街でよく見かける献血の車ですが、献血をするのは本当に尊いですね。さて2011年4月1日より、献血できる人の年齢が変更になったのは、ご存知でしょうか?
献血は、年齢や体重、病歴によって出来ることと出来ないことがありますが、献血で助かる命があるのは事実なので、健康や年齢に問題がなければ、協力を考えてみてください。
そこで今日は、献血のお話を中心に、献血が出来る年齢についても色々とお伝えすることに致しますね。
献血が出来る年齢
男性に限るのですが、400ml献血が17歳から出来るようになりました。
これまでの献血というと男女ともに、18歳からとなっていましたが男性に限っては17歳という年齢から献血が可能になったのですね。
それから血小板の成分採血は、女性は54歳までが可能と変わりはないのですが、これも男性に限っては、69歳までと年齢が引き上げられました。
女性の場合には、月経や出産等で貧血になりやすいことと、体重が男性よりも少ないことが年齢制限される男女の差もあるようです。
つまり献血が出来る年齢は、400mlの場合、男性が17歳~69歳まで、女性が18歳~54歳までということになります。
しかし、男性の65歳~69歳までの人については、60歳~64歳までの間に、献血の経験があることが条件のようです。
男性は、200mlでしたら16歳から献血が出来る年齢となります。
なぜ男性だけ年齢を引き下げられたのかを次には見ていきますね。
献血が出来る年齢が引き下げられた理由
10代~20代の若年層の献血率が人口が減少することよりも、低下していることが深刻な問題となっています。
献血率の低下の一因としてあげられる「輸血による副作用の発生リスク」を減らすために、400mlの献血由来である血液製剤を必要としている件数が増加しているにもかかわらず、実際には16歳~17歳の方は200ml献血しかできないという課題があったのです。
このため当時の採血基準を見直そうと「17歳男性の人が安全に400ml献血を行うことが可能なのか」という課題に足して、医学的な検証を平成21年の「採血基準の見直しの検討に係るワーキンググループ」が行ったそうです。
日本赤十字社による年齢別の採血による副作用の発生率データ等から判断すると、400ml献血について18歳~19歳男性と比較しても、採血による副作用の発生率においては問題になるような差はなかったことから、17歳男性への年齢の引き下げは可能であると判断されました。
では、誰でも献血出来るのかといえば、そうとも言えないようですので、次に献血が出来る条件について見ていきましょう。
献血が出来る条件
献血が出来る条件としては、年齢や体重など、条件を満たすことが重要となりますが、具体的にどのような条件があるのか挙げていきますね。
全献血の条件
男性の場合で見ると次のようになります。
- 年齢は、16歳~69歳まで
- 体重は、45キロ以上
- 血色素量は、12.5g/dL(※400mLの場合には、13.0g/dL)
女性の場合は以下のようになります。
- 年齢は、18歳~54歳まで
- 体重は、40キロ以上
- 血色素量は、12.0g/dL
このように条件が整って初めて献血が出来るのですね。
次は、成分献血の場合を見ていきます。
成分献血の条件
男性の場合は、全献血より可能な量は増えますが、年齢に少し下限制限があるようです。
- 年齢は、18歳~69歳まで
- 体重は、45キロ以上
- 献血量は、600mL以下
女性の場合は、男性よりも献血可能な量が少ないようですが以下のようになります。
- 年齢は、18歳~54歳まで
- 体重は、40キロ以上
- 献血量は、400mL以下
献血する量での影響は?
献血するときの量は、人間の全血液量の12%以内なので、問題はないといえるようです。その理由として、分かりやすくするために、まず人間の全血液量を考えてみましょう。
人間の全血液量は、体重の約13分の1といわれていますので、仮に12%を献血した場合の計算をしてみますね。
50キロ×1/13=3.846153・・・
となり、3846mLが可能となりますので、体重が50キロの人の場合だと、だいたい3800mLの血液が全体量となります。この場合には、12%ですので、3800mL×12%=456mLとなり、450mLの採血までなら医学的には問題がない数字となります。
血液を採取するために心配がある人は、このような形でご自分の血液量を考えてみてはいかがでしょうか。ちなみに、この計算でいくと下記のようになります。
体重が、
- 45キロの場合は、400mL
- 50キロの場合は、450mL
- 60キロの場合は、550mL
以上の量が、採血可能な血液量になります。上記にご自分の体重が当てはまらない人は、計算をしてみるのもいいですね。
それでは、血漿成分を体重別にみた献血量の目安にも触れておきましょう。
血漿成分の体重別献血量
- 40キロ~45キロ未満の場合は、300mL(こちらは、女性のみです)
- 45キロ~50キロ未満の場合は、300~350mL(ここから下は共通です)
- 50キロ~55キロ未満の場合は、400mL
- 60キロ~65キロ未満の場合は、400~500mL
成分献血の場合には、だいたい上記のような形になります。
では、数字的には問題がないとしても献血後の血液がもとに戻るのは、いつなのか見ていきましょう。
献血したあとの自分の血液
血液を急に外に出してしまったら、「減ってしまった血液はどうなるんだろう?」と考えたことがある人も多いと思います。
そこで、血液の不思議についても、ご自分の血液のお話として見ていきましょう。
無くなった血液は?
大丈夫ですよ。献血後の血液、つまり無くなった自分の血液は、水分を摂取すると短時間で回復していきます。
しかし、これはあくまで「血液の量」だけの話なのです。
実際に、自分の血液の成分がもとに戻るのは、成分によっても、年齢や元々の個人差がありますので一概には言えませんが、だいたいの目安として血漿成分は約2日ほどといわれています。
出血した時に、止血作用のある血小板成分は、4~5日掛かるようですね。貧血の目安に重要な赤血球は、2~3週間で回復をしていきます。このように成分がもとに戻るまでには、困ることは医学上はないようですので、献血をした後はしっかりと水分や栄養を摂ってくださいね。
全献血と成分献血の違いってなに?
全献血というのは、血液の中にある総ての成分を献血することになります。
これに対して、成分献血とは、成分の採血装置を使って「血小板」や「血漿」などの必要な特定成分だけを採血することで、「体内での回復には時間がかかる赤血球」は再びそのまま体内に戻します。
その特徴としては、献血をする人の身体の負担を軽くして、必要な血小板や血漿だけを献血してもらえるというメリットがあります。
献血時の年齢なんとかなる?
冒頭でも話した65歳~69歳の条件にある、60歳~64歳の間に献血の経験がない場合には、献血ができるのかというと答えは「出来ません」なのです。
献血という形での協力は出来ないものの、献血の意義や重要性を広く伝えていくことも「献血への協力」になることを覚えておきましょう。
献血をすると、誰かの生命に役立てられるわけですが、ある意味「臓器移植」と同じ重要な行為なのですね。
献血パックを使って、体内に取り入れる患者さんには免疫抑制剤が使われたりします。輸血を受ける人は、発熱や悪寒など、いろんな困難を乗り越えて、「献血での治療」を生きるために行っているのです。
そのため、こうしている今も血液を必要としている人がたくさんいますが、もし年齢的に間に合わなかったとしても、必要としている人のために頑張れることは、たくさんありますね。
そのあたりについても少し触れていきましょう。
献血した血液は、どう使われているの?
献血した血液製剤は、まず赤十字血液センターに運ばれます。その後、各種のウィルス抗体や抗体検査が行われます。検査で安全が確認されたあと、輸血用血液製剤として使われるのですが、この時には全血液製剤や血小板製剤、血漿分画製剤になっていきます。
血漿分画製剤とは、人間の血液で作られる薬の総称になります。血漿分画製剤は、アルブミン製剤などとして、患者さんのもとに届くのですね。献血から血漿製剤として姿を変えた生命のリレーは、多くにおいて50歳以上の患者さんに使われるそうです。
主に、ガンや白血病などの病気治療や、事故等の緊急性のある大量出血の時に使われているのですね。元気な人の生命が生きようとする人の生命に繋がる献血は、本当に尊い行為だと思います。しかし、献血を協力したくても出来ない人、制限のある人もあります。
悲しいですが条件が整わない人は、献血を直接ではなく周りで見守る、理解をしてもらう等の協力する側になりましょう。
次には、その献血が出来ない人は、どんな人や場合かを見ていきましょう。
年齢が大丈夫でも献血が出来ない人
年齢が献血の適用年齢でもいろんな事情で献血が出来ない人も出てきます。
もちろん献血が出来ないからといっても、その人が悪いわけではないので、そのあたりは誤解のないように見ていきましょう。
- 現在、なにかの薬を服用中の人
- 当日になって急性の病気(発熱、体調不良など)なった人
- 出血をともなう歯科治療をした人(歯石除去も入ります)
- 特定の病気になったことのある人(血液疾患、心臓病、悪性腫瘍など)
- 妊娠中の人、授乳中の人
- エイズ、肝炎などの感染症やウィルス保持者、その疑いのある人
- 6カ月以内に、入れ墨、ピアスをした人(つまり、出血をする傷を作ってしまった人)
- 海外旅行者や海外生活したことがある人
- 輸血歴、臓器移植をしたことのある人
などなど、たくさんありますが、これも安全に献血を行うために必要なことなので、献血をしようと思っている人で心配があるようでしたら、詳細については赤十字のホームページなどを見て確認をしてくださいね。
なお献血は、少しづつの量を何人もの献血液を混ぜ合わせて輸血するよりも、少ない人数で輸血をする方が、輸血される人にとっては安全になるのです。
もし健康な人であれば、これを機に献血を考えるのもいいのではないでしょうか。ただ、ご自分の身体が一番なので、体調だけは無理をしないようにご自愛してくださいね。
まとめ
では、今日のまとめです。
- 献血が出来る年齢は、400mlの場合、男性が17歳~69歳まで(200mLだと16歳から可能)
- 女性の場合は、成分献血共に400mL以下で18歳~54歳まで
- 献血には、全献血と成分献血がある
- 採血可能な量は、人間の全血液量の12%まで
- 成分献血は、身体の負担を軽くして必要な成分だけを献血出来る
- 献血出来ない年齢や条件が満たない人は、献血の重要さを伝えるなどの大切な役割がある
献血は、血液が見えてしまうので、苦手な人もいると思いますが「待っている」人もいるので、元気な人は少しの勇気を分けてあげても良いのかなと自分も少し考えさせられました。
女性は、特に貧血になりやすいので、血液について考えたり、血液を作る栄養を考えたりするきっかけになると良いですね。