肺炎の入院期間ってどのくらい?費用や基準を知っておこう!

日進月歩で進化している医療でさえ、肺炎を克服することは実に困難です。

人工授精も臓器移植も可能になった今も、肺炎は命取りです。肺炎と言えば気管支炎の悪化したもののように考えられ、薬を飲んで自宅で安静にしていれば時間薬という印象があります。確かに初期なら、それでも治るかもしれません。

しかし、診断が遅れて進行した肺炎は大変、リスクの高いものになります。入院しなくてはならない肺炎について知っていれば、悪化を食い止めることが可能です。

肺炎とは

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知っているようで詳しく知られていない「肺炎」についてご説明しましょう。風邪をこじらせて発症するイメージが一般的ですが、実は肺炎も様々な原因で起こり、その理由によって治療法も全く違います。

主な自覚症状

細菌やウイルスなどの病原微生物や異物が肺に入って炎症したものを、肺炎と呼びます。日ごろなら全く問題ない環境においても、体力が低下したり抵抗力が落ちれば感染する場合があります。

原因が多種多様で、日常的にもありがちな病気なのに死亡率は高いので注意が必要です。現代の日本でも、がん、心臓病、脳卒中の次に多い死亡理由となっています。

具体的には激しい咳、高熱(38度以上)、呼吸困難、胸の痛み、黄色・緑色っぽい痰、空咳(音の全くでない咳。むせた息使いのように聞こえる)などの症状があります。1週間以上、続くようなら呼吸器内科を受診してみてください。

肺炎の空咳は独特です。初めての方は分かりにくいかもしれません。ひどい咳がおさまってきたかと勘違いするケースもあります。

実際、さほどしんどくない、風邪の治り際だと思っていた方が肺炎に進行している場合が多いのです。自覚症状だけでは判断しにくいのが危険な特徴といえるでしょう。

高齢者、乳幼児、長期療養中の方は上記のような症状が見られない場合があります。どうも、いつもより元気がないと思われたら内科・小児科を受診してもらいましょう。

検査方法

様々な原因の可能性から、検査方法も多くなります。医師による問診、画像検査、血液検査、喀痰検査、尿検査などです。

医師による問診

まず、医師自らが、患者に肺炎の特徴的な訴えがあるかどうかを観察します。そして聴診器を胸部に当てて音を聞きます。炎症を起こしている場合、呼吸の音が聴こえなかったりブツブツと水泡がはじけるような音がします。

指を胸部に当ててはじく検査をすると、鈍い音でゴンゴンとかドスドスと沈むような音がします。これらの所見を総合的に診断して、肺炎の疑いありと診断されると、他の検査を指示します。

画像検査

X線検査、CT検査、MRI検査をします。レントゲンと呼ばれるX線検査では肺胞腔内に炎症部があると、炎症浸出液がたまって白くなります。

CT画像もX線を使用しますが、レントゲン検査よりも詳しく炎症部の正確な位置と進行具合が分かります。MRI検査は磁気を利用した方法で、身体のどの方向でも患部を特定できるのが特徴です。鮮明な画像で診断の決め手になりますが、1枚の画像を撮影するために3~4分じっとしていなければならないので乳幼児や痴ほう症の高齢者には適用しにくい検査方法です。

血液検査

体内に炎症があるかどうか調べるのに、白血球数値を調べるのが最も有効でしょう。体内に入ったウイルスと戦う役割なので、感染症にかかると数が増えます。また、CRP数値も重要です。体内で組織の破壊や炎症反応があれば、血中に生成されるたんぱく質が増加すると知らせる数字です。血沈の反応も大きな手掛かりになります。採取した血液にクエン酸溶液を混ぜて血球の沈む速度を検査します。標準の速さよりも早ければ炎症していると考えられます。

喀痰検査

痰を採取して検査液で染色し、その反応を見て病原菌を調べる喀痰グラム染色検査があります。また、採取した痰を培養液を用いて分析し、原因となる細菌を確定する培養液検査があります。

尿検査

この検査で特定できる病気はレジオネラと肺炎球菌が代表的です。

様々な原因

検査で特定できる病気もまた、様々です。診断を誤れば逆効果もあり得ますので、慎重を期したいところです。大きく分けて4つあります。

  • 細菌性によるもの・・・ばい菌を指していて、ブドウ球菌、肺炎球菌などが主にあります。
  • ウイルス性によるもの・・・インフルエンザ ウイルス、アデノ ウイルス、はしか ウイルス、サイトメガロ ウイルスなどが代表的です。
  • マイコプラズマによるもの・・・ウイルスと思われがちですが、細菌とウイルスの中間くらいの存在です。
  • 真菌によるもの・・・これは大気中に浮遊するカビのことです。黒カビなどの胞子を吸い込んで肺胞に付着すると、そこで培養されていきます。あまり例を見ませんが、発症すると死につながりかねない恐ろしい病気になります。

入院を要する肺炎とは

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在宅療法と入院、どこで線引きするのでしょう。入院しなくてはならない理由もありますが、知らなければ無理をして取り返しのつかないことになりなけません。

入院治療のメリット

安静がまずは何より必要ですが、自宅療養では必ずしも守られません。ついつい仕事の電話をしてしまったり、家事は家事で無限にあります。

肺炎の場合、全身の安静が必要なのです。呼吸も含めた安静なので会話ももちろん、食事と排泄以外は身体を横たえてじっとするという事です。それは在宅で、できそうでできません。

入院ともなれば病院の管理の下、日常の生活から遮断されます。何より患者本人が諦めて、早く治して帰ろうと治療に専念します。社会も家庭も患者に入院中、何かを要求することはありません。この患者及びその周辺の人たちの意識と理解が、病態の予後を変えていきます。

次に重要なのが、使用される薬剤の特性です。肺炎に使用される抗生物質には即効性がありません。服薬してから安定した効果が3~4日かかるのが一般的です。その間に在宅で日常生活を送ってしまうと一気に重症化してしまう可能性があります。

実際にそのようなケースもあるので、まだそんなに辛くないのに?と思える状態であっても肺炎と診断されて医師から入院を勧められたら、従ってください。

服薬後のドラッグコントロールも含め、安静の管理など一切を病院で把握できるのも大きなメリットになります。

入院が必要なレベル

どのタイミングで入院が必要かは、本人の容態次第で医師が決断すろことになります。一応、一般的な指標として、日本呼吸器学会から出されたガイドラインがあります。

それによると、男性70歳以上、女性75歳以上で脱水傾向にある方が対象になります。年齢的に抵抗力がないことが理由ですが、同じ理由から新生児や乳児なども急変しやすいので入院治療も視野に入れます。

発熱は肺炎の進行状態の目安になりますが、決定的なことではありません。高熱に関しては警戒材料ですが、熱が低いからといって安心できないということです。体力がないと発熱することもできず、肺炎が進行することも考えられるからです。年齢的に高齢者や乳幼児は配慮しますが青年や成人でも、産後や病後、過労などで抵抗力が衰えている場合は要注意となります。

意識障害を伴っている場合は、即、入院です。この場合は本人に正しい判断力はないとして家族がいれば家族に説明となります。

SPO2といって経皮的動脈血酸素の飽和度が90%以下になっている場合、体内で酸欠になっていると判断されるので入院治療が必要です。チアノーゼにまでならず、外見上は異常がなくても測定すると数値で異変を知ることは重要です。急変前に適切な対応ができるからです。

肺炎の入院治療

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年齢、既往歴など患者各人の違いがあっても肺炎に限っていえば、入院で必要な処置は変わりません。具体的な内容をご説明します。

入院生活で重視されること

だいたいの入院期間は5~7日とされていますが、意識障害など重篤なケースで入院すれば倍の10~14日には延びます。

そこで重視されることは、まず安静です。そのために面会謝絶扱いされることもあります。病院の指示は、院内において抜群の拘束力があるので服従するしかありません。従わなくては治療を拒絶したとみなされ、強制退院になります。

温度、湿度を適正な数字で一定に保った環境で安静にする、これも立派な治療の一つです。特に呼吸器は湿度の影響を受けやすいので、注意が必要と言えましょう。

次に重要なのは補水です。水分をしっかり摂って、回復の体内環境を作り上げることが優先です。呼吸器の粘膜に充分な水分を送り込むことで、退院の日程にも影響します。どうしても自力で飲めないようなら、点滴で水分を補給します。どの病気でもそうですが、自力でしっかり水分も摂れない状態での退院は、許可されません。

入院で受ける治療

各患者の容態に合わせて、対処療法が行われます。高熱の患者には解熱剤、咳こみがひどい患者には咳止め、脱水の見られる患者には点滴で生理食塩水、経皮的動脈血酸素が著しく低下した患者には酸素吸入、などです。

容態に合わせた対処療法で、とりあえず急変や悪化を防ぎつつ、原因を詳しく調べて特定する検査をします。検査結果も早く出されるので治療の速度が一気に加速します。

細菌性なのか、ウイルス性なのか、真菌性なのか、マイコプラズマなのか、せめてこの4種は鑑別されます。そして特定できれば、すぐにそれに合った抗生剤が投与されます。

在宅なら経口薬しか出せませんが、入院すれば点滴で時間に問題なく注入できるので安定した効果が望めます。

血液や酸素、尿の状態、レントゲンなどを必要であれば毎日でも検査して、経過を把握でき、それに基づいた治療方針が打ち出されて管理されます。検査しながら治療を受けることで過剰な治療や長引かせる治療にならなくて済みます。

まとめ

入院中は、とにかく医師の指示に従い、看護師のケアを素直に受けることが重要です。それが一番の近道といえますが、問題はむしろ退院後でしょう。肺炎は完治しても、安静を保った身体は、まだまだ無理ができません。

ここから必要なのは養生です。入院中にたまった用事や仕事に手を付けたいのは山々ですが、せめて帰宅後1週間は自宅でも安静に努めましょう。退院後の注意点について、しっかり医師から聞いておく、必要なら診断書を書いてもらって帰宅すれば安心です。

  
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