「ご手配」と「お手配」の違いと正しい使い方・敬語を紹介!

ビジネスシーンでは「ご手配いただきありがとうございます」「ご手配のほどよろしくお願いいたします」などと、よく使いますよね。また、「お手配くださいませ」などとも使います。

「ご手配」も「お手配」も「手配」の敬語です。使い方によって、尊敬や謙譲の気持ちを表したり言葉を丁寧にしたりします。でも、実際に使うとなると、「ご手配」と「お手配」のどちらを使えばいいか、迷いますよね。

「ご手配」と「お手配」の違いと使い方を例文付きでお伝えしますね。

「ご手配」は「手配」の敬語表現

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ビジネスシーンの会話やビジネス文書・ビジネスメールでは、よく「ご手配」「お手配」という言葉を使います。相手が迅速に対応してくれた時、「早速ご手配いただきましたこと、御礼申し上げます」「早々にお手配くださいまして、誠にありがとうございます」などとお礼を言います。

「ご手配」と「お手配」は、どう違うのか? どちらが正しいのか? 迷うことがありますよね。どちらも「手配」の敬語ですから、基本的にはどちらも正しいと言えます。でも、「ご手配」と「お手配」には、微妙な違いがあります。

[手配の意味は?]

手配には、2つの意味があります。1つは「指名手配」「手配書」など「犯人を逮捕するために必要な指令や処置をする」という意味です。もう1つは「仕事・行事などの段取りを組んだり割り当てを行ったり、また予測される行動に備えたりするために、必要な準備を抜かりなくする」と言う意味です。

犯人逮捕のための指令・処置

「犯人を逮捕するための必要な指令や処置をする」意味の「手配」には、「お」「ご」の接頭語をつけて敬語にすることはありません。下記の例のように使います。

  • ○○を全国に指名手配した。
  • 車で逃走中の容疑者を捕らえるために、道路封鎖の手配をする。

仕事や行事のための準備

「仕事や行事のために段取り・割り当て・予測行動の備えなど必要な準備を抜かりなくする」意味の手配は、ビジネスシーンでよく使われます。こちらの「手配」にはビジネスマナーに従って「お」「ご」の接頭語をつけて使うことが多くなります。

  • 新入社員のために名刺を手配した。
  • お客様にはハイヤーを手配します。
  • 海外出張の航空券は手配済みです。
  • 御注文の文庫本30冊は、本日手配いたしましたので御確認ください。

[手配の敬語は「ご手配」「お手配」]

社会人は場面に応じて敬語を正しく使う必要があります。敬語を正しく使い分けることは、ビジネスマナーの基本です。相手に対する尊敬の気持ちを伝えて、良好な人間関係・信頼関係を構築できます。

ビジネスシーンの会話やビジネス文書・ビジネスメールでは、「手配」の敬語「ご手配」「お手配」をよく使います。

接頭語をつけて敬語表現にする

言葉の頭に「お」「ご」「おん」「み」の接頭語をつけると、敬語表現になります。漢字で書くと、どれも「御」ですが、言葉や場面によって読み方が違ってきます。

「お断りする」は「断る」の敬語表現です。「ご説明する」は「説明する」の敬語表現です。同じように「手配」に「お」「ご」をつけて「お手配」「ご手配」という敬語にします。

接頭語「お」と「ご」のつけ方には基本的なルールがあります。

接頭語「お」は和語につける

接頭語「お」は原則として「和語」につけます。「和語」とは訓読みする言葉です。「おん」や「み」も、原則的に「和語・訓読み」につけます。

  • お名前・お花・お顔・お荷物・お水・お酒・お魚・お味噌汁
  • み顔・おん手・おみ足・おみおつけ

接頭語「ご」は漢語につける

接頭語「ご」は原則として「漢語」につけます。「漢語」とは音読みする言葉です。

  • ご主人・ご確認・ご来駕・ご参加・ご賛同・ご尊顔・ご酒(しゅ)

「酒」は「さけ」と訓読みすれば「おさけ」、「しゅ」と音読みすれば「ごしゅ」となります。

例外もある

和語に「ご」をつけたり、漢語に「お」「おん」をつけたりする場合もあります。また、「お」と「ご」の両方をつける言葉もあります。

①和語に「ご」をつける

ごゆっくり・ごもっとも

②漢語に「お」「おん」をつける

お散歩・お食事・お掃除・お醤油・おん社・お会社

③「ご」と「お」の両方をつける

返事・病気・勉強などには、「お」と「ご」の両方がつきます。

お返事/ご返事 お病気/ご病気 お勉強/ご勉強 お手配/ご手配

「手配」は「湯桶(ゆとう)読み」なので、「お」と「ご」の両方がつく

「手配」は湯桶読みの言葉なので、「お」と「ご」の両方がつきます。「ご手配」でも「お手配」でも、どちらも正しい言い方です。どちらも敬語表現です。

「手配」は「て」という訓読みと「はい」という音読みが混じった読み方で、「湯桶読み」といいます。上が音読み・下が訓読みの場合は「重箱(じゅうばこ)読み」といいます。

④外来語には「お」「ご」の接頭語はつけない

原則として、外来語には「お」「ご」の接頭語はつけません。「おコーヒー」「おジュース」はNGです。「お醤油」と同じように「おソース」と言う人がいます。「ソース」が和語になってしまっていると考えれば、NGとも言い切れません。でも「おウスターソース」「おデミグラスソース」は絶対NGです。

[敬語には3種類ある]

敬語は日本語独特の美しい表現です。敬語には、尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類あります。

尊敬語

尊敬語は、相手および相手に属する人や物の行動・動作・態度・状態を高く持ち上げて表現します。相手を高く持ち上げることで、相手に対する尊敬の気持ちを伝えます。

謙譲語

謙譲語は、自分および自分に属する人や物の行動・動作・態度をヘリ下って表現します。自分を低くすることで相手を高く持ち上げ、相手に敬意を伝えます。

丁寧語

丁寧語は、「丁寧語」と「美化語」に分かれます。話し手の丁寧な気持ちを直接表現するのが「丁寧語」です。「です」「ます」「ございます」などです。「美化語」は、言葉を丁寧に美しく表現するものです。「お花」「ご来客」「み手」「おん社」などです。

「ご手配」は尊敬語、謙譲語それとも美化語?

「ご手配」「お手配」は、相手の行動・動作を表す場合は尊敬語になります。自分の行動を表す場合は謙譲語になります。単に美しく丁寧な表現をする場合は、美化語になります。

「お手配」は美化語としてよく使われる

「お手配」は柔らかく上品な言葉です。女性らしい美しい表現です。「お手配」は美化語として、よく使われます。

「ご手配」は堅くてビジネス的な感じ

「ご手配」は堅くてビジネス的な感じがします。強い要求や緊急性を感じさせます。美化語としても使われますが、尊敬語または謙譲語としてよく使われます。

「ご手配」と「お手配」の違いは?

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「ご手配」も「お手配」も、「手配」の敬語表現です。文書やメールでは「御手配」と書けば間違うことはありませんが、ビジネスシーンの会話では「ご手配」と「お手配」を使い分ける必要があります。ビジネスシーンでは「ご手配」を使うことが多くなります。

[「ご手配」には緊急性がある]

「ご手配」は尊敬と謙譲を表す言葉ですが、さらに強い要求や緊急性を意味しています。「お手配」は美しい表現で尊敬や謙譲を表していますが、強い要求や緊急性の意味がありません。

また、「ご」は漢語によく使う接頭語なので「ご手配」には堅いビジネス的な感じがします。

早急な手配には「ご手配」を使う

相手に何か早急な手配を依頼する場合は、「ご手配」を使います。「早急にご手配お願いいたします」「早急にご手配くださいますようお願い申し上げます」などと使います。また、「迅速にご手配いただき、誠にありがとうございます」と手配を急がせた時のお礼にも使います。

緊急性がなく急がせる必要がない時は「お手配」を使う

緊急性がなく、手配を急がせる必要のない時は「お手配」を使います。「おついでの時に、航空券のお手配をお願いいたします」などと使います。

「お手配」を使うと相手に柔らかな印象を与え、「急ぎ」と思わせることがありません。格式ばったことが嫌いな人や緊急性のない頼みごとは、「お手配」にする方が良いでしょう。

[立場がかなり上の人には「ご手配」の方が無難]

「ご手配」も「お手配」も敬語表現です。日本語の文法的にはどちらも正しいのですが、実際的な用法では「ご手配」の方が敬意表現が高い印象を与えます。

立場がかなり高い人や年長者には「ご手配」を使う方が無難です。「敬語を正しく使っている」「日本語の使い方が正しい」という印象を与えます。

どちらを使うか迷った時は「ご手配」

「ご手配」と「お手配」のどちらを使うべきか、迷った時は「ご手配」にします。「ご手配」の方が敬意表現が高くビジネス的な感じがします。

ビジネス文書やビジネスメールでは「御手配」と書けば、間違いありません。

[「ご手配くださる」と「ご手配いただく」の違いは?]

「ご手配くださる」は尊敬語です。「相手が何か手配する」という動作・行動を高く持ち上げる表現です。「くださる」は「くれる」の尊敬語です。

「ご手配いただく」は謙譲語です。「自分が相手に手配してもらう」ことをヘリ下って表現しています。「いただく」は「もらう」の謙譲語です。

相手が自分の意志で手配してくれた場合は「ご手配くださる」

こちらが急かしたり頼んだりしていないのに、相手が自分の意志で手配してくれたケースでは「ご手配くださる」とします。

  • 私のチケットまでご手配くださいまして、誠にありがとうございました。
  • ホテルの予約だけでなく航空券までご手配くださるとは、御親切に感謝いたします。

相手に無理を言ったり依頼したりした場合は「ご手配いただく」

相手に無理を言ったり急かしたり手配を依頼したケースでは、「ご手配いただく」とします。自分が相手に頼んで手配してもらったので、自分をヘリ下って表現します。

  • 〇月〇日までにご手配いただきますようお願い申し上げます。
  • 迅速にご手配いただきまして、誠にありがとうございました。

「ご手配」と「お手配」の使い方

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「ご手配」はビジネスシーンでよく使われます。ビジネスの関係で「ご手配」か「お手配」か迷った時は、「ご手配」を使う方が無難です。けれども、同僚や先輩など親しい人と会話する時は、「お手配」の方がオススメです。柔らかな雰囲気になります。女性は、女らしい優しい印象を与えることができます。

「ご手配」「お手配」の使い方と例文です。

[「ご手配」の使い方]

「ご手配」の使い方には、いくつかあります。以下は使い方の例文です。

①ご手配

シンプルに「ご手配」のみを使う方法です。社内メールなどで、よく使われます。

  • 〇月〇日の福岡出張の旅券のご手配をお願いいたします。
  • この度は迅速なご手配ありがとうございます。

②ご手配のほど

何か手配を頼む時には「ご手配」に「ほど」をつけます。丁寧な表現になります。

  • 先日はサンプルカタログをご送付いただきましてありがとうございました。下記の通りご注文申し上げます。お手数かけますが、ご手配のほどよろしくお願い申し上げます。
  • 明後日の札幌出張の旅券が、まだ手元に届いておりません。御多忙中恐縮ですが、早急にご手配のほどよろしくお願いいたします。

③ご手配くださる

相手が手配してくれることを表現します。手配してくれる人への尊敬表現です。立場の上の人や年長者に対して使うことができます。

  • 先日ご送付いただきましたサンプルカタログからご注文申し上げましたが、1週間以上経ちますのに私の手元にサンプルが届いておりません。御多忙中お手数かけますが、早急にご手配くださいますようお願い申し上げます。
  • 来週のシンガポール出張の航空券からホテルまでご手配くださいまして、本当にありがとうございます。お忙しいところ、お手数おかけいたしました。

④ご手配いただく

自分が相手に手配してもらうことの謙譲表現です。ビジネスメールでもビジネスの会話でもよく使われます。かなり目上の人にも使えます。

  • お忙しいところ大変恐縮ではございますが、先日発注いたしました商品を急ぎご手配いただきますようよろしくお願い申し上げます。
  • この度は早速ご手配いただきまして、誠にありがとうございました。

[「お手配」の使い方]

ビジネスシーンでも「お手配」を使うことがあります。「お手配」を使うと、上品な大人の会話ができます。「ご手配」よりも雰囲気が柔らかくなり、会話が弾む可能性があります。

また、手配の内容が重大な仕事でなかったり急ぐ必要がなかったりする時は、社内メールでも「お手配」を使います。

お手配の使い方にもいくつかあります。

①お手配

シンプルに「お手配」だけを使います。同僚や親しい先輩との会話で使います。会話する相手に丁寧で上品なイメージを与えることができます。

  • 航空券のお手配、ありがとうございます。

②お手配のほど

「お手配」に「ほど」を加えて、より丁寧な表現にします。手配する内容が重大な仕事でも急ぐことでもない時は、社内メールでも「お手配」を使う方が柔らかくなります。

  • ○○さんの送別会の出席者は20人です。会場と料理は私どもで手配済みです。申し訳ありませんが、当日○○さんに贈呈する花束だけお手配のほどお願いいたします。
  • 3ヶ月後の△月△日に鹿児島に出張いたします。お忙しいところお手数かけますが、航空券のお手配のほどよろしくお願いいたします。

③お手配くださる・お手配いただく

「お手配くださる」は尊敬語、「お手配いただく」は謙譲語です。会話では、「お手配」でも相手に尊敬と感謝の気持ちを十分に伝えることができます。

  • 私どものためにホテルから航空券までお手配くださいまして、何とお礼を申し上げてよいのかわかりません。
  • 会場からお料理まで何から何まで懇親会のお手配いただきまして、誠にありがとうございます。当日は早めに参りまして、お手伝いさせていただきます。
  • 御社の商品サンプルを拝見したいのですが、お手配くださいませんか?

④急ぐ場合は、「お手配」はNG

急ぎの場合や強く要求するケースでは、会話でもメールでも「お手配」はNGです。必ず「ご手配」を使います。

下記はNG例です。

  • 明日の富山出張の旅券が、まだ私の手元に届いておりません。お忙しいとは存じますが、早急にお手配くださいますようお願いいたします。
  • 御社の商品を検討いたしたく存じます。早急に商品サンプルのお手配のほどお願いいたします。

まとめ ビジネスでは「ご手配」を使う方が無難

「手配」とは「仕事や行事で段取りを組んだり割り当てをしたり、予想される行動に対して備えたりするために、抜かりなく準備する」という意味です。「手配」を敬語表現にする時は、「お」「ご」の接頭語をつけて「お手配」「ご手配」とします。

「お手配」も「ご手配」も基本的にはどちらも「手配」の敬語です。どちらを使っても相手に対する尊敬の気持ちを伝えられますが、「お手配」と「ご手配」には微妙な違いがあります。

「ご手配」は堅くてビジネス的です。実際的な用法では敬意表現が高いように思われます。立場がかなり上の人や年長者には「ご手配」を使います。また、「ご手配」は強い要求や緊急性を意味します。そのため、ビジネスシーンの会話やビジネス文書・ビジネスメールでは「ご手配」がよく使われます。

「お手配」は上品で美しい表現です。会話をする時に「お手配」を使うと、話し手の印象が柔らかく上品になります。手配の内容が重要な仕事でも緊急でもない時は、社内メールでも使います。

「ご手配」と「お手配」は相手や状況に応じて使い分けることをオススメします。でも、迷った時は、ビジネスでは「ご手配」を使う方が無難です。ビジネスメールやビジネス文書では「御手配」と漢字にすれば間違いありません。

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