”ジスロマック”という薬はよく処方されるお薬なので皆さんも一度は聞いたことがある、又は服用した事があるという人が多いのではないでしょうか。薬には副作用があったり強い副作用があったりと扱いには気を付けなければいけません。”ジスロマック”も副作用があるので今回は”ジスロマック”について詳しく説明していきます。
まだ服用した事ない人も、これからお世話になるかもしれない薬なので事前にどんな効果や副作用があるのか頭の隅にでも入れておいて下さいね。
ジスロマックとは?
まずは、ジスロマックについて知っておきましょう。
マクロライド系の抗生物質
ジスロマックとはマクロライド系の抗生物質で、細菌を殺菌する為に使用されます。抗生物質とは微生物が産生し、病原微生物を殺菌する作用を持つ薬です。一般的に抗菌薬と同義ですが、厳密には細かな違いがあります。
一番の違いは微生物が自ら作りだす化学物質か人工的に作り出された化学物質かの違いになります。抗生物質は完全に人工合成によって作られた病原微生物に対抗する化学物質ですので、「微生物によって作られた化学物質」という抗生物質の定義に当てはまらない物が出てきます。それが抗菌薬と呼ばれてるものです。
現在では抗菌薬という大きなくくりの中に抗生物質が分類されています。病原菌を殺菌したり増殖活動をしないように抑える薬として働いてくれます。抗生物質の場合、細胞の構造利用して作用して病原菌の細胞だけを攻撃する事が出来る優秀な薬ですが、細胞を持っていないウイルスには効果がありません。
マクロライド系は細菌のタンパク合成防ぐ作用があります。細菌は主にタンパク質で構成されているので、そのタンパク質の合成を防ぐ事によって細菌が生きられないようにするのです。
主成分
ジスロマックの主成分はアジスロマイシン水和物というもので、グラム陽性菌に対してとても強い殺菌効果があります。この細菌以外にはほとんど作用しないので副作用が少ないと言われています。
効果や効能
ジスロマックには様々な病原菌に対して効果を発揮してくれます。「クラリスロマイシン」か「アジスロマイシン水和物」で効果や効能が変わってきます。
●クラリスロマイシン適応の病気
リンパ節炎・咽頭炎・扁桃炎・気管支炎・肺炎・尿道炎・子宮頸管炎・感染性腸炎・中耳炎・ヘリコバクター・後天性免疫不全症候群・胃潰瘍・ピロリ菌胃炎
●クラリスロマイシンの有効菌種
レンサ球属・肺炎球菌・ブドウ球菌属・レジオネラ属・インフルエンザ菌・ピロリ菌・マイコプラズマ属・カンピロバクター属・クラミジア属
●アジスロマイシン水和物適応の病気
リンパ節炎・咽頭炎・扁桃炎・急性気管支炎・肺炎・肺嚢腫・尿道炎・顎炎・副鼻腔炎・子宮頸管炎
●アジスロマイシン水和物の有効菌種
淋菌・クラミジア属・レジオネラ属・ペプトストレプトコッカス属・モラクセラ・カタラーリス・インフルエンザ菌・ブドウ球菌属・肺炎球菌
ジスロマックの副作用
ジスロマックは副作用が少ないと言われていますが、実は飲み方や体質によって重い副作用が起こる場合があります。主な副作用は「下痢」「嘔吐」「白血球の減少」「好酸球数の増加」「ALT数の増加」「AST数の増加」になります。
これ以外に重い副作用として以下のものがあります。
ショック
血圧低下によって失神・意識消失・呼吸困難・嘔吐・顔が赤くなる・痒み・蕁麻疹・痺れ・息切れ・動悸などの症状が出ます。
アナフィラキシー
臨床的に特定の起因物質(この場合ジスロマックの成分)によって、全身性のアレルギー反応を引き起こした状態をアナフィラキシー又はアナフィラキシーショックと言います。基本的に血管が拡張して血漿成分が漏れ出してしまう事によって起きます。
他のショック症状とは少し変わっていて気道の平滑筋が収縮して気道にむくみを引き起こしたりします。主な症状は
紅班・口唇の痺れ・熱感・吐き気・嘔吐・尿意・呼吸困難・血圧低下・めまい
などがあります。また、血管内のむくみや蕁麻疹などのアレルギー症状が出ます。
中毒性表皮壊死融解症
ライエル症候群とも言われていて重度の皮膚障害の事を言います。主に通常医薬品の副作用で発生する疾患です。全身の皮膚の表皮が真皮と分離してしまい、免疫力が低下して感染症を引き起こしやすくしてしまいます。
死亡率は20%~40%となっていて多くは敗血症などの併発によるものです。症状としては
倦怠感・関節の痛み・皮膚の焼けるような痛み・赤い斑点・水膨れ・発熱・口内の荒れ
などがあります。この症状が見られた場合は直ちにその時服用している薬の使用を中止して、集中治療室などで支持療法を行う必要があります。
皮膚粘膜眼症候群
スティーブンス・ジョンソン症候群とも呼ばれていて、皮膚や粘膜の過敏症になります。原因は抗てんかん薬や薬剤の副作用や、ウイルス感染によって引き起こします。症状としては
高熱・陰部の痛み・関節の痛み・重度の口内炎・水膨れ・目の充血・食欲不振
などがあります。特徴的なのは皮膚にまだら模様に赤く荒れてしまうというものです。死亡例もあるのでこの疾患を発症した場合服用している薬の使用を中止して、すぐに治療を行う必要があります。
肝炎
肝臓に炎症が起きてしまっている状態の事を言います。日本ではウイルス性による肝炎が80%以上を占めていますが稀に薬の副作用で肝炎を発症させてしまう事があります。症状としては
皮膚が黄色になる・発熱・倦怠感・尿が濃い黄色になる・淡黄色の便
などがあります。
肝機能障害
肝臓が障害を受ける事によって、肝臓の機能が正しく働かなくなっている状態の事を言います。肝臓は沈黙の臓器の1つなので自覚症状が出ない事がほとんどですが、進行してくると
倦怠感・食欲不振・呼吸困難・吐き気
などの症状が出てきます。
黄疸
血液中のビリルビン濃度が上昇して全身の皮膚や粘膜などに必要以上に沈着した状態の事を言います。ビリルビン濃度が上昇する原因は赤血球の破壊や肝臓障害などがありますが、ジスロマックの影響あります。症状としては
嘔吐・吐き気・食欲不振・倦怠感・皮膚や白目部分が黄色に変色・発疹
などがあります。
急性腎不全
腎臓の機能が正常の30%を下回った状態の事を言います。症状としては
尿の減少・尿の赤み・目のむくみ・倦怠感・腹痛・吐き気・下痢・関節痛・頭痛全身のむくみ
などがあります。
肝不全
肝不全は肝障害や肝臓の病気が進行した状態の事を言うので、肝臓病特有の症状が出ます。症状としては
黄疸・腹水が溜まる・吐き気・脱力感
などがあります。
横紋筋融解症
筋肉を構成していう骨格筋細胞に融解や壊死が起こって、筋肉の成分が血液中に流れ出してしまう状態の事を言います。この疾患を発症させる薬はマクロライド系抗生物質の他に、フィブラート系薬剤やニューキノロン系抗菌薬などでも副作用として起こります。症状としては
手足や肩などの筋肉痛・痺れ・赤褐色の尿・脱力感
などがあります。
出血性大腸炎
特定の大腸菌感染が主な原因になりますが、稀ですがジスロマック服用の副作用としても現れます。この大腸炎は重度の合併症も引き起こすので気を付けなければいけません。症状としては
急激な腹痛・下痢・血便
などがあります。下痢の症状は1週間ほど継続して40度以上の熱が出る事もあります。
ジスロマックの飲み方や飲み合わせ
正しい服用方法を知っておきましょう。
飲み方
ジスロマックは病気や症状によって薬のタイプを使い分けるので、服用方法や量が変わってきます。一般的なジスロマックの飲み方は1日1回を3日間連続で飲みます。長時間体内に留まる作用があるので3日間飲む事によって1週間効果が持続してくれます。
食前・食後の決まりはありませんがお腹が弱い人ですと下痢などの副作用が出るので、できれば食後に飲む場合は2時間以上経ってから水と一緒に服用して、服用後は2時間ほど何も摂取しないようにすると良いです。
医師から飲み方の支持が出ている場合は必ずそちらを守って服用して下さい。
飲み合わせ
薬は飲み合わせによって副作用を引き起こしたり効果が無くなってしまう場合があるので注意して飲まなければいけません。
・マクロライド系抗生物質
ジスロマックもマクロライド系に分類されています。同系統の抗生物質を併用して飲んでしまうと過剰摂取になる場合があり、色々な副作用を引き起こしてしまう可能性が高くなります。
・ニューキノロン系抗菌剤
ニューキノロン系の抗菌剤とジスロマックの飲み合わせは、副作用を引き起こす事がわかっているので飲まないようにして下さい。
・制酸剤
胃薬の一種であり胃酸と中和させる成分が入っている薬になります。水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムの含まれる薬には注意して下さい。ジスロマックの効果が弱まる可能性があります。ただ、ジスロマックによって下痢などの副作用が出た時にこの制酸剤を併用する事で下痢の症状を和らげてくれる効果があります。
・ジゴキシン
心臓の疾患などで処方される薬で併用すると、中毒症状が出る可能性が高まります。
・カルシウム拮抗薬
ニフェジピンなどのカルシウム拮抗薬は、併用すると血圧が低下したり頻脈などの副作用を引き起こす可能性が高くなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ジスロマックは副作用が無く優秀な抗生物質でありますが、飲み方や体質によって重度の副作用を引き起こす可能性があります。
副作用が少ない薬だからといって安心せず、飲み方には注意しましょう。