合指症の原因とは?妊婦の喫煙が原因?症状や分類、診断方法を知ろう!手術で治療が可能?

合指症(ごうししょう)という症状をご存じですか?聞き慣れない症状名ですよね。

合指症は、指がくっついた状態で赤ちゃんが生まれてくる先天異常の一つです。赤ちゃんの出生後すぐに先天異常の障害の存在がわかりますから、親御さんは心配でたまらないでしょう。

また、周囲の方も親御さんや赤ちゃんへの配慮から、親御さんに合指症について聞くことも難しいでしょう。

そこで、幅広い方に合指症を知っていただくために、合指症の全体像をまとめましたので参考にしていただけると幸いです。

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合指症とは?

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まず最初に、合指症とは、どのような症状のことを言うのでしょうか?

合指症とは?

合指症は、隣合った指の一部もしくは全部が癒合(ゆごう)している手指と足指の先天異常です。簡単に言ってしまいますと、隣り合った手の指や足の指が生まれつきくっついている状態のことです。

合指症は、指がくっつくということから手の指の先天異常と考えがちですが、手の指だけでなく足の指でも生じる先天異常です。

ちなみに、合指症は隣合った2本の指に限られず、3本以上の指が癒合している合指症の症例も報告されています。

合指症が発生しやすい部位

合指症は、手の指では特に中指と薬指の間で癒合が多く発生しています。一方、足の指では人差し指と中指の間で癒合が多く発生しています。

ただし、どの指にも癒合が起こる可能性があります。

合指症の分類

合指症は、癒合している部位に応じて次の2つに分類できます。

  • 皮膚性合指(皮膚性合指症)
  • 骨性合指(骨性合指症)

皮膚性合指(皮膚性合指症)とは?

皮膚性合指は、隣あった指の一部もしくは全部の皮膚と軟部組織が癒合している状態です。

軟部組織とは、骨組織を除いた生体の細胞組織のことで、具体的には腱、靭帯、筋膜、皮膚、脂肪、血管、筋肉、神経を総称したものです。

ですから皮膚性合指は、骨以外の指の細胞組織がくっついた状態とも言えます。このような皮膚性合指の場合、くっついている指の内部で骨は正常に独立して存在しています。

ただし、皮膚性合指の場合でも症状はさまざまです。単純に皮膚のみが癒合している場合もあれば、腱や靭帯まで癒合している場合もあります。

骨性合指(骨性合指症)とは?

骨性合指は、隣あった指の一部もしくは全部の骨までが癒合している状態です。皮膚性合指との比較では、骨性合指のほうが重い状態であるといえます。したがって、骨性合指は皮膚性合指に比べて治療方法が複雑になる場合があります。

爪がくっついている場合は、骨性合指であることが多いとされていますが、正確な診断には後述するX線撮影検査が必要です。

合指の程度による分類

合指症は、合指の程度の側面からも分類ができます。

  • 部分合指
  • 完全合指

部分合指とは?

部分合指は、癒合が指の一部分にとどまる場合です。たとえば、指と指の付け根がくっついた状態で、指先はそれぞれ正常に独立しているような場合です。

完全合指とは?

完全合指は、癒合が指全体に及ぶ場合です。

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合指症の原因

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このように先天的な指の異常である合指症は、どのような原因によって生じるのでしょうか?

合指症の発生メカニズム

そもそも指は、胎児期に手の塊や足の塊としてできた後に、指の間の細胞組織が自然死(アポトーシス)して無くなることによって形成されます。

この指の間の細胞組織が本来ならば自然死して指が独立して形成されるところ、何らかの原因によって指間細胞組織の自然死が起きずに指がくっついたまま胎児が出生することで、合指症が発生します。

合指症の原因

このような胎児期の指の形成異常は、次のような原因によって引き起こされると考えられています。

  • 遺伝的要因
  • 外的要因
  • 他の疾患の一症状

ただし、これらの原因でも説明ができない原因不明の場合がほとんどとされています。すなわち、合指症の原因は、はっきりとは解明されていないのです。

遺伝的要因

骨性合指の場合は、骨の発生を制御する遺伝子の変異が原因ではないかと疑われています。

ただし、皮膚性合指にしろ骨性合指にしろ、合指症が必ず次の世代にも発症するというわけではありませんから、遺伝的要因が合指症の原因として解明されているとは言えません。

外的要因

外的要因として指摘されているのが、妊娠時の喫煙です。

統計的に合指症が発生した子供の親に喫煙者が多いことがわかっています。ですから、妊娠時の喫煙が合指症の原因の一つであることが、統計的に示唆されています。

また、妊娠時の喫煙本数の多さに比例して合指症の発症確率が上昇しているとの研究報告もあります。

他の疾患の一症状

合指症は、多くの場合に合指症が単独で発生します。

しかしながら、他の疾患の一症状として合指症が現れることもあります。具体的には次のような疾患が挙げられます。

  • ポーランド症候群
  • アペール症候群
ポーランド症候群

ポーランド症候群とは、左右片側の胸の筋肉(大胸筋や小胸筋)の欠損と同じ側の手指の形成異常・発育障害のことで、先天異常です。発見者の名前から、ポーランド症候群と呼ばれます。

ポーランド症候群の原因も明確にはなっていませんが、胎児期の血流不全が疑われています。

ポーランド症候群における手指の形成異常では、合指症に見られる指の癒合、骨の形成異常によって指が短くなる短指症、手の部分がほとんど無い症例などが報告されています。

アペール症候群

アペール症候群とは、遺伝子異常によって頭蓋骨や顔面骨の形成異常が生じる先天異常です。この形成異常の結果、脳の発達が妨げられたり、眼球が突出するなどの障害が現れます。また、アペール症候群では、手の指や足の指が癒合する症状が現れることもあります。

この症候群を確立したフランスの小児科医の名前から、アペール症候群と呼ばれます。詳しくは、アペール症候群とはどんな病気?症状・原因・治療法・病気との向き合い方を知ろう!を参考にしてください!

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合指症の発症確認と検査

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このような合指症を治療するにあたって、事前にどのような検査が行われるのでしょうか?

合指症の発症確認

合指症は先天異常ですので、胎児が出生した段階で発症が確認されます。稀に、出生前の胎児期にエコー検査によって確認される場合もあります。

発症が確認されたら、産科の先生に小児整形外科の先生を紹介してもらうと良いかもしれませんね。

受診すべき診療科は?

合指症の治療は、ほとんどが乳幼児期に行われます。したがって、合指症の際に受診する診療科は、基本的に小児整形外科になるでしょう。

小児整形外科は、子供の身体の運動を可能にする器官(骨格、筋肉、腱、靭帯など)の疾患の治療を専門としていますから、合指症はまさに小児整形外科の守備範囲といえます。

また、整形外科の一分野である手外科も合指症の治療を行っています。

ただし、いずれの診療科も比較的大きな病院にしか開設されていませんので、気になる方は小児外科学会や手外科学会のホームページなどで確認するようにしてください。

合指症治療前の検査

合指症を治療するにあたり、その合指症が皮膚性合指であるのか、骨性合指であるのかを確認する必要があります。そのため、X線撮影検査(レントゲン検査)によって骨の癒合の有無を確認します。

また、合指症が単独で発症しているのか、あるいは他の先天異常の病気の一部として発症しているのかを、全身を観察することによって確認する必要もあります。

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合指症の治療方法

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では、合指症の治療は、どのように行われるのでしょうか?

指の分離手術

合指症の治療は、癒合している指を切り離す手術が行われます。くっついている指を分離して、それぞれの指が独立した正常な状態に近くすることが目的となります。

皮膚性合指の場合

合指症の治療での指の分離手術は、ただ単に指間を分離するだけではありません。というのも、指間を切って分離しただけでは合指が再発したり、分離後の指の変形が生じるからです。

そこで、再発や成長に伴う指の変形予防のために、指間をジグザグに切開することによって指間を形成します。また、指の分離の際には、血管、神経、腱、靭帯などについても適切に分離や縫合を行う必要があります。

そして、多くの場合に、分離手術にあたって皮膚が足りなくなり皮膚の欠損部が生じます。その皮膚の欠損部を補うために、足のくるぶし付近や足の付け根などから皮膚を移植します。

ただし、症状が非常に軽度の場合は、分離部分の周囲の皮膚を用いて分離手術するだけの場合もあります。また、足指は手指に比べて短いことから、足指の場合も皮膚の欠損部が少なくなるので皮膚の移植を必要としない場合があります。

骨性合指の場合

骨性合指の場合、皮膚性合指の分離手術の内容に加えて、骨切り術、骨移植術が必要となる場合があります。

また、骨性合指の場合、指の分離手術を行うとどちらかの指が短くなってしまう傾向があります。そのため、大きさを矯正するために複数回の修正手術がなされる場合もあります。

皮膚の移植について

指の分離手術に伴う皮膚の移植については、足のくるぶし付近や足の付け根などから皮膚を移植します。

しかし、足の付け根(鼠径部)の皮膚の場合、手術後に色素沈着の可能性が指摘されています。

したがって、足のくるぶしの内側や外側の皮膚を移植することが多いようです。

分離手術の時期

指の分離手術は、生後8ヶ月から3才までに行われるのがほとんどです。

骨性合指の場合、合指になっていることが成長の阻害要因になりかねないため、皮膚性合指よりも早めに分離手術をすることが望ましいとされています。

ただし、指の手術時期の決定にあたっては、様々な事情を考慮する必要もあります。

麻酔使用の観点

合指症の指の分離手術では、全身麻酔が必要とされます。そして、全身麻酔を安全に行うには、少なくとも生後半年以上の成長が必要とされます。そのため、出生後すぐの治療はできず、概ね1才前後に至ってから指の分離手術を行うことになります。

手術実施の観点

乳幼児の身体は小さく、手足の指の血管や神経も小さいことが当たり前です。そこで、指の分離手術を行う際は、拡大鏡が用いられます。

しかし、拡大鏡を用いても指の癒合の構造を把握することが難しい場合があります。

したがって、手術の実施という観点からは、ある程度の成長を待ったほうが良いともいえます。

患者の社会生活の観点

手の指については露出し人目に触れる機会が多いことから、早期の治療を希望する親御さんもいらっしゃいます。

また、手や足の動きは脳を刺激しますので、患者の健全な成長にも密接に関与していることがわかっています。ですから、患者の社会生活上も早めの分離手術が求められます。

さらに、乳幼児期の成長は早く、指の分離手術を待っている間に指の成長のバランスが損なわれる可能性もあります。特に、手の親指と人差し指が癒合している場合、本来の指の運動方向が異なるために、指の成長のバランスが損なわれやすいと言えるでしょう。

したがって、患者の社会生活の観点からは、早期の手術が要請されていると言えます。

手術費用の公費による一部負担

合指症のような手足の先天異常の場合、育成医療給付制度の対象となる場合があります。対象となれば、手術費用が公費で一部負担してもらえますので、住んでいる市区町村窓口に相談しましょう。

育成医療給付制度

育成医療給付制度とは、身体に障害や病気の18歳未満の者が、手術などの治療をすることで障害や病気を改善できる見込みがある場合に、医療費の一部を公費で負担してもらえる制度です。

育成医療給付制度の対象となる病気は、治療しなければ将来的に障害が残る可能性がある病気とされていますので、非常に多岐にわたります。

ただし、健康保険を使うことと指定病院を利用することが条件とされています。また、公費による助成ですから、申請には多くの書類が必要で、事前申請が原則です。

小児慢性特定疾病医療給付制度

こちらは余談になりますが、アペール症候群の一部として合指症が発症している場合に、小児慢性特定疾病医療給付制度の対象になる場合があります。

小児慢性特定疾病医療給付制度は、国が指定した小児の慢性疾病について、医療費の負担を軽減してくれる公的な助成制度です。

ただし、合指症が単独で発症している場合には適用がありませんので注意してください。

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合指症の治療の効果

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このような合指症の治療を行った場合、どの程度の効果があるのでしょうか?

分離手術後の経過観察

手術後数日のうちに、分離した指が血行障害を生じていないかを確認します。また、指の分離手術後は、ギプスによって2週間から3週間程度固定します。

ギプスを外して抜糸した後は、指間にスポンジを押し当てて圧迫を加えることで、皮膚が元に戻ろうとするのを抑制します。これを圧迫療法といいますが、指の分離手術後3ヶ月程度続けます。

ただし、合指症の症状によっては、ギプス固定期間や圧迫療法の期間は短縮されることも、延長されることもありますので注意が必要です。医師の判断に従いましょう。

合指症の治療の効果

皮膚性合指の場合、分離手術によってそれぞれの指の独立が図られ、指の動きも概ね良好になるようです。

一方で、皮膚性合指でも完全合指だった場合や骨性合指の場合は、分離手術によっても指の変形が残ったり、指の動きの制限も残ったりすることもあるようです。このような場合は、修正手術が必要となる場合があります。

成長に伴う修正手術

成長に伴って分離手術の傷跡がひきつれを生じることがあります。このような場合は、修正手術が必要となる場合があります。

合指症の治療は、乳幼児期に行うことがほとんどですので、成長に応じて長期の経過観察が必要になります。

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合指症の予防

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このように治療で患者の身体的負担が大きい合指症ですが、なにか予防策は無いのでしょうか?

妊娠中の喫煙は止めましょう

前述のように、合指症の原因については、はっきりと解明されていません。ですから、これを行えば合指症を予防できるという決定的な予防策は無いのが実情です。

しかし、妊娠中の喫煙と合指症の発症については、その関連性が統計的に示唆されていることも事実です。

したがって、合指症の発症リスクを低減するには、妊娠中の喫煙は避けたほうが良いでしょう。

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まとめ

いかがでしたか?合指症の全体像をご理解いただけたでしょうか?

合指症では、赤ちゃんの出生後すぐに先天異常の障害を知ることになりますから、親御さんの心配も尋常ではないでしょう。

しかし、指の分離手術を行うことで、正常に近い状態で指を使うことができる可能性が少なからずあることを理解いただけたと思います。

ですから、周囲の方は障害があるからと特別な対応をするのではなく、合指症を理解した上で自然に接することが良いのだと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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