毎日暑い日が続き、外出先や室内でも、なかなか快適な生活ばかりは送れない時期になりました。炎天下は辛いですし、冷房で冷え切った室内も、それはそれで体調を崩してしまいますよね。さらに困るのが、この時期に起こる頭痛です。
暑さに加えて、頭痛に悩まれている方も多いのではないでしょうか?ただでさえ暑くて大変なのに、頭痛までしてきたら動く気もなくなってしまいますよね。ではそもそも、どうして暑い時期に頭痛が起こるのでしようか?そのメカニズムと解決法について詳しくご紹介しましょう。
暑いと頭痛が起きる原因
そもそも、頭痛というのはどうして起きるのでしょうか?その仕組みと、暑くなると頭痛が起きる原因についてご紹介しましょう。
痛みセンサーが活発になる
神経や血管などには『痛み受容体』といわれるセンサーがありますが、このセンサーが敏感になると頭痛が起こります。この痛み受容体は、脳の三叉神経や皮膚にあり、温度が高くなると痛みを感じやすくなる特徴があります。特に夏になると温度が上がりやすくなるため、痛みセンサーが活性化し、少しの痛みでも強く感じるようになるのですね。
頭と首の神経はつながっているため、首周りの筋肉が凝り固まっていると頭痛の原因になります。頭痛解消のためには、痛みセンサーを活性化させている神経の高ぶりを抑えることが重要ですから、血行を促進して血の巡りをよくすることを意識しましょう。
睡眠不足
睡眠不足が頭痛の引き金になることがあります。特に夏は暑さだけでなく、蚊によって睡眠を妨害されることもありますよね。知らず知らずのうちに睡眠不足になりがちな季節ですから、頭痛も起こりやすくなります。また、エアコンの使いすぎで冷えるのも熟睡の妨げになりますから気を付けましょう。
睡眠不足解消のためには適度な昼寝も効果的ですが、寝すぎはかえって夜の睡眠の妨げになりますから、長くても30分で切り上げるようにしましょう。何より大切なのは、自分の睡眠サイクルを知ることです。眠りは90分周期で浅くなるため、この時に目覚めるのが一番気持ちよいのです。
つまり、睡眠時間は90分の倍数で計算するとよいわけですね。また、睡眠サイクルは毎日同じになるようにすると効果的です。
低血圧によるもの
暑い季節になると低血圧が増える理由は、気温が高くなることにより血管が広がるためです。血管が緩むと血圧が下がり、低血圧になるため、頭痛の要因のひとつとして考えられています。血流をよくすることで低血圧は改善できますから、バランスのよい食事を摂り、特にビタミンやミネラルは意識してしっかりと摂りましょう。
カフェインを含むコーヒーや紅茶は血管を収縮させる働きがありますし、ローズマリーなどを含むハーブには血液の流れをよくしてくれる効果があるため、ハーブティーなどにして飲むのもオススメです。
熱中症の場合
上記に上げた原因以外に、暑い時期に考えられるものが熱中症ですよね。熱中症とは、体温調節がうまくできなくなることにより、体に様々な不具合が生じた状態を総じて言います。具体的な症状としては、以下のようなものがありますので、該当する症状が出ている場合には、熱中症を疑いましょう。
熱失神(ねつしっしん)
皮膚血管が広がることにより、脳に十分な血液が送られなくなって起こる症状です。脈拍が早くなり、めまいや顔面蒼白、一時的な失神などが起こります。
熱疲労
大量に汗をかくことで体温調節が追い付かなくなることで起こります。脱水症状により疲労感が出るため、全身のだるさや悪心(おしん)や吐き気、頭痛などが起こるのが特徴です。
対処法
まずは涼しい場所に運び、衣服をゆるめて寝かせましょう。その後、水分を補給すれば症状は回復します。
熱けいれん
大量に汗をかいた時に、水だけで水分補給を行うことで血中の塩分が低下することで起こります。筋肉痛や手足の攣り、筋肉の痙攣などが主な症状です。
対処法
血中の塩分濃度が低下することで起こりますから、生理食塩水(0.9%の食塩水)を飲ませて、塩分補給することで症状は回復します。
熱射病
体温の上昇したことにより、中枢機能に異常が現れます。体温が高く、呼びかけても反応が遅かったり、おかしな言動をしたりするなどの意識障害や、時としてショック状態になる場合もあります。
対処法
熱射病は、命にかかわる危険な状態ですから、症状が現れたら、集中治療施設のある病院へ運ぶことが重要です。また、体温をいかに早く下げて意識を回復させるかがその後の結果に大きく関わるため、現場での素早い処置が大切になります。
全身に水をかけたり、濡らしたタオルを当てて体を冷やしたりしましょう。特に首筋、脇の下、大腿部の付け根など、太い血管の通る場所を重点的に冷やします。また、足を高くして、手足を先端から中心部にかけてマッサージすることも効果的です。嘔吐などがあって水分補給ができない場合には、病院に搬送後、点滴を受ける必要があります。
熱射病の場合は一刻を争う事態ですから、症状に気付いたら早急に応急処置をすることが大切です。
熱中症にかかりやすい人
熱中症は誰にでもかかる可能性がありますが、以下のような人は特に注意が必要です。
高齢者
高齢になると温度に対する感覚が鈍るため、特に室内での熱中症の危険が高くなります。本人は平気なつもりでも、夏の室内は温度が高くなるため、こまめに冷房を点け、水分補給をするなど、日頃の対策を習慣づけましょう。
予防法
①温度を測る
温度の上昇を感じにくいため、日頃から部屋の温度を測るようにしましょう。暑いと感じなくても、温度計を見て、早めに冷房をかけるなどの対策を取ります。
②部屋の温度を下げる
日差しがなくても、高温多湿や無風の状態は熱中症にかかるリスクが高くなります。冷房のほか、除湿機や扇風機などを利用し、室内環境の改善を図りましょう。
③水分を意識的に摂る
高齢者は体内水分量の減少により脱水状態になりやすい上、脱水状態に気付きにくいため、水分補給が遅れがちです。のどが渇いていなくても、時間を決めて定期的な水分補給をしましょう。
④入浴や就寝時は注意
入浴時はもちろん、寝ている間にも水分は減ります。知らない内に熱中症にかかることがあるため、入浴時前後に十分な水分補給をしましょう。また、寝る時にも枕元に飲料を置いて、いつでも水分を摂れるようにすることが大切です。
⑤外出時は注意
出掛ける時は、体への負担のほか、発汗による水分の蒸発や、強い日差しなどによる体温の上昇が考えられます。暑さ対策をしっかりし、服装を工夫したり、瑞文補給休憩をこまめに摂ったりするなど、意識して体を守りましょう。
⑥周りが気に掛ける
高齢者は暑さへの自覚がないまま熱中症にかかってしまうリスクが高いため、異常を発見したら周りが積極的に声をかけることが大切です。普段から目を向け、早め早めに対処できるよう意識しましょう。
子供
体温調節がうまくできないため、特に小さな子供は、大人よりも熱中症にかかりやすいと言われています。常に目を配り、予防と早めの対策を行うことが重要です。
予防法
①水分は多めに摂る
子供は新陳代謝が活発なため、汗や尿など、体から出ていく水分が多く、脱水症状を起こしやすい体をしています。食事も水分量の多いものを心掛け、定期的に水分補給させるよう意識しましょう。
②暑さや日差しから守る
子供はまだ自律神経の働きが十分に発達していないため、放熱や発汗による体温調節がうまく行えません。ですから、衣服には熱のこもりにくい素材や熱を吸収しにくい薄い色のものを選びましょう。また、外出時には日光を遮る帽子などを身につけるよう、注意してあげることが大切です。
③地面からの熱に気を付ける
ベビーカーに乗っていたり、身長が低かったりと、子供は地面との距離が近くなりがちです。そのため、地面から発される熱を受けやすくなります。子供の身長や気温、湿度などを考慮してあげるようにしましょう。
④暑い環境の中に置き去りにしない
特に乳幼児はベビーカーや車の中など、自力では動けない状態にありますから、少しの時間でも置き去りにすることは危険です。特に、夏の車内は高温になりますから、絶対に置き去りにして離れないようにしましょう。
⑤室内遊びにも注意する
部屋の中は外と比べて日差しが少ないため油断しがちですが、温度や湿度によっては熱中症になる危険は潜んでいます。油断せず、屋外と同様の注意を払いましょう。
⑥外遊びに熱中し過ぎない
子供は特に、遊びに夢中になると、体調の変化に気付きにくくなります。水分補給が疎かになったり、気分が悪くても気付くのが遅れたりして、熱中症のサインを出すのが遅れるかもしれません。ですから大人は、子供が遊びに熱中し過ぎないよう、周りでしっかりと様子を見てあげることが大切です。子供が夢中になっていても、適度な水分補給が出来るように促しましょう。
⑦周りが気を配る
子供は体の不調や暑さをうまく訴えることができません。また、自発的に水分補給をしたり、服装によって体温調整をすることもできないため、気付かない内に熱中症になってしまう危険性があります。子供の顔色や汗のかき方など、少しの変化も見逃さないよう、大人が注意を払ってあげることが大切です。
子供の熱中症のサイン
子供は言葉では上手に症状を訴えることができませんが、サインはしっかりと出しています。大人はこのサインを見逃さず、きちんと受け止めるようにしましょう。症状が悪化する前に、できるだけ早いタイミングで対処することが子供の命を守ることにつながります。熱中症のサインは以下のようなものがありますから、チェックする際の参考にしてくださいね。
- 汗をかいていない
- トイレに行きたがらない
- 顔が火照っている(赤くなっている)
- ふらふらして足取りや行動がおぼつかない
- 何の前触れもなく、突然鼻血が出る
児童~中高生
年齢が上がり、学校へ通うようになると、授業や部活動、または課外活動などで熱中症にかかるリスクにさらされます。激しい運動をしていなくても、高温多湿な環境では熱中症になる危険がありますから、十分な予防と対策が必要です。
予防法
①無理なスポーツをしない
熱中症の予防として、体力をつけることは非常に大切です。しかし、頑張り過ぎて無理をするとかえって危険ですから、各々の体に合わせた対策が重要です。また、スポーツを擦る時には大量の汗をあかくため、ただの水より、塩分や糖分を含む飲料がオススメです。
②通学中
バスを待つ間や自転車や徒歩での通学など、直射日光に長時間当たらないように気を付けましょう。タオルなどを利用して、日差しから体を守ことが大切です。
③屋内も注意する
屋内は空気の通りが悪く、高温多湿になりがちです。激しいスポーツを行う場合には、できる限り風の通りをよくし、こまめな休憩や水分補給をするようにしましょう。気分が悪くなったら、早めに休むことも大切です。
また、運動以外でも、締め切られた空間で長時間練習することは危険です。窓を開けるなどして室温調整を図るとともに、適度な水分補給と休憩を心掛けましょう。
外で働く人
窓ふきや交通整理、土木工事など、屋外で長時間にわたって作業するような職業の人は、熱中症リスクが高くなります。制服なども暑いですし、作業で汗もかきますから、特に気を付けて対策を取るようにしましょう。
●特に気を付けるべき時
- 作業の都合上、通気性の悪い衣服や保護具(ヘルメットなど)を着用する場合
- 高温多湿、直射日光、無風などの状態で作業にあたる時
- 夏の初め頃など、まだ体が暑さに慣れていない時期や、急激に暑くなった日
予防法
①暑さ指数(WBGT値)測定器を設置する
常に基準値を超えていないかチェックし、管理することが大切です。
②直射日光に当たらない
作業上、どうしても直射日光にさらされがちですが、可能な限り帽子やタオルで遮ったり、作業場所に日よけなどをつけるなどしましょう。
③休憩所を設置する
万が一具合が悪くなった時、すぐに休んだり処置をしたりする場所を作っておきましょう。また、こまめに休憩を取り、体を休ませることも大切です。
④冷却グッズや施設を整える
氷や冷やしたタオルなど、体を冷やすグッズを準備しておきましょう。いつでも体を適度に冷やせるものを用意しておくと安心です。
⑤水分や塩分を意識的に摂る
直射日光や高温多湿など、外での作業は知らない内に脱水症状になるリスクが高いですから、定期的に 水分や塩分摂ることが大切です。水分だけだと血中の塩分が薄くなりますから、きっちり塩分補給もするようにしましょう。スポーツドリンクなどが効果的です。
⑥通気性のよい服を選ぶ
少しでも体にこもる熱を減らすため、通気性のよい素材を使うと効果的です。
⑦一人で作業しない
作業上、一人で行う場合もあるかもしれませんが、熱中症になった時、周囲に気付いてくれる人がいないのは危険です。できる限り、2人以上で行うようにしましょう。
主婦など
これ以外にも、キッチンで火を使う主婦やシェフなど、室内でも熱中症の危険があります。火を使うことにより高温多湿になり、熱中症リスクが高くなるためです。激しく体を動かす作業ではないため油断しがちですが、十分に注意しましょう。
予防法
①換気扇を回すのを忘れない
煙や臭いを排出する以外にも、換気することによって熱中症リスクを下げることが重要です。
②室温を調節する
調理中は熱くなりますから、部屋の温度を下げるなどして室温調整をしましょう。暑い部屋で調理していると、熱中症の危険が高まります。窓を開けるなどして風通しをよくするのも有効な手段です。
③水分補給はこまめに
室内でも、水分補給はこまめに行いましょう。汗をかきますから、塩分のあるものを飲むのも有効です。
④体を冷やす工夫をする
火を使う以外に、電子レンジで済むものは電子レンジにするなどして、熱さ対策をしましょう。また、首を冷やすネックバンドや濡らしたタオルを巻くなど、体を直接冷やすグッズを使うこともオススメです。
スポーツをする人
体を動かすことで筋肉が熱を発するため、夏は熱中症のリスクが高まります。高温多湿や非常に気温の高い日の運動は極力避け、行う場合には十分に注意が必要です。
●気を付けるべき時
- 暑さに体が慣れていない時期(梅雨の合間など)
- 急に暑くなった日や無風の日など
- 体調のすぐれない時
予防法
①その日の条件に合わせて運動時間を調節する
気温や温度、風の吹き方などはその日によって違います。高温多湿や無風の日には熱中症になりやすくなりますので、運動量を都度調節して、身体に無理のかからないようにしましょう。また、急激な暑さに身体を慣らすために、軽めの運動から始めると安全です。場合によってはその日の運動を中止することも頭に入れておくとよいですね。
②こまめに水分補給をする
運動すると汗をかいて水分が蒸発しますから、水分補給はこまめに行いましょう。また、水だけでは塩分が足りなくなるため、スポーツドリンクを飲むことをオススメします。
③通気性のよい素材を選ぶ
暑い日には特に、汗をかきにくかったり乾き易かったりと、通気性のよい素材のものを身に付けるようにしましょう。頭も帽子をかぶるなどして直射日光を避け、身体に熱が溜まらないようにすることが大切です。
④体調がすぐれない時は行わない
風邪や疲れで体調がすぐれない場合には、無理に運動するのを避け、身体を休ませるようにしましょう。日頃から運動不足の人や肥満体形の人は、特に熱中症にかかりやすいですから、負担をかけすぎないことが重要です。
暑さによる頭痛の予防策
暑さによる頭痛の原因はいくつかありますが、夏になると冷房の効きすぎで体が冷えたり、高温多湿で水分不足になったりと、ハードな条件下で過ごすことが多いですよね。
頭痛を防ぐためにも、以下の4つのポイントを意識するようにしましょう。
水分補給はこまめに
夏場は屋外でも屋内でも熱中症のリスクが高まります。のどが渇いていなくても、こまめに水分を摂るようにしましょう。
運動の前には準備運動を欠かさない
軽い運動であっても、い中でいきなり体を動かすと頭痛を引き起こしやすくなります。必ず体を動かして慣らしてから、運動を始めましょう。
急な温度変化に注意する
暑い外から室内に入ると、急激に体が冷やされて頭痛を起こしやすくなります。夏場でも薄手の上着を1枚持ち、室内でいつでも羽織れるようにしましょう。急な温度変化を避けることが大切です。
空腹を避ける
空腹時には血の巡りが悪くなり、頭痛を起こしやすくなります。たとえ頭痛がしていても、食事はきちんと摂りましょう。重たいものを食べると気分が悪くなる可能性があるので、さっぱりした軽めの食事でも構いません。胃を空っぽにしないことを意識しましょう。また、空腹を避けることで熱中症対策にもなります。
まとめ
暑さと頭痛との関係を一通りご紹介しましたが、原因は人それぞれです。少しでもおかしいと感じたら、無理をせず、早めに医療機関を受診しましょう。
また、健康に気を配り過ぎて、かえって身体を壊してしまうこともあります。汗をかく季節は体力も消耗しやすく、疲れやすいですから、決して無理をせず、自分の身体と相談しながら生活するようにしましょう。
これからの季節、正しい知識と対策で、快適に安心に日々を過ごしたいものです。