愛する人との性行為は、心も体も最高潮に幸せにしてくれますよね。数ある愛情表現の中で、最も直接的で分かりやすい表現方法の一つではないでしょうか。
好きな人とはいつまでも一緒にいたい・・・。しかし、愛する人との性行為が原因で病気になってしまうこともあります。恋人でも夫婦でも、一つ間違えば性病に悩まれてしまうことになりかねません。愛する人との人生を台無しにしないためにも、性病について正しく理解し、予防策をとっていきたいものですね。
この記事の目次
喉に感染する性病
性病は主にセックスによって感染する病気ですが、陰部や卵巣など、症状が出る場所は様々です。しかし、喉にも性病が感染することをご存知でしょうか?
喉に感染すると風邪と勘違いされることもあり発見が遅れがちですが、正しく理解し、きっちりと予防策を取っていきましょう。
クラミジア
クラミジアは、クラミジアトラコマティスと言う病原菌に感染することで発症します。感染者とのセックスによる粘液接触や、精液、膣分泌液などを経由した感染が主な原因です。
ただし、感染しても自覚症状がほとんどないため、感染していると知らずに、相手に感染させてしまうことが多いため、感染者が多いというわけです。完治すれば再発しませんが。完治しないままセックスし、再び感染させあってしまう厄介な面があります。
クラミジアは日本での感染者が最も多いですが、これは日本でオーラルセックスがよく行われるためだと言われています。種類としては、性器に感染する性器クラミジアと、咽に感染する咽頭クラミジアの2種類に分類されます。
性器クラミジア
症状
【女性の場合】
子宮の入口にある子宮頸管に感染します。大抵は自覚症状がありませんが、不正出血やおりものが増えるなどの症状があります。
クラミジアを放置すると卵管炎になり、子宮外妊娠や不妊症につながることもありますので、油断は禁物です。
【男性の場合】
男性の場合、排尿時の軽い痛や尿道の痒み、不快感が現れますが、自覚症状が出ないこともあります。また、めったにありませんが、症状が重いと精巣上体炎を起こすこともあります。この場合は、強烈な痛みが出ます。
クラミジアを放置しておくと、前立腺炎や血精液症などを発症する確率が高くなるため危険です。特に陰ノウの貼れによって高熱が出ると、精子を作れなくなり、無精子症になることもあるため注意が必要です。
咽頭クラミジア
性器クラミジアの相手とオーラルセックスすることで発症します。
症状
感染すると、喉が腫れて違和感や発熱、首のリンパ節の腫れなど症状が現れることがあります。 咽頭クラミジアは比較的症状が軽いため、風邪と勘違いしてしまい感染に気付かない場合もあります。オーラルセックス以外でも、ディープキスで感染する確率が高くなります。普通のキスであれば感染しません。
治療法
クラミジアは耳鼻咽喉科や産婦人科、泌尿器科で検査を受けられます。もしも感染していた場合には、クラミジア感染症治療薬の服用で治療するのが基本的な方法です。
①ジスロマック
一度の服用で7日間効果が続くので、飲み忘れなどの心配がなく、ほとんどのクラミジア治療に効果的です。また、胎児に影響がでないため、妊婦や妊娠の兆候のある方でも安心して服用できます。
②クラリシッド
こちらは長期服用タイプのため、2週間ほど飲み続ける必要があります。一定の期間、きちんと服用していればクラミジアを治すことができます。クラミジアに感染し発症しても、それがクラミジアによるものだという判断はなかなか難しいものです。異変を感じたら、速やかに医療機関を受診しましょう。泌尿器科や性病科、婦人科などで診てもらえます。
また、クラミジアだと確定しているのであれば、ジスロマックなどの治療薬を買い、自宅で治療することも可能です。
クラミジアの感染予防
自分の感染が確認された時はもちろん、パートナーにも検査を受けてもらいましょう。また、パートナーが変わった場合にもその都度検査を受けてもらうことが大切です。クラミジアは感染力が高いので、一度のセックスでも感染確率は十分にあります。ですので、定期的に検査を受けることが大切なのです。もちろん、セックスの際には必ずコンドームを使用するようにしてくださいね。
クラミジアは適切な治療を受け、完治すれば再発することはありません。しかし、薬をちゃんと飲まなかったり、途中で治療をやめてしまったりすると、菌が増えてクラミジアが再発します。完治するまでは根気強く治療を続けることが大切です。
ここで問題となるのが、クラミジアの再感染です。クラミジアは完治すれば再発しませんが、相手が感染していた場合、再び感染する可能性があります。なぜなら、体内にクラミジアに対する免疫がないからです。せっかく完治しても、相手が感染していてはなんの意味もありません。きっちり相手にも治療をしてもらってくださいね。
淋病
症状
感染後は数時間から数日で発症しますが、自覚症状がない場合もあります。 性器、のど、眼、さらに直腸などに感染します。
女性の場合
膣から子宮付近に炎症が起こります。おりものが増えたり悪臭がしたりといった変化がありますが、80%もの人に自覚症状がないと言われています。治療せずに放っておくと放置しておくと感染が広がり、子宮外妊娠や不妊の原因になります。
妊娠中に感染すると生まれてくる赤ちゃんも淋菌に感染し、両目を侵される危険があります。治療が遅れると失明の危険もあるため、早期治療が必要になります。
男性の場合
尿道への感染が多く、排尿の際に激痛を伴い、膿が出るのが特徴です。こちらも自覚症状のない場合もあります。治療をしなくても痛みがなくなることがありますが、菌は残っているため、性器に炎症が起こり、無精子症になる可能性があります。
治療法
治療には抗生物質を用います。服用すれば、数日~2週間程度で改善します。ただし、淋菌が残っている状態で服用をやめると再発します。また、薬に対して耐性を持った菌もいるため、完治の判断は医師に行ってもらうのが確実です。個人の判断で勝手に服用をやめるのはやめましょう。
梅毒
梅毒は病原菌に感染することで発症します。感染しやすく、口の周りに傷がある場合には、キスだけでも感染することがあります。オーラルセックスによって 口やのどにも感染します。
症状
感染後、3週間から3ヶ月ほど経つと、感染した部分に小さく硬いしこりが発生します。しこりは自然と消えますが、体内に病原菌が広がるため、病気は進行していきます。
感染から3年ほど経つと体中のリンパ節が腫れたり、発熱したりします。また、手足に特徴的な赤い発疹がでることもあります。ただし、現在では適切な治療がされているため、ここまで症状が進むことはめったにないと言えるでしょう。
治療法
梅毒はペニシリン系の抗生剤を服用して完治させます。 治療にかかる期間は病気の進行具合によりますが、初期感染であれば2~4週間程度で完治します。
性器ヘルペス
ヘルペスウィルスの感染によって起こり、口に出来るヘルペスとは別物ですが、オーラルセックスにより性器と口の間で感染した場合、区別が難しくなります。
症状
2日~1週間程度の潜伏期間を過ぎると、性器とその周辺に水ぶくれが発生します。この水ぶくれが破れると強い痛みが出ますが、同時太股のリンパ節に痛みが出る場合もあります。重症になると歩行困難なほどの痛みが出ることもあります。しかし、7割程度は無自覚のため、知らずに感染させてしまうことの多い病気です。
治療法
今のところ、ヘルペスウイルスを完全に取り去る方法はなく、薬や軟膏でウイルスの増殖を抑える治療にとどまっています。そのため再発も多いのです。予防策としてはコンドームの使用が挙げられますが、コンドームに覆われていない部分的にもウイルスが潜伏している可能性があるため、完全防ぐことはできないのです。
尖圭コンジローマ
ヒトパピローマウイルス(HPV)というウィルスが原因で発症します。ヒトパピローマウイルスは良性と悪性に分類され、 良性の場合はコンジローマ、悪性の場合は宮頸がんの原因になります。皮膚や粘膜の傷を経由して感染するため、性行為によっても感染しますし、オーラルセックスをすれば、口へ感染も有り得るのです。
症状
感染後1~2ヶ月程経つと、感染した部位にイボが発生します。性器やその周辺、肛門、足の付け根部分などのほか、唇や口の中にできることもあります。痛みが出ないことが多いため、気づかずに発見が遅れることも多々あります。一度治療しても再発することもあり、イボが成長すると鶏のトサカやカリフラワーに似た形になるのが特徴です。
また、尖圭コンジローマではないものの、症状がよく似ているために間違われるものがいくつかあります。
フォアダイス
陰茎に小さな白い点々ができることがありますが、これは性病ではなく生理現象で、害はありません。
真珠様陰茎小丘疹
亀頭の周辺部に沿って小さなぶつぶつができる生理現象で、こちらも性病ではなく、害はありません。
治療法
コンジローマは1年程度で自然に治ることもありますが、再発率も高い病気です。今のところウィルスに対する薬はありませんが、イボの治療はできますので、取り除くことは可能です。
外科的な方法以外にも、ベセルナクリームというコンジローマ治療薬を使用し、イボの治療が可能になっています。イボか半年以上新たに発生せず、検査しても反応がなかった場合は完治と判断されます。
コンジローマの予防についてはコンドームの使用はある程度効果的ですが、 コンドームに覆われていない部分にもウィルスが潜伏していることがあるため完全に予防することはできません。
トリコモナス
症状
女性の場合
感染すると潜伏期間が10日ほどあり、その後、尿道、膣、膀胱に炎症が起きて強いかゆみや痛みが出ます。 尿道や膣の炎症によっては性交や排尿時に不快感を伴うこともあり、おりものが悪臭を伴い泡立ったものになる場合もあります。また、治療せずに放っておくと、炎症が卵管まで広がり、不妊症や早産、流産につながることもあります。
男性の場合
男性はほとんどが自覚症状がですが、症状が出る場合には尿道から膿が出て、排尿時に痛みを伴います。排尿により原虫が排出されることが多いですが、内部感染を起こしている場合には前立腺や精のうに炎症が広がることもあります。
治療法
薬の服用によって治療し、10日ほどで完治します。トリコモナス原虫は粘膜に感染するため、コンドームを使用することが予防に役立ちます。
HIV
HIVとは、Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)が体内に入り込み、ヒトの免疫として働く細胞に感染することで発症します。HIVに感染した細胞が増えることで免疫力が落ち、通常ではかからないような病気に感染してしまうようになるのです。この状態になると、エイズの発症と言われます。
症状
HIVに感染すると、一時的にインフルエンザに似た症状が出ることがありますが、その後は収まり、体に異常は出ません。しかし体内でウィルスが増えると、徐々に様々な病気に感染しやすくなるのです。感染から発症まではおよそ数年から10年以上と言われ、個人差があります。つまりこの期間に性病予防をしないまま性行為を行うと、相手に感染させてしまう危険があるのです。
治療法
現在の治療では、HIVを完全に体内から取り除くことはできません。しかし、抗HIV薬を使ってウイルスの増殖を抑えることは可能です。それにより、エイズの発症を遅らせることができるのです。治療には長い時間がかかりますが、普段と変わらない生活を送ることは可能です。
予防策
HIVは血液を介して感染することが多く、通常の生活で感染することはありません。しかし性行為などによる性分泌液の接触、わずかなキズの接触によって感染した事例が最も高くなっています。また、一度の性行で感染する確率は非常に低く、0.1~1%ほどですが、事例がないわけではないため、予防のためにはコンドームの使用が必須です。
さらに、妊娠中あるいは出産後の母体から胎児へと感染することもあり、母子感染と言われています。 妊娠前にHIVの感染が判明している場合には、妊娠から出産後までの間に適切な治療を受け、予防策を行いましょう。感染確率を0.5%未満に抑えることができます。母子感染を防ぐためにも、妊娠前のHIV検査は重要です。
カンジダ
カンジダは人間の腸内や女性の膣内に存在する菌ですので、厳密には性病とは言えませんが、さまざまな部位にかゆみなどを起こすことがあります。
症状
ストレスや疲れが原因となり体調を崩した時、カンジダによって皮膚のかゆみや炎症が出ることがあります。症状が性器周辺に起きるものを性器カンジダ、膣内で起きるものをカンジダ膣炎と言います。カンジダは高温多湿な部位に症状が出やすく、特に女性の性器周辺や膣内などで発症しやすいのです。
女性の場合
性器のまわりや外陰部にかゆみや炎症が出ます。 腟内に炎症が起こっている場合、おりものの量が増え、性交時に痛みを感じることがあります。
男性の場合
症状が出ないことが多いですが、亀頭や陰茎にかゆみや炎症が出る場合もあります。
治療法
カンジダ自体は元々体内に存在する菌のため、完全に助教授する方法は取りません。炎症を起こしている部位に抗真菌薬を使用することで治療していきます。
ストッキングやガードルのように、締め付けがきつかったり蒸れやすかったりする下着の着用などで発症しやすいため、通気性や吸湿性のよい衣類を身につけることが大切です。
性病にならないためには
では、性病にならないためにはどうしたらよいのでしょうか?意外と簡単な5つのポイントをご紹介します。
セックスは特定の相手と
互いに性病に感染していないと確認した人とだけセックスをするようにしましょう。
性病はあまり自覚症状がないため、本人も気づかずに相手に感染させてしまうことにもなりかねません。きちんとお互いのために検査をしましょう。もちろん、相手が変わる度に検査を受けてもらう必要があります。性病の検査を受けてほしいと言うのは抵抗がありますが、お互いのために、きちんと定期検査を受けるようにしましょう。
また、不特定多数の相手との性行は感染リスクが高まりますし、万が一感染した場合に、相手を特定するのが困難になります。互いが責任を持ってセックスできる相手とだけにすることが安全です。性病に感染していない者同士であれば感染することはありません。
コンドームをつける
セックスをする時にコンドームをつけない人もいますが、性病の予防のためには、必ずコンドームを使いましょう。コンドームをつけていれば絶対に感染しないとは言いきれませんが、性病の原因となるウイルスや細菌を防ぐには一定の効果があります。
身体は清潔にしておく
セックスの前にはトイレとシャワーを済ませ、体を清潔にしておきましょう。特にオーラルセックスをする方は、性器から感染することがありますので、性器を清潔にしておくことは重要です。また、セックスのあとは雑菌などが付着していることがありますので、シャワーで綺麗に洗い流すようにしましょう。
相手の性器をよく確認する
抵抗があるかもしれませんが、性器を目で確認するのは非常に大切なことです。チェックポイントは主に3つです。
- 膿やブツブツがないか
- 尿道に赤みや異臭がないか
- かゆみや通常では考えにくい下着の汚れなどが付いていないか
体調が悪い時はセックスをしない
まとめ
セックスはパートナーとの愛を確かめる、大切な行為です。互いの気持ちを確かめ合い、絆を再確認することで、よりよい関係を築いてゆくことにもつながりますよね。
しかし、方法を間違えれば、自分だけでなく相手の体を傷つけることになり、人生までも狂わせてしまうことにもなるのです。
セックスをする時は、相手を思いやり、深い愛情を持って接してくださいね。コンドームは主に避妊対策として、望まない妊娠を避けるために使われがちです。しかし、相手を大切に思えばこそ、性病感染を避けるためにも、必ず使用するようにしましょう。
もちろん、すべての性病をコンドームだけで避けることはできません。しかし、少しでもリスクを減らすために、
- コンドームは必ず使用する
- 定期的に性病の検査を受ける
この2つを守ることが何より大切です。性病の感染は2人の仲を壊すきっかけにもなりかねませんから、しっかりと行い、より素敵な関係を築いていきたいものですね。