失神したことも、その状態を見たことも、あまりないと思われますが、失神とは一体どんな状態なのでしょうか?気絶ともいうのか、なんか似ているように思います。
映画やテレビのドラマでは、よく失神シーンがあります。そう簡単になるものなら、もっと目撃しているはず、と、つい思ってしまいます。さて今回は失神についてお伝えします。
失神のその状態
まずは、失神の状態について紹介します。
気絶と失神の違い
失神とは、あくまでも一過性のものであり、短い時間に意識がない場合、何らかの理由で脳に血がいかなくなり、意識を失っている状態のことです。つまり意識がない状態ということです。
似たような状態で、「気絶」「失神」があります。気絶とは、失神とほぼ同じ状態で、脳への血流が減少し、意識がなくなっている状態なのですが、その違いは「気絶」は呼吸が止まっていて、「失神」は呼吸が止まっていない状態ということです。
実際、気絶は呼吸が止まっているというのであれば、これはこれで危険な状態といえます。が、実際には非常に判断が難しいですし、細かくその判断が必要かどうかは疑問です。
一過性意識消失発作と脳貧血
この一過性意識消失発作と脳貧血の二つは基本的に失神と同じです。医学用語でそのように呼びます。失神を以前は、脳貧血と呼んでいましたが、最近ではそのように呼ぶケースは少ないようです。
つまり、失神は貧血が原因と考えられていましたが、現在ではその理由も多種多様なので、一概に貧血とは言えなくなったことが理由です。
失神が起きる原因
次に失神の原因について紹介します。
病気によるもの
心臓系、神経系、血圧の低下、もしくは上昇による失神があります。心臓では特に、不整脈や弁膜症などで、心臓機能が衰えていると、きちんと血液が脳へと運ばれずに血流不足ということになります。その結果、失神ということになります。
ストレスの影響
ストレスによる自律神経失調症が失神を招くことがあります。何らかのストレスで脳への血流が低下したことによります。
自律神経というのは、通常人が意識しなくても動いてくれるもので、心臓や呼吸などがその一例です。これが、別に作用してしまい、きちんと機能しなくなることです。その結果、血流が悪くなり、失神となるのです。
貧血によるもの
厳密にいいますと、貧血は失神の原因ではありません。貧血は血液の濃度が薄いといいますか、血液自体が少なくなる状態です。
つまり、失神は血流が不足するのですが、貧血は血液が少ないことにより、酸素の供給量が減ってしまう、つまり酸素不足ということになります。
不整脈の影響
心臓がきちんと脈を打たず、早くなったり遅くなったりと、リズムが狂ってしまうことです。そのため脳へと血液がきちんと供給されないことが原因です。
失神まで起こすことは、よほどのことなので、詳しい検査を受け、不整脈も含め他に原因がないかを確認した方がよろしいかと思います。
アレルギーの影響
アレルギーでもこの場合はアナフィラキシーショックでの反応ということになります。この症状は大変で深刻です。アレルギーを起こすものに接したり、食したりすることが原因でショック反応を引き起こし、急激な血圧低下を引き起こします。
これは通常のアレルギー反応とは違う症状であり、早急に対応をしないと、失神ところでなく、最悪死にいたることもありますので、注意を要します。毎年何人かが、犠牲になっています。
特に、給食や弁当などで、そばや卵、乳製品などはアレルギーの代表格で、よく症状を引き起こす原因となっています。
血管迷走神経反射性の影響
自律神経の失調が原因で、血圧や脈拍が低下し、脳への血液循環量が減ることです。原因としては、長時間立ちっぱなしであるとか、激しい運動を休みなく行う時や、合わない薬やアルコールの過剰摂取の際に起こることが多いようです。
この症状は、その事態を予想できます。失神しそうとかなんかくらくらする、音が遠のいていくなどという具合にです。その場合はすぐに横になるなどの対処が望ましいかと思われます。
この場合、他にも同時に起こる症状として、吐き気、あくびが出る、急に眠くなるなどがあります。一つの目安として、無理しているな、と感じる時がそのタイミングとなるようです。意識ある内の対処が望ましいかと思われます。
失神の症状
失神の症状について紹介します。
意識不明
同じ意識不明の状態でも、糖尿病が原因となる昏睡とか、突然発作を起こすてんかん、脳出血やクモ膜下、脳梗塞などは、失神とは呼びません。いわゆる失神のようで失神でない非常に危険な状態です。
これらの症状はかなり重症です。仮に意識が戻っても、そのままに放置するのではなく、きちんと検査をすることをお勧めします。おそらく即入院となる可能性もあり、さらに隠れた病の前兆であることも多いようです。
呼吸困難
呼吸も自律神経と同様、何らかの影響でうまく機能しないことが原因です。他の心臓や肺の機能が低下したことにより、呼吸が浅くなることにより脳へ血液が届かなくなることが原因となっています。
無反応
脳への血流が不足することにより、頭がボーっとしてしまうことや、ものごとに反応しなくなることもあります。目を開けていても、見えていない状態、焦点が合っていない状態なども失神の一種かと思われます。回りの人が気づくことで、なんらかの対処をすることが望ましいかと思います。
このような場合は、二次的に被害を受けることを避けなければなりません。これは、例えば道路を横断中に、失神に近いことが起きてしまう場合とか、階段から落ちてしまう場合などが当てはまります。
ふらふらする
なんとなく頭がボーっとしているとか、頭がふらふらすることも失神が起こる前触れなどであり、よく起こる特徴的な症状です。
眼前が暗くなる
目の前が暗くなる症状も特徴と言えるかと思われます。これは本当になった人にしかわからないと思われます。人によって、その暗さが違うと思いますが、一般的には段々と視野が狭くなるような、視界の回りから徐々に暗い、光が失われてくるようなイメージといいます。
また、立ち眩みのように、眼の回りがちかちかするケースもあります。そのような場合は、しゃがみ込むように対処することが大事かと思われます。
不整脈
脈が急に遅くなることも、原因の一つです。これは、アダムストークス症候群とも呼ばれ、かなり昔から確認されています。脈が遅くなりその結果、血流が不足することによります。
腹痛
特に女性に多いようですが、身体の中で気がつかないうちに出血していて、その血液不足のために失神が起こることです。主に子宮での出血や子宮内膜症などを併発している時が多いようです。
これは本人も気づかずに痛みもなく出血している状態です。検査をしても、すぐに発見できないケースもあり、症状が悪化してからの発覚となります。
失神の対処法と予防法
身体の保護
失神の対処法ではなく、身体の保護になるのですが、咄嗟の失神は、倒れこむことで身体や頭部、顔面に傷を負う可能性が高くなります。段々と意識が遠のく時は、しゃがみ込むことで、防ぐことができます。
この場合は、ちょっとでも異変を感じた場合は、身体を防御する意味でも腕などで顔を覆う、すぐにかがむなどの対応をしてください。特に後頭部を打撲することは危険です。
実際、怪我をする人がどれくらい多いかというと、約2割から3割の人が失神の際に怪我をしているとの統計が出ています。これは、かなりの数字かと思われますので、大きな事故につながらないように、気をつけることが望ましいかと思われます。
生活習慣の改善
すべてのものに、ほぼ共通していくかと思われますが、やはり生活習慣、食事が基本かと思われます。失神を起こすことも何かしらの原因があるのです。
個々の症状に対応することも重要です。それは、命に関わることもあるからです。が、その時に対処したものの、それっきりにしてしまうと、大元の原因は解決しません。なんでこうなったのだろうという発想に頭を切り替え、その根本原因を解明すべきです。
これはあくまでも例ですが、タバコをばかばか吸っていて、なんで体調が悪いんだろう、疲れがとれないんだろう、食欲がないんだろう、といっているのと同じです。それは、タバコを辞めればかなり改善します、と解っていてもほとんどの人は、現状を改善しません。
年のせいか、最近疲れが翌日に残るんだよね、といいながら、本人は毎日お酒を飲んで、肝臓などの内臓を労わっていないという人も多いのですが、これも同じことです。女性にも多いですよね。朝起きられないのよ、といいながら、ダイエットと称して、必要最低限の栄養すら摂取できていないなど。
このようなイタチの追い駆けっこをいくらしても、改善はしないのです。ちょっと前に注目された本に「原始人食が病気を治す」という、崎谷博征さんが著した本があります。
これはまだ人類が文明というものを感じていない時代の食事が、現代の人には非常に有効だということが書かれています。
また、先の対処法になりますが、その都度の対応はゆくゆくは大病を患う危険性があります。例え少しだけだからと、悪いものを毎日摂取していては、それを何十年と続けてしまえば、一気に毒を服用したのと同じです。じわじわと蓄積し、じわじわと体調に現れるのです。
日々、地道にでもいいので、改善を心がけることがよろしいかと思います。
まとめ
いかがでしたか。人が意識を失うことは実際にはあまり目撃することはありませんが、いろいろな原因があることが解ったかと思います。
一般にそのほとんどが、精神的なショックから起こる失神かと思っていましたが、実は身体の病気が引き起こしていることには驚きでした。そういう意味では、健康に気をつけないと、失神を引き起こす可能性は相当高いといえるかもしれません。
いずれにせよ、病気が原因の失神は、その根本的な病気の対処を速やかに行うことが第一です。いくら失神からすぐに復活しても、根本的な病気を治さない限り、再び繰り返すことになることは間違いありません。
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