鏡を見たら、歯の一部分が黒くなっていたり、食べ物食べた時に歯がしみたりと、虫歯の疑いがあるにも関らず、歯に痛みがないからいいやと放置していませんか。痛みがないことや、あまり気にならない程度の痛みであれば放置しがちですが、虫歯は一度なると治らずに進行していく病気です。
一度虫歯になった歯は残念ながら元の健康な歯に戻ることはありません。少しでも発見が早ければ、それだけ歯を長持ちさせることが出来ます。また、虫歯を放置し続けると、合併症を引き起こして、命の危険を伴う場合があります。
虫歯を放置した場合に、どんな症状がおこるのか、虫歯を放置してはいけない10個の理由と4つの効果的な予防策をご紹介します。
虫歯とは?
虫歯とは、酸によって歯が溶かされてしまう病気のことです。虫歯が出来る条件は4つあります。
1、歯がある
2、口中に虫歯菌(ミュータンス菌)がいる
3、虫歯菌の栄養源(糖類)がある
4、虫歯菌の増える時間がある
子供の頃によく、「甘いものを食べると虫歯になる」と言われませんでしたか。チョコレートやキャラメル、飴などのお菓子類や缶ジュースの中には大量に糖分が含まれています。
これらの糖類と虫歯にはとても深い関係があります。
口の中には、たくさんの細菌が住み着いています。その中でも虫歯を作る1番の原因といわれているのが、「ミュータンス菌」という細菌です。この細菌は糖類が口の中に入ってくると、歯垢を作ります。そしてその歯垢の中で酸を作り、この酸によって歯が溶かされた状態のことを虫歯と呼びます。
酸が作られるまでには少し時間がかかるので、虫歯を予防する最も効果的な方法は、食後の歯磨きとうがいです。これらの行為は歯垢を作らない為にとても重要な行為です。また、寝ている時は唾液の量も減り、虫歯菌が活発になりやすい時間と言われている為、寝る前は必ず歯磨きをして虫歯になりにくい口内環境を作ることが重要です。
今すぐチェック!放置したら危険な虫歯の状態
あなたはどんな時に虫歯に気付きますか?「歯の表面が黒くなっている」「歯の痛み」や「歯がしみる」などの状態で虫歯と判断する方もいますが、実は痛みが出ないまま、虫歯が進行している場合があります。痛みが出ない虫歯のタイプは2つあります。
1つ目は、虫歯菌が神経まで達していない為、痛みが出ていない事、2つ目は虫歯が進行し、既に歯の神経が死んでしまって痛みを感じない事です。
痛みを感じなくても、鏡でチェックして確認できる虫歯の状態があります。
痛みを感じないけれど、放置してはいけない虫歯の状態をご紹介します。
歯の中が黒く透けている状態の歯
歯の中が黒く透けている歯は、歯の中で虫歯が進行している状態です。
歯の表面は、硬いエナメル質で覆われて出来ていますが、この一部分が酸により溶かされると、中に虫歯が広がっていきます。歯の中は外に比べて柔らかい物質で出来ている為、酸で溶かしやすく、進行しやすいです。
歯の中でどんどんと虫歯が広がっていく中で、表面の硬い部分だけは溶けずに残っている状態の為、歯が黒く透けている状態に見えるのです。
大きな穴が開いているけど、しみない状態の歯
歯に大きな穴が開いているにも関らず、しみない状態は、歯の神経が死んでいる状態にあります。虫歯が大きくなると、神経に達して痛みが出ますが、更に進行してしまうと、神経が死んでしまい痛みが出ません。
この状態になると、虫歯菌が顎の骨に入り、骨髄炎を引き起こしたり、虫歯菌が血液を介していろんなところに移動して感染を起こすので、危険な状態です。
歯がなくなり、根だけになった状態の歯
虫歯は歯が酸で溶かされていく病気です。その為、虫歯が進行していくと、歯がどんどん欠けてなくなっていきます。歯がどんどん減ってくると最終的には、根の一部分が残るようになります。
この状態を放置すると、奥歯の場合は、かみ合わせが変化し顎関節症を引き起こしたり、他の歯に負担がかかり、他の歯が傾いたりして顔の形まで変わってしまう場合があります。また、虫歯菌が顎の骨や血液を介していろんなところに移動して感染を起こすので、危険な状態です。
銀歯の歯ぐきから膿がでている状態の歯
治療した歯には銀歯をかぶせたり、セラミックをかぶせることがありますが、セラミックは高いので銀歯を選んだ方も多いと思います。銀歯は実はあまり歯とよくくっついていない為、銀歯の中に細菌が入り込み、虫歯が進行する場合があります。
銀歯の中は見えずらいので、虫歯が進行しやすく、気付いたら顎の骨に膿が溜まり、歯茎から膿が出てくる状態になっています。
詰め物が取れた状態の歯
通常、歯の表面はエナメル質という硬い物質で守られています。一度虫歯になると、治療後に、そのエナメル質の代わりに詰め物をし、歯を保護します。
その詰め物が取れてしまうと、中の柔らかい部分がむき出しになってしまい、虫歯の進行が早くなります。詰め物がとれた場合、歯医者にもう一度行くことをおススメします。
虫歯を放置してはいけない10個の理由とは?
虫歯は放置すると、虫歯菌が血液や骨を介して移動し、色んなところに炎症をおこします。最終的には命の危険に関る病気になる為、虫歯は放置しては危険です。今回、虫歯を放置したらどんな展開に発展していくのか、放置してはいけない10個の理由をご紹介します。
歯が欠けたり、しみたりする
虫歯は小さな穴から奥深くに広がっていく為、いつのまにか神経の近くまで広がっています。歯がかけたり、食べ物がしみたりする状態は神経の近くまで来ている証拠です。
この状態の時に治療すれば、神経を残して治療できる可能性があります。神経を残すことで歯が割れてしまう可能性を防げたり、小さな詰め物をするだけで治療が完了する場合が多いです。
虫歯が深くなり、歯の神経に痛みがでる
虫歯を放置すると、虫歯がどんどん進行し、神経に達します。虫歯が神経に達すると我慢できない強い痛みが出ます。この時点での治療方法では、痛み止めを利用して痛みを抑えた後に、神経を抜く処置が行われます。
強い痛みが出ているということは、歯の中で神経が充血している証拠です。その為、麻酔も効きにくいですが、神経を抜けば痛みは収まるでしょう。
顎に膿が溜まり歯ぐきが腫れる
神経が死んでしまうほど虫歯を放置すると、顎の中に膿が溜まり歯茎が腫れだします。膿の大きさや場所によっては、口をあけるのが困難になったり、食べ物が飲み込めなくなるなどの支障がでます。
この状態になると、歯の根の治療をして、歯の中で腐ってしまった部分を取り除きます。場合によっては、麻酔をしてから歯茎を切って膿を取り出す必要が出てきます。
副鼻腔炎になる
副鼻腔は上顎と頬、鼻に囲まれた空洞のことを言います。副鼻腔は上顎の歯に近く、虫歯を放置すると虫歯の細菌が副鼻腔に入りやすくなり、炎症を起こし、副鼻腔炎になる可能性があります。
副鼻腔炎とは、副鼻腔の粘膜に細菌やウイルスが感染することで炎症が起こり、鼻詰まり、鼻水、咳など、風邪の症状に似た様々な症状が現れる病気です。
また、副鼻腔炎が悪化すると、周りの神経にも影響を及ぼし、頭痛や目の周りの痛みなどの症状を伴うことがあります。この状態になると、歯の治療以外に、抗生物質で副鼻腔炎を抑え、歯の根の部分を消毒する必要があります。
噛み合わせが変化し顎関節症になる
奥歯の虫歯を放置すると、噛み合わせが変わってしまい、顎関節症を引き起こすことがあります。顎関節症とは、「あごが痛い」「口が開かない」「口を開くとカクカクと音がして痛い」などの症状が起こる病気です。
また、かみ合わせが悪くなると、それに伴い体調不良や耳鳴り、顔の形の変化などを引き起こすことがあります。
虫歯菌が顎の骨に感染し骨髄炎になる
虫歯の細菌が顎の周辺の骨肉や血液を介して骨髄にまで達することで、骨髄炎を引き起こします。骨髄炎とは、骨の骨髄と呼ばれる部分が細菌感染して炎症を起こす状態のことを言います。
この病気は、慢性化して再発を繰り返しやすく、一生涯続く場合もあると言われています。
骨髄炎は、悪寒や急な高熱、患部周辺に腫れと激痛が走るのが主な特徴です。
虫歯が原因となった骨髄炎では、まずは原因である虫歯を完治させた後に、骨髄炎の治療をします。虫歯の状態によっては、抜歯をして、膿が出ている穴の中に直接、抗生剤を注入する場合もあります。
また、虫歯の細菌が除去できず、膿がでる穴がふさがらない場合は、手術が行われる場合もあります。一度感知しても、再度骨髄炎を起こすことがあるので、注意が必要です。
細菌がアレルギーの原因になる
歯の根の先に長期間細菌が溜まっていると、アレルギーの原因となり、掌蹠嚢胞症(しょうせきのうほうしょう)という病気を引き起こすことがあります。
掌蹠膿疱症はウミが溜まった膿疱と呼ばれる皮疹が手のひらや足の裏に多くみられる病気です。初めはかゆみが出て、その後小さな水ぶくれが現れ、膿疱に変化します。溜まっている細菌を取り除く為、歯茎を切って根の消毒をする必要が出てきます。
虫歯菌が血液から感染し心筋梗塞や脳梗塞、脳腫瘍を起こす
細菌は血液を介していろんなところに移動して感染を起こします。虫歯の菌が血液に入り込み、その菌が繁殖すると、血液をドロドロにし、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こします。
また、ひどい膿をもった細菌は脳にそのまま留まり、脳自体に腫瘍を作り出そうとします。悪性化した場合は、死の危険も伴います。
食道や胃などの消化器官に炎症が起こる
虫歯を放置したまま、食事を取ると、口の中で食べ物に細菌がついて、食べ物と一緒に体の中に入り込みます。虫歯菌が食道や胃などの消化器官にが炎症を起こし、吐き気や食欲不振などの症状を引き起こす場合があります。
虫歯菌が全身に感染すると死にいたる危険が!
疲れていたり、体の免疫力が低下していると、虫歯菌が心臓、脳、骨、臓器などに感染して死に至ることがあります。
大抵の方はこの状態になる前には痛みに耐え切れず治療をされているかと思いますが、虫歯を放置すると最終的には、死の危険が伴うということは、念頭に入れておきましょう。
虫歯菌から歯を守る!効果的な4つの予防策は?
「歯磨き」で出来る、歯垢除去率は60%といわれています。その為、ただ歯磨きするだけでは虫歯予防には不十分です。
歯磨き以外にできる、虫歯から歯を守る為の予防策4つをご紹介します。
デンタルフロスで、歯垢除去率UP
細菌は糖類が口の中に入ってくると、歯垢を作ります。この歯垢が酸をつくるので、口の中にある歯垢をしっかりと除去することが必要です。デンタルフロスとは、歯の間の歯垢を掃除する細い糸のことです。
このデンタルフロスを使うことで、歯磨きで行った歯垢除去率60%から20%プラスされ、歯垢除去率が80%までアップするといわれています。また、虫歯の90%は歯と歯の間から発生するといわれています。
その為、歯ブラシでは補えない箇所をデンタルフロスでしっかり除去することが出来ます。また、デンタルフロスをしている際に、歯と歯の間にざらつきを感じる、引っかかるかんじがする、出し入れの際に糸がバラけるなどを感じたら初期虫歯の疑いがあります。歯垢除去だけでなく、口臭予防や、虫歯の早期発見にも役立つことができる為、日常生活に取り入れましょう。
フッ素を歯に塗り、虫歯菌を抑制
フッ素を歯に塗ることは虫歯予防に欠かせない重要な行動の1つです。フッ素には下記のような4つの虫歯予防効果が期待できます。
- 初期段階の虫歯を治す
- 丈夫な歯を作る
- 虫歯菌の働きを抑え酸を作らない
- 虫歯菌が糖を取り込めないように邪魔をする
ほとんどの歯磨き粉の中には、フッ素が含まれているので、フッ素入りの歯磨き粉で歯を磨き、ゆすぐ時の回数を少なめにすることが虫歯予防には効果的です。
ゆすぎを多くするとフッ素成分が全部流れてしまうので、ゆすぎを1、2回程度にし、少し味が口の中で残っている程度でゆすぎを止めフッ素を口の中に残しましょう。
また、歯磨き後のフッ素ジェルを歯に塗ることは最も効果が期待できます。このジェルは唾液に流されることなく、長い間口の中で留まります。その為、長い間効果を持続させます。フッ素ジェルはドラッグストアをはじめ、どこでも購入できます。
キシリトールで虫歯になりにくい口内環境を作る
キシリトールは、虫歯の進行を抑制し、歯垢をつきにくく、またはがれやすくしてくれる効果があり、虫歯になりにくい環境をつくると言われています。
キシリトール配合のガムはどこでも購入できますが、キシリトールが50%以下の濃度であると効果が期待できません。スーパーやコンビニ店頭で売られているものは30%~70%の為、50%以上入っているかを確認してから購入しましょう。
また、糖分が入っていたら意味がないので、シュガーレスまたは糖類0gと表示のあるものを選びましょう。歯磨き後にキシリトールガムを5分以上噛むのがおススメです。
糖分を控え、虫歯になりにくい口内環境を作る
虫歯菌は糖類が口の中に入ってきた際に、歯垢をつくり歯を溶かす酸を出します。その為、糖分を控え規則正しい生活をすることが、虫歯の活動を抑制する1つの方法です。
糖分を含む食べ物を長い時間食べたり、缶ジュースやチョコレートなど糖分が多く含まれているものを取り続けると、口の中では酸が作り出しやすい状態になってしまいます。
その為、糖分を取る頻度を抑えたり、時間をかけないことで、虫歯になりにくい口内環境を作ることができます。
まとめ
以上、虫歯を放置しては危険な理由と予防策はいかがでしたでしょうか。
一度、鏡を使って自分の歯をしっかりとチェックされることをオススメします。いつもしっかりと見ていない歯をじっくりと見てみると、歯垢が目で確認できたり、自分で虫歯を発見できたりもします。
歯は一生ものなので、きちんとお手入れをして、長く丈夫な歯を保ちましょう。