手先が器用な人はいいですね。レース編みなど手芸が得意だったり、綿密な設計図を描いたり細かい作業を難なくこなしたりできます。日本人はベトナム人に次いで手先が器用です。
手先が器用な人は「脳が発達している」といいます。手先が器用な人は医者・研究者・技術者に向いているようです。「手先が器用」なことは才能の一つですから、この才能をできるだけ活かせる職業に就くことが幸せに導きます。
手先が器用な人の特徴と向いている職業、手先が器用になる方法についてお伝えしますね。
手先が器用なのは、どんな人?
「手先が器用だ」と言われる人は、大脳皮質の運動野が発達しています。十本の指がそれぞれ別の微細な動きをします。手先が器用な人は、細かい作業を丁寧に行うことができます。
[器用とは、どんな意味?]
「器用」には2つの意味があります。手指の動きに関係する意味と、性格に関する意味です。ですから「手先が器用な人」の特徴と「器用な人」の特徴は違います。同じように「不器用」についても、「手先が不器用(ぶきっちょ)」な人と「不器用」な人とは異なります。
「手先が器用」の意味
「器用」には「身体を思うように動かして、芸事・工作などを巧みに行うこと。またはその様子」という意味があります。「手先が器用」とは「手指を思うように動かして、微細な作業を巧みにこなすこと。またはその様子」です。「箸を器用に使う」などと言います。
日本人は手先が器用
世界で一番手先が器用な国民はベトナム人です。ベトナムの刺繍など工芸品は美しく優れています。次に器用なのは日本人です。それから韓国人・台湾人と続き、少し器用さが落ちますが中国人となります。どの国も「箸」を使う習慣があります。
「器用」の他の意味
「器用」には、その人の性格や心理を表す意味もあります。①要領よく物事をこなす ②抜け目なく立ち回る ③不平不満を言わずに受け入れる。潔い ④すぐれた才能がある という意味です。①何事も器用にこなす ②器用に立ち回って損しない ③器用にもらっておけ ④武家の棟梁としての器用がある などと使います。④の「器用」は「器量」とも言います。
器用貧乏
よく「器用貧乏」と言います。「器用貧乏」とは「何事も一応上手にこなすため、一つのことに集中できなかったり雑多な用に使われたりして、大成できないこと。または人」です。「手先が器用で細かい作業が得意だが、利益にならず貧乏をする」という意味ではありません。
[手先が器用な人は脳が発達している]
ヒトは他の動物よりも手先を細かく動かすことができます。それは、大脳が他の動物よりも発達しているためです。大脳の表面は、複雑に神経細胞が結合して構成されている大脳皮質で覆われています。大脳皮質は人間の思考の中枢となっています。部位により前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉に分けられます。
大脳皮質の前頭葉は「人間を人間らしくする」働きをしています。人間は大脳前頭前野が発達しているので、十本の手指を別々に細かく動かすことができます。そのため、サルやチンパンジーよりも上手に道具を使うことができます。
運動野が発達しているので、手先を微細に動かせる
人間の動きをコントロールするのは、大脳皮質の運動野です。手指を動かす時は、大脳前頭葉の一次運動野が使われます。運動野には新しい部分と古い部分があります。運動野の新しい部分は、大脳が発達した動物にしかありません。特に人間は、運動野の新しい部分がよく発達しています。
物を握るなど簡単な動作をする時は、運動野の古い部分が使われますが、手で微細な作業を行う時は運動野の新しい部分が使われます。運動野の新しい部分は、2歳までに発達します。日本人やベトナム人・韓国人・台湾人が器用なのは、幼い頃から箸を使うので運動野が発達しやすいのです。
手を使うほど脳は活性化する
乳幼児の頃から手指を使うようにすると、脳の運動野はよく発達します。しかし、手は道具を使ったり細かな作業したりするだけではありません。手はいろいろな物に触れて情報を集めます。乳幼児はお母さんに手で触れることにより愛情を感じ取ります。
手指をよく動かすこと・手で多くの情報を集めること、この2つの手の働きにより脳が発達します。成人は脳を活性化することができます。手指を使うことは、認知症予防になります。
[手先が器用な人の特徴]
手先が器用な人は、元々手の指を遣う細かな作業を好む傾向があります。無意識に自分の才能を活かそうとしています。
①集中力があり、最後までやり遂げる
手指を微細に動かして細かい作業をする時は、集中して行うことが多くなります。手先の器用な人は集中力があります。作業を始めたら神経を集中して尖らせ、どんな細かい難しい作業でも手先の器用さを発揮してやり遂げます。途中でやる気を失って諦めることはありません。
手先が器用な人は、どんなに時間のかかる細かい作業でも苦痛に感じません。手先を遣う細かな仕事が好きなのです。細かい困難な作業を成し遂げた時の達成感は、無上の喜びです。
不器用な人は途中で投げ出す
不器用(ぶきっちょ)な人は細かい作業が苦手なので、途中で疲れてしまい集中力を失います。やる気をなくして諦め、仕事を投げ出す可能性があります。
②作業が丁寧で、失敗が少ない
手先が器用な人は作業が丁寧です。どんなに細かい難しい作業でも最後まできちんと丁寧に行います。途中で手を抜くことがありません。一つ一つの作業を丁寧にするので、時間がかかる可能性はあります。しかし、失敗が少なく、最後までやり抜きます。安心して仕事を任せることができます。
③細かい作業を上手にする方法を考える
手先が器用な人は、作業をする前に「どうすれば細かい作業を上手にできるか?」「どういう点に気をつけて作業をすれば良いか?」をじっくり考えます。
自分の中で筋道を立てて作業を進めていきます。手指の動きなど注意する点をしっかり把握してから実際に作業をするため、失敗したりトラブルを起こしたりすることがほとんどありません。
④細かい作業を好む傾向がある
手先が器用な人は、手の指を使って細かな作業をすることを好む傾向があります。細かい作業をきれいに仕上げて達成感を味わうことが好きです。ですから、仕事でもプライベートでも、自分から進んで細かな作業を引き受けます。
手先が器用な人は細かい作業の経験を積むことにより、さらに器用になります。さらに難しい微細な作業をきれいに仕上げるようになります。普通の人にはできない細かな作業でも、上手にこなすようになります。ますます自分から進んで細かい作業を引き受けます。
手先が器用な人に向いている仕事は?
手先が器用なことは一つの才能です。だれでも手先が器用なわけではありません。この才能を活かさないで人生を送るのは「宝の持ち腐れ」です。
新卒として就職する時も転職する時も、アルバイトや派遣で働く時も、手先の器用さを活かせる仕事を探します。
[手先が器用な人に適した職業]
職業を選ぶ場合、その職業が必要とする才能や適している性格をよく考えます。「手先が器用」ということだけにとらわれると、適職を誤る可能性があります。
仕事によっては、高い計算力やコミュニケーション能力を必要とします。「手先が器用」なことに他の特技・才能や自分の性格を加えて、自分に適した職業を選ぶようにします。
①医者
手先が器用な人は脳が発達しています。頭脳明晰で手先が器用な人は、医者に向いています。医者や法律家(判事・検事・弁護士)は難しい国家試験に合格して資格を取得しますから、高度な頭の働きが必要です。しかし、医者は知識・理解力・判断力などが優れているだけではダメです。手先が器用でなければ、医療器具を巧みに使いこなして患者を診察したり治療したりすることはできません。
外科医は手先の器用さが必要不可欠
内科医にも手先の器用さは必要ですが、特に外科医は手先が器用でなければ患者を手術できません。最近では内視鏡手術など手術の難易度が上がっていますから、外科医はますます手先が器用でなければ務まりません。手先が不器用な外科医は手術に失敗する可能性が大です。
②研究者
研究開発に従事する研究者・研究員は理論的な頭脳とともに、手先が器用なことが必要です。科学の研究や技術開発には実験が付きものです。研究者は実験器具や実験装置を使って様々な実験をします。時には、実験用具や装置を手作りする可能性もあります。研究員は手指を使う微細な作業のアルバイトの経験OKです。
③機械エンジニア
精密な機械を扱う工場のエンジニア(機械エンジニア・機械系エンジニア)は、機械に関する知識や技術とともに手先の器用さが要求されます。精密な機械を扱うので、微細で緻密な作業が多くなります。
機械の修理・整備は製品製造ラインより緻密な作業
車や精密機械の修理や整備のメンテナンスは、製品製造ラインよりも細かい作業が多くなります。手先が器用で機械いじりが好きな人に向いています。
④工芸関係
手先を使って細かな作業をする工芸関係の仕事は、手先が器用な人に向いています。爪をデコレーションするネイルアートや果物・石けんなどを彫刻するフルーツカービングは、スキルやデザインなど芸術的センスとともに手先の器用さが必要です。
伝統工芸は手先の器用さを必要とする
加賀友禅など染色工芸・漆器・ガラス工芸・織物・日本刺繡や西洋刺繡など東西の伝統工芸は、細かい作業の積み重ねです。しかも、時間がかかる根気の要る仕事です。集中力が高く丁寧に作業を続けられる手先が器用な人でなければ、できません。
⑤菓子職人・パン職人
ケーキなどの菓子を作る職人やパン職人も、手先が器用な人に向いています。ケーキ作りやパン作りは細かい作業が多いものです。ただし、スキルとともに鋭い味覚と食のセンスが必要不可欠です。
⑥ライター
インターネットのいろいろなサイトに記事を書くライターは、1日に7~9時間パソコンを操作しなければ数量をこなせません。文章構成力・豊富な語彙などの国語力とともに、スピーディーにパソコン入力を行う手先の器用さが必要です。
⑦工場の作業・レジ打ちなど
工場の組み立て・部品取り付け・加工・仕分け作業など工場関係の作業は、手先の器用な人に向いています。同じ手先を使う仕事には、スーパーやコンビニのレジ打ちがあります。近頃はカンタンにバーコードを読み取ることが多いのですが、指先で値段を打ち込むこともあります。カゴからカゴへ商品を移して並べ直すのにも、手先の器用さが必要です。
[手先が器用な人に向く仕事を探すなら]
手先が器用な人に向いている仕事・職業はいろいろあります。手先が器用な人に向いている仕事を探す方法は、新卒であれば大学の就職課やキャリアセンターを利用できます。大学の外部の就活サイトや就職エージェントも利用できます。
大学卒業後の就職活動や転職活動は、ハローワークや人材紹介会社・就職斡旋会社を利用したりインターネットの就職サイト・転職サイトや就職情報誌などを利用したりします。現在では求人の情報を掲載する求人情報誌よりも就職サイトを利用する人が多いようです。就職サイトと求人情報誌の併用をオススメします。
人材紹介の株式会社
製造業・工場など技術系の仕事を探すなら、株式会社テクノ・サービスがオススメです。株式会社スタッフサービスやランスタッド株式会社も技術系の仕事を紹介しています。正社員だけでなく契約社員や派遣のスタッフやパート社員など幅広く紹介しているので、自分に合った勤務を選ぶことができます。
仕事を探す時に注意したいこと
自分に適した仕事を探す時は、まず自分の特技・才能・得意分野・経験・性格を見直します。それから、就職したい先の条件(求人情報)をよく見て、自分に適合するかどうか考えます。
仕事情報は、給与(月給・日給・時給)・勤務地・土日祝日休み・業務の内容・正社員か契約社員かパートかなどをまずチェックします。就職先が株式会社か合同会社かも確かめます。簿記三級とか普通自動車運転免許など資格を必要とする場合もあります。経験者を求める企業も少なくありませんので、経験不問・経験者優遇・経験者歓迎なのか確認します。
求人情報の掲載日に注意
求人の情報の掲載日に注意します。求人には掲載期間があります。うっかりすると掲載終了になります。求人掲載期間の終了間際に応募しても問題はありませんが、人選が進んでいて内定している可能性があります。でも、掲載終了の求人に応募してもOKの場合もあります。
関連求人の情報にも目を通す
自分の希望通りの求人情報がない場合は、関連求人の情報にも目を通します。思いがけず自分の手先の器用さを活かせる仕事が見つかる可能性があります。
手先が器用になるには、どうすればいい?
手先が器用なことは才能ですが、「自分は不器用だから」と諦めることはありません。
日本人は箸を使う文化の中で育っていますから、だれでもある程度手先が器用になれます。手先が器用になる方法があります。
①子供の頃から手指を遣って脳を鍛える
「手先が器用な人は脳が発達している」と言いますが、子どもの時から脳を鍛えると手先が器用になります。赤ちゃんの時からいろいろな物に手指で触れるようにします。2歳になるまでに、できるだけ手の指を使わせるようにします。スプーンや箸を使ったりブロックを積んだり紙を破ったり、日常生活の中で手指を使うようにします。
2歳を過ぎたらエプロンのヒモを結んだりほどいたりボタンを独りでかけたりすると、大脳の前頭前野が鍛えられます。折紙やあやとりなどの遊びでも脳を鍛えることができます。
②指先を使いながら新しいことに挑戦して脳を鍛える
どんなに不器用な人でも、慣れてくるとスムーズに作業できるようになります。人間は脳を使っているうちに、ある程度まで何でも上手にできるようになります。でも、それは手先が器用になることとは違います。
手先が器用になるには、脳を鍛える必要があります。手指を柔軟にして、新しく手指を使う作業を行います。あやとり・けん玉・ペン回し・お手玉・折紙・お絵描きなど、子供の遊びを楽しめばいいのです。特にあやとりと折紙がオススメです。箸で煮豆をつまんで食べたり魚をきれいにむしって食べたりするのも、良い鍛錬になります。
上手にできる方法を考えながら新しいことに挑戦する
あやとりと折紙は、次々に新しいことに挑戦できます。どうすれば上手にできるのか、考えながら作業をするので脳を鍛えることができます。楽しみながら大脳前頭葉を鍛えると、手先が器用になります。
作業する前に手順を考えて段取りをつける
手指を使って細かい作業をする時は「どうすれば上手にきれいにできるか?」を考えてます。作業をする手順を細かく考えて段取りをつけます。実際に作業する前にイメージトレーニングをするのも効果があります。
③利き手と反対の手も使えるようにする
よく「左利きの人は手先が器用」と言われます。脳には右脳と左脳がありますが、左利きの人は右脳と左脳をバランスよく使っています。右利きの人は右手を動かす時に脳の運動野の一部を集中して使いますが、左利きの人は全体的に使います。
左利きの人は左手を使うと不便なことが多いので、子どもの頃から右手も自由に使えるように訓練します。そのため、脳が発達して手先が器用になります。
両手を同じように使える訓練をして脳を鍛える
利き手が右の人も左の人も、両手を同じように自由に使えるように訓練します。利き手に関係する部分しか使っていなかった脳の他の部分も使うようになり、脳が発達し活性化します。
利き手と反対の手の動きが重要
右利きの人は「右手で作業することが多い」と考えがちですが、決して右手だけでは上手に作業することはできません。左手は単に右手の補助をしているのではなく、重要な動きをしています。左手と右手がそろって働くと、仕事がきれいに仕上がります。「手先が器用」な人は、右と左の両方の手を上手に動かしているのです。
両手を使う訓練はピアノとパソコン
両手の指を同じように自由に動かす訓練は、ピアノ演奏とパソコンのブラインドタッチです。
ピアノを弾く時は左右の手の5本の指を全て動かします。普段あまり使わない小指や薬指も動かすので、右と左の両方の手先が万遍なく動いて脳を鍛えます。
パソコンもブラインドタッチで入力すると、ピアノと同じように両方の手の全部の指を動かすことができます。左右の手先を万遍なく動かして脳を鍛えることができます。
利き手と反対の手を使う
遊びのつもりで、携帯電話を利き手と反対の手に持って操作したり箸を使ったりします。利き手と反対の手で文字を書くのも面白いですよ。自然と慣れてきて、利き手と反対の手でもできるようになります。左利きの人の中には、右手も使えるように訓練して両手で文字を書いたり絵を描いたりする人がいます。
④作業は最後まで丁寧にする
手先が器用な人は、どんなに細かい困難な作業でも最後まで気を抜かず丁寧に行います。仕事の仕上がりの良さも評価されますが、最後まで根気よく丁寧に作業を続ける姿勢が評価され信頼されます。
手先が不器用な「ぶきっちょさん」は丁寧に作業すると、時間がかかります。時間がかかることがストレスになり、途中で嫌になって投げ出したり作業が雑になったりします。
時間がかかることを気にしないで、丁寧に作業をする
手先が不器用な人は、丁寧に仕事をすることを最優先にします。丁寧に最後まで作業を続けてやり遂げることが、最重要と考えます。スピードは二の次です。一つ一つ丁寧に作業して、時間がかかっても気にしないようにします。丁寧に最後までやり抜くことを繰り返すと、手先も脳もそれに慣れてきます。いつの間にか、手先が器用な人と同じように手早く丁寧な仕事ができるようになります。
まとめ 脳を鍛えると、手先が器用になる
人間は他の動物よりも大脳が発達しています。特に大脳皮質前頭葉が発達しています。人間が道具を上手に使えるのは、大脳前頭葉の運動野の新しい部分が発達しているためです。両手の十本の指がそれぞれ別の微細な動きができます。
手先が器用な人は脳の運動野の新しい部分がよく発達しています。集中力があり、どんな細かい難しい作業でも最後まで丁寧にやり遂げます。微細な手作業を好む傾向があります。
手先が器用な人は、医者(特に外科医)・研究員・機械エンジニア・工芸品の職人に向いています。手指の作業の多い工場関係の仕事・スーパーなどのレジ打ち・パソコン入力のような仕事も適職と言えます。
手先が器用なことは一つの才能です。でも、脳を鍛えることによって、だれでも手先が器用になれます。脳の運動野の新しい部分は2歳までに発達しますから、赤ちゃんの時からスプーンや箸など道具を使い手指をよく使うようにします。大人になってからでも遅くはありません。あやとり・折紙などをして手指をよく動かし、脳の運動野を鍛えて活性化させます。両手の十本の指を万遍なく動かすには、ピアノ演奏とパソコンのブラインドタッチがオススメです。
時間をかけて最後まで丁寧に作業する習慣をつければ、脳も手指もそれに慣れてきます。「自分は不器用だから」と諦めることはありません。
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