子どもがテーブルの角に頭をぶつけてしまった、つい転んで頭を打ってしまった、でもどうしたらいいのか分からない!そんな経験はありませんか?特に腫れてしまった場合や激しい痛みが続く場合、どう対処したらいいのか判断に迷いますよね。
あまり動かしてはいけないとも聞くし、かといって救急車を呼ぶのも気が引ける…そんな時にお役に立てるよう、頭を打った時の対処法についてまとめてみました。
子供と大人、症状別にまとめてありますので、もしもの時にぜひお役立てください。
頭を打ったら何が怖いの?
頭を打った場合に、危険な疾患を知っておきましょう。
手術が必要な「頭蓋内出血」
頭蓋内出血とは、頭を打ったことにより出血して脳が圧迫される状態を指します。圧迫されることで、様々な脳機能の障害を起こしてしまうのです。最悪の場合、手遅れになることがあります。
頭蓋内出血は一般的に、頭を打ってから6時間以内に起こることが多いとされています。つまり、すぐに症状が悪化するとは限らないので、経過観察が肝要になります。ですから、夜や寝る前に頭を打ってしまったという場合は、寝ないで痛みなどの様子を観察することが必要になります。
少々つらいかもしれませんが、手遅れにならないよう少なくとも6時間は起きていることをおすすめします。6時間以内に痛みが増してきたり、嘔吐を繰り返すようであれば内出血を起こしている可能性が高いので、速やかに脳神経外科を受診しましょう。
また、病院で問題ないとの診断された後でも、内出血が起こる可能性があります。1~2日は注意して様子を見ましょう。
首が痛いときの重い症状
頭を打った際、首も痛くなることがあります。単に首の筋肉が捻挫を起こしている場合は心配ありませんが、無理に伸ばしたりせず安静にしていることが大事です。むやみにマッサージなどをすると、かえって筋肉の炎症をひどくさせてしまうことがありますので、自分で判断せず医師の指示に従いましょう。
また、打ち方によっては「頸椎」という首の骨を損傷している可能性もあります。これによって脊髄の神経に影響が出ると、全身麻痺などの重い症状に至ることがあります。
強い痛みがあったり、手足の麻痺・痺れがある場合にはできるだけ首を動かさず、すぐに救急車を呼びましょう。けっして首を回したり、揉んだりしてはいけません。
また、首の痛みは頭の痛みに気を取られて気付かず、翌日以降に気になってくるということもあります。頭を打った際は、首の痛みにも気を付けましょう。
「脳震盪(のうしんとう)」が引き起こす症状
脳震盪を起こすと、めまいや嘔吐などの症状が出ます。中でも、意識を一時的に失くしたり、ぼーっとしたりしている場合は必ず病院に行きましょう。
特に気を付けなければならないのは、サッカーやラグビー、ボクシングなどのスポーツをしている最中に脳震盪を起こした場合です。脳の状態が回復する前に再び脳震盪を起こすと、セカンド・インパクト・シンドロームという重大な症状に至ることがあります。
具体的には、脳が全体的に腫れあがることを指しますが、これは致死率が非常に高い危険な症状なのです。スポーツのプレイ中に頭を打って気絶した場合、話しかけても反応が薄い場合などは決してプレイや練習には戻らず、速やかに救急車を呼びましょう。
子供が頭を打ってしまったら?
子供は走り回ることが多く、頭を打ってしまうケースも多くあります。子供が頭を打ってしまった時の対処方法を知っておきましょう。
小さな子供の場合
痛い、ということを上手く説明することができないくらい小さなお子さんの場合は、お子さんの状態で判断する必要があります。もし泣かなくても、「機嫌が悪い」「むずかる」もしくは、「理由もないのに暴れる」ときは痛みが強い可能性が高いです。
また、頭を打ったことで内出血をして貧血を起こす場合があります。顔色が悪くなった場合は要注意です。なるべく早く、脳神経外科医に相談しましょう。
脳震盪を起こして嘔吐した場合、一時的に貧血のような症状が出ることがあります。内出血を起こしていないなら、段々と顔色が良くなってくるはずです。しかし、嘔吐が続いたり、顔色が良くならないようなら、やはり早めの受診が肝心です。
もし、頭を打ったにも関わらず機嫌よく遊んでいるようであれば、問題はないでしょう。小さなお子さんの場合は頭を打った後の観察が特に大切です。
小学生以上の子供の場合
頭を打ったあとに痛みや症状を詳しく説明できるお子さんの場合、基本的な対処は大人と同じになりますが、やはり特に観察しておく必要があります。
頭を打った結果で最も怖いのは「内出血」です。これは目に見えませんから、判断は医師によりますが、脳神経外科で問題ないと判断された場合でも2~3日経ってから内出血が起こる可能性があります。
ですから、診察を受けた後でもお子さんの状態をよく観察することが必要になります。その間、風邪薬などは飲ませないようにしてください。内出血が原因で症状が出たのかどうか、分かりにくくなるからです。
また、頭を打ったことで腫れ(こぶ)ができることがあるかと思います。リスクとしては軽い方ですが、腫れについては「どの部分にできたか」が注目する点になります。頭蓋骨の中で最も強度が低いのは、「側頭部」です。お子さんが何も言わなくても、腫れていることに気付いたら話をしてみましょう。頭の横の腫れや、嘔吐などの症状に気を付けてください。たんこぶについては、たんこぶの正しい処置について!頭を冷やすべきなのか?の記事を参考にしてください。
大人が頭を打ってしまった場合
では次に、大人が頭を打った際の注意点を紹介します。
こんな症状に注意
子供にも共通して言えることですが、「痛みが続く・繰り返し嘔吐する」場合は内出血の可能性が高いので、迷わず脳神経外科で受診しましょう。また、「手足に力が入らない」場合も要注意です。頭を打ったこととは関係ないような症状でも、実は内出血が原因であることが多いのです。
脳震盪を起こした場合、一定の期間のことを忘れている「健忘症」という症状が出ることがあります。記憶がない、または食い違う症状が出たら迷わず病院に行きましょう。
大人ならではの危険
大人はつい、痛みや症状を我慢しがちです。痛みが引かない・段々と痛くなるといった場合はどんなに忙しくても脳神経外科を受診しましょう。
内出血が進行すると、手遅れになる場合があります。また嘔吐、けいれんなどの症状にも注意してください。家族が頭を打った場合は、たとえ大人でもよく様子を見て、おかしいようであれば受診してください。
頭を打った後の数日は、飲酒・風邪薬や痛み止め、安定剤・睡眠薬の服用は厳禁です。安易にこれらを摂取すると、内出血の症状と区別が付かなくなる場合があります。眠り込んでいる間に内出血が悪化すると手遅れになる場合があります。十分に気を付けましょう。
まとめ
このように、頭を打った際の症状には様々なものがあります。痛みが段々ひどくなる場合や、嘔吐を繰り返す場合は迷わず病院に行きましょう。また、家族が頭を打ってしまった場合は子供・大人に関わらず様子を観察しましょう。冷やす、寝るといった家庭療法に頼らず、医師の診断を受けることが大切です。
意識がない、目は開けているが反応がない、立てないといった場合はすぐに救急車を呼びましょう。頭蓋内出血はとても危険な症状です。手術をしても助からない場合があります。
また、忘れがちですが、痛み止めや眠くなる薬の服用・飲酒は厳禁ですので気を付けましょう。
もしも頭を打ってしまったら、まずは落ち着いて症状を観察することが重要です。適切な対処のためにも、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
関連記事として、
これらの記事も合わせてお読みください!