アボガドは最も栄養価の高い食べ物としてギネスに登録されている為「美容効果が高い」や「健康にいい」というイメージを持っている人は多いと思います。
女性に人気のある果物の1つですが、アボガドをたくさん摂取することでアレルギーを引き起こす場合があります。ここでは、アボガドの栄養や効果、アレルギーのことまで幅広くご紹介します。
この記事の目次
アボガドとアレルギーについて
アボガドを野菜と認識している人は多いと思いますが、実は果物に分類されています。このようにアボガドについて知っているようで知らない事もたくさんあるはずです。
ここではアボガドの概要とアレルギーが起こる仕組みについて詳しくご紹介します。
アボガドとは?
アボガドはクスノキ科ワニナシ属の樹木のことで、木や果実のことをアボガドと呼びます。果実は生食することができ、サラダやタコス、サンドイッチ、ハンバーガー、寿司など様々な食べ物に用いられています。サーモンやマグロなどの新鮮な魚介類、醤油とも相性がいいので和食でもよく見かけます。
アボガドの食べごろ
アボガドの果実は収穫後に熟して柔らかくなり食べごろを迎えます。スーパーマーケットで購入できるアボガドは固いものが多いですが、常温に放置しておけば熟します。一般的にはアボガドは熟すと果実の色が黒くなりますが、品種によっては緑色のままのものもあります。
表皮を軽く押した時にわずかに柔らかさが感じられた場合、20-25℃程度の温度に放置するとすぐに食べごろを迎えます。適温は21度が一番いいと言われています。アボガドは保存する時に4.5℃以下の状態で長時間さらすと、維管束が変化して味が美味しくなくなります。
アレルギーが起こる仕組み
体にはウイルスや細菌などから体を守る免疫が備わっていますが、この免疫のシステムが原因食物や花粉などに対しても有害物と見なして攻撃しはじめることで起こるのがアレルギーのしくみです。この対象になるものをアレルゲンと呼びます。
アレルゲンが入ると「IgE(アイジーイー)抗体」というたんぱく質が作り出されます。これがアレルゲンと結合するとヒスタミンなどの化学物質をだしてかゆみなどの症状を発生させます。
しかし、中にはアレルゲンのたんぱく質の構造が似ていると見分けられずに誤まって反応してしまう場合があります。例えば、シラカバ花粉に含まれているアレルゲンはバラ科果物の構造と似ている為、花粉症患者はリンゴなどを食べた時にも反応してアレルギー症状を引き起こします。天然ゴムに対してアレルギーを持っている人はアボガドのアレルギーを起こす可能性があります。
アボガドの栄養について
アボガドにはビタミンEをはじめとするビタミン類やカリウム、マグネシウムなどのミネラル類を多く含み、食物繊維も多いです。果実や野菜類の中でも脂質が豊富ですが、不飽和脂肪酸を多く含んでいるのでコレステロールや肥満などになる心配は低いです。
ここではアボガドの栄養について詳しくご紹介します。
ビタミンE
ビタミンEには抗酸化作用があり、体の脂質の酸化を防いで細胞の老化を予防する働きがあります。血液中のコレステロールの酸化を防止したり、細胞膜の老化を防ぐため、アンチエイジング効果が期待できたり、がんや動脈硬化など様々な生活習慣病に関する疾患を予防ができます。
アボガドは硬い皮に覆われているので、効果的にビタミンEを摂取することができると言われています。
ビタミンB類
アボガドには美肌に作りに欠かせないビタミンB2、ビタミンB1,ビタミンB6を豊富に含んでいます。ビタミンB群は炭水化物をエネルギーに変える働きをする欠かせない栄養素です。
ビタミンB群はどれか1つだけあっても効果を発揮しにくく、お互い助け合いながら効果を発揮します。ビタミンB6は女性ホルモンの調子を整えたり、脂質代謝を促す働きがある為、ダイエットの助けにもなります。
カリウム
カリウムはナトリウムとともに細胞の浸透圧を調節する働きがあり、生命維持をするのに必要です。また、体の余分な塩分を体外に出して血圧の上昇を抑えたり、高血圧予防や筋肉の収縮をスムーズに行う働きがあります。
他にも、腎臓にたまりやすい老廃物を外に出す役割もあります。血圧が下がることで高血圧や脳梗塞、心筋梗塞の予防が期待できたり、むくみ解消にも効果的です。
食物繊維
食物繊維は、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」と水に溶けにくい「不溶性食物繊維」の2つの種類があり、アボガドは水溶性食物繊維が豊富に含まれています。水溶性食物繊維は、胃腸内をゆっくりと移動していく特性がある為、腹持ちがいいので食べ過ぎを防ぐことが出来ます。
また、糖質の吸収を緩やかにする為、食後の血糖値の急激な上昇を防止する事が出来ます。大腸内に入るとビフィズス菌などが増加して腸内環境がよくなり、便秘などの改善が期待出来ます。他にも、胆汁酸やコレステロールを吸着して外に排出する役割がある為、ダイエットの強い見方になります。もともと便秘気味の人は便秘が解消されることで、老廃物が外にでてお肌の調子も良くなります。
コエンザイムQ10
コエンザイムQ10は食物から摂取できたり、体の中でも合成される脂溶性の物質です。サプリメントや美容ケア用品で見た事がある方は多いと思いますが、コエンザイムQ10は老化予防や美容の強い見方になる成分です。
コエンザイムQ10の数値を測ってみると、健康な人ほどたくさん持っていると言われています。また、体内で合成されているコエンザイムQ10は20歳でピークを迎えて徐々に生産力が衰えてきます。その為、アボガドなどのコエンザイムQ10が豊富に含まれているものを摂取することで健康を維持することができるのです。
このコエンザイムQ10の主な働きは、体内に取り入れた栄養をエネルギーに変える事と、体の老化を抑制する抗酸化作用の2つです。これにより、自律神経を整えたり、睡眠の質が高まったり、基礎代謝が高まるなど体の健康を維持するのに大切です。
脂質
アボガドは森のバターとも呼ばれており、脂肪分を多く含んでいます。カロリーにすると100gあたり187カロリーと高めです。しかし、アボガドの脂肪分は植物性で、なおかつ約80%は不飽和脂肪酸(オレイン酸、リノール酸など)です。
不飽和脂肪酸の脂は血液中の中性脂肪やコレステロール値をコントロールする働きがあるため、コレステロールが増える心配もなく逆に血液をサラサラにする効果があります。
アボガドの効果について
アボガドには豊富な栄養素が含まれている為、健康や美容面でも様々な効果が期待出来ます。
アンチエイジング、便秘予防・改善、生活習慣予防、美肌保持、ダイエットサポートなど、ここではアボガドを食べることで期待できる効果について詳しくご紹介します。
老化防止・アンチエイジング
最近の研究では人間の細胞の数は、37兆2000億個だと言われています。私たちの体は細胞の集合体でできており、この細胞は時間とともに酸化していきます。人は体に酸素を取り入れて生きていますが、この時に活性酸素というものが生まれます。
この活性酸素はあらゆる物質を酸化させる働きがあり、これが増えると細胞の酸化が起こります。いわゆる細胞がさびてしまい、老化の原因を引き起こします。アボガドに含まれている不飽和脂肪酸は酸化しにくく、強い抗酸化作用があります。また、アボガドにはビタミンが豊富に含まれている為、老化防止や美容に効果が期待出来ます。
便秘解消
便秘で悩んでいる場合は、食物繊維をたっぷり取ることが重要だという事を知っている人は多いと思います。
アボガドには食物繊維が100gあたり7gあり、ゴボウの約2倍もの食物繊維を含んでいます。
生活習慣予防
生活習慣病とは、その名の通り生活習慣が関係して発症する病気です。偏った食事や運動不足、喫煙、過度の飲酒、ストレスなどが原因となり、積み重なることで発症するリスクも上がります。
病名では糖尿病、肥満症、高脂血症、高血圧などが挙げられます。この状態になっても生活習慣を見直さなかった場合は脳梗塞や心筋梗塞を発症する可能性が高く、命の危険があります。アボガドに多く含まれているビタミンEの抗酸化作用により血管のダメージを緩和し、更に不飽和脂肪酸によりコレステロールをコントロールしたり血液をサラサラにする為、動脈硬化や高脂血症を予防してくれます。
また、アボガドに含まれているカリウムは余分な塩分を外に排出する為、高血圧予防に繋がります。他にも食物繊維が血糖値の上昇を穏やかにする為、糖尿病のリスクも低く出来ます。このようにアボガドには、生活習慣予防できる成分がたくさん入っているのです。
美肌保持
アボガドには強い抗酸化作用があり、細胞の酸化を防ぎお肌の老化を防ぐこともできます。また、多くの食物繊維が含まれている為、便秘が解消されることで老廃物が外に出されやすくなり、肌への負担を減らす事もできます。
腸内環境が悪いとニキビや吹き出物が出来たりと、なにかと肌トラブルが多くなります。その為、腸内環境を良くする事で美肌を作ることもできます。
ダイエット
食物繊維はお腹の中で水分を吸収してゆっくりと運ばれる為、お腹のもちがよく満腹感を持続させてくれます。これにより間食を極力減らすことができます。また、アボガドには脂質が多く含まれていますが、アボガドに含まれる脂質は便を柔らかくして外に排出してくれる役割もあります。
アボガドでアレルギーになる原因
食物アレルギーの大半はたんぱく質が原因となり、アボガドの場合はラテックス(ゴム)とのたんぱく質の構造が似ているので引き起こされやすくなるといわれています。
ここではアボガドがアレルギーになる原因についてご紹介します。
ラテックスフルーツ症候群
アボガドにはぺルシンという毒性が含まれており、こちらが原因でアレルギーを起こすヒトがいます。天然ゴムに対してアレルギーを持っている人がなりやすく、ラテックスフルーツ症候群と呼ばれています。厚生労働省は天然ゴムに接触してアレルギーを起こしたことがある人は、ラテックスアレルギーの可能性が高く、最悪の場合死に至る場合もあると注意喚起を起しています。
これは、ゴム手袋のラテックスというゴムの樹液成分に似ている蛋白質の構造を含む食べ物を摂取して起こるアレルギーのことです。ラテックスフルーツ症候群を起こすヒトは、アボガド以外にも、キウイフルーツ、栗、バナナ、パパイヤ、いちじく、メロン、マンゴー、パイナップル、もも、ピーナッツ、胡桃などの様々な食べ物でアレルギーが引き起こされる可能性があります。
ヒスタミン不耐症
ヒスタミンが原因となって体に異常が起こる場合があります。ヒスタミンとはくしゃみ、鼻水、かゆみなどの症状を引き起こす原因となる成分でアレルギー性鼻炎、花粉症、アトピー性皮膚炎になる可能性があります。
アボガドにはヒスタミンの元となるヒスチジンが多く含まれている為、多く摂取すると消化酵素による分解が追いつかずに血中にヒスタミンの量が増えます。その為、少しの量であれば大丈夫な人でも多く摂取することでアレルギー反応が起こります。
ヒスタミン不耐症とは、ヒスタミンを分解できる酵素の分泌量が少ない状態のことで、また腸内環境が低下して悪玉菌が増えている状態になると体調不良を引き起こします。ヒスタミン不耐症でアレルギーを引き起こしている場合は、下記の食品にも気をつける必要があります。しかし、アボガドに豊富に含まれるヒスチジンは必要な栄養素で発育を助けたり、関節炎を改善する働きがあります。その為、アレルギー反応が出るまで食べすぎないよう、量をコントロールするようにしましょう。
■ヒスタミンを含む食品
サバ、トマト、まぐろ、ナス、ほうれん草、豚肉、サラミ、卵白、チョコレート、コーヒー、ココア
■ヒスチジンを多く含む食品
アボガド、カツオ、バナナ、まぐろ、子牛の肉、鶏肉、チェダーチーズ、ドライミルク、ハム
アボガドのアレルギー症状
アレルギーのほとんどは即時性のもので食べた後すぐに症状が現れます。その為、何が原因なのかが分かりやすいです。
アボガドを食べた時に「口がかゆい」や「じんましんができた」場合はアレルギー反応が起こっている可能性があります。ここではアレルギー症状について詳しくご紹介します。
口のかゆみ・腫れ
アボガドは生のまま食べる事が多く、一番初めに触れる場所が口です。その為、口の中は症状が出やすい場所でもあります。食べた後に、口の中がイガイガしたり、喉や口の中が痛くなったり、唇や舌の部分にただれが見られるようになります。
中には、我慢できないほど痒くなる人もいます。軽度の場合は時間の経過とともに症状が治まりますが、ラテックスアレルギーを併発している方は重症化する場合があるので注意が必要です。花粉症患者はアボガドにより口腔アレルギー症候群が発生する可能性が高いです。
口の中や喉が腫れることで気道が狭まり呼吸困難になることもあるので、症状がよくならない場合は早めに病院を受診しましょう。
じんましん
アレルギーの主な症状の1つにじんましんが挙げられます。アボガドを調理する時や食べる時に皮膚に触れると、触れた場所が痒くなります。
また、食べた後に体が痒くなる場合もあります。他にも目が結膜炎を引き起こしている可能性もあるので、目の状態も確認するようにしましょう。
胃痛・腹痛・吐き気
アレルギーとなる物質が体の中に入ってくると外に追い出そうとする為に、吐き気が強く現れたり、嘔吐することがあります。体が受け付けていない為、吐くのを我慢するのは止めましょう。また、胃腸の粘膜にもダメージを及ぼす為、胃痛や腹痛を引き起こす場合があります。
呼吸困難
アボガドは食べた後に食道を通じて消化器官に運ばれます。アボガドは食道を通るのでその際にすぐ側にある呼吸器官にも影響が現れやすくなります。
咳が出たり、気管が狭まり喘息の症状が現れます。気管が狭まると喘鳴(ぜんめい)と呼ばれるヒューヒューと音が鳴る症状がでるようになります。
ショック症状
アレルギーの症状の中でも一番怖いものは、アナフィラキシーショックです。アレルギー反応が複数の臓器にわたって現れる全身症状が起こります。血圧の低下、意識障害を引き起こして、場合によっては命の危険がでてきます。
アナフィラキシーショックが起こり心停止に至った患者さんのほとんどは摂取してから平均して30分ほどで症状が現れます。
アボガドアレルギーの対処法と予防方法
アレルギーが現れた場合、軽度のもので時間が経過して症状がよくなる分には問題ありませんが、呼吸困難を起したり、ショック状態になるなど重症な場合はすぐに病院を受診しましょう。
ここでは、アボガドを食べてアレルギーが発症した場合の対処法と症状が出ないようにする為の予防方法についてご紹介します。
対処方法
アボガドに限らずにアレルギー症状が出た場合は、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、ステロイド、点滴治療などを組み合わせて、症状にあわせて治療が行われます。
アボガドでアレルギーがでた場合は、一般的に抗アレルギー薬を内服してアレルギー反応を抑制します。ヒスタミンが原因でアレルギーが起こっている可能性もあるので、その場合は、抗ヒスタミン薬も使用する場合があります。重症の場合はステロイドの点滴治療が行われます。
予防方法
アボガドでアレルギーがでた場合は、ほとんどの場合はラテックスフルーツ症候群が原因で起こっている場合があります。まずは病院でアレルギー検査を行い、何に対してアレルギー反応を示すのか確認しましょう。
自分がアボガドに対してアレルギーを持っていると気付くタイミングは、 ゴム製品に接触してから気付く場合と、アボガドを食べてから気付く場合の2つのパターンがあります。アボガドを食べてから気付いた場合は、ゴム手袋に触れる際には皮膚テストを行ったり、ラテックスフリーの使い捨て手袋を使うようにしましょう。
また、アレルギーを起す原因が明らかになっている特定原材料は表示義務があります。その為、加工食品を購入する際には、自分が避けるべきアレルゲンが表示されていないか十分にチェックしましょう。また、似たような形状のたんぱく質である果物はできるだけ避けるようにして、医師と相談しながら口にしましょう。
おわりに
アボガドは栄養価が高く健康や美容にも良いですが、人によってはアレルギーを引き起こす可能性があるので注意が必要です。
大人になって突然アレルギーになる事もあり、重症化する場合もあるので、アレルギーが起こったときの対処法や予防法を把握しておきましょう。
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