夏場の子どもには、よく水イボが出来ます。夏場はレジャーに行って海で泳いだりプールを遊ぶことが多く、「プール(水)によって感染したのでは?」と言われることが多いようです。
実際に、水イボはどういった経路で感染し、どのような人に発症するのでしょうか?
そもそも水イボとは?
水イボは腕や足などの皮膚上の出来るイボの固まりです。ぷくっと水膨れのように膨らんだ固まりが多数発生するのが特徴です。
軽い場合には数日で治まる場合もありますが、ひどくなると水膨れの大きさも大きく膨らみ、腕全体、足全体というように、ひどい状態となって広がっていきます。
水イボは良性
水イボは「ボックスウィルス」と呼ばれる感染性のウィルスによって発症すると言われています。水イボは皮膚疾患の中でも良性の部類に入ります。つまり皮膚ガンなどの悪性腫瘍などではなく発症したとしても慌てることはありません。
しかし、悪性ではないからといって放置しておくと、ひどい状態に発展することも確かです。個人差はありますが、ひどい痒みや痛みを伴い、徐々にイボが増えていきます。
一体、水イボはどういう理由で広がるのでしょうか。また、その見分け方や治療方法はどういったものがあるのでしょうか。実は意外な方法で水イボを改善する方法があります。以下でそれぞれについて順を追って見ていくことにしましょう。
プールの水では感染するは都市伝説?
「水イボはプールで感染する」という噂をよく聞きます。つまり水によって感染するという意味で言われるのだと思います。しかしそれは間違いで、実際には水を媒介して感染することはないと言っていいでしょう。
水イボの発症は原則的に、水イボの発症している患部と他人の皮膚が接触すること、または患部を拭いたタオルなどによる「接触感染」で広がっていきます。
発症までの潜伏期間
また水イボの潜伏期間は、一般的に14日~50日程度とされています。過去には3ヶ月~4ヶ月以上経ってから発症した事例もあるそうで、個人の体の状態によって発症までの期間に大きな差があります。
皮膚疾患と免疫の関係
水イボは免疫のあり・なしによって発症することもあるし、防ぐことも出来るのです。つまり子どもの頃にまだ水イボに対して免疫力のない状態の時には、接触感染などで水イボを発症しやすく、そのために大人よりも子どもに水イボが出ることが多いわけです。
もちろん子どもだけに発症するわけではなく、大人でも免疫がない場合には発症してしまいます。
放置しておくと悪化する
水イボは良性のものであり、きちんと対処すれば、半月から三ヶ月程度では完治する人が多いと言われていますが、放置してしまうと、水イボが多量に広がってしまい、水イボ以外の皮膚の部分を痒くことで湿疹が出来てしまい、皮膚全体が痛んだ状況に発展しまうこともあります。そうなってしまうと、早期の治療が難しくなってしまいます。
つまり、悪性の皮膚疾患でなくても、放置せずにきちんと対処しなければならないというわけです。
水イボとアトピー性皮膚炎
水イボが重傷化する人の場合、ほとんどのケースで水イボに治療をせず放置したままか、アトピー性皮膚炎を元からもっていて合併症のような状態になって重傷化した人だと言えそうです。
アトピー性皮膚炎の人は、そもそも皮膚の状態が弱く、皮膚上のトラブルを抱えやすくなっています。そのため水イボに感染してしまうと、重傷化しやすく、また完治まで時間がかかる場合が多いとされています。
アレルギーがありアトピー性皮膚炎だと分かっている人は、日頃から皮膚を清潔に保ち、とくに夏場など身の回りで水イボの感染が広がる時期には、免疫力が低くならないように睡眠をたっぷりとって栄養のある食事を心がけましょう。
水イボ、アトピー性皮膚炎と漢方(中国医学)
また水イボへ感染することを含めてアトピー性皮膚炎を煩っている人は、肺がそもそも弱っている場合が考えられます。漢方をはじめとする中国医学の世界観から言うと、「皮膚は呼吸を司る肺と同等」と考えられています。皮膚も皮膚呼吸をしますから、なんとなくイメージがつくかと思いますが、つまり皮膚のトラブルは肺が弱まっている証拠だと考えられているのです。
またそれだけではなく、肺と関係の深い腎(じん)の機能も低くなっているか、または腎そのものが弱まっているとも考えます。というのは、腎はホルモンバランスや免疫力を司る機能があるとされているので、水イボは腎が弱まり免疫がない場合に重傷化するわけです。
以上のことより逆に言えば、水イボに感染しにくい体にすること、アトピー性皮膚炎の程度を軽く抑えるためには、日頃から肺を強くし腎の機能を向上させておけばいいということになります。
一度発症してから対応するよりも、日頃から健康に努めてケアをしておくことが一番の予防法と言えるでしょう。
民間伝承薬や漢方薬での治療
民間伝承の薬のひとつ「ヨクイニン」は、イボとりに用いられることで有名です。その発祥を辿ると、江戸時代に日本独自の治療法として始まったとされており、イボとりの他に、肌荒れの防止、美容といったところで効果が高いことで各地に広まりました。
ヨクイニンとはいわゆるハトムギのことで、種皮をつけたままのものがハトムギ、皮を取り除いたものをヨクイニンと呼んで効能を含めて差別化されています。
皮膚疾患の治療は漢方薬が得意とする分野のひとつでもあります。水イボなどの皮膚疾患には「麻杏ヨク甘湯(マキョウヨクカントウ)」を処方することがあります。麻杏ヨク甘湯は、麻黄(マオウ)、杏仁(キョウニン)、甘草(カンゾウ)、ヨクイニンを構成生薬としています。
この漢方薬はイボだけではなく、関節リウマチ、関節痛、神経痛、筋肉痛、手掌角化症などにも効果があります。しかし、長期間水イボのために服用を続ける場合には、ヨクイニンのみを利用することとされています。
※漢方薬を服用する際には医師や薬剤師と相談の上で服用をして下さい。
家庭でも出来るイソジン対処法
さて、それでは今回特に紹介したいのはイソジンを使って水イボを治療する方法です。
イソジンは、多くの人が一度は使ったことがあるんじゃないでしょうか。そうです、風邪で喉が痛い時などに処方されるうがい薬のイソジンです。転んで怪我をした時にも傷の手当てによく使われています。
そのイソジンが水イボの治療にとても効果的だということが報告されています。
イソジンの効果
イソジンが水イボに大きな効果を発揮するのは、その構成成分であるポピドンヨードにあるとされています。ポピドンヨードには皮膚に障害を起こすウィルスや細菌などを撃退する効果があり、水イボに直接塗って治療します。
あくまでも患部の状態や、個人の体質などによりますが、七日~十日ほどで目立たない程度にまで治る人が多いようです。
用意するもの
それではイソジンを使って家庭で処置をする場合に必要な物を以下に紹介しましょう。
イソジン
傷に塗るタイプのイソジンを用意します。軟膏タイプと液剤タイプがあるようです。どちらか利用しやすいものを選んで下さい。
ピンセット
コットンをつまみ、患部に塗るために使います。
コットン
イソジンを浸して、水イボのある患部に塗っていきます。一般的なコットンでかまいません。皮膚に低刺激のものを用意して下さい。
当て布(ガーゼ)
柔らかい素材で皮膚に刺激がない物が良いようです。患部に当ててイソジンが流れるのを防ぐのと患部を清潔に保ちます。汚れる前にできるだけ頻繁に定期的に交換します。長らく放置すると不潔になり肌に発疹が出来たり悪化することもあるので注意して下さい。
処置用テープ
当て布(ガーゼ)を貼り止めておくためのテープです。薬局などで一般的に売られている包帯などを止める物でかまいません。
外科的処置での治療
アトピー性皮膚炎などの症状とも重なり、あまりも重傷化した場合には外科的処置を施さなくてはならないこともあります。
また重傷化しなくても、皮膚科などの処置方としてはピンセットで水イボを直接つまむという方法で取り除きます。痛みが伴うために、麻酔効果のあるシールを患部に貼り、麻痺させて除去していきます。
また場合によっては水イボを焼いたり、レーザーを当てたり(これも焼き切ることになります)することで除去していきます。いずれの方法も、子どもにとっては怖さがつきまとうため、外科的処置以外の方法を選択したいものです。
自然治癒に任せる
放置しておくことと同じ意味での自然治癒ではなく、とくに薬を塗ったり内服したりするわけではないけれど、肌を清潔に保ち、体の免疫力を高めながら自然に治るに任せる方法もあります。
この場合も個人差はありますが、おおよそ6ヶ月から数年の間で完治すると言われています。しかし、その間に肌をずっと清潔に保つのは難しい場合もあるだろうし、何より他人に接触感染で感染させてしまうことも考えられます。出来るだけ早めの治療を心がけるほうが良いと言えるでしょう。
まとめ
夏場に子どもの腕や足によく見かける水イボ。その水イボはプールの水で感染することはなく、皮膚やその皮膚を拭いたタオルによって感染する接触感染が原因だと分かりました。
また、アトピー性皮膚炎など皮膚疾患を抱えている人は皮膚の免疫力が低くなりがちなこともあり、水イボにも感染しやすいことも分かりました。
水イボは、皮膚を清潔に保つこと、肺や腎を健康にして免疫力を高めることなどで予防出来ます。
民間伝承薬や漢方は、皮膚疾患を得意とするものが多く、水イボを治療するためには「ヨクイニン」があります。
家庭で手軽に治療する方法としては、イソジンを患部に塗り、患部を清潔に保ちながら、治療をします。完治するまでには個人差がありますが、積極的な治療によって数日から数十日で治ります。
また放置してしまった場合、重傷化した場合には数ヶ月も症状が治まらないこともあります。早めに適切な処置をすることで、他人への感染も防ぐことが出来ます。まずは家庭でも手軽に試すことのできるイソジンでの処置をしてみてはいかがでしょうか。
※イソジンによる処置方法は、これによって家庭で完治したという報告が多いものですが、万が一症状に変化がなく、または重傷化する場合には、すぐに近くの皮膚科に相談をするようにして下さい。
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