脂肪細胞とは?肥満との関係性と対策方法を知ろう!

メタボリックシンドロームが話題になってから、肥満問題に世間の関心が集まるようになりました。アメリカでは、肥満が現代の疫病ともいわれ、肥満対策が国家的な課題となっています。

今回は、①肥満の原因②対策という3つのことについて記事にしました。

なぜ太ってしまうのか?

肥満

水を飲んでも太らない

身も蓋もない話ですが、太る理由は明らかに「食べ過ぎ」です。理論的に考えて、食べてないのに太ることはありえません。一日の活動に必要な最低限のエネルギーに対して、過剰なエネルギー、脂質を食事によって摂取しているからです。

もちろん、体質によって個人差はあります。仮に同じものを食べ、同じように行動したとしても、体重には体質に応じた違いが現れてしまうでしょう。体質は遺伝子の発現状態によって決定します。肥満に関する遺伝子は近年の研究で少しずつ明らかになりつつありますが、依然として決定的な遺伝子がどれか分かっていません。

太ることのなにがいけないのか

糖尿病やガン、心筋梗塞、脳卒中などのリスクが明らかに増加します。

特に最近の研究では、コレステロール値や血糖値、血圧などが高い体質の人は病気になるリスクがさらに高まることがはっきりと分かってきました。

太りやすい食品

食べると肥満になりやすい食品というのは、一般的に脂肪の多いものと糖分の多い菓子類です。また、食べたあとに血糖値が上がりやすい食品も肥満の原因になることも分かっています。

ただし、肉類などに多く含まれるタンパク質は余分が体外に排出されるため、実は肥満の原因とはなりません。ただし、タンパク質とともに肉類に含まれる脂肪が肥満の原因になります。

そのため、よく西洋型の肉類中心の食生活が肥満増加の原因であるとの批判があります。さらに、近代以降発達してきた脂肪や糖分の多い食品を過剰に食べることに問題があるとも指摘されています。

肉を食べると太る?

元サッカー日本代表の中田英寿選手はかなりの偏食家だそうで、小さい頃から肉ばかり食べていたそうです。野菜は全く摂らないらしく、大変驚きですね。

一般的な常識ではそんなに肉ばかり食べていたらすぐに病気になってしまいそうです。昔、「栄養さん」という読み聞かせの物語があったのですが、そのお話のなかで、肉しか食べないお兄ちゃんが肥満になって動けなくなる場面があって非常に怖い思いをしたことがあります。あれ以来、私は野菜を残さず食べるようになりました。ただ、先ほども述べたように、肉類に含まれるタンパク質自体は肥満の原因ではありません。脂肪が問題なのです。

牛肉も豚肉もそれぞれの重さの約50%は水分で、タンパク質と脂肪がそれぞれ20%ずつ含まれているそうです。輸入牛は赤身の部分が多いので、脂肪の割合がもう少し小さいこともあるようです。タンパク質と脂肪の体内での消化について見てみましょう。タンパク質は胃で胃酸と消化酵素のペプシンの働きによって分解されてアミノ酸になります。人間の細胞に必須のアミノ酸は20種類ほど存在し、常に細胞内に十分量が貯蔵されています。体内でタンパク質を合成するなどしてアミノ酸が消費されると新しく細胞に供給されます。

逆に余分なタンパク質は分解され、アミノ酸になります。そのため、アミノ酸は常に再利用され続けており、体内のアミノ酸は一定量あればそれで事足ります。そこで、必要がなくなった余分なアミノ酸は肝臓で分解され、便として体外に排出されます。つまり、タンパク質を食べ過ぎても肥満の原因となるような中性脂肪にはならないのです。

対して脂肪(一般的に、食品に含まれる脂肪は脂肪酸が3つずつ集まって化学的に安定している中性脂肪の状態で存在しています)は体内で胆汁によって乳化され、すい臓からの消化酵素リパーゼの働きによって脂肪酸とモノグリセリドに分解されます。脂肪酸とモノグリセリドは小腸で一度脂肪に戻り、小腸の内側にある柔毛というヒダの中にあるリンパ管から吸収されます。リンパ管の周りには毛細血管が網目状に張り巡らされていますが、毛細血管には水に溶けやすい物質しか吸収されないため、水に不溶性である脂肪はリンパ管の中に入るのです。リンパ管に吸収されたあとは、

心臓から体全体に送られてもう一度脂肪酸へ分解されてエネルギー源として利用されます。しかし、余った脂肪酸は再び中性脂肪となり、脂肪細胞に溜まっていきます。これが太る原因になるのです。

脂肪細胞はすべての連鎖のカギ

2005年に発表されたメタボリックシンドロームの診断基準によると、

  1. ウエスト周囲長が女性で90㎝以上、男性で85㎝以上
  2. 中性脂肪≧150mg/dL、またはHDLコレステロール値<40mg/dL
  3. 最高血圧≧130mmHg、または最低血圧≧85mmHg
  4. 空腹時血糖≧110mg/dL

以上の4項目のうち、一番目を満たし、かつ2~4番目の2つ以上を満たす場合、メタボリックシンドロームと判定されます。つまり、「ウエスト周囲長」が大きく、かつ「中性脂肪値が高い」「血圧が高い」「血糖値が高い」の3項目のうち2つ以上に該当する場合ということになります。

炭水化物や脂肪を摂りすぎると、体内でそれが中性脂肪として脂肪細胞に蓄積していきます。脂肪細胞が肥大化すると、さまざまな物質を分泌するようになり、それが肝臓にある、血液中のインスリン量をチェックするしているモニター機能を妨害します。そうすると、血液中に十分な量のインスリンが分泌されていても「インスリンが不足している」という誤った信号が送られるようになってしまいます。

この信号を受け取ったすい臓は過剰にインスリンを産生し続けます。しかし、本来生産できるインスリン量の限界を超えて作り続けるため最終的にインスリン産生機構自体が故障して、インスリンの生産をやめてしまったり、生産ができなくなってしまいます。これによってインスリンが枯渇してしまいます。

一方で、中性脂肪の代謝にもインスリンが必要なため、血液中の中性脂肪も消化されないまま溜まっていきます。そのため肥満になりやすい体になってしまいます。肥満になれば、重い体の隅々に血液を送るために血圧も上がるようになります。こうして、「肥満」「糖尿病」「高脂血症」「高血圧症」が連鎖的に発生していくのです。これらの症状はちょうどメタボリックシンドロームの判断基準とも重なりますね。

脂肪細胞ってどんな細胞?

メタボリックシンドロームについて理解するうえでも重要な脂肪細胞をもう少し掘り下げてみましょう。脂肪細胞は脂肪の合成や分解、蓄積をおこなう細胞のことを指します。脂肪細胞が脂肪をどんどん蓄えていくことによってヒトは肥満になります。

脂肪細胞には白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2種類があり、白色脂肪細胞は主に脂肪分を中性脂肪の形で蓄えます。褐色脂肪細胞は体内の過剰なエネルギーを熱として放出します。この褐色脂肪細胞が多いと、脂肪がどんどんエネルギーとして放出されていくため、結果として太りにくくなるのです。

基本的に、褐色脂肪細胞の数は乳幼児期から思春期にかけての時期が最も多く、成人後は徐々に減少していく傾向にあります。肥満の原因として、この褐色脂肪細胞の減少がよく挙げられます。年をとっても若い時と同じ量のご飯を食べていると、体に脂肪がついてしまうようになるのは、このようなメカニズムがあるからなのです。

コレステロールと中性脂肪の違い

コレステロールと中性脂肪はどちらも脂質とよばれ、共通する点も多い物質です。しかし、栄養素としての働きや病気の原因としての意義は違う部分もあります。コレステロールは細胞膜や胆汁、ステロイドホルモンを作る材料になります。余分なコレステロールは血管の壁に溜まり、動脈硬化の原因となります。

ただし、肥満とは直接の関係はないとされています。中性脂肪は脂肪酸が集まってできたもので、おもに筋肉でエネルギー源として利用されます。余分な中性脂肪は脂肪細胞に溜まっていくため、肥満の直接的な原因になります。脂肪分だけでなく、炭水化物も体内で脂肪酸に変わるため、パン、ご飯、麺類、菓子類などを食べ過ぎると中性脂肪値が上昇し、肥満を加速すると言われています。

肥満の対策

やせようぜ

脂肪・糖質を抑える

まずは過剰な量のカロリーを体内に取り込まないことが肝要です。ご飯、パン、パスタ、砂糖などの主成分である炭水化物は体内の消化酵素の働きを受けて糖分となります。

糖分といえばブドウ糖(グルコース)が有名ですが、その他にも果糖(フルクトース)、ガラクトース、マンノースなどがあります。やはりブドウ糖は健康を考える上で、糖分の中でも特に重要です。筋肉の収縮や脳の活動エネルギーとして利用されますが、血中のブドウ糖濃度が過剰になると糖尿病になるリスクが倍増します。

植物中に含まれるセルロースという繊維はブドウ糖が鎖状につながっている物質ではありますが、構造がグリコーゲンやスターチといった人間が消化できる糖の構造と異なっているため、人間が食べても消化することができないのです。その典型がこんにゃくで、こんにゃくの主成分であるグルコマンナンはブドウ糖とマンノースが結合してできているのですが、人間の消化器官では消化することができません。

適度な運動

やはり脂肪を燃焼させ、エネルギーとして利用してしまわなければいつまでたっても中性脂肪はなくならず、脂肪細胞も肥大化したままです。アメリカ政府の発表では、毎日約30分の有酸素運動を推奨しているようです。

ただし、日頃運動していない人がいきなり激しい運動を始めたり、健康に問題がある人が激しい運動をしたりすると、さまざまな怪我や体調不良の危険が伴い、最悪の場合運動の最中に突然死してしまうことがあります。

イギリスでのスカッシュというスポーツを対象とした調査によると、運動中の突然死の場合、一日に10本以上タバコを吸っていた人の突然死が約半数を占めていたそうです。やはり日頃からの健康チェックが大切ですね。

まとめ

カンボジア ダンサー

今回の記事のまとめは以下の通りです。

1.太る原因

  • 脂肪・糖分の過剰摂取
  • 脂肪細胞に中性脂肪が溜まることで肥満が加速する

2.対策

  • 食べ過ぎない
  • カロリー・脂質の少ないものを食べる
  • 適度な運動、しかし急激な運動には注意

メタボリックシンドロームの名前はすっかり定着しましたね。生活習慣に関係する疾病は今後も増加していくと予想されます。

現代は私たちをめぐる生活環境が目まぐるしく変化しています。私たちは状況に振り回されるのではなく、自分たちで自分の身体をコントロールして、健康を増進していきたいところです。

  
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