「嬉しい」という気持ちを目上の人に伝えるとき、どう表現していますか?普通に「うれしいです」と言っても「です」「ます」調の丁寧語ですので敬語であることに間違いはありません。しかし、ビジネス敬語として使用するべき尊敬語や謙譲語を使用した方がより相手を立てながら気持ちを伝えることができます。
ビジネスシーンで使える敬語の言い回しや例文について紹介しますのでぜひお役立てください。
「嬉しい」の敬語表現について
「嬉しい」「楽しい」「きれい」などの形容詞は「い」止めがもっとも適している形として認識されていました。しかしそれも昭和10年ほどまでのことであり、現在ではこれらの形容詞の後に「です」という丁寧語表現をつけた敬語の形が認められるようになりました。
ですから、本来は由緒ないものでありますが、現代では正しいものと言うことができます。しかしこの表現についていまだに違和感を覚えると言う人と、特に違和感を感じないと言う人で意見が別れますので、どのような使用方法が正しいのかについてみていきましょう。
「嬉しゅうございます」が本来の形
「嬉しい」を敬語に変換する場合は「嬉しゅうございます」が正しい形として使われてきました。しかし現在ではほとんどこの形で使用している人は見かけません。
いくら正しい言葉使いといえど、ビジネス敬語としてもこの形が適しているかと言われれば、そうでないと答える人が多いでしょう。やはり少し古めかしく聞こえてしまうことと、自然体でなさすぎるところが問題ではないでしょうか。
「これほど嬉しいことはありません」
「嬉しい」という単体だけでは謙譲語や尊敬語表現ができない言葉でも、「ない」の意味である「ありません」を付け加えることで敬語に変換することが可能となります。
「嬉しい」の表現の中では最上級であり、もっとも喜んでいる様を表すことができます。嬉しいという気持ちをただ敬語にするだけでなく、「とても嬉しいです」とさらに感情を込めて、非常に喜んでいる様を見せることで気持ちを伝える言い回しです。
「これほど嬉しいことはございません」
「ございません」は「ありません」の謙譲語表現です。自分が相手に対してへりくだり、相手を立てる表現方法ですので敬語としても、もっとも丁寧な表現となります。
ビジネスシーンでも問題なく使用していただけるのでぜひ使用してみてください。
「嬉しい限りです」
「嬉しい限りです」の「限り」は「至り」「極み」などと同じように、形容詞の度合いを示す言葉として補助的に使用されます。
相手に対してこの上なく嬉しい様であることを伝えるときの言葉であり、「嬉しい」の敬語表現としても使用することができます。「嬉しいです」だけではどうしても気持ちが伝えられない時や、敬語として不安が残る場合には「喜ばしい限りです」や「嬉しい限りでございます」などと言葉を付け加えて表現するといいでしょう。
「嬉しい」の間違った敬語表現
普段ほとんど使用しないビジネス敬語に苦戦している若者は多いでしょう。敬語は使い慣れていないと、咄嗟に言葉を変換できませんし、敬語と勘違いして間違った形で使用してしまうこともあります。
間違われやすい「嬉しい」の表現について紹介します。
「嬉しいです」は敬語として誤りか?
今でも「嬉しいです」という、形容詞+丁寧語の表現が違和感に感じる人は多いようですが、全く違和感を感じない人も多くなりつつあります。
本来敬語は動詞や名詞や代名詞などにくっつけたり形を変えることで、主体・読み手・動作を受ける人などに対して敬意を示す言葉使いです。ですので形容詞にそのまま敬語にすることは間違いなのですが、現在ではこれが変わってきています。
ですので上司や先輩など距離の近い人との会話で「嬉しいです」と表現しても間違った使用方法ではないにせよ、スピーチなどのかしこまった場で発言する場合には、ほかの表現方法をした方が無難でしょう。
「嬉しく思います」
例えば普通の会話の中で「それはこちらとしても嬉しく思いますが」となる場合、まあ100歩譲ってOKとする人も多くいますが、スピーチの場合や校長の挨拶などで登壇して話を行う場合に「嬉しく思います」「喜ばしく思います」をわずかに違和感に感じる人が多いようです。
完全に”間違った”というほど表現ではなく、若干回りくどい言い回しだなと感じる人が多い程度です。また若干稚拙な表現であると認識する人も多く、推奨できません。
それであれば「嬉しいです」と言い切った方がいいのでは?また「嬉しゅうございます」や「嬉しい限りです」を使用した方がいいでしょう。
「嬉しく思います」を使用する人の背景にはその他の表現が若干自分の身の丈に合っていない、堅苦しすぎる表現であるなどの意見があります。もしかしたらこの表現もそのうち公式に認められる敬語表現となるかもしれません。
「嬉しく思っております」だとOK?
「嬉しく思います」だとどうしても上から目線である雰囲気がしてしまうとの意見が多かったのですが、「嬉しく思っております」ですと「おります」が謙譲語表現になっているのでOKではないか?という意見があります。
特に違和感もなく尊敬の意思が伝えられるでしょう。
正しい使い方・メール編
ビジネスマンになると使用する機会が増えるメールでの仕事のやり取り。そんな中話言葉とはちょっと違った敬語での文章を綴れなければいけません。話し言葉では違和感のない敬語でも、文章にすると違和感のある内容になってしまい相手に不快に感じさせてしまうこともあります。
そうならない様に「嬉しいです」と同様の喜びや感謝の気持ちを伝えるときの表現方法についても合わせてみていきましょう。
一般的な「嬉しいです」の使用方法
- ご好意嬉しく存じます
- お心遣い嬉しく存じます
- お心遣い嬉しい限りです
- お力になれて嬉しい限りです
- わたくしでお力になれるのしたら、大変喜ばしい限りです
- お目にかかれて嬉しゅうございます(嬉しい限りです)
- この度はお招きにあずかり、嬉しい限りです
- プロジェクトに携わることができること、大変嬉しく思っております
などなどが正しい使用方法です。「嬉しい」の敬語表現だけでなく文章中全体的な敬語の表現方法のバランスが重要ですので、内容に沿った敬語を使用していきましょう。
「教えてもらえると幸いです」
「〇〇の日程について教えてもらえると嬉しいです」こんな文章使用していませんか?
上司や先輩に対して使用する場合、関係性が親密であればセーフかもしれません。しかし、取引先や初対面で、そこまで気がしれていないビジネスパートナーにこんな文面を綴ってしまうと信頼が低下するでしょう。
正しい使い方は以下の通りです。
「〇〇の日程について教えていただけると幸いです」
この場合は「嬉しいです」ではなく「幸いです」を使用すると自然でしょう。
嬉しいではなく感謝の意を伝える
嬉しいです。と喜びを伝える方法だけでなく、自分が喜んでいる様は感謝の言葉でも間接的に表現することができます。
- お招きいただき感激しております
- お招きいただきましたこと、深く感謝しております
- お招きいただきましたこと、深く感謝申し上げます
- なんと感謝の言葉を申し上げていいのか、言葉もありません
- ご親切賜り、感謝の言葉もございません
- 厚いお心遣いに胸がいっぱいです
- お気遣いありがとうございます
- ありがたく頂戴いたします
などなどです。感謝の言葉を相手にしっかり伝えることで自分がどれほど嬉しく思っているのかを相手にわかってもらうことができます。
特にスピーチなどで「嬉しい」ということを表現する場合は、「感謝」を伝えると敬語のバリエーションが広がりますのでぜひ応用してみてください。
まとめ
嬉しい気持ちをしっかり心を込めて相手に伝えることで、相手との関係が深まります。どんどん相手に感謝の気持ちを伝えて高め合い、関係性を強固なものにしていきましょう。
敬語がスラスラ使える様になると、相手とのコミュニケーションも円滑になり、丁寧な関係性を築くことができます。しっかりマスターして誰とでも交渉ができる信頼関係を築ける様になれるといいですね!
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