喉に異物感を感じる。なんとなく食べ物を飲み込みにくかったり、声がかすれてしまったり…異物感に伴う症状もまた、気になるものです。症状が何日も続けば不安になるかもしれませんよね。
喉・咽頭に異物感・イガイガする感じがあり、それがなかなか解消されないとき、何かしらの病気の可能性があるかもしれません。それは時としてが必要なこともあります。では、その原因や治療、改善方法についてみていくことにしましょう。
喉に異物感…その原因は?
喉の奥というのは肉眼でみることができませんから、異物感があっても実際どうなっているのかはわかりません。その具体的な原因を探るためには、きちんとした検査を受け、先生に相談する必要があります。
では、喉の異物感を発症させる身近な原因としてはどんなことが考えられるのでしょうか。もし、症状に心当たりがあるようでしたら注意が必要ですよ。
声帯の異常
声帯とは声を出すところです。弁があり、それを空気で振動させることで音を出します。この部分に異常が起こると、喉に異物感を感じます。声帯の異常には具体的に以下の疾患があります。
声帯ポリープ
普段から声を出す職業に多い病気といわれています。具体的には歌手や保育士、学校の先生に多いといいます。その名の通り、声帯にポリープができてしまう病気で、喉の異物感を感じます。
声帯ポリープは声の使いすぎによる炎症症状がきっかけで起こります。その状態でさらに声帯を使い続けると、炎症はひどくなってしまいます。そして患部は充血を起こし、さらに腫れ上がります。
声帯ポリープの症状は喉の異物感のほか、嗄声、つまりガラガラとした声を発症します。空気が漏れているような声しかでなくなり、声が低くなることも特徴です。
声帯ポリープの治療は治るまで発声を抑えることです。そうすれば自然と治っていきます。症状がひどい場合は炎症を抑える薬の服用や、場合によっては手術を行うこともあります。詳しくは声帯ポリープは手術じゃなくても治る?投薬治療での副作用を知ろう!症状や原因は?を読んでおきましょう。
声帯結節
ポリープ同様に喉に異物感を感じます。結節という手にできるマメのようなものが声帯にできます。喉の異物感のほか、のどのガラガラ、空気が漏れるような発声。ときには痛みを感じることもあります。
結節は子供によくみられる病気で、風邪で喉の炎症を起こしているときに発声をしてしまうことがきっかけで起こります。声を出し続ければより悪循環にはまってしまうことがあります。
声帯結節の治療はポリープ同様に発声を抑えることが最大のポイントです。再発することもあるので、十分治ったと感じるまで安静にしていることが大切でしょう。
声帯萎縮
その名の通り、声帯が萎縮し小さくなってしまう状態です。年齢を重ねるほど萎縮が進み、発声がうまくできないこともあります。声帯がうまく閉じないので、隙間ができます。
声帯萎縮は加齢のほか、炎症や声帯の麻痺などが原因で起こることがあります。症状としては声を出しにくくなったり、発声が弱くなるなどがあります。治療法は発声を強くする訓練を行う、外科手術などの方法があります。
反回神経麻痺
声帯の開け閉めをしている反回神経が麻痺を起こしてしまう状態です。声帯の開け閉めがうまくいかず、発声に異常をきたすことがあります。その他、誤嚥やむせるといった症状を発症することがあります。
反回神経麻痺の原因は脳の血管障害、声帯周囲のがんなどが考えられます。重篤な病気である可能性が高いので、早急に治療を始める必要があるでしょう。
喉の異物感と逆流性食道炎
テレビのCMで逆流性食道炎(胃食道逆流症、逆流性胃炎)という病名を聞いたことがある人もいるかもしれません。
その名の通り、胃内の消化液が逆流し、食道の粘膜を傷つけてしまい、炎症・潰瘍を作る病気です。では、具体的な原因や症状についてみていきましょう。
逆流性食道炎の原因とは
食道炎の原因は多岐に渡り、以下のことが挙げられます。
食生活に問題がある
食道と胃の接続部には下部食道括約筋という筋肉があります。この筋肉は食事が入って来た時に緩み、それ以外ではしまっていて、胃の内容物の逆流を防ぐ役割があります。
さて、普段から食事量が多いとこの括約筋の機能が低下することがあります。胃の内容量が多くなったり、食事をしていないときでも開いてしまうことがあるのですね。
また、食事量が多いことと合わせて、脂肪の多い食事をすると胃酸が普段と比べて大量に分泌されるようになります。括約筋が緩むことと、胃酸が多く分泌されること。これら2つが逆流炎食道炎を招くきっかけとなるのです。
加齢によるもの
年齢が高くなるほど、下部食道括約筋の機能低下が起こりやすくなります。このため、普通の食事量でも、食事が逆流しやすくなることがあります。
また、そのほか筋肉の機能も低下し、食道の蠕動運動がうまくできず、病気を招くきっかけとなることがあります。
姿勢が悪い
姿勢がの悪さも逆流性食道炎のきっかけとなります。例えば猫背の姿勢は内臓、特に胃を圧迫し、食べ物が逆流しやすい環境を作り出します。普段から姿勢が悪い人は注意が必要でしょう。
また、喉の呼気の通りも悪くなるので痰や吐き気を発症しやすくなります。咳き込み、喉のつまりなどを感じるときは、姿勢に気をつけて見てください。
同様の理由で肥満も病気のきっかけになることがあります。お腹の脂肪が胃を圧迫してしまうのですね。姿勢が悪く、太っている人は病気に十分気をつける必要があるでしょう。
逆流性食道炎の前兆
病気が起きているかどうかというのは、もちろん目で見ることはできません。ただ、以下のことに心当たりがあるようでしたら、注意が必要かもしれません。
- 胃のむかつき
- 胸焼け
- 胃痛
- 喉の異物感
- 声のかすれ
喉の異物感など喉に関して異常が出ているようであれば、症状は深刻かもしれませんね。先の原因と合わせて、生活習慣を改善していくことが病気を治す第一歩でしょう。
逆流性食道炎の治療
逆流性食道炎の治療では生活習慣の改善と合わせて、薬物療法をしていきます。炎症や潰瘍を改善する薬を継続して飲むことで、症状を治していきます。
一方、症状が繰り返されたり、深刻なケースでは手術を行うこともあります。
神経性胃炎
同じようなストレス性疾患に神経性胃炎があります。継続的なストレスによる自律神経の乱れが引き金となって発症します。喉の異物感や胸焼け、胃の痛みを発症します。
日頃のストレスに加え、精神的な落ち込みや睡眠時間が取れない、もしくは眠れないなどの症状がでているときはかなりストレスを受けていることがあります。消化器科に行くことも大事ですが、精神科の検討もしてみてください。
詳しくは、神経性胃炎について!症状・原因・治療方法を知っておこう!を読んでおきましょう。
食道がんとの関係
喉の異物感と関係している食道性の病気として食道がんがあげられます。飲食物を食べて、なんとなくしみたり、痛みを感じるようであれば、逆流性食道炎と同じく、食道がんを疑ってみる必要があります。
特に固形物の飲み込みが難しいと感じているようであれば、病気が進行しているサインです。症状が続いているようであれば、すぐさま検査をするようにしましょう。
食道がんの進行によって声が枯れるという症状や、場合によっては吐血症状も見られることもあります。そうなる前に、早めの治療をすることが望ましいでしょう。
喉の異物感と甲状腺
甲状腺は喉にある臓器です。主に代謝作用に関係する甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺に異常が起こると、喉の異物感を感じることがあります。
甲状腺の病気として具体的には以下のことが考えられます。
甲状腺腫瘤
甲状腺部に腫瘤ができる状態です。腫瘤には良性腫瘍と悪性腫瘍の2つがありますが、どちらの場合でも体に大きな悪影響を与えることは少ないといわれています。きちんと治療すれば、完治する病気です。
甲状腺腫瘤の症状としては喉の違和感のほか、見た目でわかる首の腫れ、声が枯れるなどの症状がみられます。初期症状では首を触るとしこりを感じることがあります。自覚症状として大きな症状はあまりありません。
甲状腺腫瘤は先に述べたように良性腫瘍と悪性腫瘍に分けられますが、それぞれもさらに分類されます。具体的には以下の通りです。
良性腫瘍
良性腫瘍には濾胞腺腫と腺腫様甲状腺腫という2つの種類があります。濾胞腺腫はくびにしこりがあるものの、痛みはなく、時間経過とともに成長していくことが特徴です。腺腫様甲状腺腫は首の左右に大小のしこりを作ることがあります。
どちらも基本的に良性の腫瘍ですが、稀に悪性腫瘍があります。そのため、きちんとした検査・治療を受けることが大切です。腫瘍性の病気が見つかった時はきちんとした対処法を実施するようにしましょう。
悪性腫瘍
悪性腫瘍には甲状腺がんや乳頭がん、濾胞がん、髄様がんがあります。どれもおとなしいがんなので、早期発見・早期治療がなされれば、心配するほどの病気ではありません。実に95%のがんが命の危険性が低いといわれています。
具体的な治療方法としては手術による摘出術、アイソトープ治療、放射線治療などが行われます。首の違和感、特に喉の異物感があり、触ってみるとしこりがある、リンパ節が腫れているというのであれば、甲状腺を疑ってみてください。
喉の異物感と自律神経失調症
自律神経は体の興奮と鎮静を司る神経です。このバランスが崩れてしまう状態を自律神経失調症といいます。更年期の女性に好発し、ホルモンバランスの崩れが症状の引き金になるともいわれています。
自律神経失調症では、喉に異物感を感じることがあります。飲食物を飲み込むという嚥下は自律神経が作用し、行っているためです。神経の機能が低下することで、嚥下に障害を起こしてしまったり、違和感を感じることがあります。
独特の異物感
自律神経失調症では喉に強い異物感を感じることがあります。それは小骨が刺さったような感じから、小さい球がコロコロと転がるような不思議な感覚です。このような症状をヒステリー球ともいいます。
このような症状とともに、喉や口の渇きなどを発症することがあります。喉が渇いて、咳をしてしまうこともあるかもしれません。しばし、注意が必要でしょう。
内視鏡検査で喉の検査をしてみても、異常が見つからないという特徴もあります。これは心因性に起因しているためですね。治療のためには自律神経を整える生活を心がけることが大切でしょう。
一方、内視鏡でみたとき異常がないと知り、それが心的安心をもたらし症状が快方に向かうということもあるようです。心配するよりも、まずは専門の科・病院で検査を受けてみるといいかもしれませんね。
自律神経失調症の原因
病気の原因は先に述べたようにホルモンバランスの乱れがきっかけとして起こります。ただ、この乱れを起こす原因もさらに様々なものがあります。閉経も1つの原因ですが、それだけではありません。
例えば、夜更かしをしていたり、不規則な生活をしていると、自律神経の乱れを招くことがあります。ストレス性の要因によって体のリズムが崩れ、自律神経失調症を発症することがあります。
ストレスが多い状況・環境も病気の原因となることがあります。仕事でも人間関係でも、継続的なストレスがあるようであれば、病気のリスクを高めてしまうでしょう。
自律神経失調症の治療法
自律神経失調症の治療法は、まずその原因を深く探ることから始まります。不規則な生活や、夜更かし、食生活の乱れ、ストレスなど様々なことが引き金となって発症することがありますから、注意深く探る必要があるでしょう。
喉の異物感に関しては、症状が出ているうちは食べ物をよく噛むなどして、なるべく喉の負担を軽くしてあげることが大切です。嚥下障害ではないので、食事に気を配ることが大切です。生活リズムが整い、ストレスが減少してくると、症状は徐々に薄らいでいくでしょう。運動などをしてストレスを発散することも大事です。
喉の異物感と扁桃炎・咽頭炎
喉に異物感を感じるとともに、痛みを感じる。そういったときは扁桃炎、もしくは咽頭炎(急性咽頭炎)の可能性があるでしょう。扁桃炎は細菌感染によって扁桃に発症する炎症症状です。
扁桃炎は炎症のほか腫れ、痛みを発症します。伴って、発熱や痛み、呼吸のしずらさを感じることがあります。症状が持続するようであれば、注意が必要です。
ちなみに喉の奥(舌扁桃)に炎症症状が見られる舌扁桃炎という病気もあります。風邪をきっかけとして発症することがあり、同様に喉の異物感を発症します。
扁桃炎の治療では原因菌に対して抗生物質を服用することで治療していきます。また、喉への刺激を抑え、十分に休むことも治療の上で大切です。
その他、ネブライザー治療という方法も実施することがあります。これは霧状にした薬剤を口から噴射することで、患部に効率的に薬物を塗布します。
喉の異物感とアレルギー
喉の異物感はアレルギーによって発症することがあります。それは食物アレルギーのほか、ハウスダストなどの身近な生活環境がきっかけになることがあります。
食物アレルギーではしばしアレルギー食品を食べることで、喉の違和感を感じることがあります。アレルギー症状の程度は人によって異なりますが、喉の違和感だけということもあります。
ハウスダストではダニアレルギーが多いといいます。衣類や絨毯などを長期間掃除していないと、アレルギー症状を発症してしまうことがあります。特に子供は床に近い場所で過ごすことが多いので、アレルギーを発症することがあります。
アレルギーの改善
食物アレルギーに関しては自分がどの食材に対してアレルギーを持っているのかを検査し、普段から避けるようにしてみましょう。症状が小さければ問題はないと思います。
ハウスダストに関しては日頃からきちんと掃除を行い、生活環境をよくするようにしてください。こまめに掃除機をかけたり、洗濯をしたり。こういったことを意識するだけでも症状が改善されることがあります。
アレルギーを持っている人は人よりも環境に敏感です。ですが、周囲の環境に意識を配ることができれば、体の状態を保つことができます。少しずつでいいので、改善してみてくださいね。
まとめ
喉に異物感を感じた時、その原因は多岐に渡ります。大したことがない症状といえばそうですが、時として何かしらの病気が隠れていることがあります。悪性腫瘍であれば、それほど危険ではないとしても、やはり早期治療をしたほうがいいでしょう。
また、自律神経失調症のように、単にストレスが原因で発症していることもあります。このようなケースでは、往々にして生活習慣に原因が隠れているので、1つ1つ改善していく必要があります。
喉の異物感は体から発せられる危険信号の1つです。症状が軽いからといって放置することのないようにしてくださいね。内科などの病院へすぐ行くことをおすすめします。
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