口臭が気になったり、口の中がなんだかネバネバとして気持ちが悪いことってありますよね。そんな時、鏡で口の中を見てみたら”舌が白くなっていた”という経験はありませんか?
見た目にも非常によろしくありませんし、人にみられてしまうと不衛生な印象を与えてしまいます。
歯ブラシで落とそうと思ってもなかなか落ちにくいですし、落としたと思ったらもう次の日には白くなっているということもあります。この白い正体は一体何なのでしょうか。
今回は舌が白くなる原因やその解消方法等についてまとめてみました。すぐに舌が白くなっていた原因はその落とし方に問題があったかもしれません。
人と接する時に多くの人が気にする、お口の悩みを解決するヒントになれば幸いです。
舌に付着する”舌苔”
舌が白く見えるものの正体は”舌苔(ぜったい)”と読みます。舌苔とは何なのでしょうか?なぜ発生してしまうのか、その内容物は何なのか異常が発生してしまった場合の症状や状態の変化での病気の可能性について紹介していきます。
健康状態が異常である場合に発生してしまうのがこの舌苔です。どの様に舌苔が確認される場合に異常であるのか、その状態の違いについても知っていきましょう。
舌苔とは
舌苔とは、その名の通り舌の表面に苔(こけ)が生えたように見えるものです。色は白いことが基本的なのですが、食べたものによってこの絶対に色が付着し、緑になったり黄色くなったり様々です。
この舌苔は体調や唾液の分泌量、唾液の状態、口腔内の菌、自律神経や内臓神経、胃粘膜等…様々な影響を受けて発生します。
原因となるそれ等の状態が悪い程厚い舌苔が出来ますが、これは舌苔によって味覚を低下させ、食べる量を減らすことにより胃腸を保護する機能だと言われています。
舌苔の成分
この白いものの内容物は具体的に何なのかをみていきましょう。
含まれている成分は以下のものになります。
- 微生物
- 唾液ムチン
- 脂肪球
- 色素
- 白血球
- 食物のカス
- 剥落上皮
微生物以外は特に問題となるものは含まれていません。更に微生物にはどの様な物が存在するのかをみてみましょう。
- 通性連鎖球菌
- ブドウ球菌
- グラム陰性桿菌
- カンピロバクター
- ベイヨネラ
- 通性ジフテロイド
などが存在します。これらの微生物は体が弱っている場合に、発熱や喉の痛みを伴う溶錬連鎖球菌感染症などの症状を引き起こす原因でもあります。
常に舌に存在している微生物になりますので、風邪を人から移されなくても、免疫力が低下してしまっているといつでも病気にかかってしまう危険性があるということですね。
健康でも舌苔はある
健康な時でも普通は薄い舌苔があるのでご安心下さい。
舌苔には水分を保持したり、口腔内に健康な細菌を築いて味を感じる器官である味蕾(みらい)や細胞を保護する機能がある為、若干の溝が存在し、その溝にこれらの舌苔の原因となる物が入り込むので完全に取ることは出来ないようになっています。
ちなみに健康な状態の舌というのは、全体がピンク色で舌の奥の部分に薄く白い舌苔がついている状態を言います。
老化に伴い、この舌苔の濃度は上がっていく傾向はありますが誰にでも存在しているものになります。しかし、明らかに色が濃い場合や今まで以上に発生が確認される場合には胃腸疾患や熱性伝染病などの病気の可能性が考えられます。
異常がある時の舌苔
何か異常がある時に現れる舌苔は、原因によってその状態は変わります。
後に詳しく説明しますがよく見られるのが厚い白色の舌苔。そして一部が黄褐色になっているものです。
また、茶色っぽかったり黒色に見える舌苔もあります。
また、まだら模様に色が変色していたり、舌の乾燥などがみられたりする場合には病院での検査を受けたほうが良いでしょう。
逆に全く舌苔がついていない状態もミネラル不足や慢性的な栄養不足などの症状がある場合に確認される症状ですので、舌苔が無いからと行って健康な訳ではありません。薄く舌苔がついている状態が健康の証ですので、覚えておきましょう。
舌苔の発生原因
それでは舌苔が見られる主な原因を幾つかご紹介していきましょう。
舌苔に違和感を感じる場合にはこれらの原因を抱えている場合が多いので、逆にこれらを改善すれば舌苔の状態も改善されるので、有効な対策法を打つためにもまずは自分に当てはまる原因について考えてみましょう。
自律神経の乱れ
ストレスや疲労、更年期障害等によって自律神経が乱れると、唾液の分泌量が減ってしまうことがあります。
唾液は口の中を洗浄する効果があるのですが、この分泌量が減ることで汚れや菌が舌に溜まってしまい、舌苔が発生するのです。
自律神経の乱れによって発生する舌苔は苔状の白色で厚みのあるものや、赤いポツポツしたものが出来る”木苺舌”と呼ばれる状態になることがあります。
免疫力の低下
風邪で体調が悪い時、インフルエンザで高熱が出ている時、口内炎が出来た後等、体調が悪く免疫力が低下している時にも舌の代謝が悪くなり、白色で厚みのある舌苔が出来ます。
このような時には充分安静にし、体力を回復させることに努めて下さい。
口の中の乾燥
口呼吸の人にも舌苔がよく見られます。通常は唾液によって常に口の中は濡れており、汚れもすぐに取れる状態にあります。
しかし口呼吸の人は口の中が乾燥しているので、一度ついた汚れが取れにくくなっています。
食事の後のお皿を思い出して下さい。汚れたお皿はすぐに水につけておかないと、汚れがこびりついて落としにくくなりますよね。それと同じ状態が舌にも起こっているのです。
そして取れずに残ってしまった汚れから舌苔が発生してしまいます。
また、乾燥状態は細菌にとって非常に良い環境ですので、細菌が大量に増殖することになります。細菌が増えることにより汚れも更に付着しやすくなり、更には口臭のリスクも高まる原因となります。
胃腸が悪い
”胃腸が悪い時、舌が気持ち悪い。口臭がする。”という経験は多くの人がしていると思います。
胃腸の状態はそのまま舌苔に反映されます。
暴飲暴食やアルコール、喫煙等によって胃腸が悪くなると消化機能が落ちてガスが溜まります。そのガスが肺を通して口臭となって出てきます。と同時に、先に挙げた自律神経も乱れて唾液が減少する為に、口臭とあわせて舌苔も発生します。
この時出来る舌苔は黄色がかっているものが多いです。
食べかすが溜まっている・清掃不足
食べかすが溜まって舌の細胞間に入り舌苔になることがあります。
単純に歯磨きを怠っている場合は勿論ですが、舌の動きが悪かったり舌の位置が悪い場合も食べかすが溜まりやすいようです。
舌の動きが悪いというのは、寝ている間や加齢によって動きの機能が低下する等で、あまり舌を動かさない状態のことを言います。
また、舌の位置ですが上顎に舌がついている状態が正しい位置です。上顎と舌が常にこすれる為、汚れが落とされているのです。
しかし受け口や口呼吸の人は舌の位置が低く、歯磨き以外で汚れが落とされにくい為に舌苔が発生しやすくなるようです。
抗生物質を飲んでいる
抗生物質を長期間服用し続けていると、”黒毛舌”と呼ばれる黒っぽい舌苔が発生することがあります。黒く毛が生えているように見えることから黒毛舌と呼ばれています。
これは抗生物質によって舌にいる菌の種類が変化し、カビの一種であるカンジダ菌が増殖してそこから発生する硫黄化合物が血中ヘモグロビンと結びついて黒く変色するようです。
この硫黄化合物は臭いもある為、口臭の原因にもなります。
しかし、病気の治療の為に服用している抗生物質ですから、勝手にやめず辛い場合は医師に相談してみましょう。
コーヒーの飲み過ぎ
コーヒーを飲み過ぎると舌がネバネバしたり口臭が気になることがよくあります。
これにはちゃんとした理由があり、コーヒーは体内の水分を尿として排出する利尿作用があり、脱水が起こってしまうことが原因です。
脱水が起こると口の中も同様に乾燥してくる為、先に説明をした通り細菌が増えて汚れが付着しやすくなり、更に一度ついた汚れが取れにくくなることから舌苔が発生しやすくなります。
とはいえコーヒー好きの人にとっては、飲まないというのは辛いですよね。
そこでコーヒーを飲んだ後は、ミネラルウォーターやスポーツドリンクを飲んで水分補給をするようにしてみて下さい。脱水を防ぐことでコーヒーによる舌苔のリスクは減少します。
(緑茶や紅茶等は同様に利尿作用がある為避けて下さい。)
ただし、コーヒーの飲み過ぎは胃腸を悪くすることがありますので、いずれにしても飲み過ぎは要注意です。
煙草の吸い過ぎ
喫煙習慣がある患者に比例して舌苔の発生が多くなっている結果が出ています。タバコに含まれているヤニ(タール)は粘り気のある物質でこれは、歯や歯ぐきなど舌以外の部分にも付着して、色を着色します。
歯が茶色になるのと同様に、喫煙者の舌苔も茶色っぽく色が付着する事があります。
また、喫煙により口内の乾燥も引き起こるので、あわせて舌苔が発生しやすくなります。
舌苔の取り方
舌苔があるとネバネバとして気持ち悪いですし、口臭の原因となってしまう為できるだけ綺麗に取り除きたいものですよね。
しかし無理矢理歯ブラシでゴシゴシ擦ったりしてしまうと舌を痛めてしまうので良くありません。
それでは正しい舌苔の取り方をご紹介していきたいと思います。
舌ブラシを使用する
普通の歯ブラシではなく、舌を磨く専用の舌ブラシというものが売られています。
多くの場合、扇形のような形をしており、歯ブラシよりも傷つけにくい柔らかな毛で作られています。
舌ブラシでの磨き方は以下になります。
1.鏡を見ながら舌を思い切り前に突き出す。
2.水に浸した舌ブラシを舌の奥に軽くあて、手前に引く。
※この時、絶対に力を入れ過ぎないように優しく引いて下さい。また、奥にブラシをあてて嘔吐反射が出てしまう人は、少しの間を息を止めながら行うと出にくくなります。
3.一度引いたら舌ブラシを水でよく洗う。これを汚れがなくなるまで繰り返す。
毎回の歯磨きの際に行うのではなく、1日1回、最も舌苔の溜まっている起床時に行うと良いでしょう。
磨きすぎは舌の粘膜を傷つけてしまいますので、1回で十分です。また、既に舌に傷がある場合はブラッシングはお休みして下さい。
しかしブラシでの刺激では味蕾や舌の細胞まで傷つけてしまう事もあります。100gの圧力で洗浄することが適当であるとされているので、過剰に力強く洗浄しないようにしましょう。
はちみつを舐める
意外かも知れませんが、はちみつには絶対を取り除く効果があるようです。
はちみつには”プロテアーゼ”という舌苔を分解し、殺菌する効果のある酵素が含まれているからです。
方法は、市販されているもので構いませんので、小さじ1杯程のはちみつを舌にのせ、舌の上で転がすだけです。
非常に簡単で手に入りやすいものですし、はちみつは砂糖とは違って血糖値を上げることもなく、栄養価の高い健康食です。舌苔が気になった時に気軽に取り入れることが出来る方法ですね。
ただし、はちみつと似ているメープルシロップでは舌苔を取り除く効果はありませんので注意して下さい。
上顎に押し付ける
舌の位置についての説明で述べましたが、舌を上顎に擦ることで舌苔を取り除くことが出来ます。まず舌を上顎に押し当て、表面をゴシゴシと擦りつけるように数回動かしてみて下さい。
これなら何の道具も必要なく、舌を傷つけることもなく、思い立った時にすぐ出来ますのでお勧めの方法です。
重曹でうがいをする
重曹はアルカリ性なのでタンパク質を溶かす作用があります。
舌苔の原因となっている食べかすや細菌はタンパク質の汚れである為、この重曹が効果を発揮してくれるのです。
重曹でのうがい方法は以下となります。
- コップ半分の水に対し、重曹を小さじ半分溶かし入れる。
- くちゅくちゅと舌や歯の隙間に行きわたるよう10秒程口をゆすぐ。
重曹は薬品ではなく食品ですので、体に入れても安心です。
また、虫歯や歯周病の予防、歯を白くする効果もある為、わざわざ洗口液を買わなくてもこの重曹水で代用することが出来てお勧めです。
取り過ぎには注意
先に述べた通り、健康な状態でも薄い舌苔があるのは普通であり、むしろ適度な量の舌苔は、舌の保護の為に必要なものです。
舌苔を取り始めると全部取り除こうとしてしまいがちですが、舌苔が全く無くなってしまうと唾液をとどめておく機能が低下し、舌が乾燥してしまいます。
舌が乾燥すると、もうお分かりの通り口腔内全体が乾燥し、細菌が繁殖したり汚れが付着しやすくなり、結果的に普通の状態よりも舌苔が多く発生しやすくなってしまうのです。
こうして舌苔が厚くなり口臭も悪化してしまいますので、舌苔のお掃除はほどほどにするよう注意しましょう。
これらの対策の効果について
舌苔を除去することについての効果ですが、実際には根本となる胃腸疾患や自律神経失調症などの病気や症状をしっかり治療しないと、意味がありません。
一時的に舌苔を除去したとしても、速やかに再付着し、元の状態に戻ります。
およそ2日あれば、舌苔はキレイに除去していても同じ状態に戻ることが確認されています。
また、口臭に対する効果についても、舌苔の除去で口臭の改善はみられましたが、およそ30分後には元の口臭状態に戻ったとの報告がされています。これは健康な人でも同じ結果です。
根本を治療しないと舌苔を除去したから健康な状態になるわけではないということを覚えておきましょう。
舌苔の異常蓄積は病気や体の以上のサインです。軽視しないように、しっかり検査を受けて原因を解明して、治療していきましょう。
舌苔が以上に蓄積している場合には、消化器内科を受診するか、症状がぼんやりしている場合はとりあえず内科を受診して検査を行い、その後専門の科を紹介してもらうのがスムーズでしょう。
症状を慢性化させないようにしっかり対処していってください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
舌が白くなっている正体は”舌苔”というもので、主に唾液の分泌量が減り、口の中が乾燥していることが原因で発生することが分かりました。
唾液の分泌量が減っているということは、何等かの原因で体に不調が起こっているサインにもなります。
日頃から舌の状態をチェックをして、舌苔が出来ている時には体調を回復させ、取り除く時には無理してこすらずにご紹介した方法で優しく取るように心掛けましょう。
関連記事として、
・地図状舌とは?症状や原因、治療法を知ろう!病院に行くのはどんな場合?
・舌が荒れるのは病気?考えられる原因と症状、対処方法を知ろう!
これらの記事も合わせてお読みください!