朝起きて身支度を整えていると、目の下にクマが現れていて自分の人相が変わっていることに驚いた経験は、誰でも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
仕事で残業続きだったり、試験勉強で徹夜をしたりなど理由は人それぞれだと思いますが、目の下にクマができるのは睡眠不足や疲労が関係していると、ほとんどの方がお考えのはずです。
たしかに目の下のクマの原因の一つには睡眠不足や疲労が挙げられます。しかしながら、目の下のクマができる原因はそれだけではなく、目の下のクマにもいくつかの種類が存在するのです。
そこで今回は、目の下のクマの種類やその原因を明らかにしつつ、それぞれの解消法をご紹介したいと思いますので、参考にしていただければ幸いです。
目の下のクマに関する基礎知識
目の下のクマの解消や効果的な対策をするには、まず目の下のクマについての基礎知識を知っておくことが必要です。
そもそも目の下のクマとは、どういう状態のことなのでしょうか?また、目の下のクマには、どのような種類が存在するのでしょうか?
目の下のクマとは?
目の下のクマは、漢字で目の下の隈(くま)と書かれ、眼窩(眼球が収納されるくぼみ)の下の皮膚に生じる黒ずんだ部分のことです。
目元の構造
目の周辺は、目が重要な器官であることから毛細血管が非常に多く存在し、その毛細血管を通じて目に酸素や栄養素が供給されています。
また、眼球の周りには眼球や瞼(まぶた)を動かす筋肉(上眼瞼挙筋や下斜筋など)があり、これらの筋肉と眼球を覆うように眼窩脂肪が存在して眼窩に収まっています。眼窩脂肪は、いわば目を保護する緩衝材のような役割を担います。
さらに眼窩を外側から覆うように存在するのが、上下に開閉する瞼(上まぶた・下まぶた)です。この瞼は表情筋の一つである眼輪筋・脂肪・外側の皮膚で構成され、外側の皮膚が非常に薄いことが知られています。
目の下のクマの種類
このような目の下のクマは、クマが生じる原因によって大きく3種類に分類することができます。具体的には、次のように分類されます。
- 青クマ(青グマ):主に血行不良が原因
- 茶クマ(茶グマ):主に色素沈着が原因
- 黒クマ(黒グマ):主に顔の造作や加齢による変化が原因
青クマ(青グマ)とは?
青クマは、目元・目の下の皮膚がうっすらと青みがかって見える状態・症状のことで、場合によっては薄い紫色のように見えることもあります。
茶クマ(茶グマ)とは?
茶クマは、目元・目の下の皮膚が茶色っぽく、くすんだように見える状態・症状のことです。場合によっては、下まぶただけでなく、上まぶたにも茶色がかった肌のくすみが現れます。
黒クマ(黒グマ)とは?
黒クマは、目元・目の直下に存在する涙袋という膨らみの下側に、さらに膨らみ(目袋)ができることによって光の加減で影が生じ、その影の線が黒く見える状態のことを言います。
目の下のクマの見分け方
このように目の下のクマが、原因に応じて肌の色に違いが生じるとしても、その肌の黒ずみの違いを何の知識もなく見分けるのは難しいものです。そこで、簡単な見分け方をご紹介したいと思います。
まず、下まぶたを軽く下側に引っ張った場合に、肌・皮膚の色に変化が無ければ茶クマとなり、肌・皮膚の色が多少薄く変化するようであれば青クマか黒クマとなります。
次に青クマと黒クマの見分け方ですが、涙袋の下に目袋があって、目袋の部分を綿棒などで軽く押し込んでみて黒ずみ(影)が消えるようならば、黒クマとなります。逆に目袋がなかったり、目袋を押し込んみても黒ずみが消えないならば、青クマと判断することになるでしょう。
青クマの原因と改善方法
このように目の下のクマの見分け方や基礎知識を把握したうえで、青クマ・茶クマ・黒クマそれぞれの原因や改善法・解消方法を詳しく見ていきたいと思います。
まずは、青クマが発生する原因と改善方法を、ご紹介したいと思います。
青クマの原因
青クマは、私達が目の下のクマと聞いてイメージする最も一般的なタイプのクマで、主に目の周辺の毛細血管の血行不良が原因となって発症します。
つまり、青クマとは何らかの要因によって、目の周辺の毛細血管で血流が悪くなり、血液が毛細血管の静脈内に停滞するうっ血が生じていて、その状態が目の周辺の皮膚が薄いことにより透けて見えるということなのです。
毛細血管の血流が悪くなる要因
青クマを発生させる毛細血管の血流低下は、様々な要因によって引き起こされます。具体的には、次のようなことによって血行不良・血流低下が生じます。
- 冷え、低体温
- 不規則な生活習慣
- 睡眠不足
- 身体の疲れ、体調不良
- ストレス
- 目の酷使(眼精疲労、ドライアイ)
- 貧血
- 遺伝による毛細血管の静脈の膨らみ
青クマの改善方法
青クマの改善方法は、原因となっている血行不良から血流改善を促すことに尽きます。目の周辺の血流を良くするためには、具体的に次のような方法が挙げられます。
- ツボ押し
- 目元マッサージ
- 目元のホットパック
- 全身の血流をよくする適度な運動
- 全身の血流をよくする入浴
また、女性の場合には、オレンジ系のコンシーラーを使って、メイクで目の下のクマを隠すことも一時的な改善方法と言えるかもしれません。ただし、目の下のクマを隠そうとするあまり、厚塗りになってしまうと余計に目立つ結果になりかねませんから、適度な薄塗りがポイントです。
ツボ押し
目の疲れ・眼精疲労に効果的なツボがあり、そのツボを痛くならない程度の強さで5秒ほど押すことを3回くらい繰り返すと、目の周辺の血行が促進されます。目の疲れ・眼精疲労に効果的なツボは、次のような場所にあります。
- 鼻の付け根と目頭の間のくぼんだ場所
- 目尻から指一本分ほど外側のわずかにくぼんだ場所
- 目尻の外側のこめかみのあたりで、骨がくぼんだ場所
目元マッサージ
目元マッサージは、専用クリームを使用して滑りを良くすることと、強くこすり過ぎないことが重要です。これらに気をつけないと、茶クマが生じる原因になりかねません。
薬指を使うと、余計な力が入り過ぎずに適度な圧力をかけられ、血行促進に繋がるとされています。金属製のスプーンを温めて指の代わりにする方法もあります。
また、目の周辺の老廃物を流し出すためにも、顔周辺のリンパの流れを良くするリンパマッサージを取り入れると、なお血行が促進されるでしょう。リンパを刺激するには、耳の後ろのリンパ節・目元・頭皮・口輪筋の周辺など顔全体をリンパの流れを意識しながらマッサージする必要があります。
目元のホットパック
ホットパックとは、いわゆる温熱療法の一つです。目元を温めることで、血行が促進されます。電子レンジで蒸しタオルを用意して、仰向けになって目元を温めると良いでしょう。
全身の血流を良くする
目元の血行だけを良くしても、全身の血行が悪いと元も子もありません。全身の血流を良くすると、目元の血流も良くなります。ですから、適度な運動や入浴なども、青クマの改善方法の一つになるのです。
茶クマの原因と改善方法
それでは、茶クマはどのような原因によって発生するのでしょうか?また、茶クマが現れた場合には、どのような対処法があるのでしょうか?
茶クマが発生する原因とその対処法・改善方法を、ご紹介したいと思います。
茶クマの種類
茶クマは、主に皮膚に色素が沈着して生じた、皮膚が茶色っぽく、くすんだように見える状態のことです。茶クマは、皮膚のどの部分に異常が現われているかによって、2種類に分類することができます。
皮膚には、外側から表皮、真皮、皮下脂肪などの皮下組織という三層で構成されています。そして、表皮に異常があるのか、真皮に異常があるのかで、原因や改善方法も異なります。
茶クマの原因
茶クマは、表皮と真皮のどちらに異常があるのかで、その原因が異なります。
表皮に異常がある場合
皮膚の表皮に異常がある場合、その原因は色素沈着です。茶クマの多くが、こちらの場合にあたります。
茶クマとなる表皮の色素沈着は、様々な要因によって引き起こされます。具体的には、次のようなことによって色素沈着が生じます。
- 皮膚の乾燥による痒みで、目の周辺をこする
- アトピー性皮膚炎による痒みで、目の周辺をこする
- 花粉症などのアレルギーによる痒みで、目の周辺をこする
- メイク落としの際のこすり過ぎ
- 目元マッサージでの強くこすり過ぎ
- 紫外線によるダメージ(いわゆるシミ)
真皮に異常がある場合
皮膚の真皮に異常がある場合、その原因は遅発性両側性太田母斑様色素班と呼ばれるアザの可能性があります。
太田母斑は、概ね生後1年以内に顔の片側に現れる褐色・茶色・灰青色などのアザですが、遅発性両側性太田母斑様色素班は、概ね思春期以降に顔の両側に発生します。いずれも真皮にメラニン色素が沈着することで現れます。
茶クマの改善方法
茶クマは、表皮に異常がある場合と真皮に異常がある場合とでは、原因が異なりますので、その改善方法も異なります。
また、イエロー系のコンシーラーを使って、メイクで目の下のクマを隠すことも一時的な改善方法となります。ただし、厚塗りになってしまうと余計に目立つ結果になりかねませんから、適度な薄塗りにしておきましょう。
表皮に異常がある場合
表皮に色素が沈着している場合、まずは目の周辺をそれ以上こすらないように強く意識しましょう。皮膚をこすることで、表皮に摩擦が生じて色素沈着が進行しますから、それ以上に悪化させないことが大切です。
その上で、肌細胞のターンオーバー、つまり新陳代謝を促すことによって徐々に沈着した色素が抜けていき、茶クマを改善することができます。肌のターンオーバーを促すには、美白効果のある美容液などの化粧品で日々スキンケアを行ったり、肌の新陳代謝を高めるビタミンAや抗酸化物質であるビタミンCが含まれる食べ物を食事で摂取すると良いでしょう。
真皮に異常がある場合
真皮にメラニン色素が沈着している場合、目の下のクマというよりも遅発性両側性太田母斑様色素班という疾患と捉えて、美容医療を行う美容皮膚科などで治療をすると効果的です。具体的な治療方法は、レーザー照射による方法が主流で、やや痛みを伴うため麻酔クリームなどを塗って行われます。
黒クマの原因と改善方法
それでは、黒クマはどのような原因によって発生するのでしょうか?また、黒クマが現れた場合には、どのような解決法があるのでしょうか?
黒クマが発生する原因とその解決法・改善方法を、ご紹介したいと思います。
黒クマの原因
黒クマは、主に顔の造作や加齢による変化によって光の加減で影が生じ、その影の線が黒く見える状態のことです。黒クマには、次のような原因の違いによって3種類のタイプが存在します。
- 生まれつき眼窩が深い骨格である
- 生まれつき目の下の脂肪が少ない、あるいは加齢で目の下の脂肪が減少する
- 加齢で筋肉が弛緩して眼窩脂肪が突出して目袋ができる
黒クマの改善方法
このように黒クマは3種類のタイプがあり、その改善方法も原因に応じて異なることになります。
生まれつき眼窩が深い骨格の場合
生まれつき眼窩が深い骨格は、いわば欧米的な彫りの深い顔立ちであるということです。彫りの深さをポジティブに捉えて、その特徴を活かしたメイクをするのが良いのではないでしょうか。
どうしても彫りの深さがコンプレックスであるならば、薄い顔に見せるメイク方法を試してみるとよいかもしれません。彫りの深いところをコンシーラーで明るくし、アイシャドウもハイライトで明るさを取り入れてみると黒クマも気にならなくなるのではないでしょうか。
生まれつき、あるいは加齢で目の下の脂肪が少ない場合
生まれつき目の下の脂肪が少なかったり、年齢を経ることによって目の下の脂肪が減少して、目元がくぼんでいることで影が生じ黒クマとなっている場合、ヒアルロン酸を注入して適度に膨らみを形成する方法が考えられます。
また、お尻や大腿部などから自分自身の脂肪を吸引して、目元に注入するオートファイバー法と呼ばれる治療法も改善方法の一つです。自分自身の脂肪を注入するのでアレルギー反応の心配もなく、ヒアルロン酸注入に比べても効果が長持ちします。
これらの方法は、いずれも美容外科などの医療機関で行われます。
加齢で筋肉が弛緩して眼窩脂肪が膨らむ場合
加齢によって目の周辺の筋肉が緩むと、眼窩脂肪の支えがなくなり、目元に脂肪によるたるみが生じます。このたるみによって影が生じるため、この膨らみ・たるみを無くす必要があります。膨らみを無くす方法として、経結膜下脱脂法と経結膜的眼窩脂肪移動術があります。
また、膨らみができたことで肌にしわが生じた場合には、再生医療のPRP注入・W-PRP注入という治療方法が検討されることがあります。
これらの方法は、いずれも美容外科などの医療機関で行われます。
経結膜下脱脂法
経結膜下脱脂法は、まぶたの裏側を切開して、膨らみの原因となる脂肪を除去する手術です。顔の表面に傷痕が残らないため、翌日からの日常生活・メイクも問題ありません。
経結膜的眼窩脂肪移動術
経結膜的眼窩脂肪移動術は、まぶたの裏側を切開して、膨らみの原因となる脂肪を窪んで影が生じる部分に移動させる手術です。こちらも顔の表面に傷痕は残らず、翌日からの日常生活・メイクも問題ありません。
再生医療のPRP注入・W-PRP注入
PRPは多血小板血漿のことです。PRP注入は、自分自身の血液を採血してから遠心分離機で血小板を抽出し、その血小板の含まれる血漿を注入する方法で、PRP皮膚再生療法と呼ばれます。
血小板は、血管や細胞を修復する機能を有していて、その修復過程で細胞を活性化させる成長因子を持っています。そのため、成長因子をもつ血小板が含まれる血漿を皮膚に注射すると皮膚細胞が再生され、肌のしわが消えて肌にハリや弾力性がよみがえるのです。
このPRP注入を進化させた治療法が、W-PRP注入です。多血小板血漿に白血球を加えたものを注入することで、より高い効果が期待できるとされ、一部の美容医療機関ではプレミアムPRP皮膚再生療法と呼ばれています。
まとめ
いかがでしたか?目の下のクマの種類や原因・解消法をご理解いただけたでしょうか?
たしかに、目の下のクマは睡眠不足や疲労によって生じると考えがちです。しかしながら、目元のこすり過ぎによる色素沈着や加齢による目元のたるみなどによっても生じるのですね。ですから、目の下のクマの解消法も一つではなく、原因に応じた解消法が存在するのです。
人は、どうしても外見や見た目で判断してしまう傾向が否めませんから、目の下にクマがあると人相が変わってしまい、もしかすると不利な形に働いてしまうかもしれません。そんなリスクを低減するためにも、目の下のクマの種類を的確に把握して上手に解消しましょう。
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