生理前の体重は増加する?減少する?その仕組みと対処方法を知ろう!

生理前になると、なぜか体重が増えてしまうという悩みを抱える女性は、少なくないのではないでしょうか?ダイエットをしているにもかかわらず、生理前になると体重が増えてしまったり、身体がむくんでしまったりという経験をお持ちの女性も多いかもしれません。

実は、生理前に女性の体重が増えてしまうのは、月経前症候群(PMS)と呼ばれる女性の生理・月経周期に伴う症状の一つである可能性が高いのです。

そこで今回は、生理前に女性の体重が増加してしまう原因やメカニズムを紹介するとともに、過度な体重増加を防ぐための対処方法などについても、まとめてみたいと思います。本記事が、生理前の体重増加に悩む女性の方々の参考になれば幸いです。

そもそも月経前症候群(PMS)とは?

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そもそも月経前症候群(PMS)とは、どのような症状のことなのでしょうか?月経前「症候群」という文字面からすると、月経・生理前に現れる複数の症状の集合体のようだと想像することはできますが、具体的にはご存知ない方もいるかもしれません。

そこで、まずは月経前症候群(PMS)に関する基本事項を再確認しておきたいと思います。

月経前症候群(PMS)

月経前症候群は、女性の生理周期に伴って排卵後の生理前10~14日あたりに症状が現れ、生理開始とともに症状が消失してしまうことを特徴とする、様々な症状の集まり・集合体のことです。そして、月経前症候群は、英語(Premenstrual Syndrome)の頭文字からPMSと略して呼ばれることもあります。

月経前症候群は女性の生理周期に伴って、ほぼ毎月に1度という形で定期的に現れます。そのため、月経前症候群の症状(PMS症状)の発生には、女性ホルモンのホルモンバランスの変化が深く関わっているとされています。つまり、PMS症状は、ホルモンバランスの変化に応じた生理現象であり、月経前症候群という病気のような名称であっても、基本的には病気・疾患ではないとされています。

ただし、複数のPMS症状が同時かつ複合的に現れると、女性の社会生活に影響を及ぼすことがあり、女性の社会経済的な能力にハッキリとした損害が生じる際は、例外的に治療対象・病気として認められることもあります。

月経前症候群の様々な症状

月経前症候群として現れる症状には、身体的症状だけではなく精神的症状も存在し、非常に幅広い症状が現れます。しかも、女性個々によって、現れる症状には個人差があります。つまり、現れるPMS症状やPMS症状の組み合わせは、女性それぞれで大きく異なるのです。

PMS症状として現れる可能性のある身体的症状

PMS症状として現れる可能性のある身体的症状には、次のようなものがあります。

  • 乳房の張りや痛み
  • 下腹部痛や下腹部の違和感(膨満感・下腹部のハリ)
  • 便通異常(下痢・便秘)
  • 疲労感や倦怠感を全身に感じる
  • 吐き気、めまい、頭痛
  • 四肢(手足)のむくみ
  • 体重増加
  • 過剰な食欲と空腹感
  • 過剰な眠気と睡眠欲
  • 不眠症状
  • 肌荒れや吹き出物

PMS症状として現れる可能性のある精神的症状

PMS症状として現れる可能性のある精神的症状には、次のようなものがあります。

  • イライラしやすく、怒りやすい
  • 集中力や判断力の低下
  • やる気が起きず、無気力
  • 気力や根気が長持ちせず、精神的に疲れやすい
  • 不安感や孤独感を感じやすく、憂鬱になる
  • 性欲が過剰になる
  • 性欲が減退する

生理前に体重が増加する原因

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このように月経前症候群では、様々なPMS症状が現れます。その多岐にわたるPMS症状の中でも、体重増加を経験する女性の数は多いと言われています。

それでは、なぜ生理前になると体重が増加してしまうのでしょうか?そこで、生理前に体重が増加する原因について、ご紹介したいと思います。

ホルモンバランスの変化と生理周期の関係

女性の生理周期は25~38日が正常とされていて、この期間を4つに分類することができます。

生理期

卵子と精子が結合した受精卵が子宮内膜に着床すると妊娠し、妊娠に至らなければ不要となった子宮内膜が血液と一緒に生理・月経として排出されます。妊娠に至らない場合は、女性ホルモン(卵胞ホルモン・黄体ホルモン)の分泌量が低下します。

卵胞期

生理・月経の終了後から排卵日までの期間で、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌が高まり、子宮内膜を徐々に厚く成長させます。一方で、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量は低下したままです。

排卵期

排卵日の前後数日間で、卵胞から卵子が排出されます。排卵期には、卵胞ホルモンの分泌はピークアウトして、反対に黄体ホルモンの分泌量が増え始めます。

黄体期

排卵日から生理・月経の直前までの期間で、女性の体内では黄体ホルモンの分泌量が卵胞ホルモンよりも多くなり、身体が妊娠準備の状態に入ります。

生理前に体重が増加する原因

このように排卵期と生理期を境にして、卵胞期には卵胞ホルモンの分泌が多く、黄体期には黄体ホルモン分泌が多くなります。そして、黄体ホルモンの分泌量が増える黄体期に、様々なPMS症状が現れるので、黄体期は別名でPMS期と呼ばれることもあります。

この女性ホルモンのうち黄体ホルモンの分泌量が高まることによるバランス変化が、月経前症候群の原因と考えられており、PMS症状としての体重増加の原因だとされています。

言い方を変えれば、排卵日以降に女性の身体が妊娠準備態勢に入るために、黄体ホルモンの分泌量を増やすのですが、この黄体ホルモンの働き・作用によって様々な影響がPMS症状として現れるのです。

生理前に体重が増加するメカニズム

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このように生理前に体重が増加する原因は、排卵期を境にして黄体ホルモンの分泌量が高まり、女性ホルモンのバランスに変化が生じることだとされています。

だとしても、女性ホルモンのバランス変化という抽象的な説明では、生理前に体重が増加する原因としては、いまいち腑に落ちてきません。そこで、生理前に体重が増加するメカニズムについて、より詳細かつ具体的に、ご紹介したいと思います。

黄体ホルモンによる妊娠準備

前述のように黄体期に入ると、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌量が多くなり、女性の身体が妊娠しやすい状態へと移行します。

具体的には、卵胞期と比較して基礎体温がやや上昇するとともに、受精卵が着床しやすくするために厚くなった子宮内膜を柔らかくします。

また、受精卵が子宮内膜に着床して妊娠が成立した場合に備えて、栄養や水分を体内に溜め込もうとします。そのため、栄養や水分を食事から摂取しようとして、食欲が高まります。その結果として、食事量が増えて摂取カロリーが消費カロリーを上回った分は、体内に体脂肪として蓄積されますし、体内で蓄える水分が増えて水分量が増加すると「むくみ」となり、体重が増加するのです。

このように黄体ホルモン分泌によって、食欲増進と体重増加というPMS症状が現れるのです。

黄体ホルモンとインスリンの影響による体重増加

このように黄体ホルモンには、妊娠準備として食欲増進・体重増加をさせる作用があります。これに加えて、黄体ホルモンの影響によって更に食欲を増進させる仕組みが存在します。その仕組みは、黄体ホルモンとインスリンとの関係性によって生じます。

インスリンによる過剰食欲と空腹感

黄体ホルモンの分泌量が増加すると、その影響で血糖値を下げるホルモンであるインスリンの作用が抑制されます。

血糖値とは血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことですが、血糖値が正常値を超えて高くなりすぎると高血糖状態となり、糖尿病になる危険性があります。そして、糖質や炭水化物などの食べ物を摂取すると血糖値が上昇しますが、上昇した血糖値を低下させることができるのはインスリンだけなのです。

そのため、黄体ホルモンの影響でインスリンの働きが低下すると、食事後の血糖値が高い状態で維持されやすく非常に危うい状況になります。しかしながら、高血糖状態が長く続くと危険なので、インスリンの働きの低下を量で補うべく膵臓が大量のインスリンを分泌するようになります。

この大量に分泌されたインスリンの効果で、今度は血糖値が急激に低下して正常値の範囲にあっても下限に近い値になってしまいます。すると、血糖値を正常値に戻そうと空腹感が生じて、空腹感を満たすために過剰な食欲が湧いてしまうのです。結果として、お腹に満腹感が生じるまで、本来は余計な食べ物を食べてしまうのです。当然ですが、このような仕組みで摂取カロリーが多くなると、体重の増加につながってしまいます。

インスリンが促す脂肪合成

このように黄体ホルモンの影響で、インスリンの働きが抑制されることで発生する血糖値の変動が、過剰な食欲と体重の増加につながります。

これに加えて、インスリンは体内で脂肪の合成を促す機能も有しています。血糖値を下げる働きの低下を補うために膵臓から大量に分泌されたインスリンは、血糖値を下げる過程で血液中のブドウ糖から脂肪を合成して体脂肪として蓄積するように促すのです。

このようなインスリンの脂肪合成の促進機能から、インスリンは別名で「太るホルモン」とも呼ばれます。こうして体内に脂肪分が蓄積すれば、当然ですが体重の増加につながります。

精神的ストレスからの暴飲暴食

黄体期に入ると様々なPMS症状が現れるのは、前述したとおりです。そして、精神的症状として、イライラして怒りやすくなったり、不安感や孤独感を感じる人もいます。

これは、卵胞期に多くなる卵胞ホルモンに自律神経のバランスを整える働きがあり、その卵胞ホルモンが排卵期を境に減少することで自律神経が乱れやすくなるからです。自律神経が乱れると、精神的な安定も失われやすくなります。そして、普段なら気にも留めないことでも、気に障ってしまいストレスにつながるのです。このストレスが、人によってはイライラや怒りにつながり、人によっては不安感や孤独感につながります。

それらの精神的なストレスの解消法として、一部には暴飲暴食に走る人もいます。その暴飲暴食によるストレス解消法が意識的であれ、無意識的であれ、食べ過ぎれば体脂肪が増えて太り、体重が増加するのは当然の帰結です。

一定の体重増加は、正常な生理現象

このように排卵期をすぎて黄体期に入り、黄体ホルモンの影響によって体重が増加することは、ホルモンバランスの変化に応じた正常な生理現象と言えます。黄体期の体重増加が1~3㎏程度であれば、正常な生理現象の範囲内と言えるでしょう。

このようなホルモンバランスの変化で増加した体重は、生理期を経て再び卵胞期に入って卵胞ホルモンが増えると増えた分の体重は減少するとされています。というのも、卵胞ホルモンには脂肪燃焼作用があるからです。

しかしながら、3㎏以上の体重増加がある場合は、ホルモンの作用よりも過剰に食べ過ぎてしまったり、その他に運動不足などの要因があるかもしれませんので、注意が必要です。

過度な体重増加を防ぐための対処方法

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生理前の黄体期に、ある程度の体重増加が生じることは、黄体ホルモンの作用による正常な生理現象ですから、あまり気にし過ぎても仕方ありません。

しかし、生理前の時期に、正常な範囲を超えて体重が増加する場合は、何らかの対策方法が必要かもしれません。そこで、生理前の時期における過度な体重増加を防ぐための対処法について、ご紹介したいと思います。

食べ方で過剰な食欲を抑制する

体重が増加するということは、単純に考えると食べ過ぎであるということです。そこで、食べ方を工夫して、過剰な食欲を抑えて体重増加を抑制する方法が考えられます。

良く噛んで満腹中枢を刺激する

「食事の際には食べ物を良く噛みなさい」と教えられたことがある人は多いのではないでしょうか。これには、唾液によって消化を助ける意味と、咀嚼の回数が増えることにより脳の満腹中枢を刺激することで食べ過ぎを避ける意味が含まれています。

ですから、食事の際には、食べ物をすぐに飲み込まず、意識的に噛む回数を増やすようにしましょう。結果として、適度な食事量で満腹感が生じ、体重増加を抑えることができます。

1日3回の食事回数を5~6回に分ける

過剰な食欲や空腹感の高まりを抑制するには、血糖値の変動幅をなるべく少なくすることです。そのためには、通常1日3回している食事を、全体の食事量・摂取カロリーを変えずに5~6回に分けてみると良いかもしれません。

1回あたりの食事量・摂取カロリーが少なくなることで血糖値の上昇も限られ、少しお腹が減ったタイミングで次の食事をするので強い空腹感を感じることもなくなります。

血糖値を急激に上昇させる飲食物は避ける

糖分の含まれる飲食物を口にすると、血糖値は急上昇します。すると、インスリンの分泌量が増えて血糖値を下げるように働き、血糖値の変動幅が大きくなります。

ですから、砂糖を使用したスイーツ・菓子類や、ブドウ糖溶液の入った清涼飲料水などの飲食物を避ける必要があります。これらの飲食物を避けることが、最終的に体重の増加を抑制することにつながります。

血糖値を急上昇させない食物から食べる

食物繊維が多く含まれる食物から食べると、血糖値の上昇は緩やかになります。食物繊維は、海藻類・豆類・野菜類などに多く含まれるので、これらを最初に食べると血糖値の大きな変動を防ぐことができ、ひいては体重増加の抑制につながります。

安易に食事制限をするのではなく、ワカメ・ヒジキなどの海藻類、納豆・豆乳などの豆類、モロヘイヤ・ゴボウなどの野菜類などで、しっかりと栄養を摂りつつ食欲と体重増加に対する対策をすることが大切です。

香りで過剰な食欲を抑制する

それほど空腹を感じていなかったのに、近所の家からカレーの香りがして急速に空腹感を覚えた経験は、多くの人が一度はしているのではないでしょうか。食欲と香りの間には、相互に深い関係性があると言えるでしょう。すなわち、香りから空腹感・食欲が助長されることもある一方で、香りから空腹感・食欲が抑制されることもあります。

ですから、例えばアロマテラピーなどの香りを、過剰な食欲が現れた時に利用してみると良いかもしれません。柑橘系の香りには、気分を落ち着かせる働きがあり、それが食欲を抑える効果、ひいては体重増加の抑制につながります。

規則正しい生活習慣

月経前症候群の様々な症状の改善法として、最も基本的なものが規則正しい生活を送ることだとされています。

日頃から有酸素運動やストレッチなどで適度な運動量を確保し、睡眠量も不足しないように気を配ることで、自律神経が安定して、自律神経の支配下にあるホルモンの分泌も安定します。女性のホルモンバランスは周期的に変動するものですが、自律神経の安定はホルモンバランスの安定にもつながりますので、結果として生理前の過剰な食欲の抑制と体重増加の抑制につながります。

また、日頃から運動によって適度な筋肉をつけていれば基礎代謝が高まるので、黄体期であっても体重が増加しにくくなります。

ストレスの緩和と調整

前述のように精神的ストレスから暴飲暴食に走る人もいますから、黄体期に過度なストレスがかかるような事項は可能な限り避けたいものです。

自分に合ったストレス解消法を見つけておいてストレスの緩和につなげたり、黄体期の期間中は過剰な仕事量とならないように事前調整しておくなど、自分に合った工夫をしてみると良いかもしれません。

ちなみに、ダイエット中の人は、それがどんなダイエット方法だとしても、黄体期には体重の減少が停滞する傾向があります。そのため、ダイエット効果が現れないことが、ストレスとなる可能性も否定できません。ダイエットは、生理明けの卵胞期に実施するようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか?生理前に女性の体重が増加してしまう原因やメカニズム、過度な体重増加を防ぐための対処方法などについて、ご理解いただけたでしょうか?

たしかに、黄体期には黄体ホルモンの影響によって、女性の体重が少し増えてしまうことがあります。これは、月経前症候群の症状の一つで、病気ではなく女性の正常な生理現象です。そのため、1~3㎏程度ならば、あまり気にしても仕方がありません。

しかしながら、黄体ホルモンの影響によって、過剰な食欲や空腹感に襲われて食べ過ぎてしまい、3㎏以上の体重増加がみられる場合は注意が必要です。その場合は、本記事を参考にして、過度な体重の増加を抑制する対処法を試してみてください。

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