大人になると、様々な場面で家族構成を尋ねられる機会が多くなります。例えば、就職活動や転職活動において履歴書や身上書などに家族構成の記入欄があったり、クレジットカードの申込書・申請書にも家族構成の記入欄があったりします。
とはいえ、近年は個人情報の保護の観点から、これらの書類に家族構成を記入する必要性に疑問を持つ人もいるかもしれません。また、大人になるまでは家族構成の記入を求められる機会は多くありませんので、いざ家族構成を記入しようとして書き方に戸惑う人も少なくないのではないでしょうか?
そこで今回は、様々な場面で家族構成を尋ねられる理由を明らかにした上で、家族構成の書き方・記入方法について、ご紹介したいと思いますので参考にしていただければ幸いです。
家族構成を尋ねられる理由
そもそも、どうしてアルバイト探し・就職活動・転職活動などで履歴書や身上書に家族構成の記入欄があるのでしょうか?また、どうしてクレジットカードの申込書・申請書に家族構成の記入欄があるのでしょうか?
そこで、まずはこれらの場面で、家族構成を尋ねられる理由について、ご紹介したいと思います。
就職活動や転職活動の場合
それでは、どうしてアルバイト探し・就職活動・転職活動などで履歴書や身上書に家族構成の記入欄があるのでしょうか?
以前からの慣習
市販されている履歴書に家族構成の記入欄があるのは、以前からの慣習と言えるでしょう。
以前は、企業・会社側が採用にあたって応募者本人の身元を確認するために、面接で応募者の家族構成を質問することが多くありました。そのため、市販される履歴書の多くに家族構成の記入欄が設けられ、その名残が今現在も慣習として残っているのです。
ただし、近年になって市販されている履歴書の中にも、家族構成の記入欄が無いものも増えています。応募書類について企業・会社側から特に指定がない限り、市販されている履歴書であれば、家族構成の記入欄があろうと無かろうと、どちらを選択しても問題はないでしょう。
企業・会社側のリスク回避
就職活動や転職活動などの面接あるいは書類選考用の事前提出書類で、企業・会社側が応募者に家族構成を尋ねることは「就職差別」にあたりかねないことから、望ましくないとされています。家族構成などの家庭環境は、応募者の仕事をする能力と全く関係ないからです。このような内容は、労働環境を管轄する厚生労働省のホームページでも記載されています。
しかしながら、罰則などの強制力があるわけではありません。また、業界によっては、企業・会社側のリスク回避として、意図的に尋ねている場合もあるようです。例えば、特に金融業界は暴力団などの反社会的勢力に狙われやすいことから、血縁関係に反社会的勢力に属している人を採用することは大きなリスクを抱えることになりかねません。
また、企業・会社側としては採用をしたものの、入社直後に出産や介護などの理由で休まれてしまうと、すぐに人材を補充できるわけではありませんから困ってしまいます。大企業ならば人材のやり繰りをできるかもしれませんが、中小企業での人手不足は死活問題であり大きなリスクなのです。
このように企業・会社側にも営利企業である以上は、リスクを回避しなければならない事情が存在します。ですから、企業・会社側にも、応募者に家族構成を尋ねる一定の理由が存在すると言えるでしょう。
企業・会社側の人員計画や緊急連絡先の把握
前述のように企業・会社側にとって、人手不足は大きなリスクとなります。そのため、社員の出産・育児・介護休業が生じても困らないように、前もって人員計画を立てて計画的に労働環境を整備している企業や会社もあります。このような企業・会社では、その計画の参考とするために、応募者の家族構成を尋ねることがあるかもしれません。
また、応募者の採用が決定した後に、企業・会社側が身上書・身上調書という形で家族構成の記入を求めることもあるでしょう。この場合は、会社員の確定申告の代わりとなる年末調整に必要な扶養控除の手続き、家族手当などの支給、社員の急変時の緊急連絡先など、基本的に公的手続きや社内手続きとして必要性が存在します。
クレジットカードの申請の場合
それでは、どうしてクレジットカードの申込書・申請書に家族構成の記入欄があるのでしょうか?
そもそもクレジットカードとは、クレジットカード発行会社がカード利用者に対して、一定額の信用供与をするものです。その一定額の範囲内であれば、カード利用者は現金が手元に無くとも買い物ができ、カード発行会社が代金を一時的に立替払いするのです。カード発行会社は、その立替額を後日カード利用者に請求します。
とすれば、クレジットカード発行会社としては、カード申込者の支払能力が最も気になるポイントです。そして、過去の膨大な統計データでは、カード利用者の支払能力と家族構成に関係性があるのだそうです。例えば、社会人になりたてのカード利用者の場合、親と同居している人たちは一人暮らしをしている人たちより支払能力が高い傾向があるのです。
ですから、クレジットカードの申込書・申請書には、家族構成の記入欄があるわけですね。
家族構成の書き方・記入方法
それでは、このような家族構成を尋ねられる理由を踏まえた上で、家族構成の記入を求められた際に、どのように書けば良いのでしょうか?そこで、家族構成の書き方・記入方法について、ご紹介したいと思います。
基本的な書き方・記入方法
まず大前提として、企業・会社側などから指定された様式の書類があるのであれば、その様式に従う形で記入しなければなりません。例えば、就職や転職の内定獲得後に企業・会社側から記入を求められる身上書やクレジットカードの申込書などは、だいたい記入例が添付されていますので、そちらを参考にして記入しましょう。
一方で、市販の履歴書などの家族構成記入欄などについては、基本的には以下に説明するような形で記入していくことになります。
本人以外の同居家族を記入する
家族構成の記入欄には、一般的に自分を除いた同居家族の名前・続柄・年齢を記入します。
そして、同居家族を書いていく順番は、世帯主から書き始めて、以降は基本的に年齢が高い順に書いていきます。続柄については、記入者・作成者である自分から見た家族との間柄について書くことになります。記入例を挙げると、次のような形で記入します。
大学生が新卒として就職活動をするケース
・〇〇太郎 父 55歳
・〇〇花子 母 54歳
・〇〇一郎 兄 25歳
・〇〇花江 妹 17歳
上記の例で三世代同居のケース
・〇〇太郎 父 55歳
・〇〇花子 母 54歳
・〇〇太 祖父 80歳
・〇〇ハナ 祖母 79歳
・〇〇一郎 兄 25歳
・〇〇花江 妹 17歳
この場合、祖父は現役引退をして世帯主ではなく、父が世帯主となって祖父・祖母の扶養義務を負っているケースです。
社会人が転職活動をするケース
・△△花子 妻 30歳
・△△一郎 子 5歳
ちなみに、「妻」または「夫」という続柄について「配偶者」と記入すべきという考え方もあるようですが、役所に届け出る公的書類でなければ「妻」または「夫」で特に問題はないでしょう。
書き方・記入方法の注意点
このように家族構成の基本的な書き方・記入方法は、上記の通りとなります。このほかに注意しなければならない点を、いくつかご紹介したいと思います。
同居していない家族は記入の必要がない
家族構成の記入欄の書き方・記入方法は、原則として同居家族のみを記入します。ですから、遠方に住んでいる祖父や祖母、また結婚などの理由で家を出た兄弟姉妹などの同居していない親族は記入の必要がありません。
一人暮らしのケース
地方から一人で引っ越して大都市圏の大学に通っている人も少なくありません。そのような一人暮らしの場合は、どうすれば良いのでしょうか?
就職活動をする大学生の場合、一人暮らしをしていても住民票は実家のままであることがほとんどでしょう。このように住民票が実家にある場合は、家族構成の記入欄には実家に住んでいる家族を原則に準じる形で記入することになります。
一方で、一人暮らしをして住民票も現在住んでいる所に移している場合は、家族である同居人がいない以上、家族構成の記入欄は記入する必要はありません。ただし、内定後の身上書などでは、別途緊急連絡先として実家の両親の連絡先などを記入したほうが良いかもしれませんね。
注意すべき続柄
例えば、婚姻関係のある夫の両親と同居するケースで、妻の視点では義父や義母と続柄を書くことになります。同様に夫の兄弟姉妹が同居していれば、義兄・義弟・義姉・義妹となります。
また、近年は大家族で住むことは少なくなりつつありますが、両親の兄弟姉妹も同居する場合は、続柄として伯父・伯母・叔父・叔母を使い分ける必要もあります。自分からみれば、いずれも「おじさん」や「おばさん」なわけですが、両親の兄や姉には「伯父・伯母」を使い、両親の弟や妹には「叔父・叔母」を使うことになります。
まとめ
いかがでしたか?様々な場面で家族構成を尋ねられる理由を明らかにした上で、家族構成の書き方・記入方法について説明してみましたが、ご理解いただけたでしょうか?
たしかに、近年は個人情報の保護の観点から、これらの書類に家族構成を記入する必要性に疑問を持つ人もいるかもしれません。もちろん家族構成による就職差別は論外ですが、企業・会社側にも応募者の家族構成を尋ねる一定の理由が存在することには理解が必要でしょう。
また、大人になるまでは家族構成の記入を求められる機会は多くありませんので、いざ家族構成を記入しようとして書き方に戸惑う人も少なくないでしょう。とはいえ、家族構成の記入方法は、一種のビジネスマナーと言えるかもしれません。家族構成記入欄に自分まで記入しないように、本記事などを参考にして改めて注意をするようにしましょう。