一般に『だるさ』とは、疲れから体を動かすことが億劫であるという状態をいいます。誰しもこの感覚を味わったことがあると思いますが、ただ単に疲れが溜まっているだけだと症状を軽くみていませんか?
体のだるさは、眠気、肩こり、気力の減退などの症状をともなう時もあります。「ああっ、今日は何だか体がだるいな」だとか、「近頃全然疲れがとれないな」と思ったら、一度あなたのだるさの原因を確かめて下さい。
ここでは『だるさ』の様々な原因と症状の緩和・改善について紹介していきます。
この記事の目次
体の『だるさ』の原因
体がだるいという状態は、なぜだかわからないけど体に疲労や倦怠を感じる症状に始まり、その症状に付随して様々な症状が現れます。それらの症状からあなたのだるさの原因がわかるかもしれません。
ストレス
職場や家庭などから受ける社会的ストレス、精神的ストレス、人間関係のストレス、環境から受けるストレスなどが過剰に積み重なり、自律神経失調症という病気になります。
これは、全身の体の器官をコントロールする自律神経のバランスが崩れて、全身の様々な機能に支障をきたす病気です。身体面では、だるさ・慢性疲労・動悸・ほてりなど、精神面では、気力の低下・不安感・落ち込み・イライラなど症状は様々です。
体の緊張
朝、寝起きに体のだるさや重さを感じたら、それはもしかしたら睡眠中のあなたの体が緊張していたのが原因かもしれません。人体の器官をコントロールしている自律神経は、交感神経と副交感神経から成り立っています。
交感神経は、活動時・緊張時・ストレスがある時に働き、副交感神経は、休憩時・睡眠中・リラックスしている時に働きます。昼間には、交感神経が活発な状態で、夜間には、副交感神経が働き、昼間のダメージや疲労などを回復させているのです。
しかしながら、寝ている時に交換神経が活発になり、副交感神経の働く時間が短ければ、体の回復が十分でないため、筋肉が硬いままで血流が悪くなり、体にだるさや重さを感じるのです。
甲状腺の病気
体のだるさを感じる原因のひとつに甲状腺の病気が考えられます。甲状腺とは、喉ぼとけの骨より少し下にある臓器です。
ここで分泌されるホンルモンの1つに甲状腺ホルモンと呼ばれるものがあります。甲状腺ホルモンとは体の新陳代謝を活発にさせる働きがあり、分泌の状態が正常であれば、体の働きが順調なのですが、分泌が多かったり少なかったりすると様々な症状がでてきます。
- 甲状腺ホルモンの分泌過多….バセドウ病と呼ばれる甲状腺ホルモン機能亢進症。症状としては、身体面では疲れやすい・だるい・むくみ・眼球突出・微熱など、また精神面では、集中力低下・不眠・落ち着かないなどがあります。バセドウ病については、バセドウ病の初期症状とは?チェックする方法を紹介!の記事を読んでおきましょう。
- 甲状腺ホルモンの分泌の減少….橋本病と呼ばれ、甲状腺機能が低下する。症状としては、身体面では倦怠感・疲れやすい・むくみ・便秘など、また精神面では、気力が湧かない・いつも眠気を感じる・何かをするのが億劫に感じるなどがあります。
心の病
- うつ病は、自分の栄養管理をしっかりとしていても、睡眠をしっかりと取っていても身体的な病気、精神的な病気からくるだるさを検査したことがきっかけとなり心の病気だとわかることがあります。食欲低下・体のだるさ・頭痛・肩こり・疲れやすくなったりします。
肝臓の疾患
アルコールの摂取による肝機能の低下からも、眠気や体のだるさを感じます。
糖尿病
糖尿病は、痩せている人でもなることがある病気です。糖尿病によって体のだるさや疲れの症状が出た場合は、糖尿病がかなり進行している状態だと考えられます。体重が落ちたり、のどが渇きやすい、トイレの回数が増えたなどの症状がある場合は、病院で診察を受けて下さい。
脳梗塞
脳梗塞の前兆として体がだるく、倦怠感を感じる事があります。これは、血管が詰まり血流がスムーズに流れていないことから起こります。
風邪
風邪が原因で、集中力の低下、全身の疲労感、倦怠感などの症状を起こすことがあります。もちろんその他の症状として、発熱、頭痛くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど症状が現れるのですが、これらの風邪の症状は、花粉症の症状と大変似ていますので間違えることがあります。
風邪と花粉症の簡単な見分け方は、症状が出ている期間と鼻汁の状態です。風邪であれば一週間ほどで症状が落ち着き、鼻汁は最初さらっとした状態ですが、次第に粘りが出てきます。花粉症の場合は、花粉が飛んでいる間ずっとその状態が続き、鼻水は、さらっとした状態です。
脱水
体への水分補給を忘れてはいませんか?脱水症とは、ただ単に体内の水が不足していると考えがちですがそうではありません。水分と電解質が失われた状態のことを言います。水分が失われると血液の量が減り、血圧が下がります。
すると体内に栄養素を送ったり、老廃物の処理を司る能力が低下し、脳に流れる血流が減ると集中力もなくなってきます。それと同時に、電解質が失われると、神経や筋肉に悪影響が出てきます。脱力感や脚のしびれ・つりなどを感じます。
運動不足
運動不足が引き起こす体のだるさは、筋肉の動きが関係しています。筋肉は筋繊維という繊維の束から成り立っています。ですから運動不足で筋肉を鍛えないでいると、筋繊維がどんどん細くなっていきます。
すると筋肉は小さくなりあまり力が出なくなります。それだけではありません、筋肉からできている心臓は血液を全身に送るポンプの役割もしているので、筋肉の衰えにより血行不良になります。血流が悪くなると酸素や栄養が細胞に行き届かなくなり、体にだるさを感じたり、疲れやすくなります。
季節
梅雨時期のだるさ:季節の変わり目は、頻繁に気温が変化したり気圧が変化したりします。これらが身体に多大なストレスを与え、自律神経を乱すのです。主な症状は、体のだるさ、力が入らない、耳鳴りなど。
夏バテ:屋外と室内の温度差からの自律神経の乱れ、夏の高温多湿の状態における発汗異常、また寝苦しい夜が続くことによる睡眠不足からなります。主な症状は、体全体の倦怠感と疲労感です。
秋バテ:夏から秋になる時期の気温の急激な変化で自律神経が乱れることが原因。主な症状は、体の疲れ、だるさ、肩こりなどです。
花粉症:スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となり様々なアレルギー症状を起こす病気ですが、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが主な症状ですが、その他の症状として集中力の低下、全身の疲労感、倦怠感なども感じます。また熱っぽさや頭痛も感じますので、風邪と勘違いする時があります。
体質
虚弱体質と言う言葉をお聞きになったことはありますか?虚弱体質とは、痩せていて顔色が悪く、特別何かをしなくてもすぐに疲れてしまう体質のことです。
これらの他に、不眠・肩こり・病気の回復に時間がかかる・胃腸の具合が悪い・食欲不振・貧血・熱がでやすい・神経質・腹痛、下痢を起こしやすいなどの特徴があります。
眼精疲労
目が疲れると、上半身の血行が滞り疲労回復できないので、体のだるさを感じます。その上、睡眠にも悪影響を与えます。
更年期障害
男性、女性の更年期症状として、体の倦怠感、疲労の蓄積、疲れやすいなどがあります。
男性の更年期障害は、男性ホルモン(テストステロン)の減少が原因で、40代後半より少なくなっていくのでこのような症状が現れ始めます。
女性の場合は、女性ホルモン(エストロゲン)の減少が原因で起こります。一般的には、40代半ばから50代にかけて更年期特有の症状が現れます。またよく眠気を感じたり、反対に不眠の症状も出ることがあります。
妊娠・生理
- 妊娠中、生理前、生理中にも、倦怠感を感じることがあります。これは、女性ホルモンのバランスの崩れから起こります。
- 生理中は特に鉄欠乏性の貧血になりやすいのですが、月経の量が多い月なども体のだるさを感じたり、疲れ、眠気を感じたりします。
ダイエット
人体に必要な栄養を無視した過激なダイエットをしていませんか?血行不良や貧血、エネルギー不足が生じ、疲労が抜けきれず体に疲れを感じます。
食生活
あなたは、バランスの取れた食生活をおくられていますか?特に貧血から体のだるさを感じることがあります。
体に必要な鉄分が不足していると、血液中で酸素を運ぶ役割をしているヘモグロビンが減少し、体全体に酸素が行き届かなくなり、体のだるさを感じてしまうのです。また、ミネラル不足、炭水化物を摂りすぎると非常に疲れやすくなります。糖質の摂りすぎや、カフェインの摂りすぎは、疲労回復を妨害しますので注意して下さい。
症状の緩和・改善
体のだるさを感じた時の解消法は、まずよく眠るということです。寝る前は携帯電話やテレビを見たりせず、心をリラックスさせ質の高い睡眠を取るよう心がけて下さい。またゆったりとお風呂に入ったり、食べたいと思う物を食べたり、軽い運動をすることも有効です。
次にそれぞれの原因に効果のある緩和・改善法をご紹介します。
ストレス・体の緊張・季節の変わり目の自律神経の乱れ・夏バテ・秋バテ
これらは全て自律神経の乱れに関係があります。自律神経のバランスを整える方法をご紹介します。
- 適度な運動(ストレッチなど)
- 質の良い睡眠
- リラックスした気分でゆっくりとぬるめのお湯に浸かる。温度は38~40度が適温です。リラックスすることにより疲労の回復をしてくれる副交感神経が働きます。
- 心を落ちつける時間を作りましょう!ストレスの多い生活の中でこの時間は大変重要です。ゆったりとした音楽を聞いたり、照明を暗くして読書をしたりするのも1つの方法です。
- 食事をしている時やマッサージなどで気持ちよくなっている時も疲労の回復を受け持つ副交感神経は働きます。
運動不足
運動が苦手であったり、好きでない方もいらっしゃるでしょう。そんな方々には、伸びをすることをおすすめします。難しく考えずにおもいっきり両手を上にぐんと伸ばしてみましょう。筋肉や筋が伸びるのを感じて下さい。
長時間同じ状態で仕事をしている場合は、1時間に1回ほど伸びをすれば、運動不足や筋肉疲労の手助けになります。目立つようであれば、腕は下に下ろしたまま、両手の指を背中の後ろで組んで斜め下に引っぱり、胸を前に突き出し顎を少し上にあげます。デスクワークなどで丸まっていた背中がぐっと伸びて元の姿勢にもどりますよ。
日常生活においてでもちょっと気をつけるだけで、運動不足にならないですむ方法が沢山あります。例えばエレベーター、エスカレーターを使わず階段を使ったり、歩いていける所には出来るだけ歩いて行くなどです。
甲状腺の病気
- 橋本病…..病院で治療を受けて下さい。早寝早起きをすることで体内のリズムが整い症状の緩和、改善に役立ちます。また軽い運動(ウォーキング・散歩・サイクリング)も有効です。
- バセドウ病…病院で治療を受けて下さい。不眠の症状には、眠る前に心地よく眠れるハーブティー(カモミール・ローズマリー・ラベンダー・レモンバームなど)が有効です。ハーブの香りが気分をリラックスさせてくれます。またロイヤルゼリーもバセドウ病の改善効果があると注目されています。
虚弱体質
肉体を強くするために滋養強壮剤として養命酒が効果があります。また腸内の環境を整えるためにプロバイオティクヨーグルトが有効です。人参にも貧血や疲労回復を助ける効果があります。
避けたい食べ物は、甘いもの、アルコール、コーヒー、牛乳、ジュース、緑茶、生野菜、果物などです。できるだけ体を冷やす食べ物は控えて下さい。滋養強壮や体のバランスを正常に戻すのに効果のある食物は、山芋、生姜、梅干し、ニンニクなどです。有酸素運動も効果的です。
まとめ
体のだるさを感じる病気は、他にもたくさんあります。
症状がみなよく似ているので、これっと1つの原因を見つけるのは大変難しいことと思います。自分にあてはまるだるさの原因を緩和・改善する方法を試したが、体のだるさが解消しないという方は、できるだけ早く病院で診察を受けられる事をお勧めします。
体のだるさは家事や仕事が億劫になるだけでなく、職場や家庭での人間関係にも大きな影響を与えることになりますのでくれぐれも注意して下さい。
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