「短絡的」という言葉を、誰しも少なくとも1度や2度くらいは耳にしたことがあるでしょう。「短絡的」とは、物事について深く考えることなく、性急に二つの事柄を関連づけて結論を出してしまうさま、のことです。職場や学校など周囲の人たちの中に短絡的な人がいるかもしれませんし、あるいは自分自身の考えや行動が短絡的だったと反省することがあるかもしれません。
このような短絡的な考え方や行動は、本来であれば回避することができるはずのミスや失敗といったトラブルを引き寄せてしまいます。その結果として余計な手間や労力を費やして修正やリカバリーをしなくてはなりませんから、できれば短絡的な考え方や行動を改めたいものです。
そこで今回は、「短絡的」という言葉の意味を確認した上で、短絡的な人に見られる傾向や特徴、短絡的な考え方の改善方法などについて、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。
「短絡的」という言葉の意味
そもそも「短絡的」という言葉は、どのような意味を有する言葉なのでしょうか?どちらかと言うと良く使われる言葉であるが故に、その意味を改めて国語辞書で調べることは少ないでしょう。
そこで、まずは「短絡的」という言葉の意味について、再確認しておきたいと思います。
「短絡的」の意味
「短絡的」という言葉の意味について、いくつかの国語辞書をあたってみると、どの辞書も大して表現の違いもなく次のような意味を有することを示しています。
- 物事の本質や筋道を深く考えず、その原因と結果などを安易に結びつけるさま。
- 物事について深く考えることなく、性急に二つの事柄を関連づけ結論を出すさま。
ですから「短絡的」とは、物事について深く考えることなく、大した根拠もないのに性急に二つの事柄を関連づけて結論を出してしまう様子のことを言います。
例えば、仕事で失敗してしまった原因を探し出す際に、論理的思考もなく、あるいは売上データなどの統計情報を分析することもなく、それまでの担当者や周りの人たちの従来の常識ややり方に従って、単純に失敗という結果と原因を安易に関連づけるようなケースを短絡的な判断と言うのです。
「短絡的」の同義語・対義語
参考までに「短絡的」の同義語・類語を挙げてみると、「深く考えない」・「浅慮な」・「浅はかな」・「短慮な」・「軽率な」・「思慮の浅い」などといった言葉があります。
一方で、「短絡的」の対義語を挙げてみると、「慎重な」・「思慮深い」・「考え深い」などといった言葉があります。
短絡的な人に見られる傾向や特徴
このような「短絡的」という言葉の意味を踏まえた上で、それでは短絡的な考え方や行動をする人には、どのような傾向や特徴が見られるのでしょうか?
そこで、短絡的な人に見られる傾向や特徴について、ご紹介したいと思います。
ポジティブで楽観的すぎる性格
短絡的な人に見られる傾向の一つとして、過度にポジティブで楽観的すぎる性格の持ち主であることが挙げられます。
もちろんポジティブで楽観的であることは、決して悪いことではなく、むしろ一般的には良いことだと言えるでしょう。しかしながら、ポジティブさが過剰となって楽観的になりすぎると、短絡的な考え方や行動に走ってしまう可能性があるのです。
このようなタイプの人は、深層心理としてトラブルが生じても何とかなると思いがちです。その理由は、自信家だったり、周りの誰かが助けてくれるという甘えだったり、単に面倒くさがり屋であったり、と多岐にわたります。いずれの理由にしても、何とかなると考えているだけに考え方や行動に計画性がなく、行き当たりばったりになってしまうのです。
ですから、このように過度にポジティブで楽観的な人は、思慮が浅くなって短絡的な考え方や行動になってしまうわけです。
せっかちで結論を急ぎすぎる性格
短絡的な人に見られる傾向には、非常にせっかちで結論を急ぎすぎる性格の持ち主であることも挙げられるでしょう。
何かを思い立った場合は行動へと移す前に、ある程度の目標や計画を頭で考えるのが通常です。しかしながら、非常にせっかちで結論を急ぎすぎる人は、そのような思考パターンを有していません。
このようなタイプの人は、計画を立てるという発想や思考回路がないので、思い立つと同時にスピード重視で行動に移します。つまり、自身の直感や他人の口コミなど自分さえ納得できる理由があれば、行動に移すことに躊躇いがないのです。
ですから、このように非情にせっかちで結論を急ぐ人は、短絡的で軽率な行動をとってしまうわけです。
周りの意見に耳を貸さない
短絡的な人に見られる特徴の一つとして、周りの人の意見やアドバイスに耳を貸さないことが挙げられます。
前述のポジティブで楽観的すぎる人も、せっかちで結論を急ぐ人も、基本的に周囲の人の意見やアドバイスを聞こうとしません。他にも、自身過剰な人、面倒くさがり屋の人、自分勝手な人なども、周りの人の話を聞こうともしません。
このようなタイプの人たちは、周りの人の意見などを聞かないので視野も情報も狭く少なくなります。その結果として、物事の先を見通す想像力や思考力が貧困となり、自らが選ぶことのできる選択肢も少なくなるので、短絡的な判断へと至ってしまうのです。
根拠のない自信がある
短絡的な人に見られる特徴の一つとして、自分自身に対して根拠のない自信を持っていることが挙げられるかもしれません。
そもそも「自信」とは、自分の能力や価値を信じ自分自身を信頼する心理のことです。そして自信は、それまでの努力過程や結果を根拠としたものと、特に根拠がなく漠然としたものとに大きく分類することができるでしょう。
短絡的な人は、この大きな2種類の自信の分類のうち、特に根拠がなく漠然とした自信を有している傾向が強いのです。その理由は、ポジティブすぎる性格やせっかちすぎる性格、あるいはそのような性格を形成させる成育環境など様々ですが、共通するのは自己肯定感が強いことだと言えるでしょう。
自分に都合よく判断する
短絡的な人に見られる特徴の一つとして、なにごとも自分に都合よく判断しがちであることも挙げられるでしょう。
仕事にしても人生にしても、重要な判断や決断をする際には、考えつくあらゆる選択肢を客観的に検討した上で判断することが一般的です。しかしながら、短絡的な人はそうではなく、自分に都合の良い判断材料だけを検討して決断しがちなのです。つまり、短絡的な人は何か物事を判断する際に、多面的に分析や検討をすることなく、自分に都合の良い判断材料を自分に都合良く解釈しているのです。
それゆえ、たまたま運良く自分に都合の良い結果となれば問題ないのかもしれませんが、自分に都合の悪い方向に転がると周囲の人から短絡的な判断だったと批判・非難されるわけです。
短絡的な考え方の改善方法
このように一口に短絡的な人に見られる傾向や特徴と言っても、とても多岐にわたることがご理解いただけるでしょう。それでは、このような短絡的な考え方や行動を改善するには、どうすれば良いのでしょうか?
そこで、短絡的な考え方や行動の改善方法・克服方法について、ご紹介したいと思います。
考え方や行動の改善には地道さが必要だと理解する
短絡的な考え方や行動を改善して克服する前提として、まずは理解しておかなければならないことがあります。それは、長年かけて染みついた考え方のクセは簡単に改めることはできず、地道に根気よく修正していかなければならないことです。
ですから、短絡的な考え方や行動を改善するには、地道に根気よく自分に向き合っていく必要があるのです。
考え方や行動に計画性を持つ
自分と根気よく向き合う必要性を理解した上で、短絡的な考え方や行動を改めるには、行き当たりばったりに考えて行動するのではなく、何事にも計画性を持つことを意識しましょう。
どのような結論や結果にも、そこに至る過程があり、原因や理由があります。それゆえ、あらゆる状況を想定し、その対処方法や対応方法を検討しておき、それぞれの対処法のメリット・デメリットなども把握しておくと良いかもしれません。
原因・理由や経過・過程を突き詰めて考える
前述のような計画性を身につけるには、物事の結果を生じさせる原因・理由や経過・過程を突き詰めて考える必要があります。
繰り返しになりますが、どのような結論や結果にも、そこに至る過程があり、原因や理由があります。まずは結果を生じさせる大きな原因や理由を把握する必要があります。そして、周りの状況・条件・環境などが一つでも異なれば、途中の経過や過程に変化が生じ、別の結果を生み出しますから、あらゆる可能性についても検討しなければなりません。
周囲のアドバイスに耳を傾ける
このような原因・過程・結果を全て検討し、あらゆることを想定した計画を一人で作ることは容易ではありません。そのため、周囲の人の意見やアドバイスに耳を傾けることが必要になるのです。「三人寄れば文殊の知恵」という諺(ことわざ)があるように、凡人でも視点の異なる人たちが集まれば、比較的容易に優れた計画を立案・策定することが可能になります。
ですから、短絡的な考え方や行動を改善するには、周囲の人に意見やアドバイスを求めるようにすると良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?「短絡的」という言葉の意味を確認した上で、短絡的な人に見られる傾向や特徴、短絡的な考え方の改善方法などについて解説してみましたが、ご理解いただけたでしょうか?
短絡的な考え方や行動は、本来であれば回避することができるはずのミスや失敗といったトラブルを引き寄せてしまい、結果として余計な手間や労力を費やすなど自分に不利益をもたらします。
ですから、もし自分の短絡的な部分に悩んでいる人は、本記事を読んだことを短絡的な考え方や行動を改めるきっかけとしてみると良いかもしれませんよ。