グループの輪の中にいるのにも関わらず、仲間はずれにされているような、無視されているような気持ちを覚えたことはありますか?この気持ちを「疎外感」と言います。
人生で何度か経験がある事ではありますが、何度も疎外感を感じている方は自分自身に問題があるかもしれません。
ここでは、疎外感とは何か、また疎外感を感じる心理的特徴について詳しくご紹介します。
疎外感について
子供の進学や就職など新しい生活が始まる時に、上手く皆の輪に入れずに疎外感を感じてしまう時があります。
この疎外感とは一体どういうものか、またそう感じてしまう原因についてご紹介します。
疎外感とは?
疎外感とは「相手に避けられている」「相手が自分のことを遠ざけようとしている」など、周りから自分だけがのけ者にされていると感じる事です。たとえグループ内にいたとしても、自分だけ違う世界にいるような孤独さを感じてしまいます。
例えば、集団でいる時、他の人たちは楽しそうに話しているにも関わらず、自分にはまるで話をしていないような扱いを受けると、自分は存在価値がないと感じてしまいます。今まさに、ここにいるのに自分は空気と同じ扱いで、無視されているように感じます。
使用例
疎外感という言葉を使う時には基本的には自分に対して使われます。
- 私はこの会社で疎外感を感じている。
- 多くの若者は疎外感を感じている。
- 彼女は私に疎外感を与えた。
疎外感が強い原因とは?
疎外感を強く感じてしまう原因は大きく分けて2つあります。1つは自分の言動により仲間はずれにされているという事と、2つ目は自分の思い込みが強いという事です。
言動により仲間はずれにされる
自分の言動により相手が避けてしまっているケースがあります。自分が気付かないところで、相手に失礼な態度をとっていたり、言動をしている可能性があります。この場合、たとえ同じグループに居たとしても「この人とは気が合わないな」と思われて距離を取られてしまいます。
例えば、あなたがストレートに物事を言ってしまう性格であったとします。このような性格の人の場合は、グループで何か話をしていた時に、相手の意見をさえぎって自分の話をしたり、ストレートなものの言い回しで相手のことを否定している可能性もあります。
人は同調してくれる人に安心感を覚える為、否定的な意見を持つ人とは一緒にいたくない、話したくないと思わせてしまいます。自分と性格が合わない人は数え切れません。その為、全ての人に対していい顔をして、無理をしてまで人にあわせる必要はありません。しかし、相手に失礼な態度を取らないようにする事は、人間関係を構築する基本の事です。言い回しや態度で受け取り方も大きく異なります。
疎外感を感じたら、まずは自分の言動を振り返って見ましょう。自分がどのように人とコミュニケーションを取っているか客観的に見直してみることが大事です。
自分の思い込みが強い
日本社会は周りの事を常に意識し、集団で行動することの大切さを学んで生きてきます。その為、周りの目を気にするがあまりに、孤独を感じやすい環境にいるのです。もし、あなたが孤独を感じた時には、どのようなイメージを持ちますか?孤独は、寂しい事、惨めな事だ、ダメなことだと否定的に捉えていませんか?
このように感じている人は、周りの目を気にしすぎている傾向にあります。本当は、集団に無理して溶け込む必要もなく、たとえ友人の数が少ないからといっても、悲観的になる必要はないのです。
人それぞれ人間関係の構築の仕方は異なります。人気者を見ると羨ましいと思うかもしれませんが、それはその人が身につけた才能の1つです。無理して自分を変えようとするのではなく、自分にあった対人関係の築き方を理解して、自分の長所を伸ばすように考え方を変えましょう。
疎外感を感じる心理的特徴
疎外感を感じる事は誰でもあります。例えば、一人暮らしや新しい職場、ママ友の輪など新しい環境で生活をスタートさせた場合は、疎外感を感じるケースが多く出てきます。ここでは、疎外感を感じる心理的特徴についてご紹介します。
周囲を気にする
疎外感を感じている人の多くは周囲を気にしすぎている事が原因になっています。人には承認欲求という周りから認められたいという欲求がある為、この気持ちが強いと周りのことばかりが気になってしまいます。
今ではSNSの投稿で友人の行動が簡単にチェックできる時代になりました。例えば、仕事場の友人が皆でご飯に行っている様子をSNSに投稿した時に、疎外感を感じる人もいます。この時に「自分は仲間ハズレにされた」「自分には誘いのメールすら来なかった」と自分はグループの1員だと思っていたのにも関わらず、誘われる事もなかった事実から寂しい気持ちになることがあります。
これは理想に抱いている自分の姿とのギャップに疎外感を抱いていますが、これは周りを気にしすぎている事が原因です。周りは周り、自分は自分と思うように心がけましょう。
日本の国民性
日本では、子どもの頃から集団行動が大切だと何かと集団行動で育っていきます。その為、「輪を乱しては行けない」「協調性が大事だ」という教育されているのです。このような教育から、集団行動する事が良く、孤立することはいけないという固定概念を持っています。
幼少期から集団行動するのが当たり前で、いい事だと教えられてきた人が急に一人で行動するようになると、どうしていいのか分からなくなります。他人に依存しすぎていた部分があり、これが原因となって疎外感を感じてしまうのです。
今、このように感じてしまうことは当たり前の事だと認め、少しずつ他者に依存せずに自立していけるように進んでいく必要があります。
被害妄想
被害妄想とは、絶えず人から害を加えられている被害者だと感じてしまう精神病的症状の1つです。うつ病の人は慢性的に疎外感を感じています。周りのふとした行動から自分は嫌われていると強く思い込んでしまう状態です。
例えば、友達の会に誘われていなかった時があった場合に、「皆で私の悪口を言っているに違いない」と根拠もないのに良からぬ妄想をし始めます。被害妄想かどうかというのは自分ではきづくことが出来ません。周りに指摘されて始めて気付けることです。
普段から疎外感を感じやすく、尚且つ周りから「被害妄想だよ」と指摘された事がある人は、一度カウンセラーにカウンセリングしてもらい、症状を克服していくことをオススメします。
過去のトラウマ
過去にいじめや仲間はずれにされた経験を持っている人は、その事がトラウマとなり再度同じような事が起こることに対して強い恐怖心や不安感を抱いています。このようなタイプの人は、人から嫌われたくないという気持ちを強く持っているので、誰とでも人付き合いを良くしようと誰にでもいい顔をしたりと自分に無理をさせます。
自分の苦手なタイプの人や性格が合わない人でも、仲良く振舞ったりします。しかし、気が合わない人と集まっても、楽しいはずもなく、それにより自分だけが浮いているように見えてしまうのも当然です。心から楽しめる友達付き合いとは何かを一度考えて、気の合わない人からの誘いには断る勇気を持ちましょう。
誰からも好かれる人を演じるのは難しく、自分が好きでない人間関係の人といても楽しくありません。この人達から嫌われても、少人数でも誰かが自分を分かってくれるはずだという気持ちを持ち人間関係を見直しましょう。
過小評価している
過小評価をしている人とは、自分自身の事を愛していない人、自信がない人、自己否定している人の事を言います。このような人は、無理をしてでも人間関係を続けてハッキリと自分の意思表示をしません。また、何かあると全て自分のせいだと思い込み「自分のような人間だから仲間ハズレにされてしまうんだ」と思ってしまいます。
自分の事を過小評価しているタイプの人はこのような人が当てはまります。
- 普段から自分の感情よりも頭で考えて動くタイプの人
- 自分の欲求を我慢しやすい人
- 他人の意見や感情の方が自分より大切だと考えている人
- 他人を喜ばせることに自分を捧げてしまう
- 他人に見下されたり、罵倒されても言い返せない人
- 自分はダメ人間だと思っている
- 周りからいい人だと評価をされたいと思っている
上記で挙げたタイプに当てはまる人は、自分の事を過小評価している人と言うことが出来ます。自分を好きにならないと、誰もあなたのことを好きになってくれはしません。まずは自分の魅力を発見して、大切にするところから始めてみましょう。
実際に避けられている
疎外感を感じるのが被害妄想でも何でもなく、本当に避けられている場合もあります。実際に避けられている場合は、あなたの言動に問題がある可能性があります。あなたの言動で相手に知らないうちに不快感を与えている場合は、距離を置かれてしまう原因となります。
他にも、あなたは全く悪くないのにも関わらず、グループから仲間はずれにしようと心理が働いている可能性もあります。現実的に避けられる原因があなたの言動にある場合は、あなたが自身が変わらないとグループを変えてもまた同様の事が起こる可能性があります。
しかし、原因があなたになく、面白がって仲間はずれにしているだけであれば、そのような人達とは関わらないようにするべきです。まずは何が原因かどうか確認する為にも、腹を割って友達と話してみましょう。色々と1人で想像をめぐらせても、正しい答えに辿りつくとは限りません。友達に「もしかして私って避けられている?」と思っている事を打ち明けてみるのがオススメです。
相手に求めすぎている
疎外感を感じるのは、相手に求めすぎている事が原因の場合もあります。特に独占欲が強い人は友人関係も自分の思い通りに進めたいという気持ちが強いです。例えば、親友のAさんという友達がいた時に「親友だから自分に悩みを全て打ち明けるのは当たり前」と考える人もいます。
親友Aさんが別の友達Bさんに打ち明けていた悩みをBさんよりも後で知った時に「なんで?」と怒りの気持ちがこみ上げてしまう人は相手に求めすぎている可能性が高いです。人間関係は自分の思い通りになるものではなく、強制するものでもありません。
悩みを打ち明けられずに苦しんでいる友達がいた場合に「なんでも打ち明けてね」というのは優しさですが、悩みを必ず打ち明けさせるというのは強制にすぎません。このように、相手にあれこれと求めすぎると自分の欲求とのギャップが生じて疎外感を感じてしまいます。あれこれと相手に求めることは止めて、逆に自分が自ら行動に移すことで、周りの対応も変わってくるという考え方を持つようにしていきましょう。
疎外感を克服する方法
疎外感を感じた時に、1人家に閉じこもってあれこれと考えをめぐらせても答えがでないものです。
そのようにして過ごすよりは、自分が積極的に動いて楽しんだり、考え方を変えていく方が有意義な時間を過ごせます。ここでは、疎外感を克服する方法についてご紹介します。
自分の好きな事をする
疎外感を感じた時、どうしていいのか分からなくなってしまう人も多いですが、まずは自分の好きな事に目を向けてみましょう。自分の好きな事や熱中できるものがあると、周囲の目や小さな事というのは気にならなくなるものです。
時間を持て余していると、あれこれと良からぬ想像をしてしまうのです。ただ悩んでも答えは見つからず、不安を増築させるだけです。また、好きな事をすると気分転換にもなります。疎外感を感じた時には、まず自分の好きな場所に出かけたり、趣味を楽しむ事を心がけましょう。
体を動かす・スポーツをする
疎外感だけでなく、何かしら悩みを抱えるとそれだけの事に集中しがちです。疎外感を感じてしまうのはどうしてかと悩んだとしても、答えが見つからずにストレスを抱えて精神的に疲れていくだけです。
モヤモヤした感情をスッキリさせるのには、スポーツをする事がオススメです。スポーツで爽快感や達成感を得ることで、悩んでいた事もスッキリさせることができます。スポーツの後は少し疲労感もあるので、悩みを考える暇もなくグッスリ眠りにつけるようにもなります。
自分から行動する
疎外感を感じた時こそ、自分から積極的に行動に移すべきです。今までは周りに期待しすぎたり、周りに誘ってもらったりと、いつでも相手から何かをしてもらう立場にいる事が多かったと思います。疎外感を感じる人の多くは自発的に行動するのが苦手な人が多いのです。
いざ、一人になってみて行動をしようと思うと精神的にも肉体的にもパワーが必要になります。自分から積極的に行動するという事はパワーのいることなのです。例えば、気の合う友達を自分から誘ってみたり、1人の時間を楽しむのに運動したり、読書したりと趣味の時間を楽しんでみましょう。
疎外感を感じて1人で家で悩んでいても、ただ苦しみが増えるだけで何も変わりません。その為、その時間を自分の好きな事をして気を紛らわせていたほうが、有意義な時間が過ごせます。疎外感を感じた時こそ、自分で積極的に行動に移すように心がけましょう。
自分を愛す
自分の事を過小評価して、自分に非があるという前提でいる人は疎外感の原因は自分にあると思い込んでしまいます。このような、自分に対する見方を誤っていることは、いつまで経っても疎外感を克服できません。
このような自分を変えたいと思うのであれば、自分を否定的に捉えるのをやめて、肯定的に捉えるようにしてみましょう。例えば、自分で自分の性格や特徴を考えた際に「飽きっぽい」と表現した場合、これらの言葉は「視野が広い」「行動力がある」「気持ちの切り替えが早い」などとポジティブに言い換えることが出来ます。まずは、このように否定的に捉えているものを肯定的に捉えるようにしていきましょう。
また、下記の点に注意して人間関係を構築する事を実践してみて下さい。
- 自分の感情や欲求を押さえ込まないようにする
- 他人の意見と同じくらい自分の意見も大事にする
- 他人に嫌な事をされたら、ハッキリと意思表示する
- 他人の幸せより自分の幸せを第一に考える
- 自分の事は自分の意志で決める
これらを実践しながら人付き合いをするのであれば、あなたが精神的に強くならなければ出来ない事です。心の持ち方1つで疎外感を克服する事もできるのです。
おわりに
疎外感は、周りから孤独な気分にさせられる気持ちのことです。この疎外感を何度も感じたことがある人の場合は、あなたに原因があるかもしれません。
しかし、気持ちの持ち方やあなたの言動を見直すだけで疎外感を克服することができます。疎外感を感じやすい人はここでご紹介した克服方法を是非、実践してみて下さい。
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