歯根膜炎ってどんな病気?症状や治療法、原因を紹介!予防するにはどうする?

話をしたり食事中に歯と歯を噛み合わせた時や、ご飯を咀嚼している時「痛い!」と、歯に痛みを感じる、ということがありますか?

噛んで痛みを感じるのは何故なのか、それは、歯の周りの膜に炎症が引き起こしている可能性があるからです。

せっかく美味しい料理を食べている時も美味しく食べることができず、楽しく話をしたくとも痛みで表情も曇ってしまいます。歯根膜の事を知り、対策をしていきましょう。

歯根膜炎の分類と、それぞれの症状

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歯と骨(歯槽骨)の間に属する線維性の組織が「歯根膜」と言います。歯の根の周囲を覆うように存在する膜であり、噛んだ物を判断する役割を担っています。

そのため、感覚にはとても過敏であり、口腔内に少しでも小さな異物や髪の毛などの細い物が入っても、瞬時に感覚が反応します。この器官が炎症を引き起こすと「歯根膜炎」になります。

どういった原因で歯根膜炎を生じるのか、症状や治療法、予防法について紹介をしていきます。

急性歯根膜炎

急性の症状は、自発痛や誘発痛が生じた後に、激しい痛みが長時間持続することが特徴です。

その他、物を噛むと痛み、特に固い物では痛みが増します。歯を叩いた際にも響くような痛みが走ります。歯茎が浮くような感覚も感じられます。唇や頬の腫脹、頭痛、嘔気、急性腎炎、心臓の血流障害といった身体への合併症も見られる場合があります。

急性の歯根膜炎では、更に単純性歯根膜炎と化膿性歯根膜炎の2種類に分けられます。急性単純性歯根膜炎は、比較的、症状は軽度です。急性化膿性歯根膜炎は、感染症によって生じます。単純性とは異なり、痛みが激しく顕著です。更に、歯茎の腫脹を伴います。こちらの場合、根尖性(こんせんせい)歯周炎とも言います。

これは、歯槽骨(しそうこつ)やセメント質といった深層も炎症を引き起こしている状態です。とても重度の状態なので、注意しましょう。

慢性歯根膜炎

歯根膜炎を放置すると長期的に痛みが持続します。長期間、口腔内(こうくうない)に痛みや腫脹、違和感を感じ続けている場合は、慢性化している可能性があります。

根尖性歯根膜炎の場合は、歯の根の先に膿が蓄積されて化膿しているといった症状が見られています。この内容から、痛みがあるように感じられますが、実際は、自覚できるような痛みはほとんどなく経過していきます。風邪をひいたり、疲労感、倦怠感など、身体的にストレスが生じている場合、これが原因となって急に痛みや腫脹が生じることがあります。

歯根膜炎の原因

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さて、歯根膜にどのように、何が影響して炎症が生じるのか、その原因について説明をします。

虫歯

歯根膜炎の原因となる大部分は、虫歯菌です。虫歯を放置することで細菌に感染し、歯根膜まで細菌が広がり炎症が生じます。痛みは顕著に激しいです。検査時や治療時に使用する麻酔薬も効きにくくなります。

また、穴が開いた虫歯や、抜歯した部位、既に歯科医師の治療により金属を詰めたり、被せた歯の下にも異変が生じます。虫歯の治療に使用する薬物の刺激といった物理的刺激によっても歯根膜炎を発症します。

虫歯の進行により神経が死に、その歯の歯根膜に細菌が感染して歯根膜炎を発症する場合は、特に痛みが強くなります。

虫歯は一度生じると自然治癒しません。歯に孔(あな)を空け、更に孔を空けていきます。進行しつづけると歯を削り金属を詰めることになります。金属は決して身体に良いものではありません。なるべく、こうなる前にも予防のため歯科に定期的に受診するようにしましょう。

歯周病

歯周病は、沈黙の病気とされています。日本人の罹患率は全人口の8割です。日本人は、歯の健康に対する意識がとても低く、定期健診をせずに放置する方がとても多いです。一見、きれいに見える歯も、専門の歯科医師が見るとたくさんの歯石や歯周病、虫歯の発見があります。この歯科の受診率の低さが、歯周病の罹患率が多い原因です。

歯周病が原因となって歯の周囲の骨が無くなっていきます。この歯周病が放置され、症状が進行すると、歯の周囲の組織が炎症を引き起こし歯の動揺性がでてきます。この時点で、歯周病はかなり進行しており、レベルは重度となります。

また、歯茎との間に隙間ができて歯が抜けることもあります。歯周病は感染症の1つであり、歯根膜炎や歯槽骨を溶かすといった症状に進行し易いです。

歯周病は自覚症状がないことが多く、歯科医師により検査がないと発覚されないことがあり、発見された時には重症化していることが多いです。予防・症状の進行・再発を防止するためにも定期的に受診しましょう。

歯ぎしり

虫歯や歯周病とは異なり、歯に物理的な刺激が入るものの中に、歯ぎしりがあります。歯ぎしりは夜間、睡眠時に多いとされています。一時的な歯ぎしりの場合は、歯根膜の炎症は治癒されます。

しかし、長期的に歯ぎしりが続く場合は、歯根膜に強い刺激を与え続けて歯根膜にかかる負担は大きくなります。これにより、歯根膜が炎症を引き起こします。

外傷によるもの

外傷によるものは、例えば事故や、壁にぶつかる、顔に硬いボールが当たる、暴力やスポーツ外傷などにより、歯に強い外力が加わる場合や、歯が直接外傷を負って、歯の打撲や破折などを起こしてしまった場合です。

これらによって、前歯やいずれかの歯が損傷し、歯根膜に強い外的な刺激を受けることで歯根膜に炎症が生じます。歯のみが損傷しているように見えて、実は歯根膜にも大きな負担がかかっています。これらの場合は、一時的にすみますが、歯は脱臼した状態になります。外傷の状態によっては、歯の神経が死んでしまうことがあります。

その他の物理的な刺激

義歯を支えるための金属や、虫歯治療によって歯に被せた金属、歯列矯正中の様々な器具のストレスにより、歯や歯茎に刺激を与え続けて歯根膜に炎症が生じることがあります。また、歯の根の治療時に、歯の根のスレスレの部位まで汚れを除去します。

これにより、歯の根の先に接する歯根膜に刺激が入り、歯根膜炎を引き起こして痛みが生じることがあります。この痛みは、2~3日間続く可能性があります。

歯根膜炎の治療法・予防法

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歯根膜炎は、自然治癒するケースと自然治癒をしないケースがあります。自然治癒するケースは、非感染性のものです。自然に痛みが消失していきます。それに対し、自然治癒をしないケースは、感染性のものです。症状が出現しているにも関わらず、放置をしてしまうと感染が進行します。

やがて、歯の根の先端部から周囲の軟部組織や顎の骨にまで感染が広がり、根尖歯周炎まで引き起こします。ここまで進行すると自然治癒はしないため、歯の神経を抜去したり、根管内を洗浄するなどの治療が必要となります。

こうならないためにも、しっかりとした対処法を行う必要があります。それでは、以下に歯根膜炎の治療法や予防法について説明をしていきます。

虫歯菌が原因であった場合の虫歯治療

原因で述べた虫歯菌に関しては、まず、歯の根の細菌に感染している部位を取り除きます。

そして、神経が入っている根管を消毒します。痛みが顕著である場合は、麻酔が効きにくいです。痛みに関係無く、スポーツをしていて身体の作りが強く固く、健康的な方も麻酔が効きにくいです。この場合は、麻酔をどれだけ打っても強い痛みが生じることがあります。これは、どうしようにもできないため、処置の間は辛抱するのみです。

歯科医師のやり方によっては、痛みが顕著な方に対しては数日間、鎮痛剤を使用して痛みを緩和させたのちに、神経の治療を施すこともあります。この点に関しては、自身が我慢をして早く治療を進めるか、ゆっくり慎重に進めるかのどちらかなので、不安な方は歯科医師とよく相談しましょう。

歯周病治療

歯周病により、歯の周囲の骨が溶けていき、歯根膜、歯槽骨へと浸潤していきます。この歯の周囲の骨の改善をする治療を行う必要があります。治療は、歯石の除去と外科的な再生療法が施行されます。

歯周病を防止する方法は、問題となる歯を接着剤で固定し、歯の動揺性を防ぎます。これによって、歯周病による歯根膜炎への進行を防止します。

歯周病を軽んじて治療を行わない方もいますが、重症化して歯が無くなることもあります。

歯ぎしり対策

歯ぎしりの対策をするためには、まず歯ぎしりの原因も知る必要があります。状態によって、歯科医師が判断し、治療を進めます。それでは、いくつかの歯ぎしり対策を紹介します。

・マウスピース、ナイトガードの利用

歯ぎしりに対する対策には、マウスピースとナイトガードの2通りがあります。2つの違いは、材質が異なる点と、健康保険が適応されるか・されないかです。

マウスピースは、治療期間や場合によっては保険が適応されませんが、ナイトガードは歯科医師が「歯ぎしり」と診断して病名を正式につけることが可能なため、健康保険を利用して制作し、使用することが可能です。ナイトガードは、歯ぎしり防止装置と言われており、歯ぎしりの音を消すために使用されます。市販の物から歯科医院にて型を取って製作する方法まであります。市販の物は規制品になるため、大体の物が自身の歯に合いません。

歯ぎしりはクセであり、就寝中には無意識に行ってしまいます。そういった場合や、改善がどうしても難しい場合には、マウスピースやナイトガードを利用することで、歯が保護され、負担が減ります。

・ストレス対策

歯ぎしは、日々のストレスが原因となることがあります。これらのストレスを軽減させるようにしたり、ストレスによる歯の食いしばりや歯ぎしりを意識してなくしていく努力が必要となります。

・固い食べ物は避ける

また、食事の際にはなるべく固い物を噛むことを控えるようにしましょう。これらを意識して控えることで、歯ぎしりの予防や改善につなげることができます。

歯ぎしりがなくなると、自然と痛みや炎症が消失していきます。器具のタイプはいろいろなタイプがあるため、料金も含め歯科医師と相談していきましょう。

・噛み合わせの調整、歯列矯正

その他に、噛み合わせが悪いことや歯並びが悪いことが歯ぎしりの原因となります。噛み合わせが悪い場合、歯を削るなどといった処置を行う必要があります。歯磨きの際に使用する歯磨き粉に含まれる研磨剤などによって歯が削れることもあるので、定期的に歯科医師に診てもらいましょう。

場合によっては、特に歯並びが悪い場合には歯ぎしりをしやすくなるため、歯列矯正をしなければならないことがあります。歯科や口腔外科、矯正歯科にて相談しましょう。

外傷による歯根膜炎の場合

上記の原因で述べた、外傷によるものの場合、歯根膜炎は一時的なものになります。これに関しては、歯を正しい位置に戻して修復し、固定する方法で治癒します。固定した後は、安静にしておく必要があります。これらのポイントを押えておくと、痛みも緩和する可能性があります。

なお、外傷が重症の場合は、歯の神経が死ぬこともあり、徹底して歯の根の治療をしなければなりません。ちなみに、固定する方法は、損傷を受けた歯と、その周囲の歯を歯科治療用の接着剤などで固定します。安静期間は、約2週間とし、それが経過したら接着剤を除去して経過を観察します。

その他の病気などによる歯根膜炎に対して

歯列矯正治療の際に生じる歯根膜炎に関しては、噛み合わせによるものが多いです。歯科医師に相談をして噛み合わせの調整を行いましょう。

また、以上のような口腔内の問題だけではなく、鼻腔(びくう)も問題に挙げられることがあります。中でも、副鼻腔炎は、鼻の中の粘膜に炎症が生じ、痛みや発熱、倦怠感が生じます。副鼻腔は上の顎に近く、特に上の歯の歯根膜へ浸潤する可能性があります。これに対しては、抗生物質での薬物療法にて炎症を鎮静化させ、症状は徐々に消失していきます。

薬物療法

抗生物質を2~4週間継続して服用することで痛みが消失していきます。抗生物質の他、痛み止めの鎮痛剤を服用する方法もあります。痛みだけでなく、化膿した場合にも薬物療法が適応されます。

また、歯の根の治療時に生じた歯根膜炎の痛みが強い場合にも、痛み止めの内服薬が処方されます。痛みが顕著となり、且つ腫脹している歯根膜炎の場合は、歯の中に膿(ウミ)が蓄積されて化膿を引き起こしている場合があります。こういった場合は、薬物療法以外の処置も必要な可能性があります。

最近では、ロキソニンなど市販でも簡単に購入できるようになっていますが、薬なので、安全且つ正しい薬を服用するためにも、受診して歯科医師に処方してもらうようにしましょう。

鎮痛剤や抗生物質を内服する時は、感染根管治療によって虫歯の抜歯や根管治療の施行後の歯根膜炎を生じた時にも用います。これにより、腫脹や痛みを鎮静化させます。

毎日しっかりと歯を磨く

歯根膜炎に限らずですが、歯の病気を防ぐためにも毎日ケアをすることが大切です。しっかりとケアするために、歯ブラシだけではなく、歯と歯の間の歯垢も取れるようにデンタルフロスや歯間ブラシも活用しましょう。歯と歯の間の隙間は磨き残しが多く虫歯や歯周病を発症しやすく、細菌も繁殖しやすいためです。

歯磨きを5~10分以内に済ませてしまう方もいますが、その場合、磨き残しが多くなります。短くとも20分間はかけて磨くと隅々までしっかりと磨けます。もちろん、正しい磨き方をしないと意味がないため、歯科医師または歯科衛生士に自身の歯に合った磨き方を教えてもらうと良いでしょう。

定期的に健診を受ける

自身の歯磨きのみでは、磨き残しもしやすく、歯垢や歯石も残りやすいです。不安のない方も、今までに歯の病気になったことがないという方も油断はせずに、遅くとも半年に一度は定期的に受診するようにしましょう。

もし、何らかの歯の病気にかかっていれば、早期に歯科医師に治療をしてもらいましょう。歯の周りの汚れを取る以外に、噛み合わせを調整する処置をすることもあります。また、治療後には、正しい歯磨きの方法も指導してもらうことができます。口腔内の清潔を保って歯根膜炎やその他の原因となる病気にかからないようにしましょう。

必ず受診をした方が良いとは言いますが、歯科治療費は高いので、受診する頻度など歯科医師と相談しながら決めると良いでしょう。

その他に気を付けること

自身で意識をして気をつけることができる事として、痛みのある歯でなるべく噛まないようにする事と、歯と歯を噛み合わせないようにする事、ガムや飴、キャラメルなどの歯にくっつきやすく、しっかりと噛まないといけない食べ物を避ける事です。

まず、痛みが強い歯で噛むことはとても歯にストレスを与え、炎症が悪化する可能性があります。但し、痛みのない方の歯ばかりを長期的に使い続けていると、噛み合わせのバランスが崩れ、頭痛の原因や内科的疾患を併発したり、歯ぎしりの原因となります。痛みが消失したことがわかった時には、休ませていた歯も使い、バランス良く噛むようにしましょう。

歯と歯を噛み合わせることも、歯にストレスを与え、炎症を悪化させる可能性があります。人間が自然な状態でいる時、つまり、リラックスをして力が抜けている時は、上と下の歯が数ミリ空きます。食事を摂る時や、人と会話をするなど歯を噛み合わせる必要がある時以外は、なるべくこの隙間が空くような状態を保てるようにすると良いです。

まとめ

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歯根膜炎の炎症を超えて症状が進行すると、歯根嚢胞(しこんのうほう)や歯周病などの症状が更に悪化する可能性があります。

歯は身体への影響が大きく、歯の病気を呈することで脳や神経、内科系へも悪影響を与えます。更に様々な疾患を併発します。歯の状態も一度悪くなると自然治癒はせず、治癒困難なものもあります。こうならない為に、早急に歯科医師に診てもらうか、定期的に歯科医院に受診するように心がけましょう。

歯科医師に状態を相談する際の情報は、検査と治療の参考をするに当たりとても重要なものになります。どれぐらいの期間、どのような症状が出ているのかをしっかり伝えましょう。

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