季節の変り目や急激な気温の変化があるとき、風邪をひきやすくなるといわれています。喉の痛みや鼻水、発熱、全身の倦怠感や関節の痛みなど、人によって風邪の症状はさまざまですが、とてもつらいものですよね。
また最近になって昔からの対処法が間違いであるということが分かるなど、風邪を早く治す方法を改めて考えてみました。風邪の症状を早く治すにはどのような方法があるのでしょう?
風邪とは?
普段風邪といわれているものは、具体的にはどのような症状を指すのでしょう?
風邪とは、ウィルスや細菌が鼻や喉などの粘膜に感染することでおこる急性の炎症を総称しています。風邪による症状、発熱や喉の痛み、鼻水などは、感染した身体の抵抗、防御反応です。風邪の症状を早く治すには、それぞれの防御反応に応じた対処法が必要です。また根本的な完治には、自分の免疫力を強めることも合わせて必要になります。
風邪の症状
風邪の初期症状といわれる、くしゃみや鼻水、鼻づまりや喉の痛み、咳や痰などの症状のほかにも、食欲不振や身体の節々の痛み、頭痛や寒気などさまざまな症状があります。
風邪に対する間違った認識について
では、そのような風邪を引いてしまったときはどのように対処すれば、早く治せるのでしょうか?
間違った対処法
過去によいとされていた風邪をはやく治す対処法が実は間違っているということが確認されています。
熱の対処法
そもそも、熱が出るのは、身体の中が熱の力で免疫力を上げ、ウィルスを退治しようとしているからです。熱は身体の防衛反応ですので、本来は熱を無理やり下げてはいけないのです。
間違い①熱が出ているときは厚着して汗をかく
風邪によって熱が出るとき、熱の上がりはじめは、顔色が悪くなり、悪寒がして手足が冷たくなります。そのようなときには、温かい格好をし、身体の欲するままに身体を十分に温める必要があります。そうすると熱はぐんぐん上がっていきます。その後熱が上がりきった状態になります。このような状態になったら、もう身体は寒さを感じなくなっていると思います。反対に暑さを感じているはずです。そのような状態で、無理に厚着をしたり、布団を多くかけて汗をかかせても熱がすぐに下がるわけではありません。かえって体力の消耗につながってしまうのです。つまり、身体を温めるのは、熱の上がり始めだけでいいのです。
間違い②熱があるときにはひえぴたなどをおでこに貼る
そのそも、おでこに冷却シートを張っても熱を下げる効果はあまりありません。また熱の上がり始めの悪寒を感じているときにはかえって身体を冷やす可能性もあります。冷却シートは、熱が上がりきった後に、高熱ですごく辛いときに、身体の太い動脈に沿って貼ると一番効果を発揮します。太い動脈とは、首の両方の動脈やわきの下の動脈、または両方の足の付け根にある動脈です。
間違い③解熱剤を使う
熱は身体の防御反応です。身体に入った細菌やウィルスと戦う免疫機能の働きを上げるために熱が出るのです。そのため、風邪の引き始めの症状のうちに解熱鎮痛剤を使うと、身体本来の防御反応がきちんと働かずにかえって風邪を悪化させてしまう恐れがあります。解熱鎮痛剤を使用するなら、熱の上がりきったとき、熱でどうしようもなく辛いときに使用するのが良いでしょう。
風邪の時の生活習慣
風邪の時の生活習慣でも間違った認識があります。
間違い①風邪の時にはお風呂に入ってはいけない
昔、風邪の時に入浴は禁止されていました。それは生活環境のせいでもありました。お風呂に入り、身体を温めた後に脱衣所で冷え、風邪を悪化させないようにするためでした。今はお風呂や脱衣所の気温差はあまり無く、風呂上りも極端に身体が冷えることはなくなりましたので、体力があるときや、寒さを感じるときなど、入浴したいと思うなら入っても大丈夫といわれるようになりました。
またお風呂に入ることで、身体を十分温め、免疫力が上がり、さらに身体をリラックスさせることで、よく眠ることが出来、風邪を早く治すことにもつながります。
間違い②風邪の時は無理をしても食べる
体力や栄養をつけるために、風邪の時には無理してでも食事をするように言われてきましたが、今はそうではありません。
風邪の時のように体力が落ちているときは、内蔵である、胃や腸の働きも弱っています。そのようなときに無理して食事をしても、かえって胃や腸を痛める原因になってしまいます。食欲が無いときは無理せずに食べれるものを口にしましょう。その際、水分補給には十分に気をつけましょう。熱があったり、嘔吐や下痢の症状があるときは、脱水症状に陥りやすいのです。水分を十分に摂った上で、消化のよいものを口にすると良いでしょう。
間違い③薬を飲む
風邪をひいたら薬を飲めば早く治ると思っている人も多いのではないでしょうか?実はそれも間違いです。基本的に薬は対処療法です。熱があるときは解熱剤、咳が出るときは咳止め、喉の痛みなら抗炎症剤など、風邪を根本的に早く治す薬ということではないのです。
そのため、薬を飲んでも、辛い症状は少し抑えることはできでもあとは自然に治るのを待つしかないのです。ただし例外もあります。漢方薬の葛根湯は、身体を温め、風邪を早く治す効果があるといわれています。
風邪を早く治す、正しい対処法とは?
今までの間違った対処法を踏まえて、どのようにしたら風邪を早く治せるのかまとめてみました。
身体を温める
身体を温めることは、免疫力を上げ、身体の防御反応を正常に働かせるためにとても重要なことです。一般的には体温が低くなると免疫力が低下するといわれています。体温が1度低下すると、免疫力は37%も低下するといわれているほどです。免疫力が低下すると、風邪が治りにくくなります。反対に、体温が1度上昇すると、免疫力は500%から600%もあがるといわれています。風邪を早く治すには免疫力を上げることが一番です。では体温を上げるにはどうしたらよいのでしょう?
・お風呂に入る
体力がある風邪のひき始めにお風呂で身体をあたためることで治りがはやくなります。
・カイロを背中に貼る
背中にカイロを貼り付けるだけで、体中が温まるのを感じると思います。これも治るのが早まります。
・葛根湯を飲む
漢方薬の葛根湯は、身体を中から温める成分が入っています。これを飲むことで治るのが早まります。特に風邪のひき始めの時に飲むのがよいとされています。
無理に熱を下げない
熱は免疫力を上げ、風邪と戦うための身体の防御反応です。無理に熱を下げるのはやめましょう。もしあまりにも高熱で辛いときなどは、医療機関に相談して解熱剤を処方してもらいましょう。
食事は食べられるものを少量づつとる
身体が弱っているときは内臓も弱っています。食欲が無いのに無理に食事をしたりするのは避けましょう。水分補給に気をつけ、脱水症状にならないように適度な水分、ミネラルなどをとり、消化のよいものを口にしましょう。
休養、睡眠をとる
睡眠と免疫力は比例関係にあるといわれています。風邪の時は体力も落ちているので、できるだけ無理をせずに休養をとり、睡眠をとってください。免疫力が回復し、風邪の治りも早まります。
必要な栄養素を十分にとる
風邪の時には下記の栄養素がよいといわれています。
ビタミンC
みかんなどの果物や緑黄色野菜などに含まれるビタミンCは病気やストレスの時に一番消耗されるビタミンといわれています。水溶性ですので、摂りすぎても尿として流れるため、ほとんど副作用はありませんので、多めに摂りましょう。食べ物で取れない場合はサプリメントでの補給でも可能です。免疫力が強化されるといわれています。
その他の栄養素
しょうが・ネギ・ニラ・ニンニクなどの薬味は身体を温め、免疫力を高めます。
豚肉やレバー、たまごやうなぎなどのタンパク質や栄養豊富な食材は、体力の回復や傷ついた粘膜を補強します。
風邪の予防法
風邪をひきそうなときや風邪のひきはじめなどに効果のある方法をご紹介します。普段から実践することで風邪の予防法にもなります。
身体の保温
普段から冷えやすい首周りや足首周りを温めることで、予防にもつながります。特に風邪のひき始めなどには、首や背中を温めることが重要です。
うがい・手洗い
外から帰った来たら、うがいと手洗いは徹底しましょう。手に付いた菌や喉についたウィルスや菌をうがいで吐き出すことで症状の悪化も防げます。
マスクの着用
周りで流行中の風邪があるときは、自己防衛のためにマスクをしましょう。風邪のウィルスや菌が喉や鼻の粘膜に入るのを防ぎます。
温度・湿度の管理
夏はクーラーで身体が冷えやすくなっています。体温が下がれば、免疫力も下がります。冬の暖房では空気の乾燥が激しく、喉や鼻の粘膜が乾燥し、ウィルスや菌が活発になります。どちらの季節も身体にとって害のあるものが侵入しやすい環境になってしまいます。
出来るだけ、湿度や温度を適正に保ち、鼻や喉の粘膜が乾燥しないように気をつけましょう。また身体を冷やさないように体温調節に気をつけましょう。特に屋内と屋外の気温差には軽く羽織るものを常備するなどして体温調節すると良いでしょう。
十分な睡眠
睡眠と免疫力は比例関係にあるといわれています。睡眠中は免疫細胞が活性化されるといわれています。十分な睡眠をとり、体力も免疫力も十分回復させれば風邪を悪化させずにすみます。
まとめ
いまがでしたか?
風邪を早く治す方法は、まずは身体をしっかりと中と外から温め、体温を上げることが必要だということがわかりました。そして免疫力を上げるための必要な栄養素をしっかりと摂り、十分な休息と十分な睡眠をとることで、身体に入ってしまったウィルスや細菌をやっつけることができます。
また普段から、うがいや手洗いをしっかりと行うことや、マスクの着用でしっかり予防し、日常生活や生活習慣をしっかりと整えることで、ストレスや疲れを減らし心身共に健康で過ごすことが一番の風邪の予防になります。