表皮ブドウ球菌という用語、聞きなれないと思いますが、美肌を保つのに欠かせないものなんです。この菌は、私たちの肌に棲みついている菌で、美肌効果をもたらす働きをしています。TVで取り上げられたことで、一躍話題となりました。
美肌菌を育てることは、高額なサプリメントや化粧品を購入するよりも、優れた効果があると言われています。表皮ブドウ球菌の事を知り、育てる事を意識すれば、いつまでも美肌を維持することも可能です。ここでは、表皮ブドウ球菌とは何か、また育て方について詳しくご紹介します。
表皮ブドウ球菌について
ニキビや乾燥肌などあらゆる肌トラブルを解消したいと思っている方、表皮ブドウ球菌を増やすことで、肌トラブルともサヨナラできます。
菌と聞くと悪いイメージが浮かびがちですが、腸内と同じように肌にも善玉菌と悪玉菌が存在しています。ここでは、肌の善玉菌や悪玉菌について詳しくご紹介します。
表皮ブドウ球菌とは?
表皮ブドウ球菌(英和辞典:Staphylococcus epidermidis)とは、肌に棲みつく菌の1種です。私たちの肌には10種類以上の菌がすみつき、これらを「常在菌」と呼んでいます。これらの常在菌は空気のある場所を好む性質がある為、皮膚表面に多くいます。
美肌を保つのにいい影響を与えてくれる菌を「美肌菌」または「善玉菌」と呼び、「表皮ブドウ球菌」が代表的な菌です。また、肌トラブルを引き起すものを「悪玉菌」と呼び、ニキビを生み出す「アクネ菌」や皮膚を化膿させる「黄色ブドウ球菌」が代表的な菌です。
表皮ブドウ球菌の働き
表皮ブドウ球菌は、皮膚の上の汗や皮脂を食べ、グリセリンという成分を排出します。また、アミノ酸などの酸を作り肌の栄養素を作ったり、肌を弱酸性に保つことで、病原菌が外から進入するのを防ぐバリア機能になります。
表皮ブドウ球菌が肌に多くすみつくことで、肌を健康に保つ秘訣です。この菌を皮膚の上で育てる事が、美肌に繋がります。
■グルセリン
グリセリンは、弱酸性の成分で、汗を皮脂をつなぎ肌の保護膜となり、潤いを与える成分です。その為、表皮ブドウ球菌が肌の上で活躍することで、しっとりとした、艶のある肌を保つことが出来ます。常在菌から作られるグリセリンは人工的なものとは異なり、アレルギー反応が起こりにくいという特徴があります。
■アミノ酸
アミノ酸は肌の細胞をつくる減量で、肌のキメ、ハリ、うるおいを保つのに必要です。アミノ酸は肌荒れを防ぎ、しみ、しわ、そばかす、くすみを防ぐ効果があるので、美肌に欠かせない成分です。
皮膚の表面にいる限り害になることはありませんが、皮膚の傷口から体内に入ると感染症を引き起こす可能性があります。しかし、悪玉菌の黄色ブドウ球菌ほど病原性が高いわけではないので、体に備わっている免疫力により、ほとんど退治されます。
悪玉菌とは?
悪玉菌は増えることで、肌のトラブルを引き起こす原因菌になります。
悪玉菌の代表として、黄色ブドウ球菌(和英辞典:Staphylococcus aureus)やアクネ菌(和英辞典:propionibacterium acnes)があります。ここでは、この2つの特徴を見ていきましょう。
黄色ブドウ球菌
切り傷や引っかき傷が出来た時に、放置しておくと化膿して黄色くなったのを経験した人も多いと思います。この皮膚を化膿させる働きをしているのが、黄色ブドウ球菌です。黄色ブドウ球菌は、皮膚から出てきた体液をエサとして増えていく菌です。その為、傷をそのままにしておくと膿や炎症が内部の組織にまで広がっていきます。
他にも、アトピー性皮膚炎の患者の皮膚からは、黄色ブドウ球菌が検出され、この菌がかゆみを増す原因になっていると言われています。黄色ブドウ球菌の数を減らして、表皮ブドウ球菌を増やす事で、肌トラブルがなくなります。
黄色ブドウ球菌などの菌は消毒液ですぐに死滅しますが、善玉菌も一緒に死滅してしまいます。その為、悪玉菌を減らしたいからと言って、洗顔のしすぎや消毒のしすぎは肌によくありません。黄色ブドウ球菌は、抗菌薬による耐性が生じやすく、耐性菌になりやすい特徴があります。
また、食品の中に黄色ブドウ球菌が入って増えると、エントロトキシンという毒素がでる為、食中毒が起こります。この場合、加熱や煮沸処理しても死滅しないと言われています。この食中毒で命を落とす危険性はありませんが、嘔吐と下痢の症状が続きます。
アクネ菌
アクネ菌が増えると、ニキビや吹き出物を作る原因になります。アクネ菌は空気がなく脂肪分が多い場所を好み、皮膚の中で増えていきます。その為、皮脂がたまって出口が角栓で塞がれているような毛穴に入り込みやすいです。
アクネ菌が増えて体の免疫が反応すると、アクネ菌がニキビに変わります。アクネ菌と一言で言っても、大きく分けると3種類に分けることが出来、2種類は悪玉菌で1種類が善玉菌です。
善玉菌は肌を弱酸性の状態に保ち、病原菌の繁殖を抑える役割があります。一方で、悪玉菌のアクネ菌は、リパーゼ酵素を分泌し、皮脂を遊離脂肪酸とグリセリンに分解する働きがあります。ニキビが悪化する原因は、出入り口のない角栓にアクネ菌が入り込み、脂質を分解して毒性のある過酸化脂質を作るからです。
ニキビを予防するのであれば、悪玉アクネ菌の好む、角栓で塞がれているような毛穴を作らないことが重要です。アクネ菌は増えても肌に悪いですが、全て除菌すると逆に他の悪玉菌が増える原因になります。
悪玉菌と美肌菌の関係
悪玉菌の黄色ブドウ球菌やアクネ菌などは、ある一定の数であれば肌トラブルを生み出すことはありません。問題なのは、増えすぎて菌のバランスが悪玉菌の方が多くなってしまう事です。悪玉菌は繁殖能力が高い為、何かをきっかけにして、すぐに増えます。
悪玉菌を繁殖させない秘訣は、美肌菌を皮膚に多く保つことです。美肌菌が多ければ悪玉菌が悪さをすることはありません。美肌菌が常に多いように菌バランスを保ち、肌トラブルをなくしましょう。
ブドウ球菌とは?
美肌菌の表皮ブドウ球菌や悪玉菌の黄色ブドウ球菌は、両方とも名前にブドウ球菌と付きます。このブドウ球菌とは、ブドウ球菌属のグラム陽性菌(英語辞書:Gram-positive bacteria)である細菌の総称です。
1つ1つの球菌が不規則に配列し、光顕微鏡でみるとブドウの房のように見えることから、ブドウ球菌と名前がつけられています。また、グラム染色により青紫色に染まる特徴があります。
ブドウ球菌は全部で35菌種に分類でき、約15種類が人から分離する事が出来ます。また、マンニットを分解して、血漿を固まらせる働きのあるたんぱく質のコアグラーゼを発生させるかどうかで、コアグラーゼ陽性とコアグラーゼ陰性に分けられます。人から分離することが出来る約15種類のうち、最も病原性が高い黄色ブドウ球菌のみがコアグラーゼ陽性菌に分類されます。
美肌菌を育てる方法について
表皮ブドウ球菌が好むものを与え、棲みやすい環境を作ることで、美肌菌を増やすことが出来ます。表皮ブドウ球は、皮膚の上の汗や皮脂を食べます。だからと言って、汗をかきっぱなしにしたり、皮脂を多く分泌する事がいいわけではありません。
簡単に出来る日常のケアで、増やす事が出来るので、今日からさっそく始めてみましょう。ここでは、美肌菌を育てる方法についてご紹介します。
正しいスキンケア
美肌菌は皮膚の皮脂を食べますが、悪玉菌も皮脂をエサにします。悪玉菌が皮脂をエサにした場合は、毒素を排出します。この毒素が肌荒れの原因となるので、余分な皮脂を残してはいけません。洗顔を正しく行い、余分な皮脂を取り除いて清潔に保つことが重要です。
また、洗顔しすぎたり、殺菌効果のあるものを使用したり、脱脂力のつよい洗顔を使いすぎると、善玉菌まで一緒に死滅してしまいます。朝は化粧水や乳液をコットンに含ませて、サッと顔を拭き取るだけにして、洗顔などを用いて洗うのは、夜のみにしましょう。
また、洗顔力の高いクレンジングや洗顔料 、化粧品はなるべく控えましょう。化粧をする際も、皮膚が呼吸できないくらいに厚化粧をしてしまうと、表皮ブドウ球菌が棲みずらくなります。強い防腐剤や保存料入りの化粧品は、菌が滅菌されてしまうので、オーガニックコスメを使用するのがオススメです。
汗をかく
善玉菌は、汗もエサにしています。その為、適度な運動や入浴、サウナなどで、汗をかくことは善玉菌を育てることに繋がります。また、汗をかくと血液のめぐりがよくなります。これにより、新陳代謝が活発になり肌のターンオーバーも活発にしてくれます。
適度な運動をすることは、体にも肌にもいい事です。表皮ブドウ球菌は冷えた環境が嫌いなので、汗をかいた後に体を冷やさないように注意しましょう。
体を冷やさない
表皮ブドウ球菌は冷えた環境が苦手で、活動が鈍ります。体を温めることで、表皮ブドウ球菌の活動が活発になるので、体を出来るだけ温めるようにしましょう。熱は筋肉で作られています。もともと筋肉が少ない人は、有酸素運動や筋トレを行うことで、筋肉が作られ熱を生産しやすくなります。
他にも、半身欲、ホッカイロや湯たんぽなどの道具で体を温めることはもちろんのこと、味噌などの発酵食品や生姜などの温性の食材を使ったものを食べることで、体を温めやすくなります。生活習慣や食生活の見直しをしましょう。
質の高い睡眠を取る
肌のターンオーバーは寝ている間に活発に起こります。肌の新陳代謝を促す成長ホルモンは、夜寝ている間に分泌されます。睡眠は深い眠りの「ノンレム睡眠」と浅い眠りの「レム睡眠」の2種類あります。
この2つの周期を5回ほど繰り返して、朝を迎えます。このレム睡眠とノンレム睡眠のバランスがきちんと取れていることを、質の高い睡眠と呼びます。ノンレム睡眠の周期の時に、ホルモンが分泌されたり、肌の修復が行われます。
つまりは、睡眠をしたとしても、深い眠りをしない場合は、お肌は回復できません。睡眠は、肌だけでなく腸や胃など他の体の部分にも影響を及ぼします。これらの臓器の働きが悪くなる事でも、肌のトラブルにも繋がる為、しっかりと睡眠を取ることが重要です。
ストレスを溜めない
肌は臓器と深い関係があります。過剰なストレスが生じた場合、アドレナリンやノルアドレナリンなどが血液中に流れ、血圧上昇、心拍増加、血統上昇を引き起こします。
女性の場合は、男性ホルモンが増加し、皮脂量がふえます。これにより、善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れ、悪玉菌の働きが活発になり、ニキビや吹き出物を作ります。ストレスを発散させることを心がけましょう。
脂質・糖質を取り過ぎない
脂質や糖質を取りすぎると、顔に皮脂が増えるだけでなく、血流が悪くなり、善玉菌が減少します。見落としがちなのが、炭水化物です。
炭水化物は消化されることで、脂質に変わるので、パスタやラーメン、ご飯などをたくさん食べるのは控えましょう。
紫外線を浴びない
紫外線を浴びすぎると肌はアルカリ性に傾き、表皮ブドウ球菌が活発に活動することが出来ません。乾燥肌も美肌菌を棲みにくくする為、保湿をしっかりしましょう。
専門的なケア方法
上記で紹介した以外の方法でも、美肌菌を育てる方法はあります。特に専門的な治療方法として、美肌菌ドックを利用したり、美肌菌を育てるケア用品を使用するのはオススメです。ここでは、専門的なケア方法についてご紹介します。
美肌菌ドック
女性の肌の為に、「東京イセアクリニック」ではお医者さんの専門的なアドバイスをもらいながら、美肌菌を育てることが出来ます。美肌バランスは、表皮ブドウ球菌の善玉菌が66%、アクネ菌が13%、黄色ブドウ球菌の悪玉菌が20%のバランスが理想だと言われています。
この理想に近づける為の治療方法として、「美肌菌を減らさない」「栄養を与える」「美肌菌を増やして肌に戻す」の3つを行います。更にこれらに加えて、医師からの的確な指導がある為、専門的な治療を受けることが出来ます。美肌菌ドックは東京イセアクリニックで4万5千円で試すことが出来ます。
■美肌菌を減らさない
スキンケア方法を見直して、菌を減らさないようにアドバイスを行います。菌は繁殖するので、生活習慣や肌ケアを見直すことで繁殖させることが出来ます。
■栄養を与える
美肌菌はグルコオリゴ糖などの栄養素を与えると、増殖しやすいといわれています。栄養を与えて、善玉菌を増やす環境を整えます。
■美肌菌量を増やして戻す
美肌菌を採取して、外部で培養を行い、増殖したものを肌に戻します。菌は仲間が多いほど増えやすい性質があるので、美肌菌を多くする事で、美肌菌が増えやすい環境を作ります。
表皮ブドウ球菌に着目したケア用品
表皮ブドウ球菌を増やしたり、常在菌を育てることに特化したケア商品が発売されています。菌のエサとなる成分を特別に配合することにより、菌が活発に働きます。
HANAオーガニック
常在菌を育てるには、オーガニックコスメを使うことがオススメです。オーガニックコスメとは、肥料や農薬などの化学合成成分を使わずに作られた化粧品のことです。肌への刺激が少ないことが特徴です。
中でも「HANAオーガニック」は、常在菌のエサになるバイオエコリアを配合しています。このブランドは、オーガニックコスメの中でも常在菌を育てることにこだわっている化粧品です。
ロート製薬プロメディアル
ロート製薬から発売された美肌菌に着目したスキンケア用品です。美肌菌が増えやすくなるグルコオリゴ糖を配合しているので、美肌菌を増やすことが期待出来ます。乾燥性敏感肌の人の為に開発されたものなので、肌への刺激が少ないです。
ビオサプ
天然のオリゴ糖の「バイオエコリア」を大量に配合したマスクです。このエサは美肌菌のみに作用するため、菌バランスを一気に美肌菌の方に傾けます。特別な日の前に行うケア用品として、取り入れたいマスクです。
整菌スキンケア
皮膚常在細菌活性因子を配合している為、美肌菌が活発に働くことが出来ます。また、アルコールや香料、防腐剤、石油系界面活性剤など肌ストレスになるものは一切使用していない為、肌が弱い方、また子供からお年寄りまで安心して使うことが出来ます。
ローション、ボディーソープ、モイスチャーミルクなどのラインナップがあり、全身に使用することが出来ます。
32℃化粧品
2011年より美肌菌に着目して、製品にエサとなるグルコオリゴ糖を配合しています。美肌菌を増やして、美肌菌が生産するグリセリンやアミノ酸により美肌を保つことが期待出来ます。サロンに行くことで、皮膚のトラブルを解消するアドバイスも受けることが出来ます。
おわりに
美肌菌を増やすことは、高価な化粧品やエステ、サプリメントよりも効果があると言われています。普段の生活や肌ケアを気をつけるだけで、美肌菌を増やすことができるので、高価な化粧品を購入する必要もありません。
今回ご紹介した美肌菌を育てる方法以外にも、医師のアドバイスと一緒に菌を増やすことが出来る「美肌菌ドック」や美肌菌のエサを配合した化粧水を試してみるのはオススメです。根本を治療して、肌の機能を高めることで美肌を維持することが出来ます。
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