季節の変わり目は眠いものだと思っていましたが、季節が変わってもどうにも眠いという方も多いかと思います。
忙しい現代社会では睡眠時間を確保するのもなかなかむずかしいですが、睡眠の質が悪く睡眠時間が無駄になってしまっている例や、睡眠不足の状態が長期間続く事で心身に影響が出て睡眠障害を引き起こす場合も多く見られます。
眠気がある状態は集中力の低下や免疫力の低下につながり、非常に危険です。質のよい睡眠が取れているかについて確認しましょう。
睡眠とは
まずは、睡眠がどういったものなのかを知っておきましょう。
睡眠の仕組み
睡眠は、人間の脳と身体を休ませるために行われる活動です。人の睡眠は体内時計やホルモン、自律神経などさまざまな生体機能により成り立っていますが、その種類は大きく2種類に分けられます。
一つは「恒常性維持機構」と呼ばれるもので、身体の環境を一定の状態に維持する機構の働きによる睡眠です。目覚めている間に脳にたまった疲れを解消するために脳が活動を低下する事で眠くなります。目覚めていた時間が長ければ長い程こちらの睡眠欲求が強くなります。
もう一つは「体内時計機構」と呼ばれます。こちらにはメラトニンというホルモンが大きく関わっており、夜暗くなると身体と心を休息状態に切り替えるシステムが備わっているので眠たくなるのです。
眠気からつながる身体の不調
睡眠がうまくとれていないと心身ともに疲労が蓄積し、いろいろな症状を引き起こします。たとえば睡眠の間に分泌される成長ホルモンは身体の組織の修復をしているので、これが不足すると骨や肌、脳細胞がぼろぼろになってしまいます。また、ストレスや炎症に抵抗する力が失われ、うつ病やがんのリスクが高くなるとされています。
また、睡眠不足の脳の状態はほろ酔いと同程度の弱酩酊状態であるという調査結果も報告されており、機械や車の操作に以上を来す可能性が非常に高いのです。
寝不足の症状については、寝不足が起こす症状とは?改善策や予防方法も紹介!の記事を参考にして下さい!
過眠を引き起こす病気
睡眠については生活習慣の影響が非常に大きく現れると言えますが、やはりいくら眠っても眠いとなると病気なのではないかと心配になってしまいます。そこで、このような症状(過眠)を引き起こす病気をまとめました。
過眠が現れる病気には原因がはっきりと分かっていないものも多く治療が困難な場合もありますが、対処療法はあるので不安な場合は医療機関に行く事をお勧め致します。
睡眠時無呼吸症候群
気流が停止、つまり気道の空気の流れが止まる事を医学的に「無呼吸」と呼びますが、7時間の睡眠中に30回以上、もしくは一時間当たり5回以上無呼吸状態が起きる事を睡眠時無呼吸症候群と呼んでいます。
・起きた時に口が渇いている
・寝ている間にいびきをかく
・いびきが止まり大きな呼吸と共に再びいびきをかく
等の症状が眠気に加えてある場合、この病気が疑われます。
タバコやお酒、高血圧などの生活習慣に加え、首が短め、下あごが小さいなどの形態的特徴を原因とする場合もあります。マウスピースやCPAPというマスクのような機械で気道に空気を送る方法などで治療を行います。
睡眠不足症候群
厳密には病気ではなく、慢性的な睡眠不足により脳や身体の疲労が取れていない状態を指します。睡眠不足を本人が自覚しておらず、長く続くとうつ状態や糖尿病、心筋梗塞などを引き起こす可能性があります。
・三ヶ月以上昼間に強い眠気を感じている
・平日と休日の睡眠時間の差が2時間以上ある
という場合は、慢性的に睡眠時間が足りていない場合があります。夜更かしや多忙のため睡眠時間が取りづらい場合や、体質的に長時間の睡眠が必要な場合もあります。
特発性過眠症
非常にレアな病気ですが、持続性あるいは反復性の過度の眠気が発作として現れる睡眠障害です。特発性という名前自体が原因がよくわかっていないものにつく名前で原因ははっきりしておらず、治療も対処療法しかないのが現状です。
・一回の居眠りが1~4時間と長い
・目覚めが悪い
・頭が痛い、頭が重い
といった症状が見られます。
反復性過眠症状
上記と同様に非常に稀な病気に反復性過眠症があります。10代に多いケースで、とにかく睡眠時間が長くなるのが特徴です。もうろうとした状態になってしまい集中の持続ができない、意識障害の一つとされています。
・3~10日に渡って長時間睡眠の日が続き、普通の睡眠状態に戻る
・1日に18~20時間眠ってしまう
という一度に眠ってしまう時間がかなり長いという特徴があり、こちらも原因のはっきり分からない病気です。ただし、原因は分からないにせよストレスが引き金になる事が分かっているため、ストレスを溜めない事が一つの対策となります。
ナルコレプシー
1000人に1人程度に発症する病気です。15歳程度で発症する例が多い脳の疾患で、世界的に見ると日本での患者数は比較的多く見られます。
・1日に3~5回、1回10~20分程度の居眠りをしてしまう
・感情の変化(笑う、驚く、怒るなど)に伴い脱力症状がある
という症状があり、居眠りの時間が短い事が特徴です。理由は特定の遺伝子によるものなのではないか、脳内物質の不足によるのではないか等いくつか明らかになっている点もありますがまだ全容は分かっていません。
睡眠の質について
前項で眠ってしまう病気についてまとめましたが、病気ではなくても眠いものは眠い、とお困りの方も多いのではないでしょうか。
睡眠時間を取っているのに眠いという状態は、睡眠の質が悪い事に起因している場合があります。時間としてはたくさん眠っているのですが無駄が多くなってしまうのはもったいないので、質の高い睡眠が取れているかどうかを確認しましょう。
第一に、疲労が多すぎて取りきれていない場合があります。気が付かないうちに溜まっている内臓の疲労が眠気として現れる事があります。たとえば便秘や下痢を繰り返して腸が疲れている場合や、朝食を取らずにいると脳のブドウ糖が不足し、それを補うために肝臓のグリコーゲンが代用されるため肝臓に疲労が溜まるなどのパターンがあります。
炭水化物の取り過ぎによる血糖値の上昇が、疲労感となって現れる場合があります。また、糖質の取り過ぎも代謝を下げるためあまりよくありません。血糖値と眠気の関係は、血糖値が下がると眠気を感じるのはなぜ?対策方法も紹介!の記事を参考にして下さい。
第二に、成長ホルモンの分泌が充分でない事が考えられます。成長ホルモンは子供だけでなく大人にとっても大切なホルモンで、壊れた部位の修復を促しています。
成長ホルモンは寝付いてから三時間の間にのみ分泌されるため、この三時間しっかり眠る事が重要なのです。この間の眠りが浅かったり中途で目が覚めてしまうような事があると成長ホルモンが足りなくなり、心身の回復が遅れてしまいます。
睡眠の質を高める方法
このように睡眠の質を上げるためには、生活習慣の改善が大切です。以下のような生活習慣は成長ホルモンの分泌される時間の睡眠を阻害したり、内蔵に負担を掛けてしまうものです。当てはまる項目が多い方はぜひ改善を目指しましょう。
スマホ・PCの長時間使用
スマートフォンやパソコンなど多くの電子機器のバックライトにLEDが使用されていますが、LEDからはブルーライトが出ています。
ブルーライトは人の睡眠や覚醒を調節するメラトニンの分泌を抑制する作用があるため、この分泌が正常に行われないと睡眠と覚醒のリズムが崩れてしまいます。寝る前のスマートフォン、パソコンの使用は避けた方がよいでしょう。
寝る前の食事
満腹の状態で眠ると、就寝後も胃が働いている状態になり、脳が興奮したままになるために寝付きが悪くなります。就寝の3時間前までに食事を済ませておく事が良い睡眠につながります。
お風呂が熱い
熱すぎるお風呂に浸かると交感神経が刺激され、睡眠が阻害されます。体温が上がりすぎる事で下がるまでに時間がかかり、眠りにつくのが遅くなってしまうのであまり熱いお風呂はおすすめしません。38〜40度位のややぬるめのお風呂に、就寝2時間前程度に入るのが良いとされています。入浴については、入浴することで得られる効果とは?お風呂で生活を快適に!の記事を読んでおきましょう。
飲酒
少量の飲酒であれば、アルコールにより興奮系の神経伝達物質の働きが抑えられ、鎮静、催眠の作用が期待できます。しかし、飲み過ぎてしまうとアルコールを分解するために肝臓が働きすぎる事になり、内蔵の疲労が溜まってしまいます。飲酒も就寝3時間前までに済ませておく事、休肝日を設ける事を心がけましょう。
まとめ
睡眠不足になってしまっても、大人はそう簡単にお昼寝をする訳にも行きません。一度サイクルが乱れてしまうと悪循環に陥り、睡眠障害になってしまう場合もあります。
年末年始はイベントシーズンではありますが、夜更かしや暴飲暴食は控えめに、ゆっくり心身を休めるようにしましょう。
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