近頃、何だか食欲がわかないけど病気かな?お腹が空かないけどダイエット中だからラッキー!なんて思っている方いませんか?食欲不振の裏には、多くの原因が隠れています。ちょっとした解消法で症状を改善できるものもあれば、深刻な病気が原因となって起こっているものもあるのです。
人は、食物から栄養を吸収し生命を維持しています。その栄養が摂取できなくなると病気にもかかりやすくなる上、老化も進むのです。それでは、お腹がへるシステム、食欲不振の原因と解消法について紹介します。
お腹が減るシステム
まずは、お腹が減るとはどういった仕組みなのかを知っておきましょう。
食欲とは?
食欲とは食べたいという欲求です。その欲求は、人間が生命を維持する上で必要なエネルギーの消費に対して体が欲求する本能的な欲求と人間の五感が刺激となって引き起こす精神的食欲の2つから成り立っています。
精神的食欲というのは、体に必要なエネルギーは十分足りているので、それほどお腹は減ってはいないけれど、目の前に出された料理からの美味しそうな音や匂いが我々の五感を刺激する事により食べたくなるということです。ですから、食欲不振とはこのような欲求が起きない状態を言います。
満腹感と空腹感
満腹感と空腹感を感じる器官のことを、満腹中枢と摂食中枢と呼びます。これらは、正反対の性質をもった器官ですが、二つとも脳の視床下部に位置しています。
お腹がふくれるという状態は、摂取した食物の栄養素が分解され、血液中のグルコース(血糖値があがる)が満腹中枢を刺激することにより、食欲が抑えられ、食事を摂ることをやめる状態を言います。
一方、お腹がすいたと感じる時は、血糖値が下がり空腹になった体内の脂肪が分解され脂肪酸が遊離し、それが摂食中枢を刺激することにより食欲が湧く状態をいいます。
*しかしながら、食欲を調整しているのは、血糖の増減や中枢神経だけではありません。胃腸やホルモン、自律神経など大変多くのことが関係しているのです。
食欲不振の原因
それでは、あなたの食欲不振の原因は一体何なのでしょうか?これから説明する原因に心当たりはありませんか?
不規則な生活習慣
近頃、あなたの生活習慣は乱れていませんか?食事の回数や時間がバラバラだったり、睡眠不足で体の疲れを感じているあなたは、自律神経が乱れて食欲不振になっている可能性があります。
運動不足
毎日適度な運動を心がけていますか?寒くなったりすると外に出るのも億劫になりますね。しかし、運動をしないと消費カロリーが減り、食欲不振となるのです。
姿勢
姿勢は大変大切です!日頃、仕事や日常生活においてパソコンや携帯などに長時間集中する人が多いのではないでしょうか?一度自分がどのような姿勢で作業をしているのか観察してみて下さい。背中を丸めて、前のめりの姿勢をとっているようであれば要注意です!
体内の臓器が体を折る姿勢のために圧迫されて、前後左右へと動き、ゆがみが生じるのです。あまり長い間お腹の圧迫が続くと、腸がうっ血して腫れてしまいます。そうすると腸がふくれお腹の中で曲がってしまい、正常な働きが出来なくなってしまうのです。
そうなると、腸は排便の信号を脳に送らなくなってしまうのです。腸からの信号(直腸反射)がなければ、脳は、排便の信号を関係する筋肉や器官に送らなくなるので、便秘になったり、腸内のガスも移動しにくくなり腹痛になることもあります。結果お腹がすかなくなってしまうのです。
腸の働きが悪い
食欲低下の原因として腸の機能低下が挙げられます。機能が低下すると腸の動きが止まってしまい、腸から脳に未消化吸収があるから待ってくれと信号を送るのです。その信号を受け取った脳は、食べる事を抑制しようとします。それにより空腹感を感じなくなるのです。
アルコール
最近、お酒を飲み過ぎていませんか?もしかすると飲み過ぎから肝機能が低下し、食欲がなくなっているのかもしれません。
ストレス
ストレスにもいろいろな種類がありますが、仕事場や家庭でのストレスにより食欲が低下している可能性があります。
妊娠
妊娠初期状態のつわりが原因かもしれません。心当たりのあるかたは、一度検査をしてみてください。
体質
体質は、人それぞれ違います。よく「痩せの大食い」と言う言葉を聞きますね。大食いなのに全然太らない羨ましい体質の持ち主の事です。少ししか食べないのに太ってしまう、これも体質。少しのエネルギーでいっぱい働ける体質の人もいれば、多くのエネルギーが必要な体質の人もいるのです。
もちろん生活習慣にも影響を受けますが、主に体質が原因です。自分がどのタイプかを知れば、ダイエットや食事の摂取方に大変役に立ちます。決してお腹が空かないから食べなくてもいいという事ではありませんので、注意してして下さい。
摂食障害
摂食障害は、大変に重篤な精神疾患の一種です。症状は、患者によっても様々ですが、お腹が空かなかったり、空いても食べたくないと感じたり、食べても嘔吐する症状がでます。深刻な状態になると死に至ることもありますので、必ず医師に相談してください。
うつ
うつ病の患者数は大変増加しており、私達にとって大変身近な病気となってきています。うつ病の症状はいろいろありますが、食欲がなくなるのもこの病気の症状のひとつです。心と体にさまざまな症状があらわれます。気持ちの問題ではないので、気力で治るものではありません。治療を必要とする病気ですので、一度診察を受けてみて下さい。
季節
食欲不振になる季節は、なんと言っても夏です。夏の厳しい暑さで自律神経が乱れ、体力が低下し、食欲不振になるのです。
認知症
認知症の病態にもいろいろありますが、どれも脳細胞が少しずつダメージを受けることにより、正常な反応や行動が取れなくなります。認知症の進行により食欲がなくなってくるのは、満腹中枢、摂食中枢のバランスが崩れることにより起こります。
その他
その他の原因として考えられるは、薬の副作用、食べ過ぎ、インフルエンザ、風邪、胃腸、肝臓、胆嚢、膵臓などの病気や潰瘍腫瘍などです。
食欲不振の解消法
では、食欲不振の解消方法を紹介します。
【自律神経の働きを回復させる】
まずは大きく深呼吸をして心と体をリラックスさせてみましょう。軽いストレッチやヨガも筋肉を解し、自律神経を正常に戻すのに大変有効です。
ストレスが多いと、体が固くなり十分な睡眠も取れなくなり、目覚めても疲れがとれずに、体が重い、だるいなどの症状がでます。適度な運動の後に、ゆったりとお風呂に入り、マッサージなどをすると血流も良くなりより効果的です。
【運動】
3日ほどジョギングをすると、食欲が湧いてきます。長時間する必要はありません、1回30分ほどで気分か軽くなり、走るのも好きになり何かの病気でなければ、食欲不振は無くなります。ウォーキングやスイミングも有効です。
【食事の摂りかた】
食欲がわかなくても、味の薄い物を少し食べてみて下さい。それから味の濃いものを少し食べてみて下さい。人間の脳は、味の薄い物を食べた後、濃い味の物を食べると美味しいと感じますので、もっと食べようと消化液が分泌され、食が進むことがあります。
また、胃腸の働きを活発にしてくれるカレーもいいかもしれません。ただし辛すぎるカレーは注意して下さい。反対に無理に食べるのではなく1、2食胃腸を休ませて回復させるのも1つの方法です。
【食前の適度なアルコール摂取】
食事の前に飲むお酒を食前酒といいます。食事の妨げに成らない量のお酒を1.2杯程飲むのです。アルコールが胃液の分泌を亢進して、食欲を増進してくれます。梅酒、シャンパン、ビール、ワインなど、くれぐれも飲み過ぎには注意して下さい。
【料理の演出】
五感を刺激するという意味で、料理の演出も効果的です。食事の満足度は、食空間が70%、食卓25%、皿の料理5%と言われています。
ですから、気分を変えて部屋の装飾や花などの飾り物、お洒落なテーブルクロスや食事が美味しそうに見える暖かみのある照明などを工夫すれば、気分が華やいで食が進むかもしれません。
また食器の色にも食欲を増進させる色と食欲を抑える色があります。橙色や赤色は食欲を増進させ、青色は食欲を抑える色として知られています。食事の盛り付けも季節感を取り入れ、できるだけ沢山の色を盛り、立体感を出して盛り付けすると楽しく食事ができることでしょう。
【ツボ押し】
便秘、胃腸の働きの低下、運動不足、食べ過ぎなどに効果のあるツボは、「足三里」(あしさんり)といいます。「足三里」の位置は、椅子に座り膝小僧の上部に同じ側の手の親指を水平に引っかけ、残りの四本の指は足先の方向に伸ばします。「足三里」は、ちょうど下ろした中指の所にあります。少しへこんでいます。親指でしっかりと痛気持ちよさを感じるまで押して下さい。両手の親指を重ねて押さえてもかまいません。1日に何度でもしてください。
・食欲増進を助ける食物
梅干し、梅酒、セロリ、びわ、とうがらし、きゅうり、トマト、ぶどう、ワイン、パイナップル、しょうが、ニンニク、酢、パセリなど
まとめ
食欲不振の原因さえわかれば、自分にあった解消法を試してみて下さい。食は、私達のエネルギーの源です。正しい食生活を維持することで、きっとあなたの体も心も生き生きとしてくるはずです。深刻な場合は、無理をせず速やかに病院で診察されることをお勧めします。
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