耳垂れの原因は?病気や治療方法を知っておこう!

赤ちゃんによく見られる耳垂れですが、大人にも同じような症状が現れることがあります。子供でも大人でも、耳垂れが見られる場合は耳の内部に疾患があるかもしれません。痛みなどの自覚症状がなくても、この耳垂れ、実は危険なシグナルかもしれないのです。

耳垂れとは

耳は、「外耳」や「中耳」、それから「内耳」の3つから成り立っています。

この3つの部位の中でも、「中耳」が炎症などを起こすと中耳炎となります。

その中耳炎の症状の1つが耳垂れです。

特に、生後半年ぐらいの赤ちゃんから5歳くらいまでの子供に多くみられる症状です。その多くは、子供の抵抗力が弱いために、風邪をひいたりしたときに細菌に対して抵抗できないことに起因します。

耳垂れとは、

『耳の孔から膿汁を排泄する疾患』

(広辞苑第五版・岩波書店)

です。

子供だけではなく、もちろん大人になっても耳垂れの症状が現れることがあります。それでは、なぜ耳垂れの症状が現れるのでしょうか。

耳垂れの原因

耳の奥が痛い

耳垂れの原因には、主に以下の2つに分類することができます。

  1. かぶれやアレルギーによる耳垂れ
  2. 細菌感染による耳垂れ

かぶれやアレルギーによる耳垂れ

耳の皮膚は非常に繊細なので湿疹ができると、その範囲が外耳道全体にまで広がることもあります。また、汗腺が多く、毛も多いので耳垢などの分泌物が付着しやすい部位でもあります。そのため、湿疹が発症すると耳の中で広がり、広範囲にわたって湿疹箇所がかゆくなります。

このときに、耳の内部をひっかいたりすると、皮膚が損傷して炎症を起こして耳垂れと原因なります。

細菌感染による耳垂れ

細菌感染による耳垂れは、風邪をこじらせたあとやプール、海などで耳に水が入ったりすることによって起こることがあります。また、急性中耳炎が慢性化する場合にも耳垂れの症状が出ます。

つまり、幼児期の子供には、風邪をひいたり、プールで遊ぶ機会が多いので、それだけ気にかけておく必要があるのです。

耳垂れの原因となる病気

耳鳴り 止まらない

耳垂れを引き起こす病気には、主に以下のような病気があります。

  1. 急性中耳炎による耳垂れ
  2. 滲出性中耳炎による耳垂れ
  3. 外耳道炎による耳垂れ

急性中耳炎による耳垂れ

急性中耳炎は、風邪などの細菌感染、アレルギー性鼻炎などによる大量の鼻水などによって引き起こされる病気です。中耳腔に膿が溜まり、鼓膜が外耳道側に圧迫されて腫れるとことが原因です。

耳に閉塞感や痛みを感じると、急性中耳炎の疑いがあります。中耳に膿がたまっていくと、鼓膜が圧迫されて耳に痛みを感じるようになります。また、発熱を伴う場合もあり、鼓膜が破れた場合は耳垂れが排出されます。

急性中耳炎にかかると、耳に手をあてたり、耳の閉塞感を感じたりするようになります。また、難聴になる可能性もあります。

滲出性中耳炎による耳垂れ

急性中耳炎が慢性化すると、滲出性中耳炎となる場合があります。

中耳内部の圧力が下がり、中耳腔側に鼓膜が引き込まれることが原因となる場合が多く見られます。鼻をすする習慣や長期間にわたるアレルギー性鼻炎、飛行機に搭乗することによる急激な気圧の変化でも発症します。

滲出性中耳炎は、耳に痛みを感じないこともあります。しかし、悪化した場合は耳垂れが多くなり、耳痛や頭痛を引き起こすこともあります。さらに悪化すると、周囲の音を聞き取りにくくなる難聴になることもあります。

滲出性中耳炎は、患者さん自身が自覚することが難しいと言われています。ひどい痛みなどを伴わないことが多いので、そのまま放置してしまう場合もよく見られます。

この病気になると、耳によく手を持っていって触れる仕草が増え、呼ばれても振り向かなかったり、返事をしなかったりすることがあります。

また、テレビの音を大きくしたり、近づいてテレビを視聴するようになることも特徴とされています。中耳炎については、中耳炎が大人に現れるとどんな症状?治療方法も紹介!の記事を参考にしてください。

外耳道炎による耳垂れ

外耳道炎は、身体にある耳に近い外耳道で起こる炎症が原因となって発症します。

傷口から細菌感染したり、外耳道に水が入ったりすることが原因です。一般的には、耳の掃除や耳いじりによって外耳道に傷ができて病気が発症することが多いようです。

耳の入り口近辺が非常にかゆくなり、痛みを感じたりします。耳の内部に異物感を感じたり、耳が詰まったりする感覚を覚え、耳鳴りや粘り気のある耳垂れが出てきます。

ときには、口を動かす、耳たぶを引く、あるいは押すという動作だけで、耳に痛みを感じることもあります。外耳炎については、外耳炎の治し方を紹介!症状によって変わる治療方法とは?を読んでおきましょう。

耳垂れの治療

耳垂れの治療方法について紹介します。

鼻水の処置

アレルギー性鼻炎など、長期間にわたって鼻水がたまった場合や喉が炎症を起こした場合は、中耳炎が悪化して慢性化する可能性があります。この場合、鼻水をためないようにするのが適切な処置となります。

  • 鼻水を吸引する
  • 薬剤投与による症状(鼻水)をおさえる

などの処置がありますが、ここでは鼻水を吸引する治療をご紹介します。

耳管通気療法

中耳炎では、耳管が狭くなって中耳腔に十分な空気が送り込まれないような状態が続いてしまっています。したがって、耳の内部にある鼓膜に対して送風(空気を送る)することにより、張っている鼓膜を元の状態に戻す必要があります。

下記のように、耳管通気療法にはその療法により、いく通りかの方法があります。

  1. バルサルバ法
  2. ポリッツェル法
  3. カテーテル法

バルサルバ法

患者さん自身でできる治療方法です。

口を閉じて鼻を指でつまんで強く息を吐きます。そうすると、耳管を通じて中耳腔に空気が送られますが、中耳炎の症状が重いときには効果がない場合があります。

ポリッツェル法

医師が子供におこなう耳管通気療法です。

一方の鼻の孔からゴム球を挿入して、他方の鼻の孔は空気が漏れないように指で塞ぎます。その後、患者さんに特定の言葉を発音してもらい、その発音に合わせて、同時にゴム球を圧縮して空気を耳管から中耳腔に送ります。

また、発話の代わりに、患者さんに水を飲ませる方法もあります。

カテーテル法

医師が大人向けにおこなう耳管通気療法です。

一方の鼻の孔から、空気を送るコンプレッサーにつないだカテーテル(細い管)を挿入後、耳管咽頭口に耳管カテーテルをあわせて中耳へ強制的に空気を送る治療方法です。

通気音を通じて空気の挿入を確認することができ、バルサルバ法やポリッツェル法に比べて効果があると言われています。

治療を続けても改善されないときは

耳管通気療法を続けても、症状が改善されないときには、以下の治療法が採られることが一般的です。

  • 鼓膜を切開する
  • チューブ留置法
  • アデノイド除去術

鼓膜を切開する

鼓膜に麻酔をかけて、鼓膜を切開して浸出液を出します。水を抜くときに、大きな音がしてその瞬間から音がはっきり聞こえるようになります。ときに、周囲の騒音に耐えられない場合もあります。

チューブ留置法

鼓膜切開を繰り返すような症状の場合は、鼓膜切開で開いた穴に換気チューブをはめ込んで水が溜まらないように処置します。そのことにより、中耳内の空気の出入りが可能となり、中耳の粘膜が正常に戻るまで待つ治療方法です。

アデノイド除去術

アデノイドとは、咽頭扁桃肥大症のことを指します(咽頭扁桃そのものをアデノイドという場合もあります)。

一般に、この咽頭扁桃が増殖し肥大した状態をいう。口蓋扁桃肥大と合併することが多い。5〜10歳ぐらいに最も多くみられる。鼻咽腔が狭くなって鼻呼吸ができなくなり、鼻づまりのために、口をぽかんと開けてぼんやりした表情(アデノイド顔貌)を呈することがある。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典より

この症状の場合、入院して切除手術をすることが多くなります。

まとめ

笑顔の子供

子供であれ、大人であれ、粘り気のある耳垂れや化膿した耳垂れが流れ出てくるような症状がみられたら、まずは耳鼻咽喉科に行って医師の診察を受けましょう。

急性中耳炎であれ、慢性中耳炎であれ、その症状は患者さんにとっては息苦しいだけではなく、その後の生活や将来をも左右しかねません。専門医師の診察を受けて、適切な治療を受けるようにしましょう。

中耳炎の症状は長引くことも珍しくありません。

「耳垂れぐらいで病院なんて・・・」などと軽視せずに、早めの受診を心がけましょう。早期発見・早期治療が大切なのです。

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