上腸間膜動脈症候群の治療方法とは?症状や原因も紹介!摂食障害や拒食症に注意!

上腸間膜動脈症候群・・・あまり聞いたことのない病名ですね。

食事の後に胃がもたれる、吐き気や嘔吐、腹痛が起きたりすることは、よくありますよね。病院へ行って胃カメラなどの検査しても、何の異常も見つからないと、ストレス障害やうつ症状など心身症と診断されます。でも、これは、上腸間膜動脈症候群かもしれません。

十二指腸から空腸へ移る部分、十二指腸水平脚は、前を上腸間膜動脈に、後ろを腹部大動脈に挟まれたようになっています。上腸間膜動脈に十二指腸水平脚が圧迫されると、上腸間膜動脈症候群を発症します。

15~30歳の痩せた若い女性に発症が多いのは、摂食障害と関係があるようです。

上腸間膜動脈症候群の原因と症状、治療法、そして摂食障害との関係について、お伝えしますね。

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上腸間膜動脈症候群とは?

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上腸間膜動脈(SMS)は、腹部の臓器に血液を送り込む大事な動脈の1つです。

十二指腸から空腸へ移る部分、十二指腸水平脚は、前方を上腸間膜動脈に、後方を腹部大動脈に挟まれたような位置にあります。十二指腸水平脚を上腸間膜動脈が圧迫すると、腸閉塞症状が起きます。これが、上腸間膜動脈症候群です。「上腸間膜動脈性十二指腸閉塞」とも言います。1842年にRokitansky(ロキタンスキー)により、初めて報告された疾患です。

15歳から30歳くらいの若い、痩せた女性に発症することが多いと言います。急性の場合もありますが、多くの場合、慢性で間欠的に発症するようです。

[上腸間膜動脈症候群の原因]

上腸間膜動脈症候群は、上腸間膜動脈が十二指腸水平脚を圧迫して腸閉塞症状を起こす疾患ですが、上腸間膜動脈が突然詰まって発症することもあります。上腸間膜動脈症候群の原因は、次の5つです。

➀上腸間膜動脈と腹部大動脈の分岐が鋭角すぎる

瘦せ型であったり、内臓下垂が起きていたり、脊椎の前彎が強かったり、腹壁が弛緩していたりなど、体型的な因子により、上腸間膜動脈と腹部大動脈との分岐が、普通より鋭角的になります。

そのため、上腸間膜動脈が十二指腸水平脚を圧迫して、胃から十二指腸を通り、小腸へと行く食べ物の流れが停滞するようになります。食べ物が詰まって、腸閉塞になります。

②急激な体重減少

上腸間膜動脈と十二指腸水平脚の間には、脂肪組織やリンパ組織があり、クッションとなっていますから、通常では、上腸間膜動脈が十二指腸を圧迫して締め付けることはありません。

飢餓・過激な食事量制限・重篤な外傷や火傷・神経性の食欲不振症などにより、急激に体重が減少すると、脂肪組織も減少します。脂肪組織のクッションがなくなるため、上腸間膜動脈が十二指腸水平脚を圧迫して、胃から十二指腸を通って小腸へ行く食べ物の流れが停滞するようになり、腸閉塞が起きます。

③上腸間膜動脈に血栓症や塞栓症が起きる

上腸間膜動脈に血栓症や塞栓症が起きると、動脈が詰まって血液の流れが滞ります。そのため、腸に酸素や栄養分が届かなくなります。

血栓症は、心臓の心房にできた血の塊がはがれて、上腸間膜動脈に詰まってしまう状態です。塞栓症は、動脈硬化によりコレステロールが上腸間膜動脈の壁に付着して動脈を狭くし、さらに動脈の壁が崩れて詰まってしまった状態です。

急性上腸間膜動脈症候群を発症する原因です。血栓症や塞栓症は、摂食障害の合併症であるという説もあります。

④脊椎が過伸展された状態で固定される

脊椎圧迫骨折や腰椎圧迫骨折をすると、体幹ギブスを装着して固定します。この体幹ギブスを、脊椎が過度に伸展された状態で固定されると、上腸間膜動脈が十二指腸水平脚を圧迫して、腸閉塞を起こすことがあります。

⑤先天性の異常

腸管の回転異常やトライツ(Trize)靭帯が通常より高位に付着している異常など、先天性異常があると、上腸間膜動脈が十二指腸水平脚を圧迫して、腸閉塞を起こすことがあります。

トライツ靭帯とは、小腸の途中、十二指腸と空腸の境界にあり、小腸を後腹壁(背中側の腹壁)につなぎとめている靭帯のことです。

[摂食障害との関係]

上腸間膜動脈症候群は、摂食障害と大きく関係しています。

摂食障害とは

過激な食事制限をするダイエットをしたり、大量過ぎる食事を摂取したりすることをくり返すと、自分で食欲をコントロールできなくなることがあります。食欲をコントロールできないだけでなく、心身ともに健康を損ないます。このような状態を、「摂食障害」と言います。

摂食障害には、「拒食症」「過食症」「特定不能」の3つがあります。

(拒食症)

太ることを恐れるあまり、食べることにも罪悪感や恐怖感を抱くようになります。そのため、身体が食べ物を受けつけなくなり、食べることができなくなります。成人女性なのに、体重が30~20kg程度になってしまいます。

拒食症は低体重だけでなく、低体温や月経異常、貧血などを引き起こします。詳しくは、拒食症の原因はストレス?治療法や症状も紹介!を参考にしてください!

(過食症)

食欲をコントロールできず、ドカ食いをくり返します。大量の食べ物を、ひたすら食べ続けずにはいられないのです。これが過食症です。

過食症は、拒食症の反動で現れることが、よくあります。拒食症で栄養状態が極度に悪くなると、心身が反応して補おうとするのです。

過食症には、ひたすら食べ続ける場合と、大量に食べて、食べ過ぎた物を吐き出す、過食と嘔吐をくり返す場合の2タイプがあります。モデルさん達は、過食症でなくても、体重をコントロールするために、食事をした後に、無理に嘔吐することがよくあります。

(特定不能)

過食症とも拒食症とも診断できない状態です。「極端な食欲不振だが、月経異常は見られない」「少量の食事をしても、吐き出してしまう」「大量の食事を摂るが、体重は正常」など、拒食症の症状と過食症の症状が混在している状態です。

摂食障害が上腸間膜動脈症候群を起こしやすくする

摂食障害があると、上腸間膜動脈症候群が起こりやすくなります。上腸間膜動脈症候群の原因で書いたように、痩せた体型や急激な体重減少は、上腸間膜動脈症候群の原因となります。

過激ななダイエットによる急激な体重減少や、1度に大量の食事をするドカ食いは、上腸間膜動脈症候群を発症する引き金になるのです。

また、上腸間膜動脈症候群を予防するには、適正体重を維持することが大事です。摂食障害があると、適正体重を維持することが難しくなります。

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上腸間膜動脈症候群の症状

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上腸間膜動脈症候群の症状には、急性と慢性があります。

[急性の症状]

急性上腸間膜動脈症候群には、上腸間膜動脈が詰まった場合と、上腸間膜動脈が十二指腸水平脚を圧迫して腸閉塞症状を起こした場合と、2通りあります。

上腸間膜動脈が突然詰まった場合

血栓症や塞栓症が起きると、上腸間膜動脈が詰まって、血液の流れが悪くなり、腸に酸素を送り込むことができなくなります。

上腸間膜動脈が詰まると、突然、激しい腹痛が起きます。七転八倒するような激痛です。続いて、血流が滞り、腹膜炎が起こります。お腹を押したり、離したりすると、痛みがあります。腸が麻痺して、内容物が停滞し、腸閉塞が起きます。血流が悪いので、腸管が壊死します。嘔吐するので脱水症状になり、血便が出ることもあります。

短時間で毒素や細菌が全身に流れ、血圧が低下します。血圧低下により、全身の血流が低下して、酸素不足になり、ショック状態が起きます。冷や汗が出て、手足が冷たくなり、顔面は蒼白、呼吸や脈が乱れます。最悪の場合、死に至ります。

発症6時間以内に手術すれば、血流を取り戻すことができる場合もあります。腸管が壊死すると、切除して摘出しますから、回復しても、日常生活に支障をきたします。

上腸間膜動脈が十二指腸を圧迫する場合

上腸間膜動脈が十二指腸を圧迫して締め付けると、胃から十二指腸・小腸へ行く食べ物の流れが停滞して、腸閉塞が起こります。

食事をした後、お腹が張ったような感じ(膨満感=ぼうまんかん)が生じます。腹痛が生じ、嘔吐します。膨満感と嘔吐が、急性上腸間膜動脈症候群の特徴的症状です。

症状は、姿勢によって悪化したり、軽減したりします。仰向けに寝たり、前屈みになったりすると、上腸間膜動脈の締め付けが強くなるので、症状が悪化します。腹ばい(うつ伏せ)になったり、左を下にして横になったり、座ったりすると、締めつけが弱くなるので、症状が軽減します。

[慢性の症状]

慢性上腸間膜動脈症候群の症状の特徴は、間欠性の腹痛です。

間欠性ですから、腹痛が生じたり、消えたりします。腸は周期的に伸び縮みします。腸の伸び縮みに合わせて、腹痛が変化します。転げ回るような激しい痛みではありません。鈍痛という漠然とした痛みです。

「お腹全体が痛い」と感じたり、「下腹部が痛い」と思ったりします。みぞおちやおへその辺りが痛かったりもします。痛みは、お腹の周辺に生じることもあります。

食後に痛みが生じたり、強くなったりすることが多いようです。また、姿勢によって、腹痛が変化するのは、急性の場合と同じです。仰向けに寝たり、前屈みになったりすると、腹痛が強くなり、腹ばいになったり、左を下にして横になったり、座ったりすると、軽減します。

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上腸間膜動脈症候群の治療と予防

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ほとんどの場合、上腸間膜動脈症候群の治療は保存療法が主です。それも、適正体重の保持が大事です。適正体重を保つことは、何よりの予防・再発防止にもなります。

重症の場合、腸管壊死が起きた場合は、手術が必要です。

[検査と診断]

上腸間膜動脈症候群は、腹部レントゲン検査・バリウムによる十二指腸造影・腹部CT検査・超音波検査を行った結果で、診断されます。胃カメラ検査で異常が発見されなくても、腹部CT検査や超音波検査は、かなり有用です。

食事の後に胃や十二指腸が拡張していたり、上腸間膜動脈と腹部大動脈の間で十二指腸が押しつぶされていたり、上腸間膜動脈と腹部大動脈の分岐点が鋭角的になっていたりすることが認められると、上腸間膜動脈症候群と診断できます。

上腸間膜動脈が詰まって急性上腸間膜動脈症候群を起こした場合は、血管造影と超音波検査が有用です。

診察の時に、過激なダイエットをしているとか、摂食障害があるとか、正直に話さないと、お医者さんが診断を誤ることがあります。

過激なダイエットや拒食症で激痩せしている場合は、黙っていても、お医者さんは察知できます。必要な検査をして、正しく診断します。でも、過食症なのに、嘔吐により適正体重を保っている場合は、お医者さんにわかりません。神経性の胃炎とか、うつ症状とか、ストレスによる心身症などと診断することが多くなります。

上腸間膜動脈症候群は、悪化すれば死ぬこともある危険な病気ですから、的確な診療が受けられるように、お医者さんに協力してくださいね。

[上腸間膜動脈症候群の治療]

急性上腸間膜動脈症候群の治療

(上腸間膜動脈が詰まった場合)

上腸間膜動脈が血栓症や塞栓症で詰まった場合は、発症6時間以内に手術すると、血流が回復できることがあります。できるだけ早期に手術して、血流を回復することが大事です。壊死した腸管は切除して摘出します。治療が遅れると、壊死した部分が広がるので、大量に小腸を切除することになり、回復しても、食べるだけでは十分な栄養がとれなくなります。

(上腸間膜動脈が十二指腸を圧迫している場合)

上腸間膜動脈が十二指腸を圧迫して、食べ物の流れが悪くなり、腸閉塞症状を起こします。腹痛や嘔吐が激しい場合は、胃管を挿入して、胃の内容物を取り除きます。これで、胃や十二指腸にかかる圧力が減少できます。

輸液により、体液と栄養分を補います。

症状が落ち着いたら、慢性の上腸間膜動脈症候群と同じ治療をします。

慢性上腸間膜動脈症候群の治療

上腸間膜動脈が十二指腸を圧迫して、胃から小腸へ行く食べ物が流れにくくなっていますから、1度にたくさん食べないようにします。食事を何回にも分けて、少量ずつ、ゆっくり食べるようにします。

痩せている場合は、適正体重にして、保持するようにします。食べた後は、リラックスするようにします。腹ばいになったり、左を下にして横になったりして、ゆっくり休みます。

日常生活でも、腹部を締め付けないように注意します。パソコン操作や事務仕事、手工芸など前屈みの姿勢を長時間続けないようにします。

手術

保存療法で症状改善が見られない場合、再発をくり返す場合、高齢者の場合は、手術することがあります。吻合手術という「切って、つなげる」手術です。

腸管が壊死した場合も、切除手術が必要になります。

[上腸間膜動脈症候群の予防]

➀適正体重を保つ

上腸間膜動脈症候群の予防の第一は適正体重を保つことです。適正体重を保持していれば、上腸間膜動脈と十二指腸の間にある脂肪組織がクッションの役目をしっかり果たすことができますから、上腸間膜動脈が十二指腸を締め付けることがありません。

適正体重を保つのは、それほど難しいことではありません。バランスの良い食事を適量摂るようにすればいいのです。適量の目安は、「腹八分目」です。

適正体重は、若い女性達が理想とする体重よりも多めですから、必死になって無理なダイエットをする必要がないのです。

(適正体重とは・・・)

適正体重は、BMI(Boddy Mass Index)の数値が22になる体重です。

BMIは、体重kg÷身長m÷身長m=BMI で算出します。

逆に計算して、身長m×身長m×22=適正体重 で適正体重を算出できます。身長が158㎝の人の適正体重は、1.58×1.58×22=54.9 で、54.9kgです。

BMIが21~24ならば、許容範囲です。BMIが25を超えると、肥満になります。BMIが18.5以下は、痩せすぎです。

肥満は健康に悪いのですが、痩せすぎも良くありません。上腸間膜動脈症候群のようなとんでもない疾患を引き起こすことがあります。

②前屈みの姿勢を続けない

次に、普段から、前屈みの姿勢を長く続けないようにします。パソコン操作をしている人は、時々背筋を伸ばすようにしてくださいね。

③摂食障害に陥らない

摂食障害は、上腸間膜動脈症候群の発症と深く関わっています。

摂食障害は、ストレスやホルモンの乱れによる低血糖症が原因になることもありますが、多くの場合、ダイエットが引き金になっています。

ダイエットをするうちに、「どうしても痩せなければならない」と考えるようになり、太ることを恐れるようになります。無理な過激なダイエットを行い、食べることに罪悪感や恐怖感を抱くようになります。そのために、拒食症になったり、反動的に過食症になったり、食欲のコントロールができなくなるのです。

本来、食べることは楽しいことです。自分の適正体重を知れば、どの程度痩せればよいのか、あるいは、太ればよいのか、わかります。無理をしないで、食事を楽しみながらでも、適正体重に近づけることができます。適度な運動と組み合わせれば、ストレス解消にもなりますから、効果的です。

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まとめ 上腸間膜動脈症候群は生命に関わる恐ろしい疾患

上腸間膜動脈症候群は、上腸間膜動脈が十二指腸を圧迫して締め付け、胃から十二指腸を通って小腸へ行く食べ物の流れが停滞して、腸閉塞症状を起こす疾患です。また、上腸間膜動脈が詰まって血流が悪くなり、腸が麻痺して腸閉塞症状を起こす場合もあります。

いずれの場合も、放置すれば、生命に関わる危険があります。食後に腹痛や嘔吐が起きたら、すぐにお医者さんの診察を受けることが大事です。特に七転八倒するような激痛が起きたら、救急車を呼ぶことをオススメします。

上腸間膜動脈が十二指腸を圧迫して、腸閉塞症状が起きる場合は、過激なダイエットや摂食障害が原因となることが多いようです。急激に痩せると、上腸間膜動脈と十二指腸の間の脂肪組織が減少して、クッションの役目を果たせず、上腸間膜動脈が十二指腸を締め付けるようになるのです。病気やケガで激痩せすることもありますが、たいていの場合は、過激なダイエットや摂食障害で激痩せします。

上腸間膜動脈症候群の治療は、少量の食事を何回にも分けて取りながら、適正体重に戻し、保持することです。適正体重の保持は、何よりの予防にも再発防止にもなります。

肥満もいろいろな疾患を引き起こしますが、痩せすぎもいろいろな病気の原因や誘因となります。上腸間膜動脈症候群は、痩せすぎが原因となる疾患の1つにすぎません。

バランスの良い食事を規則正しく「腹八分目」に摂ることは、上腸間膜動脈が詰まることの予防にもなります。

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