「あれ?髪の毛がない…?」年齢と関係なく、どんな人でもある日突然発症する可能性があるのが円形脱毛症です。
円形脱毛症は、俗に「5円玉ハゲ」「10円玉ハゲ」などと呼ばれるように、円形状に脱毛してしまう症状を言います。見た目で分かってしまう位置が脱毛してしまうと「外出できない」「人と会えない」といった生活に支障をきたしてしまう恐れもあり、大きなストレスとなってしまうかと思います。
そして実際に円形脱毛症になってしまったら、完治できるのかどうかとても不安ですよね。今回は、どうして円形脱毛症になってしまうのか考えられる原因と回復について、また、どういった治療方法があるのかを幾つかご紹介させて頂きます。
円形脱毛症の原因
では早速、円形脱毛症になる原因について紹介します。
円形脱毛症は遺伝する
あまり知られていませんが、実は円形脱毛症は遺伝的要因の大きい病気です。
家族に円形脱毛症を患った経験がある人がいる場合、約30%の確率で発症すると言われており、特に親等が近いほどその発症率は高くなります。
強いストレス
円形脱毛症と聞いて、多くの人が思い浮かべるのが「ストレス」だと思います。ストレスを受けるとどうして脱毛してしまうのでしょうか。
人はストレスを受けると、交感神経が活発に働きます。交感神経とは、副交感神経とともに自律神経系を形成する神経で、この交感神経が働く時というのは、いわゆる「行動モード」の時です。たとえば仕事や運動などの活動をしている時や、緊張している時などです。逆に副交感神経が働く時というのは、睡眠、休息中などの「リラックスモード」の時になります。
私たちはこの二つの神経をそれぞれのモードにあわせて自然とスイッチ、調整しながら生活しているのですが、強いストレスを感じたり、それが長く続いたりすると自律神経の調整がうまく機能しなくなり、交感神経がずっと働いてしまう状態になります。
交感神経が働くと血管を収縮させるのですが、収縮状態が続くことで頭部への血流が悪くなり毛根へ栄養が届かなくなってしまい、結果脱毛を引き起こしてしまうのです。
自己免疫疾患
自己免疫疾患とは、外部から侵入するウイルスなどから自分を守る為に働く免疫系機能に異常があり、自分自身の体を異物とみなして攻撃してしまう疾患です。
円形脱毛症の場合は、毛根を異物と判断し攻撃してしまうため毛根が傷んで脱毛してしまうのです。その原因は残念ながらまだ明らかとされていません。
また円形脱毛症は、甲状腺疾患、関節リウマチなど他の自己免疫疾患と併発する場合があります。
産後のホルモン変化
女性の場合、出産後に女性ホルモンが減少することで脱毛が起こりやすくなるのですが、多くの場合は「産後脱毛」として自然に元に戻ります。ですが、産後のストレスやホルモンの変化により、円形脱毛症を発症することもあるようです。
また、母乳をつくる為に栄養がたくさんとられてしまう訳ですが、そのせいで髪の毛に必要な栄養が届かなくなってしまっている可能性もあります。髪の毛に良いとされるアミノ酸や鉄分、良質なタンパク質を多く含む食品(ほうれん草、レバー、納豆、卵、豆腐、鶏のささみなど)を積極的にとり、なるべくリラックスできる時間を作るなどを心がけましょう。
また、アトピー素因を持っていると、産後に円形脱毛症を発症する確率があがると言われています。
円形脱毛症は完治するのか?
円形脱毛症は完治することがあるのでしょうか?
自然治癒する可能性が高い
円形脱毛症になってしまい、色々と治療法を探されている方は多いと思います。実は円形脱毛が単体でできた場合、約80%の人が1年以内に自然治癒すると言われています。
とはいえ髪の毛はどんなに早くても一か月で1~1.5cmしか伸びませんし、元の長さ、周りの髪の毛と同じ長さになるにはやはり時間がかかります。脱毛箇所が気になり、一刻も早く髪の毛を生やしたい、治したいという気持ちになりますが、過度に気にしてしまうとそれがかえって強いストレスとなり、更に症状を長引かせてしまうかも知れません。
気にしない方が難しいとは思いますが、先に述べた「ストレス」が脱毛の原因となってしまうことが多い為、できるだけリラックスした生活を心がけることが大切です。
シャンプー時に優しく頭皮マッサージをしたり、気になる方は脱毛部分を隠すヘアスタイルを考えたりウィッグを使用するなど、自分でできることを試しながら、過度に落ち込まず髪の毛が生えてくるのを待ちましょう。
また、円形脱毛症かな?と思ったら、まずは専門医を受診することも非常に大切です。自然治癒せず、悪化してしまい症状が広がってしまう可能性もあるからです。そこで次は病院での治療についてご紹介します。
病院での主な治療
時間はかかっても、自然と完治する可能性が高い病気ですが、病院での治療でより早い回復がみられることもあります。ただし、副作用が発症する場合もありますので、医師と相談し十分留意することが必要です。
何科を受診すれば良いのかですが、これは「皮膚科」で問題ありません。できれば事前に円形脱毛症の診療、治療実績がある病院かどうかを調べてから受診することをおすすめします。
・内服薬治療
炎症や免疫機能を抑える効果のある「ステロイド内服」や、アレルギー反応を抑える「抗アレルギー薬」などがあります。
・外用薬治療
「ステロイド外用」は一般的な治療法として多くの皮膚科で採用されています。国内でも豊富な治療実績がありますので、病院を受診した場合、まずこちらを処方される可能性が高いです。
その他「塩化カルプロニウム外用(フロジン液)」や「ミノキシジル外用」といった外用薬もあり、ステロイド外用と比べると効果が弱いと言われていますが、いずれも治療実績の多い薬です。
・ステロイド局所注射
炎症や免疫による反応を抑える効果があり、症状の出ている患部へ直接注射で注入する治療です。こちらは他の治療を行ってもなかなか改善しない方や、脱毛箇所が多発している場合に行われるようです。
注射ということでやはり痛みを伴いますし、効果が高い反面、もちろん副作用もありますので、医師の説明をしっかり受け治療にあたってください。
・その他治療
その他、「冷却治療」「紫外線療法」など様々な治療法があります。病院によっても選択できる治療内容は変わってくると思います。
・医療用ウィッグ
治療とは少し異なりますが、脱毛部分を隠す為にウィッグが必要な場合、病院で医療機器として取り扱われています。ウィッグを使用することで脱毛に対する精神的な負担が減り、円形脱毛症となってしまったことへのストレスを軽減できる効果が期待できます。
まとめ
時間はかかってしまいますが、円形脱毛症は完治する可能性の高い病気といえます。
ただ、様々な原因が考えられる為、遺伝やストレスに心あたりがない場合、自己免疫疾患やホルモン疾患がないかどうか病院で調べることが重要です。根本の原因となる病気が見つかり治療することで、円形脱毛症の完治にも繋がりますし、いずれにしても早めの治療、対応が悪化を防ぎます。
また、ストレス対策として精神安定剤などの治療を考えることもあるかと思いますが、対処療法として精神的不安は取り除けても、円形脱毛症の直接的な治療となるような実証報告はないようです。副作用も心配されますので、円形脱毛症の治療として使用するのは避けた方が良いかも知れません。
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