筋ジストロフィーの初期症状とは?遺伝の確率についても紹介!

筋ジストロフィーという病気は、日本ではかつて沢尻エリカさんが主演した「1リットルの涙」で広く知られるようになりました。

また、世界的にもこの病気の認知を広げ研究費用を集めるために氷水を頭からかぶるというキャンペーンが注目を集めました。根本的治療法が現時点では見つかっていない病気なだけに、病院で可能性を指摘されると大抵は心配でたまらなくなってしまいます。

この記事では、さまざまなタイプの筋ジストロフィーの初期症状に関する情報をお届けします。

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筋ジストロフィーという疾患

DNA

名前は耳にしたことがあっても、詳しいことはあまり知られていない病気です。まずは、筋ジストロフィーという病気について理解を深めましょう。

筋ジストロフィーって何?

「筋ジストロフィー」とは略称で、正式には「進行性筋ジストロフィー」といいます。進行性筋萎縮症の1つで、筋繊維の細胞の一種が変性し、壊死することで筋力が低下していく遺伝子疾患です。最初は一部の筋細胞だけが壊れますが、長期間にわたってほぼすべての筋細胞が壊れたいきます。筋細胞が壊れると、筋肉の力が弱くなるのです。

ジストロフィーとは、細胞や組織の物質代謝障害によって変性・萎縮などが起こることをいいます。筋繊維が大小異なるようになったり、丸くなったり、中心核が増加して結合組織が増えたり、脂肪化するなどして筋繊維束の構造が失われることを「ジストロフィー変化」といいます。病名の由来でもあります。

進行はタイプや人によって異なりますが、最も患者数の多いデュジェンヌ型では、最初は歩行補助装具で行動することができても次第に歩行ができなくなります。直立姿勢を保つことも困難となっていき、車いすに座っていることも難しくなると寝たきりになります。呼吸や話すことも難しくなっていくため、最終的には常時介護が必要な状態となります。筋ジストロフィーは思考力は衰えないため、話すことができなくなっても意思疎通をするための様々なツールがあります。

遺伝性筋疾患

筋ジストロフィーの原因は遺伝子にあります。筋細胞を構成するのに必要なタンパク質に「ジストロフィン蛋白」というものがあり、ある特定の遺伝子が変異してこの蛋白が作られなくことがあります。こうなると筋細胞に異常や変異が起こります。これにより全身の筋力が下がっていき、日常生活や命に影響を与えてしまう病気が筋ジストロフィーです。

筋ジストロフィーにはいろいろな種類があり、酵素がないために筋細胞がこわれるもの、原因がはっきりと特定できないものもあります。分子生物学の進歩で、近年新たな原因も解明されつつあります。

これらすべての異常の原因となる遺伝子の変異には、両親からの遺伝、突然変異の2通りあります。ですから、筋ジストロフィーを疑う場合、家族の中に筋ジストロフィーの原因遺伝子を持っているかどうかを調べることも重要となります。

遺伝の確率は?

患者数が最も多いデュシェンヌ型とベッカー型の筋ジストロフィーは「X連鎖劣性遺伝」という形で遺伝します。

人間の性別を決める「X染色体」「Y染色体」のうち、「X染色体」の異常、欠損により遺伝します。女性は「XX」、男性は「XY」なので、母親と父親のどちらが原因遺伝子を持っているかで遺伝の確率は変わります。X染色体の異常が原因で発症しますが、女性の場合、X染色体を2つ持っているので、一方が正常であれば、異常がある方の欠損を補完するため発症することはほとんどありません。それでも女性でも発症した事例はあります。

異常のあるX染色体を「X」で表すことにします。

母親が「XX」で父親が「XY」の場合、子供は「XX」「XY」「XX」「XY」の4通りのパターンが生まれますが、このうち、息子「XY」は発症し、娘「XX」はキャリアとなります。残り2通りは正常となりますので、25%の確率で発症する可能性があります。

母親が「XX」で父親が「XY」の場合、子供は「XX」「XY」「XX」「XY」の4通りのパターンが生まれますが、このうち、息子は正常、娘はキャリアとなります。この段階では発症となりませんが、キャリアとなった娘の子供まで考えてみると、上記の母親が「XX」で父親が「XY」の場合となるので、25%の確率で娘の子供に発症する可能性となりますから、両親から見ると、2/16=12.5%の確率で孫に発症する可能性となります。

遺伝性では意外と高い確率で発症するとも考えられており、結婚時に親族に筋ジストロフィーの患者がいる場合は、遺伝子検査を受ける人も多くいます。

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筋ジストロフィーの初期症状について

倒れる

次に、筋ジストロフィーの初期症状について説明します。発症しても進行が遅いと気づきにくい病気です。

初期症状を理解しておくことで、「転ぶのは自分が注意不足だから」などと自分を責める前に病気の可能性を疑うことにつながります。

幼児期に発症するデュシェンヌ型

1860年代にフランスの医師による発表された「デュシェンヌ型」は幼児期に発症します。筋ジストロフィーの中で最も患者数が多いタイプです。症状も重く、経過も思わしくありません。筋ジストロフィーと一般的にいうときは、デュジェンヌ型を指していることが多いです。初期症状として、

「2歳前後になっても歩き出さない」「歩けるが歩行が不安定」「妙に転びやすい」「自分で立ち上がれない」「階段が登れない」「走れない」

など歩行に関して著しい異常が認められます。また身体的には

「太ももが細く、ふくらはぎが太い」「体がかたい」「立ち上がる時にお尻を突き出すような形になる」

などの変化も見られます。また、重症な型で病状の進行も早く、10歳前後で車椅子を必要とする人も多くなります。太ももなど、大きい筋肉から徐々に筋肉が壊れていくのが特徴です。

発症が遅いベッカー型

1900年代にドイツの医師が提唱したのが「ベッカー型」です。ベッカー型を患う人は、デュジェンヌ型の患者さんの約3分の1です。進行はデュジェンヌ型の良性型と考えてよいでしょう。

ベッカー型の発症は遅く10歳前後から始まり、稀に高齢になってから発症する場合もあります。デュシェンヌ型と症状は似ており、「歩行が困難になる」という初期症状も同じです。進行は遅く、関節の拘縮も少ないため、発症に気づかずに生活をしている人もいるようです。激しい運動をすると筋肉痛を起こしやすいので、そこで異常を感じて病院を訪れて、初めて発覚するケースもあります。

ただ、重症化して早く亡くなる方もいるので一概にはいえません。死亡時期は20代後半~80代まで幅広く、個人差が大きいのです。

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そのほかのジストロフィー

上記で説明した「X連鎖劣性遺伝」以外の遺伝子の変異によっても、筋ジストロフィーが起こります。タイプ別に初期症状も異なります。

車いす

筋強直性ジストロフィー

この多くは大人になってからの発症とされています。「常染色体優性遺伝」といって、44本の染色体のうち1本に異常があることが原因で、両親からの遺伝によることは上記のものと同じですが、男女ともに発症をします。

その初期症状は、「手を握った後に開けなくなる」といったように、筋肉が強直します。そこから、顔、首、手足の筋力低下から始まり、心筋障害・糖尿病・白内障などが合併することが多いようです。

先天性筋ジストロフィー

これも「常染色体優性遺伝」により男女とも発症します。「デュシェンヌ型」「ベッカー型」が生後すぐには症状がなく、発症するのに少し期間があるのに対して、「先天性筋ジストロフィー」は生後から筋力の低下や筋委縮が起こります。

「ミルクの飲みが悪い」「首のすわりが悪い」「体重が増えない」「発育が遅い」などの症状で気づくことになります。歩行はほとんどの場合できず、精神遅滞もあります。進行も早く、10歳前後から呼吸障害・心機能障害などが起こり、20歳前後には死に至ることが多いといわれます。

肢帯型筋ジストロフィー

これは「常染色体劣性遺伝」「優性遺伝」による染色体の異常が原因で発症します。

LGMDとも略されるこの型は、手足の体幹に近い筋肉、お尻や太ももの筋肉の筋力低下が症状です。この型の特徴としては「瞼の下垂」「うまく飲み込めない」「声の変化」「歩行が困難になる」「視覚障害」などがあります。

進行は緩やかな場合が多いですが、稀に「デュシェンヌ型」のように早いものもあります。この型は、その遺伝子の異常のちがいにより細かく分類され、発症時期も乳幼児期、10歳~20歳代、20歳~50歳代と様々です。

顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー

この型は、顔の筋肉と肩の周りの筋肉が委縮するもので、その原因は「常染色体優性遺伝」による両親からの遺伝が70%、突然変異が30%といわれています。

6歳~20歳前後に発症し、「目や頬、口が動かしにくくなる」「表情が乏しくなる」「麺をうまくすすれない」「腕が上がらなくなる」という初期症状で気づくことが多くなります。

進行は遅く、呼吸筋の障害が起きないため、高齢になっても自立して生活をされている人も多くいます。

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まとめ

筋ジストロフィーは、遺伝性神経疾患により筋力が低下して衰えていく病気です。さまざまなタイプがありますが、最も多いデュジェンヌ型は男児3500人に1人が発症するとされていて、遺伝子要因があると発症する可能性は低くないことがわかっています。ほかのタイプの筋ジストロフィーでは女性にも発症します。初期症状では、歩きにくい、頻繁に転んでしまう、ほかの人と同じペースで歩くことができないといったことで気付くケースが多いです。

筋ジストロフィーを治癒させる方法は現在のところありません。しかし、iPS細胞の活用をはじめとする、あらゆる領域で研究は進んでいます。症状を改善する治療薬や、遺伝子欠損を治す治療薬など、より有効に作用する治療法が開発段階にあります。遺伝要素のある人は初期症状の発症に神経質になりがちで、そのためにメンタル面で病気になってしまうこともあります。筋ジストロフィーにかかわらず、人間はいつ病気になるかわかりません。今日という日を楽しく、悔いなく生きることが誰にとっても大切なことでしょう。

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