ピクピクする、まぶたの痙攣は誰しも経験があるのではないでしょうか?眼の疲れからくるのか、それとも何か原因があるのでしょうか?まとめてみました。
まぶたの痙攣
まぶたの痙攣は、誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか?自分の意思とは無関係にまぶたがピクピク痙攣するのは気持ちの良いものではありませんね。そのような状態は、たいがいが眼の疲労や身体の疲労からきているといわれています。
仕事や遊びなどで、眼を酷使している人やスマートフォンやテレビ、パソコンなどの画面を長時間にわたって見ている。または普段から疲れが溜まっていたり、寝不足だったり、ストレスが溜まっているなどの原因が考えられます。このような原因で起こるまぶたの痙攣は多くが身体を休めたり、ストレスを解消することで、症状は緩和されます。一時的なまぶたの痙攣はこうしてほとんどが特別な治療をすることなく自然に治ります。
しかし、一部には症状が治まらないものもあり、疾患として症状が進行していく場合もあります。放置して失明のような状態にならないためにも、気になった時にはすぐに医療機関に受診することをオススメします。
疾患の可能性
まぶたの痙攣は疾患が原因かもしれません。
眼瞼痙攣(がんけんけいれん)
このような症状に思い当たることはありますか?
- ①目が疲れてくるとまぶたがピクピクしてくる
- ②テレビやパソコン、スマートフォンなどがまぶしくて見づらい
- ③最近まばたきの回数が増えたような気がする
- ④ドライアイの治療をしているけど一向によくならない
このような症状に思い当たることがあれば、眼瞼痙攣(がんけんけいれん)かもしれません。
眼瞼痙攣は、まぶたの痙攣のことです。自分の意思とは関係なく筋肉に収縮が起こってしまう疾患です。初期症状にドライアイと同じような症状があるため、ドライアイの治療をしているのに全く改善しなくて眼瞼痙攣だと分かる場合があります。
このような症状に悩まされている人は日本で数十万人いるといわれていて、そのうち最も多いのは40代以上の女性や中高年の男性だといわれています。
・症状
まぶしく感じる。無意識にまばたきが続くようになる。眼が常に乾いている感じがする。まぶたの周りの筋肉が痙攣する。などの症状が現れます。また眼の周りの不快感を訴えるひとが多く、さらに眼の乾く感じや痛みを感じることもあります。
さらに、不安や不眠などの精神的な症状を発症する人も多く、うつ病との関連性も考えられています。40歳以上の女性に多く、なかなか完治しにくい疾患で、軽症患者も含めると40万人以上いるといわれています。両眼同時に症状がでることが多く、両眼の上下のまぶたが同じように痙攣してくるのが特徴です。
症状が進行すると、痙攣の回数も増えて、まぶたが開けられないほどになり、視力はあるのに失明と同じような状態になります。ドライアイと誤診されることも多く、初期症状の時の症状の申告には注意したいところです。
・原因
眼輪筋の異常によって、無意識に起こる筋肉の収縮です。その収縮の原因は不明です。発症の原因は完全には解明されていません。一部では、
- 大脳の機能障害
- 眼瞼炎、結膜炎などの疾患で炎症が刺激を与えたため
- 抗うつ薬などの薬による副作用
などの原因がいわれていますが、はっきりとしたものが解明されていないので、症状の対処療法が主な治療になります。
・検査
症状の進行が進み、特徴的な症状が出ている場合は、問診や症状の観察などで診断されます。またドライアイと眼瞼痙攣は間違えやすい疾患です。診断をするときに眼科では、次のような診察が行われます。
さらに精神的な原因から発症することも考えられるため、精神状態などの診断も行われます。もし精神的なことが原因での発症の場合は、抗うつ剤などの不安感や憂鬱な状態を和らげる薬による治療が同時に行われます。また脳梗塞などの疾患でも同じような症状を起こす場合があり、治療前にはCTやMRI検査などの基本的な検査が行われることがあります。
受診には眼科だけでなく、神経内科や脳外科などと連携の取れる医療機関での受診をオススメします。
眼瞼痙攣テスト
①軽瞬テスト
眉毛を動かさずにまばたきをゆっくり行う
②早瞬テスト
早いまばたきを10秒間行う
③強瞬テスト
眼を強く閉じてすぐに開けるという動作を10回行う
そのほか、涙の不足を調べるシルマーテストやCT、MRI、PETなどの画像による検査なども必要に応じて行われます。
・進行度
症状の進行については、あまり早くはありませんが、放置して治るものでもありません。症状が進行するにしたがって、日常生活に支障をきたす場合があるので、早めの治療が望まれます。
・治療
根本的な治療方法はありません。初期症状では、パーキンソン病の治療薬や精神安定剤、抗てんかん薬や筋弛緩薬などの薬物療法を行います。症状が進行してくると、筋肉の一部を切除する手術や眼の周りの筋肉に通っている神経を切るという手術をすることもあります。
またボツリヌス毒素A製剤を注射して麻痺させることで痙攣を緩和する方法もとられますが、効果が3ヶ月程度のため、根気強い治療が求められます。また精神的な原因も考えられるので、普段からのメンタルケアも必要です。
顔面ミオキミア
顔面ミオキミアという疾患は、主に下のまぶたが痙攣する疾患です。まぶたを開けたり閉じたりする筋肉( 眼輪筋)の一部に異常が起きて痙攣が起こるといわれています。
この疾患は、ストレスや寝不足、眼を酷使した後など、一時的に罹ることもあります。その場合は身体や心の休養をしっかりととり、精神的にも身体的にも健康になることで症状がよくなり、早くて数日から数週間で完治します。
しかし、休養をとっても症状が治まらないときは、顔面神経麻痺の後遺症や脳の炎症や腫瘍、多発性の脳梗塞など、脳やその他の疾患が原因の可能性があるため、精密検査などを受けることがあります。
検査
検査には、筋肉の放電パターンを調べる針筋電図で検査します。特殊なパターンが分かった場合に、この疾患と特定されます。また、MRIやCTなどでも検査します。
治療
治療には、対処療法が用いられます。主に抗痙攣薬の投与です。そのほか症状にあう薬が処方されます。
眼瞼ミオキミア
眼瞼ミオキミアは、主に眼がピクピクし、まぶたが痙攣しているという症状になります。眼の疲れが主な原因です。まぶたを開けたり閉じたりする筋肉( 眼輪筋)の一部に異常が起きて痙攣が起こるといわれています。
上のまぶたや下のまぶたに痙攣が起こり、多くが片方の眼に集中して起こります。多くが一時的な症状で、疲れを解消することで数日で完治します。
片側顔面痙攣
片側顔面痙攣とは、片方の目の周りや口の周囲、頬などがピクピクと痙攣する疾患です。40歳以上の女性に多く発症します。また高血圧や高脂血症の人に多くみられます。
原因
片側の顔面神経が脳幹から出てきたときに血管をぶつかり、異常を起こすことが原因といわれています。これは筋肉の運動を起こす運動神経なので、痛みはありません。
また顔面神経麻痺の治療の後に発症することもあります。片側顔面痙攣は、症状が進行していくと顔の片側がゆがんだ状態になることもあります。
検査
症状が出てしまっているとき、またはかなり症状が進行しているときには、症状の観察や問診などで診断します。
しかし、まれに脳梗塞や他の脳の疾患などが原因で起こっている場合もあることから、本格的な治療に入る前には多くがCTやMRI検査などで基本的な検査や確認をします。
そのため、このような症状に思い当たることがあれば、出来るだけ眼科だけの受診ではなく、連携のとれる神経内科や脳外科などの専門科のある病院での受診をオススメします。
治療
対処療法が主になります。抗痙攣薬が処方されます。根本治療には、血管などの圧迫を取り除く手術を行うこともありますが、60歳以上では、リスクのほうが大きいため、ほとんどが対処療法になります。
近年では、ボツリヌストキシン療法という方法もあります。この治療法は、ボツリヌス毒素A製剤という麻酔を打つことで痙攣を止める方法ですが、効果が3ヶ月ほどしかなく、根本的な治療にはなりません。
VDT症候群
VDT症候群は現代病の一種といわれています。パソコンやテレビ、スマートフォンなどのディスプレイを使った長時間の作業などで眼や身体や精神に影響を及ぼす疾患で、別名IT眼症ともいわれています。
症状
- ①まぶたの痙攣
- ②眼の疲れ
- ③眼のかすみ
- ④眼が乾く
- ⑤眼の痛み
- ⑥ぼやけて見える
- ⑦視力が落ちる
などの症状があります。また、身体的にも頭痛、肩こり、腕の痛み、だるさ、背中の痛み、手指のしびれなどの症状も出てきます。さらに精神的にも、イライラや不安感などを感じることがあります。
治療
対処療法になります。疲労回復やストレスの緩和などを積極的にしましょう。また頭痛などの痛みがある場合には薬剤療法になります。まずは画面の作業状態を見直しましょう。身体を意識して休憩を挟むようにするなどの工夫が必要です。
医療機関に受診するに当たって
もし、まぶたの痙攣などの症状で医療機関を受診しようとしているときは、出来るだけ正確な診断をもらうため、受診する際に以下のようなことに気をつけ、医療機関に症状を正確に伝えると良いでしょう。具体的な症状を伝えることで、的確な診断をもらえます。
- ①症状に気づいた時期
- ②症状の場所(片側だけか、両方の眼に起こるのか)
- ③まぶたの痙攣以外の症状はあるか?
- ④症状の起こる時間帯に特徴はあるか?(朝だけや夜だけなど)
- ⑤症状を感じるときに特徴はあるか?(まぶしいと感じるのはテレビを見るときだけ。など)
- ⑥見えにくいなどの症状の状態(視力の低下なのか、まぶたの下がりが原因かを判断するため)
- ⑦服用している薬や常用しているその他のサプリメントなどの薬の有無
このように具体的な症状を把握することで誤診を避け、早期の治療ができるということです。
自分でできる対処法
まぶたの痙攣が気になるときは医療機関に受診することをオススメしますが、まずは自分でこの症状を少しでもやわらげたいと思うときは以下のような方法もあります。
- ①眼を休ませる。
- ②温かいタオルをつくり、眼の上に乗せてみる
- ③コーヒーやお茶などのカフェインを摂ってみる
- ④眼やまぶたの周りを優しくマッサージしてみる
- ⑤眼によいといわれている食事をする
- ⑥ビタミンミネラルを積極的に摂る
- ⑦十分な睡眠をとる
- ⑧過剰なストレスを発散させる
このように眼や身体に負担となっていることを取り除き、眼や身体の健康のためによいといわれていることを実践することで、一時的なまぶたの痙攣が治まってくることがあります。
まとめ
いかがでしたか?
まぶたの痙攣にはさまざまな原因の可能性があります。安易な自己判断をする前に医療機関に受診しましょう。
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