高級なフルーツの代名詞ともいえるメロン。おいしいだけじゃなくて、実は健康や美容にいい栄養もたっぷり含まれています。
特に、最近注目されているのが、オキシカインという成分。強力な抗酸化作用があり、長時間体内にとどまるところが、これまでの抗酸化食品と異なります。持続的な抗酸化作用が期待できるので、さらに健康への効果が期待できます。
メロンに含まれるオキシカインがすごい!
抗酸化作用が長く続く
メロンに含まれている「オキシカイン」が非常に強い抗酸化作用を持つことで、注目されています。
抗酸化作用とは、体内の活性酸素を除去することで、がんや生活習慣病を予防し、老化を防ぐ作用です。活性酸素は、呼吸によって体内に取り入れた酸素の一部が変化したもので、本来はウイルスなどを攻撃してくれる体にとって必要なものですが、ストレスや生活習慣などで増えすぎると健康な細胞まで攻撃し、老化や病気の原因となります。
人間の体内にはもともと、この活性酸素を除去するために、活性酸素解毒酵素(SOD酵素)がありますが、その能力には限界があり、活性酸素が多く発生したときには解毒しきれません。
健康や美容のために、活性酸素を除去してくれる抗酸化作用のある食品を心がけて摂取する必要があります。
メロンに含まれるオキシカインが他の抗酸化物質と異なる点は、細胞の中に長く留まる性質があること。これにより抗酸化作用の持続時間が長くなります。
また、体内にもともとある活性酸素解毒酵素(SOD酵素)を活性化させるので、さらに活性酸素の除去効果が高くなることが期待されています。
また、オキシカインには、疲労の原因となる乳酸を減少させる効果もあります。
糖尿病性腎症を予防
オキシカインには、糖尿病腎症を予防する効果も期待されています。
糖尿病性腎症は、糖尿病の合併症のひとつで、慢性腎不全となり透析療法を受ける人の中でもっとも多い割合を占めています。
糖尿病は、血液中のブドウ糖の濃度が慢性的に高い状態にある病気です。遺伝的にブドウ糖の濃度を下げるインスリンの働きが悪い人は1型糖尿病、肥満や飲酒、運動不足などの生活習慣が原因でブドウ糖濃度が高い人は、2型糖尿病と分類されます。
血液中のブドウ糖濃度が高い状態が長期間続くことで、血管が硬くなり、糖尿病性腎症へと移行します。
オキシカインの抗酸化作用により、糖尿病性腎症の悪化抑制が期待できます。
リラックス効果のGABA
メロンには、チョコレートなどに含まれて話題になった成分GABA(ギャバ)が多く含まれてます。
ギャバは、アドレナリンの分泌を抑制することで興奮を鎮め、リラックス効果や精神の安定に効果があるとされています。ストレスにも対抗する作用もあり、ストレスによる頭痛、イライラなどの改善も期待できます。また高血圧を予防する働きもあるとされています。
血流を改善するシトルリン
シトルリンはすいかから発見された成分で、遊離アミノ酸の一種です。
体内でアミノ酸は、たんぱく質として血管や内臓、皮膚、筋肉などを構成していますが、たんぱく質を作らずに単体の状態で存在し、細胞や血液の中を循環しているのものを遊離アミノ酸と呼びます。遊離アミノ酸は、体内のどこかで必要とされた場合にすぐに血液中から取り入れられます。遊離アミノ酸には、他にもGABAやオルニチンなどがあり、健康への効果が期待されています。
シトルリンは、血流を改善し、むくみや冷え症を改善し、新陳代謝を上げる効果があるといわれます。また、肝臓内でアンモニアを解毒する際に重要な役割を担うほか、肌の水分を保湿してくれる成分のひとつとしても知られています。
シトルリンは果肉よりも皮に多く含まれています。
夏場のむくみ解消に最適なカリウム
夏が旬のメロンは、むくみ解消に最適な果物です。
カリウムはミネラルの一種で、いろいろな食品に多く含まれています。人間の体液は、常に一定の水分バランスに保たれており、塩分を摂りすぎると体内のナトリウム量が多くなり、水分バランスが崩れてしまいます。カリウムは、ナトリウムを排出して水分バランスを保ち、血圧を安定させる働きがあります。
夏場は汗をかいて水分が失われがちな一方で、冷房の効いた室内で長時間過ごしながら、冷たいものを飲むなどして、体が冷えて水分の代謝が悪くなることがあります。
メロンには夏が旬のスイカよりも多くのカリウムが含まれるので、水分とカリウムの補給にメロンを利用しましょう。
エネルギー源となる糖分
主成分は、果糖やショ糖、ブドウ糖などの糖分です。吸収が早いので、食べたあとにすぐにエネルギーとなりるのに加え、食欲の増進効果もあります。
またメロンに含まれるクエン酸には糖の代謝を活発にし、疲労の原因となる物質、乳酸を燃焼させてエネルギーにかえる働きがあるので、夏バテ気味で食欲のないときなどにぴったりのフルーツです。
赤肉メロンにはβカロテンたっぷり
夕張メロンや富良野メロンなどの赤肉のメロンには、β-タカロテンが非常に多く含まれます。
βカロテンは、緑黄色野菜などに多く含まれる色素成分で、強力な抗酸化作用があります。活性酸素を除去して、病気や老化を防ぐだけでなく、体内で必要な分だけビタミンAに変換されて、粘膜や皮膚の成分のもととなるので、美容にも効果があります。
メロンの上手な利用法
メロンには多くの種類があります
メロンは、植物学的にはウリ科、キュウリ属の野菜になりますが、実際の流通や栄養学的に果物として扱われています。
メロンの果肉の色により「赤肉系」「青肉系」「白肉系」の3つに分類することができます。赤肉系は夕張メロン、青肉系ではアンデスメロン、白肉系はホームランメロンなどが有名といえます。
さらに皮の形状によって、表面に網目が出来る「ネット系」とまくわうりに代表される網目の無いものがあります。プリンスメロンは両者を合わせて品種改良したものです。
南フランス地方で栽培されるカンタロープメロンという品種には、オキシカインが特に多く含まれています。国内では静岡産のメロンにギャバの含有量が高いといわれています。
メロンを選び方と食べごろの目安
大きすぎず小さすぎない適度な大きさで、香りのよいものを選びましょう。手に持った時に、ずっしりと重みのあるものがジューシーなメロンです。表面の色にムラがなく、傷や変色のないものを選びましょう。
ネット系メロンの場合は、細かい網目が均一に入っているものが、香りや甘味の強いメロンです。
店頭で売られているメロンは、未熟な状態です。買ってきたら、冷蔵庫には入れず、常温で追熟してから食べるようにします。
マスクメロンなどの高級メロンでは、食べごろの日付けなどのタグがついているものもありますが、追熟に必要な期間は品種によって異なります。一般的には香りが強くなり、お尻の部分を押したときにやわらかくなったら食べごろの目安です。また、メロンを軽くたたいてみてた、高く澄んだ音がするのは未熟なメロンで、低くにごった音がするのが完熟したのメロンです。
メロンは熟すると数日で発酵が始まり、実が崩れてすぐに味が落ちてしまいます。おいしく食べられる期間がとても短いので、熟したら冷蔵庫に入れ、2~3日のうちに食べきるようにしましょう。
メロンの保存法
丸のままのメロンを切って、一度に食べきれないときは、冷蔵庫で保存します。空気に触れると味が落ちるので、種の部分を除いてからぴったりとラップなどをして保存します。
また、すぐに食べないときは、冷凍保存することができます。
生のメロンより風味は落ちますが、利用法を工夫して残らず楽しみたいものです。
冷凍する場合は、皮から果肉だけ切り取り、食べやすい大きさに切ってから冷凍します。そのままシャーベットとして食べたり、ミキサーでジュースやピューレにしてもよいでしょう。
メロンの効果的な食べ方
デザートやおやつにぴったりなメロンですが、料理にも取り入れると、さらに使い方が広がります。
生ハムメロンは、すでに前菜としておなじみになりましたが、実は、メロンにはたんぱく質分解酵素が含まれているので、たんぱく質といっしょに食べるとたんぱく質の消化を促進してくれます。
チキンやハムといっしょにサラダに加えたり、熟す前の固いものは豚肉などといっしょに炒めてもひと味違った炒め物になります。
ちなみに、メロンを食べたときに咽喉がイガイガするという人は、このたんぱく質分解酵素が咽喉や口中の粘膜を刺激しているからといわれています。
いつもは取り除いて捨ててしまうメロンの種が含まれるわたの部分には、実は、βカロテンや食物繊維などの栄養が、たっぷりと含まれています。濾してジュースを絞り、水や炭酸水などで割って飲むと、メロンの栄養をくまなく摂ることができます。
皮の部分にはシトルリンが多く含まれています。皮の内側の青い部分などは、浅漬けなどにして食べてみましょう。きゅうりの浅漬けのようなさっぱりとした1品になります。
まとめ
メロンには、新しい健康成分として注目されるオキシカインが含まれています。オキシカインはこれまでの抗酸化物質と異なり、体内で持続的に効果が続くので、老化防止やがん、生活習慣病の予防が期待されます。オキシカインは、糖尿病性腎症を抑制する効果もあるので、気になる人は積極的に摂るようにしましょう。
その他、むくみや高血圧を予防するカリウム、即効性のエネルギー源となる糖分、抗酸化作用のβカロテンなど、健康維持に貢献する栄養素がたっぷり。夏場の栄養補給として、まさにぴったりの果物です。
メロンを買って来たら、食べごろを見ながら常温で追熟させましょう。一度切ったあとは、しっかりとラップなどで冷蔵保存を。皮や種の周辺まで利用すると、メロンの栄養を余さず摂ることができます。