前に起こる出血は「おしるし」と呼ばれ、出産の兆候だとされています。ですが、出産時期ではないのに出血が起こった場合には切迫早産と診断される可能性が高いです。おりものに少量混じった出血であれば問題ないものもありますが、切迫早産とは別のトラブルが起こっている可能性もありますので、注意しましょう。
・破水
破水がおこると羊水を包む羊膜に穴が開いてしまうので、そこから羊水に雑菌が侵入しやすくなってしまいます。破水した場合には1週間以内に出産となることが多いようです。
異常が切迫早産の症状として見られるものになります。
切迫早産の診断方法にはいろいろありますが、子宮の収縮・破水・出血の有無や、子宮口の開きを検査します。場合によっては子宮頸管の長さを測ることもあります。子宮頸管の長さから切迫状態かどうかを判断します。また、お腹の張りなどの症状がなくても子宮口が開いている場合もあります。
切迫早産の治療法
切迫早産と診断された場合の治療法は、基本的に薬を飲んで安静にするというものです。赤ちゃんは早産で生まれてしまうと、お母さんのお腹の中にいた週数が短ければ短いほど身体の機能が発達しておらず、障害が残ったり死亡してしまう確立が高くなります。そのため子宮収縮などを抑える薬を飲んで1日でも長くお母さんのお腹の中にいる時間を長くしてあげます。
症状の程度によっては点滴での治療になるため、入院は必要になる場合もあります。入院期間は症状の程度によって異なりますが、1週間程度から長いと3ヶ月ほど入院となることもあります。
また、自宅で安静と言われた場合には外出・家事はせず、トイレや食事以外には横になっているのがベストです。無理をして動けば症状が悪化することも考えられますので、夫や家族に詳しく説明し、理解や協力をしてもらいましょう。症状がよくなるにつれて安静は解除されていきます。
切迫早産と診断されたときに不安に感じるのがトイレでいきんでいいかどうかだと思います。いきんだら赤ちゃんが出てきてしまうのでは…と心配な方も多いと思います。
症状の程度によってはいきんではだめと言われる場合もありますが、まずは医師に相談してみましょう。妊婦さんでも飲める薬を処方してくれることもあります。誰もが不安になることなので、恥ずかしがらずに聞くことが大切です。
切迫早産を予防するには?
切迫早産や早産を予防するために大切なのは、無理のないゆとりを持った妊娠生活を心がけることです。お仕事をされている妊婦さんにとっては、仕事中はゆっくり横になるなんてできないし、簡単に休んだりできないからとストイックになってしまっている方もいらっしゃるかもしれません。ですが、大きく生活リズムを変えなくても大丈夫です。お腹の張りを感じたら「トイレに行く」と言って少し体を動かしてストレッチをする、なんてちいさなことからでも切迫早産を防ぐことはできます。
そして何よりもまずは基本的な食事のバランスや、体を冷やさないようにすることから心がけていきましょう。揚げ物類や炭水化物のとりすぎには十分気をつけ、野菜を中心とした食生活が好ましいです。
また、色の濃い野菜には栄養価が高いものが多いので、積極的に摂るようにしましょう。身体の冷えは血液循環が悪くなる原因ですので、厚着をしたり手足を冷やさない工夫をしたりすることも大切です。また、早産した次の妊娠は早産の可能性が高くなるとされています。前回の妊娠で早産や切迫早産だった方は注意しましょう。
子宮頸管無力症を予防することは現在の医療では難しいですが、感染症などは自分で防ぐことができますし、子宮奇形なども症状の程度によっては手術で改善でき、早産を予防することができます。これから妊娠を考えている人は、1度産婦人科で検査してもらうのもいいですね。
まとめ
切迫早産と早産の違いが理解していただけたかと思います。原因や予防法を知って未然に防げるようにしたいですね。
切迫早産と診断されたからといって必ずしも赤ちゃんが早産で生まれてしまうわけではありません。薬を飲んだり安静にしたりという対処で状況を改善できることもあります。そのためにもまず、妊婦さん自身が体の変化に気づくことが大切です。少しでもいつもと何か違うと感じたときは迷わずかかりつけの産婦人科に連絡をしましょう。こんな小さなことで…と思うとなかなか連絡できない方も多いかもしれません。ですが妊娠生活には誰しも不安を抱いているもの。勇気をもって行動することで赤ちゃんのためにもなることを忘れないでくださいね。
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