「暑がり」というと、一見暑くないのに大げさに暑がったりするようなイメージが大きいかと思われますが、体質的に熱を持ちやすい、熱を放出できないようなものであったり、逆に汗をかきやすい身体なのに暑いと感じたり、自分が暑がりであると自覚している方も少なくはないでしょう。
この「暑がり」というものに、実は意外な病気が隠れているかもしれません。今回はその「暑がり」というものに焦点を当てていこうと思います。
この記事の目次
暑がりの原因:肥満について
ではここでまず初歩的な「暑がり」というものの原因について触れてみようと思います。
肥満が原因?
まず根本的な原因として「肥満」というものが挙げられます。これは人間がなぜ、暑がるのかということにも直結してくることでもあります。
・体温を一定値に保つためである
上記で挙げたものが、人間が暑がるのかという理由にもなります。人の体温というものは37度前後程度に保つよう身体が自然とできているのです。
気候の変化などや、運動をすること、そして病気をすることによって体温が上がると、体温が上がり過ぎるというのを防ぐための防衛反応として「汗をかく」ということや「血流を増やす」などの行為を自動で行い、体温を一定に保とうとするのです。
簡単に言ってしまうと体内の熱を放出する行為ということです。暑がりというと恥ずかしいことであると思われがちなことではありますが、「暑い」ということそのものは身体にとってとても重要であるということなのです。
では、肥満というものが暑がりであるのかと言われると、実はそうでもないのです。上記で原因として挙げましたが、これが原因の一つであるということなのです。
肥満の方でなくとも暑がりの方はいますし、代謝が高いということや、病気などが隠れている場合など、暑がりの原因というものは様々あります。
ここでは肥満の方が暑さを感じるとどうなるのか、ということを確認してみたいと思います。
肥満だと暑がりになる?
上記では一つの原因として挙げさせてもらいました肥満ですが、肥満であると暑がりになるということは昔から言われていまして、これも実験などで実証されていることでもあります。
肥満=暑がりではないとも言えますが、肥満であると暑がりになりやすい原因というものが存在します。
では肥満であるとどうなるのか? ということなのですが、上記で体温などを保つために「汗をかく」ということや「血流を増やす」ということを説明させて頂いたと思います。これは通常であるならば汗や血流の増加などで体温というものは下がるものなのですが、肥満の場合は「脂肪」というものが邪魔をしてしまうということがわかっています。体内の熱というものを体外に放出するという過程で脂肪という壁が邪魔となり、通常の体格である方と比べてさらに放出にエネルギーを消費することになります。
エネルギー消費量が多くなれば多くなるほどその分、熱量が増加して、より汗が多く出るようになります。通常の方と、肥満の方が同じ暑さの場所にいたとしても、通常の方よりも肥満の方の方が放出の際のエネルギーをかなり使うということがわかりますね。
また、これは「隠れ肥満」と呼ばれる方も同様に言えることなのです。隠れ肥満の方の場合ですと、「血流」が悪いという傾向にあるのがわかっています。血流が悪いということ自体も熱を放出する際に邪魔になるという根本の原因となるのです。
そして脂肪というものには保温の効果があります。身体に蓄えられている脂肪というものは熱を保ちやすいと言われています。身体が熱っぽいと感じる特徴としては脂肪自体が熱を帯びているということも言えます。またそのほかにも脂肪というものは冷えやすい、ということもわかっています。冬に冷えやすいと思われている方は、実は肥満気味であることが言えるということですね。
暑がり&汗かきは治すことができる?
治すことが可能なのかどうかということについて見ていきましょう。
根本的には不可能
この症状について悩んでいる方は少なくはないでしょう。自分は暑がりなのでそれを治したい、という方や汗かきが気になるのでなんとかしたい、という方も結構いるという話は窺います。この暑がりや汗かきというものは治すことができるのでしょうか?
結論から申し上げてしまえば、「治す」ということに関しては基本的には無理だという結論が言えます。なぜなら暑さを感じるということや、汗をかく、ということに関して言えば「生理現象」であるということが言えますのでそれを治すということ自体はかなり無理があると言わざるを得ないでしょう。
しかしながら、制汗剤などや体の表面などを直接冷やすという行為で、暑がりなどや汗かきなどを抑える方法というものは存在します。
物理的に防ぐ方法
これはまず物理的に防ぐ、というものが挙げられます。「物理的」というと聞こえがよくないかもしれませんが、特段変わったことをするわけではなく、ドラッグストアや薬局で簡単に手に入れることが可能な「制汗剤」というものや「冷えピタ」などを使用することによって、暑さなどや汗自体を防ぐことが可能となっています。
これは金銭的にも負担になることは少なく、欲しいと思った時にすぐに買いにいけるという利点があります。
もちろん夜間などではお店が開いていないので手に入れることができないのですが、基本太陽が昇っている日中であればすぐに買いにいけて手に入り易いというものがポイントとなっています。
体質改善をして防ぐ方法
二つ目の方法としては体質そのものを改善するという方法になります。これはつまり「痩せる」ということですね。肥満の方は脂肪というものが原因でありますので、脂肪を落とす、つまり痩せるということをする、体質を改善することによって暑がりや汗かきが改善することも言えるでしょう。
もちろん痩せていても汗はかきますし、暑いと感じることもあります。ですがこれは肥満の方と比べると格段に差があるものであると思ってください。なので太っているという体質そのものを改善するということが大事になってきます。
病院などや手術によって防ぐ方法
三つ目に挙げられる方法としては病院へ通うということ、そして手術などの方法があります。これについて詳しく説明しますと、暑さを敏感に感じたり、また汗かきであるということには「自律神経の乱れ」というものが一つ挙げられる症状でもあります。
自律神経というものは自分で頭で考えなくても自動的に行うことを指しているものであり、これはホルモンバランスの崩れなどにも影響してきます。自律神経の乱れはストレスなどや、また睡眠不足、そして朝日を浴びていないなどの原因が挙げられますが、それ自体で回復する程度であれば問題はありません。しかし過度のストレスなどが原因となっている場合は専門の医者にかかる必要があります。
ストレスなどが原因の場合であるならば、心療内科などがいいでしょう。また汗かきなどが気になっていて、なおかつ自律神経が乱れている場合などは美容クリニックなども視野に入れていいかもしれません。
それぞれの症状にあった専門医に診てもらうことが大事になります。どうしてもわからない場合は総合診療やセカンドオピニオンなどを利用するといいでしょう。
異常なまでの暑がりは病気のサイン?
上記では肥満について挙げてきましたが、他にも隠れた暑がりの秘密があります。異常な暑がりについては病気が原因である可能性が高い場合もあります。それについて触れていこうと思います。
暑がりが兆候である三つの病気
通常の暑がりというものは「肥満」によるものや「隠れ肥満」というものが大きいと上記で述べてきましたが、それ以外にも実は暑がりという点において危ないサインであることが言えるのです。
それは異常なまでの暑がり、暑さを感じるということについてです。そのうちの代表的なものを挙げて診ましょう。
- バセドウ病
- 多発性硬化症
- 更年期障害や自律神経の乱れ
肥満でも隠れ肥満でもなく、異常な暑がりである場合は上記の三つが疑われます。一応代表的なものとして挙げていますが、他にも一応は存在します。ただ、ごく稀であるため今回はこの三つに絞らせていただきました。
それぞれについてざっくりと診ていきましょう。
異常な暑がりの原因:バセドウ病について
ではまずはバセドウ病から見ていきましょう。
甲状腺機能の異常
バセドウ病という言葉は最近ではそこそこテレビなどでも取り上げられる機会などもあり耳にすることもあるでしょう。このバセドウ病という病気は「甲状腺ホルモン」というものが異常に生成されるというものであり、眼球突出などや、頻脈、甲状腺肥大などの症状が出る病気でもあります。その他にもイライラすることなどや、精神性の病気も併発する恐れのある怖い病気です。
このバセドウ病は主に女性が多いとされている病気でもあり、女性の中でも200から300人程度の頻度で発症が確認されるというほどの調査結果もあります。主にストレスが原因とされていることもあり、決して珍しいと言われる病気ではないのです。
自己免疫疾患の一つとも言われており、免疫に関係が深い病気とも言われています。バセドウ病というものは、甲状腺のホルモン機能が亢進する病気であるため、過剰に甲状腺のホルモンを生成する病気なのです。自己免疫疾患というものは自身、つまり自分の身体を攻撃する抗体というものを作ってしまう病気なのです。
これと暑がりというものにどういう関係があるのかと言いますと、それは下記で述べようと思います。
異常な汗と熱っぽさがバセドウ病の特徴でもある
上記で述べたようにバセドウ病というものはとても怖い病気であることがわかります。ではそれと暑がりや汗かきについて何が関係しているのか、という部分についてなのですが、それはバセドウ病の症状として「汗」や「熱」というものが挙げられるからです。
特にバセドウ病の場合は「常に運動をしているような状態」というものが特徴的な例として挙げられます。なので汗が非常にたくさん出てきます。暑いわけでもないのに身体が火照っていて、汗がたくさん出てしまうというものが症状として挙げられるのです。これは甲状腺のホルモンが過剰に分泌されることによって起こるもので、新陳代謝が多く起こるというのがそもそもの原因となっています。ずっと運動をしているような状態になるということですね。
汗だけではなく、動悸や息切れといった症状も出ており、汗かきの度合いでも多量に汗をかくということが挙げられます。
そして「微熱」が続く、というものもバセドウ病の特徴でもあります。これは暑がり、つまり37.5前後の微熱が続く症状もバセドウ病の特徴であり、暑いと感じる程度のものが続くわけです。ここで暑がりであるということ、そして汗との関係性が生まれるということですね。
そしてもう一つ、脈拍が速いというのも特徴的なのでそういった症状が出ている場合はすぐに専門医に相談するようにして下さい。
バセドウ病については、バセドウ病の初期症状とは?チェックする方法を紹介!を読んでおきましょう。
異常な暑がりの原因:多発性硬化症について
では二つ目に多発性硬化症という病気について見ていきましょう。
中枢神経の自己免疫疾患
暑がりや汗かきなどの症状を考えた場合の病気として二つ目に「多発性硬化症」というものが挙げられます。これは日本においてはほぼ耳にすることはない病気でしょうが、欧米諸国ではかなり有名な病気で知られています。
神経内科の領域などでは最も重要な病気であると考えられていて、中枢神経の自己免疫疾患であるとされています。完治は現段階の医療では難しく、難病指定の病気でもあります。日本でも12000人ほどがこの症状に悩まされていると言われています。
発症頻度というものは「人種」などによって違ってくると言われる病気であり、白人に多く見られるほか、高緯度地方の方ほどその割合が多いとされています。
ではこの病気「多発性硬化症」という病気と暑がりや汗かきがどのように関係してくるかということを下記で述べたいと思います。
脳の神経伝達が原因
多発性硬化症という病気は中枢神経系の中の脳髄疾患の一つであると言われています。人間の身体で行われている神経活動というものは神経細胞から出ると言われる神経の線を伝わるものであり、電気活動によって行われているとされています。
電線、つまり神経伝達が行われる線がショートをしないよう絶縁体と呼ばれるもので覆われているものと同じと考えて頂ければいいかと思いますが、この神経のせんも同じようなもので覆われています。その覆われている部分が破壊されてしまう中にある神経の線がむき出しになってしまう病気というものが多発性硬化症の原因そのものとなっています。
これがどういう風に関係してくるのかということなのですが、つまり全ての司令塔というのは脳であり脳が指示を出して身体のあらゆる部分に命令を送っているわけなのはご存知かと思いますが、この線がショートしてしまい伝達ができなくなってしまうということは、汗を出すということに関しての命令が行き渡らず、暑さだけが身体に残ってしまう、ということになります。つまりこれによって暑いと感じる、その中でもより、非常に暑いと感じてしまうことがあります。
これは多発性硬化症の症状とも言えますので、もしそのような症状を感じた場合にはすぐに病院へと行くようにしましょう。
詳しくは、多発性硬化症の症状とは?治療法や病気の予後を紹介!原因は何?を参考にしてください!
更年期障害や自律神経の乱れ
では最後に更年期障害や自律神経の乱れという項目について述べようと思います。
女性に多いのが特徴
更年期障害といえばある年齢の方であれば誰でも知っている病名でもありますが、閉経する前後に相当する女性に多く見られるとされているものです。ですが最近では若い世代の方でも発症する若年性の更年期障害というものがあることがわかっていますので一概にはいえませんが、一般的には閉経前後の女性ということが多いとされています。
もちろんこれは男性でもかかる可能性はあります。
これに共通して言えることは、「自律神経の乱れ」というものが挙げられます。自律神経については上記でも述べましたが、人間が自主的に脳で考えて行うことではないこと、自動的に行われていること、つまりそれを行う神経のことを自律神経と言います。最近では更年期に関わらずストレスというものが多くこの自律神経の乱れに関わってきており、ストレス社会と言われている現代では若い世代での方でも自律神経を乱す方が多いとされています。
自律神経の乱れによってのぼせや火照り、多汗などの症状が現れます。これは更年期障害によく出る症状でもあります。更年期障害の場合は専門医による診断で内服薬の治療が可能となっています。また自律神経を整える、または改善する方法としても内服薬はありますが、まずは食生活と睡眠、睡眠のリズムをしっかりと整えることが改善の第一歩になります。
まとめ
では総括に入ります。
肥満とそうでない場合の対処法に気をつけましょう
肥満である場合の暑がりとそうでない、病気の兆候や症状であるという見分け、判断をしっかりと行うことが大事であるのと同時に、生活習慣や食生活、そして睡眠リズムの改善など、日常生活でも気をつけておけば、この暑がりや汗かきについてはほぼ改善が可能であると思ってください。
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