待望の妊娠でも、体には様々な変化が起きるものです。
その中でも、妊婦の半分以上が経験すると言われている貧血の原因や貧血による症状、対処法などをまとめてみました。
妊娠中の辛さの軽減はもちろん、無事に出産するためにも、これからお母さんになる方には必見の内容です。
妊婦が貧血になる原因は?
そもそも、妊娠するとなぜ貧血になりやすくなってしまうのでしょうか。
妊娠してからの体の変化を説明したいと思います。
妊娠すると赤血球濃度が減少するから
貧血という状態は、簡単に言うと赤血球が血液中から減ってしまったことによって起きるものです。
妊娠すると、赤ちゃんへ栄養を送るために、お母さんの血液量自体は増加します。しかし、赤血球はあまり増加しないのです。血液中の赤血球の濃さのことを赤血球濃度と言いますが、この濃度が薄くなってしまいます。
お母さんから赤ちゃんが栄養をもらっているから
お腹の中にいる赤ちゃんの栄養源は、もちろんお母さんです。お母さんの鉄分も、赤ちゃんへ行き渡る大事な栄養素です。
お母さんの鉄分をもらいながら、赤ちゃんはお腹の中で成長していきます。だから、お母さん自身の鉄分が不足してしまうことになります。
自律神経が不安定になるから
妊娠することによって、体には様々な変化が起きます。その中に、自律神経の乱れがあります。
自律神経が不安定になることによって、貧血も起きやすくなります。
これは、自律神経が不安定になると、血圧・血流が上手くコントロール出来なくなり、貧血の元になるからです。
貧血になるリスク
妊娠中に貧血になることによって、一体どのような症状が起きるのでしょうか。また貧血が引き起こすリスクや、赤ちゃんへの影響を説明します。
妊婦さんに起きる貧血の症状
普通に生活していて起きやすい貧血の症状は、くらっとしためまいがして、時には倒れてしまうようなものが一般的だと思います。しかし、妊婦さんの貧血の症状は、これだけではありません。
妊娠してから常に眠気が襲ってくるようになった、という人がいますが、これは実は、貧血の症状の一つでもあります。妊婦が眠たくなることについては、妊婦が眠いのはいつまで?初期と中期で眠気が変わる?の記事を参考にしてください。
妊娠する前は普通に出来ていたこと、極端な話、少し歩いただけでもだるくなったり、まるで全力で走った後のように動悸や息切れを起こしたりする時も、貧血の可能性が高いです。
自律神経失調症のように、体温調節が上手くいかなくなり、風邪のような寒気がすることもあります。その他、自律神経失調症に似た症状としては、めまいや頭痛があります。
意外なところでは、舌炎という舌の表面が炎症を起こすという症状もあります。だから、妊婦さんは口内炎にもなりやすいんですね。
中には、貧血の自覚は全くなくても、検診で血液検査をした際に、鉄分が不足しているという結果が出て、貧血だと分かる人もいます。自覚症状がないからといって、安心は出来ません。
妊娠中の貧血によって引き起こされるリスク
貧血になることによって、当然体調は悪くなります。
妊婦さんでも、ある程度の運動は必要ですが、貧血のために寝込んでしまうことによって、運動不足を引き起こすことになります。かといって、無理に動いて倒れてしまい、お腹をぶつけるようなことになってしまったら一大事です。
貧血は、お腹の中の赤ちゃんも鉄分不足になりますから、これも良いことではありません。よほど重度の貧血でなければ、赤ちゃんは成長していってくれますが、場合によっては低体重児のリスクが高まることもあります。
お産をする際にも、出血量が増え、大出血をして輸血が必要に・・・ということにもなりかねません。これは、妊娠後期に貧血だと血圧が下がりやすいため、出血量が増えるために起きる可能性がある事態です。
産後も貧血が改善されないせいで、母乳の出の悪さに悩まされるお母さんもいます。母乳は血液から作られますから、鉄分不足では、母乳が上手く作られなくなることもあるんですね。
このように、たかが貧血、されど貧血、お母さんにも、お腹の赤ちゃんにとっても、様々な悪影響があるということです。
貧血を改善するには?
それなら、もちろん妊娠中には貧血になりたくないですし、今貧血であれば、出来るだけ早く改善したいですよね。
どうすれば貧血を改善出来るのか、アドバイスをしたいと思います。
貧血だとお医者さんに診断されたら
検診で貧血だとお医者さんに診断されたら、鉄剤をすすめられることがあります。妊娠中に服用しても大丈夫な鉄剤だけ処方されるので、その点は安心です。しかし、鉄剤を服用すると、便秘になりやすいイメージがありますよね。
ただでさえ妊娠中は便秘になりやすく、それが嫌で鉄剤の服用をしない妊婦さんもいるようです。鉄剤と一緒に、同じく妊娠中に服用可能な便秘薬を処方されることがあるぐらいです。
また、鉄剤は胃が荒れる場合もあります。こうなってくると、次は胃薬となってくるわけですが、これではいくつ薬を飲めば良いのか、と嫌気がさしてしまうかもしれませんね。
妊娠中は極力、薬の服用はしたくないものです。そのためにも、自分で貧血を予防・改善することが大切です。
まずは、食生活に気をつけることから
貧血対策として有名な食品といえば、レバーですよね。ですが、むやみやたらにレバーを摂取すれば良いというものではありません。
なぜなら、レバーはビタミンAが豊富に含まれているからです。ビタミンAの過剰摂取は、お腹の赤ちゃんに悪影響が出る場合があります。週に一度ぐらいは摂取しておいた方が良いですが、レバー=妊娠中の貧血対策に一番良い食べ物、というわけではないことは知っておきましょう。
鉄分が豊富に含まれている食品を意識的に摂取することは大切ですが、それ以上に、バランスの良い食生活を心がけることが大切になってきます。鉄分以外にも、たんぱく質・ビタミンB群・ビタミンCが貧血には有効とされています。女性向けサプリメントで良く名前を聞く葉酸も効果があります。
好き嫌いが多い人も、お肉やお魚から野菜、フルーツまでまんべんなく食べるようにしましょう。お腹の赤ちゃんのためだと思えば、好き嫌いなんて我慢出来ますよね。主食でないものでは、あさりやしじみなどの貝類は鉄分が豊富ですので、おすすめです。
ここで一つ注意点ですが、タンニンが多く含まれたお茶を食前・食後に飲むと、鉄分と相性が悪いので、せっかくの鉄分が台無しになってしまいます。お茶はタンニンが少ないものにしておいた方が良いでしょう。夏場は麦茶、冬場は番茶、つわり対策にハーブティーなど、好みによって変えてみるのも良いかもしれません。
とにかく、無理は禁物
妊娠中は、出来るだけ安静にするようにしましょう。散歩や家事などのある程度の運動量があれば、後はゆっくり休んでいて構いません。
とはいえ、妊娠中も仕事を続けていたり、家事をこなさなければならなかったり、育児をしている人も沢山いるでしょう。その場合は、なるべくストレスをためないこと、人混みの中で行動しないことを頭の中に入れておいてください。これは、ストレスや緊張から心拍数が上昇するために、貧血の症状を引き起こしたり、悪化させたりする原因になるからです。
とにかく、休める時には休み、リラックスして過ごすことが、貧血を予防・改善する一番の薬になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。貧血は普段から厄介なものですが、妊娠中の人にとっては、自分自身だけでなく、お腹の中の赤ちゃんにも危険が及ぶ可能性があるということを分かって頂けたと思います。
妊娠生活を辛く、苦しいものにしないためにも、そして何より、元気で可愛い赤ちゃんと無事に会うためにも、貧血への予防・対策は妊娠が発覚したらすぐに始めるのが理想です。
皆さんの安産を心から願っています。
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