「野菜は体にいい!とはいっても何がどういいのかよくわからない。どの野菜が何にいいのか知らない、同じ野菜だけ食べちゃダメなの?ビタミンってたくさんあるけど何がどんな効果があるの?」と疑問に思った方、野菜によってとれる養分は異なります。
同じ野菜ばかり食べていると偏ってしまうかも知れません。逆にどうしても嫌いな食べ物やアレルギーがあるときは、栄養学を知っていると他の食べ物で代用できるようになります。好き嫌いが激しいお子さんがいる場合も必見です。
今回はキャベツに含まれる養分を詳し~くご紹介します。
キャベツ特有の栄養素もあるので覚えておくと美容にも健康にも有利です。栄養素の特性を覚えて賢く調理しましょう。
キャベツについて
古代イベリア人が使っていた原種がケルト人経由でヨーロッパに広まったそうです。古来薬草として用いられてきたとか。暴君ネロが晩年キャベツを栽培して隠居していたりとローマ時代にはすでにキャベツが広まっていたようですね。日本には幕末に輸入されたようです。
アブラナ科の品種でブロッコリーなどの仲間です。アブラナ科の野菜はキャベツと成分が似ていることが多いです。
キャベツは冬キャベツ、春キャベツと種類があり、冬キャベツはまきが多くてずっしりしており固めで噛むと甘みがあり荷崩れしにくいのが特徴です。春キャベツは巻きが緩くて柔らかく生食に適しています。栄養分に関してはさして違いはありませんが触感が違うので調理するときにちょっと頭の片隅に入れておくとおいしく効率的に食べられるかもしれませんね。
キャベツの栄養
キャベツには以下の栄養素が含まれています。
キャベツ100g当たりの栄養分
- エネルギー 230kcal
- タンパク質 13g (53kcal)
- 脂質 2g (18kcal)
- 炭水化物 53g (212kcal)
- ビタミンA 40μg
- ビタミンE 1mg
- ビタミンK 795μg
- ビタミンB1 0.41mg
- ビタミンB2 0.31mg
- ナイアシン 2mg
- ビタミンB6 1mg
- 葉酸 795.6μg
- パントテン酸 2.24mg
- ビオチン 16.32μg
- ビタミンC 418.2mg
- ナトリウム 51mg ~1000mg
- カリウム 2040mg
- カルシウム 438.6mg
- マグネシウム 142.8mg
- リン 275.4mg
- 鉄 3.06mg
- 亜鉛 2.04mg
- 銅 0.2mg
- マンガン 1.53mg
- クロム 10.2μg
- モリブデン 40.8μg
- 食物繊維 総量 18.36g
キャベツの成分について解説
これだけ羅列してもどの栄養分が何なのかよくわかりませんね!
ビタミンの中で特に多いのがビタミンCとビタミンKです。ビタミンは必要な養分です。野菜にも炭水化物や脂質があるの!という方もたまにいらっしゃいますが、だいたいの食べ物には含まれています。根類や豆類はもっと多いです。
キャベツはローカロリーですから安心して食べましょう。
ナトリウム 、カリウム 、カルシウム 、マグネシウム 、リン、鉄 、亜鉛 、銅 、マンガン 、クロム 、モリブデン などの金属元素は「ミネラル」と言います。
中には「あれ?これなんかとりすぎたらよくないって誰かが言ってた!」ようなものもありますが、ミネラルはだいたいの食べ物に含まれており、キャベツに含まれるものはものすごく微量なので腎臓の病気でもない限りそこまで気にかける必要はありません。ミネラルは「不足したらだめだが、かといって過剰にとってもダメ」というバランスが大事な栄養素です。サプリメントで大量に摂取する人は気を付けてとりましょう。
ビタミンC
キャベツはビタミンCの含有量が多めです。
成人の1日の必要摂取量は約100mgです。約3枚ほどで一日のビタミンCは摂取できる計算です。水に溶けやすく調理によって流れてしまうこともあるので茹でる場合は注意しましょう。
体中の健康を保つために使われ、主にタンパク質の分解に使われます。女性に人気が高いのは特に抗酸化作用があること肌の潤いを守るコラーゲンの生成にビタミンCが必要だからです。実際肌が荒れると皮膚科はビタミン剤を出します。またビタミンEの再生にも使われます。
不足すると壊血症を起こすので遭難したときは注意しましょう。
外側の葉っぱの方がビタミンCが多く含まれています。内側の柔らかいほうにはビタミンCは少なめです。その代わりと言ってよいのか、抗がん作用があるイソチオシアネートは内側に多めのようです。
なおビタミンCの一日の摂取量を超えて摂取しても排尿されてしまうため吸収されません。またビタミンCは体内に蓄積できないので、毎日摂取するか、体内に貯蔵できてビタミンCの代わりに使われるβカロテンをとる必要があります。
過熱でビタミンCが壊れるというのは嘘?
通常の調理でビタミンCが壊れることはほとんどないそうです。ビタミンが一緒に加熱されたものと反応して酸化したにしても、体内では酸化したビタミンCは再分解されて体内に存在するらしいです。
ただし水分には溶けやすく、加熱でさらに水分に溶けやすくなります。スープにすれば溶けた養分をとることができるので問題ありません。茹でる場合は蒸したほうが良いです。
ビタミンK
欠乏すると血が固まらず怪我が治らなくなってしまいます。また血管の健康を保ちます。骨粗しょう症の治療薬にも使われます。これはオステオカルシンというたんぱく質を活性化させるためです。
ビタミンU(キャベジン)
ビタミンUはキャベツやブロッコリーなどアブラナ科の植物に含まれている独特の養分で、キャベジンとも言います。胃や十二指腸を保護します。胃腸薬のキャベジンの成分と一緒です。
胸焼けがする場合は柔らかく煮たキャベツやジャガイモのポトフはお奨めです。
肉との食べ合わせもよいですね。
カルシウム
ご存知の通り骨の成分ですが、マグネシウムと共に筋肉を動かすために使われ、神経伝達にも使われます。
大量に骨に貯蔵されるので筋肉が動かなくなることはないですが、その分骨の養分が使われてしまうので補給は必要です。お年寄りの女性は特に不足します。
βカロチン
キャベツ外側の緑色が濃い部分には、βカロチンが多く含まれています。
ビタミンCと違って体内に貯蔵でき、分解されてビタミンAに変わります。内臓の粘膜を健康に保ち、目の健康を保ち、視力障害の防止してくれます。
風邪の予防にも効果があります。
カリウム
ナトリウムとカリウムよって神経伝達をしたり、細胞内外のバランスを保ツために大切な養分です。不足すると体調不良になりますが、とり過ぎると高カリウム症になってしまい心停止のリスクが上がりますが、日常生活ではどちらかというとナトリウム(塩や重曹など)のほうが過剰摂取しがちです。
運動すると不足することもあります。不足しても体調不良になるし、過剰摂取もよくありません。キャベツに入っている程度であれば通常食べる場合はあまり気にしなくても問題ないです。
例外として腎臓の機能が弱っている場合は注意が必要です。
葉酸
赤血球を作ったり細胞の分裂をする際に必要な栄養素です。卵子、精子、受精卵の細胞分裂にも関わります。お腹に赤ちゃんを授けようとしている方は特に摂取したい栄養分です。他にはほうれん草にも多く含まれています。
イソチオシアネート
わさびにも多く含まれている、ピリッとした味の成分です。ガンの予防に適しているといわれています。イオウ化合物なのであまり食べ過ぎるとおならが臭くなるという話もあります。
発ガン物質の活性化を防ぎまた発ガン物質を無害化する働きをもつと考えられています。
外側より内側に多い成分です。
わさびのほかにはキャベツのほかにブロッコリーや大根などのアブラナ科の植物には多く入っています。
ジアスターゼ
大根に含まれていることで有名です。ジアスターゼはでんぷん分解酵素で、消化を助けてくれます。過熱すると酵素は働くなくなります。
(紫キャベツのみ)アントシアニン
紫キャベツの紫色はアントシアニンでポリフェノールの一種です。抗がん作用があることで有名です。
キャベツの栄養効率のいい美味しい食べ方
キャベツを調理するときの豆知識です。栄養を気にしすぎて美味しくない料理を作るのは良くないですが、頭の片隅にでも入れておきましょう。
ビタミンが壊れるというのは嘘?過熱しても大丈夫!
過熱でビタミンぐ壊れるから生で食べるべき!といわれることが多いですが、体内にはいれば再度分解されるので過熱しても大丈夫です。
酵素のジアスターゼのみ過熱で壊れてしまいでんぷんを分解する機能は失いますが、消化液が普通に出ている人は気にしなくても問題ないです。
生で食べてもよいですし、生野菜が苦手というお子様のためにポトフやロールキャベツにして調理しても問題ありません。消化にもよいので胃が弱っているときや風邪のときにはぴったりな食べ物です。
水に溶けやすい養分が流れちゃう?茹でるときは注意!
過熱は問題ありませんが、茹でる場合は注意が必要です。ビタミンCやUは水溶性なので、茹で汁に溶けてしまいます。茹で汁を捨てるとビタミンも一緒に捨ててしまうことになります。少なめの水で蒸すか、スープにして飲むとよいです。ほうれん草と違ってシュウ酸も少ないので、茹で汁は捨てなくても美味しく食べられるのです。
スープはキャベツ独特の甘みがでてウインナーやベーコンなどのお肉と一緒に飲むとおいしくいただけます。
なお、ここに醤油とニンニクとショウガと玉ねぎと鶏ガラか手羽先、手羽元を入れるとラーメンスープっぽい味になります。白菜を使うところもありますが、キャベツを使う人もいます。あのキャベツの微妙な甘みは出し過ぎると洋風のような味になってしまい、ないとそれはそれでそっけないので、キャベツはプロでも扱うのが難しい出汁だとか。季節によっても味が違うので気を遣うようですね。
油と一緒に取るとおいしく効率的に食べられる!
βカロテンなどは油に溶けやすく、油脂分と一緒に食べるとより吸収効果が高まります。サラダにオイルをかけることは意味があったのですね。
オリーブオイルをかけてもいいし、お酢と一緒にまぜてドレッシングにしてもいいでしょう。
和風であれば塩とゴマ油で簡単に揉むと居酒屋で出てくる御通しのようなものができます。スープにするなら一緒にお肉も茹でるといい出汁がでます。お肉を巻いて食べたり、ロールキャベツもいいですし、とんかつの付け合わせにも良いですね。
普段から知らず知らずのうちに食べていたかと思いますが、実は栄養効率の良い食べ方だったというケースのほうが多そうです。
生キャベツだけをモリモリ食べるダイエットが悪いとは言いませんが味の問題で続きませんし、バランスよく食べたほうが良いです。タンパク質、脂質、炭水化物も含めてビタミンミネラルが豊富な野菜を美味しく調理し、毎日バランスの良い食事をしましょう。
まとめ
キャベツには身体の体調を守り、粘膜などを整えるビタミンCやKなどの養分が多く含まれています。ビタミンCはコラーゲンをつくり、肌の調子も整えてくれます。
またキャベツなどのアブラナ科特有のビタミンU、通称キャベジンが含まれ、胃の粘膜の保護に役立ちます。
他の野菜並みのその他のビタミンやミネラルも豊富で、味もおいしく子供でも食べやすい優秀な食材です。
過熱するとビタミンが壊れるという噂がありますが、体内で吸収する分には無関係のようです。生だと食べにくいと嫌がるお子さんなどにはスープにして柔らかくして食べさせても問題ありません。
ただしビタミンは水に溶けやすいものもあるので茹でるときは注意しましょう。スープにして茹で汁も飲んでしまえば問題がないです。シュウ酸もないので灰汁も少なくて済みます。
普段から安価で気軽に食べているキャベツだと思いますが、これだけ身体に嬉しい養分が入ってるとちょっと得した気分になりますね。うまく食卓に取り入れましょう。