辛い更年期障害の内の一つである【ホットフラッシュ】。一度体感してから、この先何年も続くかと思うとかなり憂鬱ですよね。
季節、場所を問わず襲いかかるこの症状にどう向き合っていくか、また、少しでも症状を和らげるために出来るセルフケアは無いものか、と悩んでいる方は沢山いるかと思います。
ここでは、そんな悩みを解決できるきっかけになる情報を“食事”、“運動”、“医療”など・・・様々な角度からお話しします。
ホットフラッシュについて
突然顔から火照る様に熱くなり、シャツがびっしょりしてしまう程汗をかいてしまうホットフラッシュの症状。
閉経後、女性ホルモンを生産する機能の低下による自律神経の乱れが原因とされています。
発症してしまった!とにかく早く治めたい時に
予兆があれば事前に防ぎたいけれども、なかなかそうはいかない突発的な症状です。
外出先や、人と話しているときに発症してしまうと、恥ずかしさや焦りで余計のぼせやすくなりますよね。シーン別に対処出来るよう、すぐに揃えられる対策グッズをご紹介いたします。
在宅中の発症
寝ているとき、家事を頑張っている時に発症してしまうのはやっかいですが、そこまで人目を気にしなくていい事は救いですよね。
冷蔵庫に小さめの濡れタオル、冷凍庫にアイスノンを用意しておきましょう。この2つで、顔が火照った時に首筋を冷やせます。
そして寝起き等に頻繁に下着を替えられるように、脱ぎ着しやすい服装でいましょう。枕元にうちわ、替えの下着を用意しておけば、少しでも楽です。
職場、出かけ先等での発症
先にも書きましたが、特に人と会話している時に発症してしまうのは、恥ずかしくて焦ってしまうかもしれません。ですが、前もって周りの人に伝えておけば、心に余裕が持てます。
「更年期障害にかかっている事を人に言うなんて・・・。」と思ってしまうかもしれません。しかし、今インターネットの普及で症状が現れる人の存在を知っていたり、家族でも同じようになっている人もいたりします。多くの人が理解してくれるはずです。
「急に顔が真っ赤になったり、汗を流したりするけれど、大きな病気ではないから心配しないでほしい。そして話している時にハンカチや扇子を取り出すことがあるけれど、気にしないでほしい。」と、伝えましょう。ちょっとした勇気で後々の精神的負担を減らせます。
急な発症の為に常備しておきたいものは、先に挙げたハンカチや扇子、そして首筋を冷やす為の制汗シートです。どれもバッグやデスクの引き出しに入れておいても邪魔になりません。
制汗シートは香りがついているものから、ミント系の清涼感のあるものまで様々です。自分の好みや、周りへの影響を考えて選んでみましょう。
公共機関、徒歩で移動中での発症
通勤で満員電車に乗る方も多いかと思います。乗車中に発症してしまった場合は、どうか無理をせずに次の停車駅で降りて少し休んでください。人が多くとっさの身動きができず、気温、湿気等で気分も悪くなりやすい環境です。次の電車がくるまで深呼吸して、汗のケア、水分補給などをしましょう。
比較的空いている電車内、徒歩で移動中には、ウエットティッシュ、無香料タイプの制汗シート等首を冷やせるもの、小さめの扇子でクールダウンできる様にしましょう。こちらの場合も、ちょっと一休み出来るタイミングがあれば無理をせず休んでみましょう。
不安な方は、予定より早めの出勤時間にして様子を見てみるのもいいと思います。
ホットフラッシュと向き合う事
今まで、日常生活の各シーンで発症してしまった場合の対処法をお話しました。これからはホットフラッシュを発症してから気づく体の変化にどう向き合っていくか、お話していきます。
体温調節はしっかり
ホットフラッシュの原因である自律神経の乱れは、体温調節がうまくいかない原因にもなっています。
体温調節がうまくいっていないと「顔はのぼせているのに手足が冷えている」「汗をかいた後の急な衣服の冷えについていけず、体が冷えていく」など、新たな体の不調を招きやすいです。
ホットフラッシュののぼせが嫌で極端に薄着になっていると、体の冷えに対応出来ません。極端な体温や体感温度の変化には、体が疲れやすくなってしまいます。
すこし面倒ですが、カーディガン、腹巻き、靴下など着脱しやすい物を身につけて予防しましょう。
そして、着用する肌着は汗を吸いやすく、通気性の良い物を選びましょう。素材は、綿よりポリエステルの方がオススメです。スポーツ系の衣服、登山家向けの下着でもよく使用されています。
アクリル、レーヨン系など保温性に優れている素材もありますが、湿気を閉じ込めてしまいがちなので、汗をかきやすい肌には不快に感じやすいかもしれません。
焦ったり落ち込んだりしない
外出時の対策にも書きましたが、発症してしまった事になるべく焦らないようにしましょう。
汗の不快感や体温調節の手間から、この先を考えて落ち込んでしまうこともあるかもしれません。「しかし病は気から」「空元気も元気」という言葉もあります。気休めでもいいのです。自分の体に言い聞かせてあげてください。
ホットフラッシュをはじめとする更年期障害の諸症状は「体の反抗期、ちょっとしたわがまま期」と捉えてみて下さい。大人になる為、子供を生める体になる為、今まで頑張ってきた体です。起こってしまう症状に対して、「なんで?」「やめて!」と思ってしまうより「しょうがないなぁ、もう」と許してあげて、労ってあげましょう。
そしていろんな角度から向き合って、少しずつ整えていきましょう。
ホットフラッシュを出来るだけ防ぎたい、軽くしたい
個人差はありますが、更年期障害による諸症状とは1〜5年ほどの付き合いになります。誰もが通り過ぎる体の変化ですが、楽しい毎日の為にも少しでも症状を軽くすることが出来たら嬉しいですよね。
これから更年期障害の原因である自立神経の乱れを整えていく方法、足りなくなった女性ホルモンを補充していく方法をお話していきます。日常生活の中で続けられそうなところからチャレンジしてみてください。
朝の散歩で自律神経を整える
掃除、食事の支度、お買い物などでも体を動かす事ができていますが、ここでプラスの趣味として「朝の散歩」を始めてみてはいかがでしょうか?
自律神経を整える、ということは「元気に体を動かせる様にする機能の見直し」です。
朝起きてから5分だけでもいいのです。太陽の光を浴びて風にあたることで、「体が起きる」という感覚を身につけることができ、歩くこと=下半身を動かすことで、身体のバランスや動きをコントロールしている感覚を取り戻せます。
無理に、沢山歩いて健康になろう!と思わなくていいのです。運動中に、のぼせて汗をかいてしまっているのか、血行が良くなり体温が上昇して汗をかけているのか分からなくなってしまい、朝一から疲れてしまっては、せっかくの運動も続かなくなってしまいます。
体調や気分に合わせて、自分の体が「あ、起きたな。」「動いているな」という感覚を実感する事に、継続していく意義を感じられるはずです。
食事で女性ホルモンを補充
先にお話したように、「閉経後、体内で女性ホルモンを作る機能が低下している」という事が、ホットフラッシュをはじめとする更年期障害の諸症状の一番の原因です。
しかし、自分の体で作れなくなってしまっても食事から取り入れることが可能なのです。
摂取することにより、女性ホルモンの働きに似た効果を発揮する食材があります。普段の献立に少しずつ取り入れてみましょう。
オススメの食材
1、豆腐などの大豆製品・・・女性ホルモンの一つであるエストロゲンの働きに似ている、大豆イソフラボンが多く含まれています。お味噌汁や、サラダに入れやすい食材です。
2、野菜やフルーツ・・・エストロゲンの働きに似ているフィトエストロゲン(植物エストロゲン)が含まれています。また、キャベツに多く含まれるミネラルの一種であるボロン(ホウ素)はエストロゲンの分泌を活性化させる働きがあります。
・ちょっとした豆知識
食材の加熱調理は、栄養素を破壊しやすいとよく言われます。ビタミン類では特に確かな結果も様々な形で発表されています。
しかし、植物性エストロゲンは加熱に強いホルモンであるということも発表されております。
総合的には、生で野菜を食べた方がそのまま栄養を取り込めますが、植物性エストロゲン摂取の為でしたら毎日献立に取り入れやすいように、ゆでたり炒めたりする料理も選択肢に入れてもいいと思います。
漢方で体質改善
漢方薬は、病気を発症を止める為の治療薬というよりも、体質改善を助けるためのお守りのような役割を果たします。
更年期障害による不調に種類がある様に、漢方薬にもそれぞれの症状に合わせて沢山の種類があります。
のぼせ、体温調節が上手くいかない等、ホットフラッシュに当てはまる症状に効くとされるものだけでも桃核承気湯、加味逍遥散、桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、抑肝散半夏陳皮など数種類挙げられます。
症状と体質に合わせて選べますが、迷った際は薬剤師さん、お医者さんに相談してみましょう。
ホルモン補充療法を受ける
更年期障害は病院(主に婦人科)で治療が可能です。ホルモン補充療法(HRT)という、閉経後、減少した女性ホルモンのエストロゲンを補充する療法があります。
飲み薬や、貼り薬での治療になり、他に飲んでいる薬との飲み合わせに注意が必要だったり、1〜2ヶ月の副作用を少し我慢しなければいけません。
しかし、HRTには更年期障害の諸症状の改善の他にも以下の効果が期待されます。
骨粗しょう症の予防と改善、萎縮性膣炎や性交痛などの改善、悪玉コレステロールを減らし不眠症状の改善、コラーゲンを増やし肌のハリや潤いの改善などです。
日本では、ここ2〜3年で普及してきた治療法ですが、欧米諸国では10年以上前からスタンダートに行われています。
治療について興味がある方は、お医者さんに相談してみましょう。
まとめ
ホットフラッシュに対する対策を、「発症してしまったら行うこと」と「体質改善をして緩和させる」という2つの観点をメインにお話させていただきました。ご参考になれば嬉しいです。
しかし、この症状をはじめとする更年期障害の諸症状は、先にお話した通り「一人で悩まないで、周りの人にも理解してもらうこと」も大事だと思います。家族や職場の人たちのちょっとした気遣いで、少しでも気楽になれるはずです。ぜひ相談してみてくださいね。