“若返りホルモン”をご存知でしょうか。読んで字のごとく、身体を若返らせてくれる働きをするホルモンのことで、種類は様々あります。
そのなかで、特に若返り五大ホルモンといわれるのは、成長ホルモン、テストステロン、エストロゲン、メラトニン、DHEAの5種類です。それぞれ肌のツヤをよくしたり、新陳代謝をよくするなどの働きをしてくれます。今回は、そのなかでも特に馴染みのある成長ホルモンにスポットをあててお話しします。
若返りの秘訣は若返りホルモンにあり!若返りホルモンとは?
若返りホルモンってなに?
成長ホルモン(若返りホルモン)とは、脳下垂体から分泌されるホルモンです。成長や代謝などを司るので、成長ホルモンと呼ばれます。
このホルモンは、15歳から20歳ころを分泌のピークとして、年齢を重ねるごとに減少してしまいます。このホルモンが出なくなってくると、心臓機能が低下してしまいます。心臓機能が低下すると、体中に血液がまわりにくくなり、栄養が体内の隅々に届きにくくなります。
そうなると、新陳代謝が悪くなり、肌などのハリなどがなくなったり、痩せにくい体質になったり、冷え性になるなど、体のあちこちに悪影響を及ぼすことになります。
若返りホルモンの効果とは?
若返りホルモンの効果は、そのホルモンによって様々です。ここでは、今回の主役、成長ホルモンの効果を見てみましょう。
●成人病や老化の予防をする
●免疫力のアップ
●ダメージを受けた肌の修復
●記憶力を保つ
などなど。成長ホルモンというと、成長期に身長をのばしてくれるイメージがありますが、分泌を促してあげることで、成人後もこのような効果が期待できるのです。
若返りホルモンを分泌を促すための3つの方法
そんな素晴らしい作用がある若返りホルモンの分泌を促すために必要なことは、たった3つ。難しいことではありません。今日からすぐ取り組んでみましょう。
お腹が鳴るぐらい?!空腹になる
結論から言うと、空腹になることが分泌を促す1つ目の鍵です。
順を追って説明します。朝起きて、日の光を浴びると、脳内から、セロトニンというホルモンが分泌されます。このセロトニンは、交感神経を刺激し、脳や身体を覚醒させる働きがあります。活動を始めるための、身体の準備をしてくれるホルモンということですね。
その働きにより空腹状態になるのですが、この空腹状態というのが重要です。この空腹状態のまま、活動を始めることによって、若返りホルモンの分泌が増加します。
それにより、肌の若返り遺伝子“サーチュイン遺伝子”が発動し、さらに、善玉ホルモン“アディポネクチン”が分泌されます。
この“アディポネクチン”の働きの例を挙げると、脂肪酸の燃焼や糖の利用の促進などをしてくれます。なので、アディポネクチンの血中濃度の高い人ほどメタボや糖尿病などのリスクが低いことがわかっているそうです。
毎朝起きたら、日の光を浴びながら、ゆーっくり深呼吸をし、酸素をたっぷり取り込みます。のんびりウォーキングなどをするとより効果的でしょう。
そして、お腹が鳴るぐらい空腹になってからご飯を食べるのがベストです。朝に限らず、お腹がすくほど、若返りホルモンの分泌は増加します。
できれば、お腹が鳴るまで食事を待つことが望ましいのですが、どうしても我慢できない!という時は、食物繊維やビタミンが豊富な果物を食べるといいでしょう。果物の皮にはポリフェノールが含まれているので、皮も食べることで、抗酸化作用などが期待できます。皮ごと丸かじりできるリンゴはおすすめです。
はじめのうちは我慢するのが辛いかもしれませんが、そこはグッと我慢。お腹が鳴るたびに「わたし、若返ってる!」と前向きに取り組んでみてください。
寝る前の習慣と睡眠の質
寝る前の食事習慣にも気をつけなければいけません。
あなたは晩ご飯を食べた後、何時間後に布団に入りますか?もし、食べて2時間以内に寝るようであれば、いますぐ改めましょう。
眠りに就き、30分〜1時間のあいだが最も若返りホルモンの分泌が活発とされています。ですが、ここで問題なのは寝る前に糖質(ご飯、パン、麺類、アルコールなど)をとっていると、“インスリン”という糖を分解するホルモンが分泌されることです。
このインスリンが血液中にある間は、若返りホルモンの分泌はされないのです。なので寝る直前にご飯を食べてしまうと、せっかくの若返りチャンスを逃してしまうことになります。
出来ることなら、寝る予定時間の3時間前には食事を済ませ、口にするのはお茶や水だけにすることを心がけてください。そうすると、空腹と睡眠の相乗効果で若返り効果が大きく期待できるでしょう。
また、寝る前の習慣でもう1つ気にかけてほしいことがあります。それは、パソコンやスマートフォンなどの電子機器の利用です。
それらの電子機器が発する強烈な光を浴びることで、脳が覚醒し、安眠を妨害してしまうからです。自律神経の働きが乱れてしまうので、寝つきが悪くなるのです。可能であれば、寝る1時間前には電子機器の使用をやめることが好ましいです。
そして、寝る前には電気を全て消して眠りに就く、これが大切です。暗くなると“メラトニン”というホルモンが分泌されます。最初にお伝えしたように、このホルモンも若返りに関係があるといわれています。
メラトニンは、朝起きて15〜16時間後から、徐々に分泌されてきます。つまり、朝6時に起きた場合、21時頃から分泌されはじめ、ピークへ向かっていくということです。起きてから昼の間は、先ほど出てきたセロトニンが分泌され、夜に向けて分泌量が治まってきます。反対に、夜になるとメラトニンの分泌が開始されるのです。
今回のテーマである若返りホルモン・成長ホルモンの分泌のピークは22時〜2時頃となっています。この2つのホルモンの分泌がピークの時間帯に寝ていることで、ダブルの若返り効果を享受することができるのです。
このように、睡眠前の習慣を変えるだけで、ホルモンの活動は一変します。寝る直前の飲食、飲酒は避けること、電子機器の利用は寝る1時間前にはやめること、遅くとも0時までには眠りに就くこと。これらが、若返りホルモンの分泌を促す秘訣なのです。
●睡眠ホルモン メラトニンとは?●
成長ホルモンからは逸れますが、若返りを促進するのに重要な働きをするホルモンなのでご紹介します。メラトニンも、若返り五大ホルモンのうちの1つといわれています。
メラトニンの働きは、体内時計の調整や、眠りに就きやすいように体温や脈拍などを低くすること、そして、抗酸化作用により肌を若々しくしてくれるなどのアイチエイジング効果があるホルモンといわれています。
このメラトニンの分泌は、セロトニンによりうながされるので、セロトニンを活発に分泌させてあげることが大切です。セロトニンの分泌を活発化させるためには、すでにお伝えしたように、朝日を浴びることがありますが、そのほかに、セロトニンの材料となるトリプトファンを摂取することも有効です。
●セロトニン分泌の鍵 トリプトファンとは?●
トリプトファンとは、必須アミノ酸の一種です。必須アミノ酸とは体内で生成できないアミノ酸のことをいいます。つまり、食べ物やサプリで補わなければいけません。
トリプトファンが豊富に含まれる食品は、動物性タンパク質のものです。肉や魚には、その種類や部位によりますが大変豊富に含まれています。
たとえば、牛のレバーは可食部100gに対して290mg。たったこれだけ?と思われるかもしれませんが、体重60kgの成人の1日摂取目安量は120mgなので、その2倍以上も含まれているということになりますね。
以下、参考までに書き連ねると、豚ロースは280mg、鶏はもも、むね、ひき肉とどれも数値が高く、230〜270mg。魚類では、すじこが高く330mg。また、魚肉ソーセージでも120mgとされているので、ご飯のおかずに魚肉ソーセージを食べるのも手かもしれません。
では、トリプトファンが豊富な肉や魚だけ食べればいいかというと、そうではありません。トリプトファンを脳に運んでくれる役割を果たすモノがなければ、セロトニンは分泌されないのです。では、その役目はダレがしてくれるのでしょうか?
それは、糖分です。つまり、炭水化物を摂取し、分解された糖分が、トリプトファンを脳へ運び込んでくれるのです。炭水化物とは、ご飯や麺類です。これらの食品自体にもトリプトファンは多少なり含まれていますので、一緒に食べるのが好ましいでしょう。
ゆっくりとした運動
若返り3つ目の鍵は、ゆーっくりとした運動です。激しい運動である必要はありません。
特に効果的なのは、スロースクワットと言われています。その名の通り、ゆーっくりしゃがむ、ゆーっくり立ち上がるという動作をするだけです。
- まず中腰になります。
- そこから、3〜4秒かけてしゃがみます。この時、息も一緒にゆっくり吐きます。
- 今度はゆっくり息を吸いながら、同じように3〜4秒かけて元の姿勢に戻ります。
この運動を、1日に10回程度目指してやりましょう。テレビを見ながらだったり、料理の合間だったり、トイレの帰りにやる!と決めてやると、習慣化しやすいと思います。
また、ウォーキングも効果的です。背筋を伸ばし、顔をあげて、胸を張り、お腹を引っ込めるようにして歩きます。スクワット同様、呼吸も意識して整えましょう。
これなら、ちょっと意識するだけで仕事の行き帰りにもすぐ出来ますね。これらの運動は、成長ホルモンの分泌にも有効ですが、若返り五大ホルモンの1つ、DHEAの分泌にも効果があります。
●マザーホルモン DHEAとは?●
先ほどのメラトニン同様、DHEA(デヒドロエピアンドロステロンの略)も、若返り五大ホルモンの1つとされています。このホルモンは、テストステロン(男性ホルモンの1つ)やエストロゲン(女性ホルモンの1つ)の材料となるホルモンなので、“マザーホルモン(母なるホルモン)”とも呼ばれます。
このDHEAの分泌に有効なのは、下半身の筋トレや運動をすること。上で紹介した、スクワットやウォーキングのほかに、階段や段差を上り下りするステップ運動も効果があるとされています。
DHEAは、肌のハリツヤを良くするなど美容効果もありますが、がんやアルツハイマーの予防に有効ともいわれています。
どうせなら外見だけでなく、中身も若く健康でいたいですよね。そのために大切な若返りホルモンが“DHEA”なのです。
まとめ
いかがだったでしょうか?難しいことはなく、普段の生活リズムをちょっと変えてあげるだけでいいんです。
早寝、早起き、バランスの良い適量な食事、適度な運動。これらを心がけるだけで、若返りホルモンは私たちの体のなかで、一生懸命働いてくれるんです!
さあ、いますぐ一緒に若返りましょう!